〇 未確認飛行物体:F−104J−X (STAR−FIGHTER−X):(非売品)


 全長・・・・・・1650mm

 翼長・・・・・・1520mm

 全備重量・・5500g

 翼面積・・・・87,4du

 翼型・・・・・・6%対称翼

 プロポ・・・・・6ch

 仕様・・・・・・バイロン社ダクトユニット・K&B60グローENG


 ●  昭和56年当時、築城基地ラジコン部ではパイロットのクラブ員達が、真面目に話していたUFOについて書いておきます。パイロット達の言っていたUFOとは、アダムスキー型のクルクル廻る円盤ではなくF−104の新型機の事です。パイロットの間ではこのマルヨンは夢の戦闘機と言われていました。当時の主力戦闘機だった築城のF−4EJは、マルヨンのエンジンをタンデムで搭載していました。マルヨンのエンジンが始動すると独特の金属音がしました。ファントムではこの金属音が共鳴してとても心地よい爆音に聞こえました。新兵の頃の私はエンジン音がする度、格納庫の搬入口まで走って行ってファントムの離陸する姿に酔いしれていました。


 ●  ファントムのパイロット達の間では実しやかに囁かれていた噂話がありました。次期主力戦闘機は国産のCCV機では・・・、多分マルヨンの新型だろうと言っていました。パイロットでさえこんな噂話のレベルでしたので、私達整備員が知る由もありません。パイロット達が勝手にスケッチを書き出しました。私は悪〜い予感がしてきました・・・・・。パイロット達はヘリもラジコンカーも自分で組み立てるのに、模型も実機も飛ばす事しかやりたがりません。飛行機の製作はお決まりコースの私の役目です。こんな時だけ空士の私に空尉であるパイロット達は、上官風を吹かせます。パイロット達はコンピューターのぎっしり詰まった鉄の塊は自慢げに飛ばせるのに、パチンコ屋のフィーバー台で大当たりしたら私の所に走って来て、台を壊してしもた〜と慌てていました。ファントムに比べたら玩具みたいなコンピュータなんですが・・・。昔のフィーバー台は終了個数まで出っ放しでした。約8千個。


 ●  パイロット達は自分の知る限りの実機戦闘機を持ち出し、私に口頭で伝えます。マルヨンの胴体をベースにあ〜だこ〜だと注文を付けます。当時は全く気が付きませんでしたが、現在の戦闘機の形状はあの日パイロット達からせがまれて図面を引いたF−104JXと同じ形をしていました。マルヨンと同じラインにするとアールばかりで複雑構造になります。胴体の上面のみアールにして他は平面にしました。飛ばす事が楽しみのパイロットにとって、完全スケールは望んでいません。とにかく20m離れてマルヨンに見えれば良いとの事なので、手抜きバリバリのマルヨンXが完成しました。パワーソースはアメリカ・バイロン社のDFユニットとK&B60の組合せです。


 ●  マルヨンは主翼の翼端に増槽タンクを装備しています。EDFマニア達は無用の長物とばかりにこの増槽タンクをつけません。ネットの有名人が装備しなかったら右へ習いでその掲示板のお仲間さん達は誰も付けません。付けたら格好悪いと思っているのでしょうか。マルヨンの増槽タンクを良〜く見てもらうと解るのですが、胴体の形に似ています。ご存知の通りマルヨンは、人類最後の有人ロケットというキャッチフレーズが付く位主翼面積を小さく作ってあります。おまけにスパンは短く、テーパー比はデルタ翼並みです。翼端失速は発生しまくりでしょう。この翼端に付いている増槽タンクをチップタンクと呼びます。主翼翼弦の比率に合わせた翼端に付いた小さな胴体と思えば良いと思います。主翼の付け根と翼端を同じ条件にする事で強い捻り下げの必要がなくなります。捻り下げを付けると翼端失速がなくなるという間違った情報が公然の認識として確立されたページを見た事がありますが、捻り下げの効果は翼端失速を遅らせる事は出来ても無くす事は出来ません。


 ●  過去、航空祭の前日に新田原基地のパイロットがマルヨンで基地敷地上空において演目の一つであるローパスの練習をしていました。超低空をハイスピードで通過した時、音が全くしませんでした。不思議に思っていたら音が遅れてやってきました。この時のマルヨンは増槽タンクを装備していませんでした。ローパス通過後には緩い角度で上昇しながら、スローロールを決めていました。増槽タンクが無いので長くは飛べません。着陸してきたパイロットに話を聞いたら面白い事を教えてくれました。翼端の増槽タンクを外して飛ぶと、高速ロール回転を3回やって当て舵を当て水平に戻そうとしても、余分にもう一回転してしまうそうです。チップタンクを装備した方が通常飛行と空中戦は神経を使わないと言っていました。じゃあ何でタンク無しで飛んだのか聞いてみました。するとにっこり笑いながら「たまにはえ〜じゃろう?。見てる人へのサービスじゃけ。」と広島弁バリバリで答えてくれました。暴走族に憧れていたパイロットは、空の衛りの空軍暴走族になりました。どちらも目立ちたがり屋さんです。彼の奥さんになる女性は可愛そうだと思いました。

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