Part-3

● 主翼の製作工程・・・ドレスアップ


● 本機(Lo-100)の組立には、数多くのオリジナル工具を使って製作されています。メーカー発売の進化したオールマイティな工具も存在しているんですが・・・、そういう工具の泣き所は任意の角度での精度が今一だったり頻繁に使用すると耐久性に問題が出たりします。「何にでも使えますよおおお〜・・・。」と言う様な謳い文句や、ネット掲示板の書き込みには間違った使用例も存在しています。木工用のドリル刃で鉄の塊に孔を開ける事は出来ません。「いや!出来る!。」って言ってるマニアは新品のドリル刃で軟らかくて薄いアルミ板に孔を開けた経験の有る人でしょう・・・。その勘違いのままネット掲示板で断言した発言をすると、知識を持っていないマニアは鵜呑みにしてドツボにはまり・・・、知識のある閲覧者はそのページの管理人さんの技量を下方修正し二度と閲覧しなくなります。

● 世の中に数多く実在されているF3Aの世界選手権に出場されている大御所さん達でも、ラジコン飛行機の初心者を経験されています。最初から大御所!なんて一人も存在しませんよ。誰かが作ってくれたオリジナル機や大手メーカーさんのキットを自分で作って飛ばしてブ〜ガチャンを繰り返しながら上達されて頂点を極められた人達ばかりです。やっぱり最初は誰かの真似から始まるんですよ。そして自分だけの世界観を構築して進化させる・・・。知識ばっかり先行して自らの技術の伴わないマニアほど・・・、SF的発想で現状を語るって言うけど本当ですね。

 
● 画像左側は主翼の上面ですが現在此処まで仕上がっています。右側は主翼の下面ですが残す所はエルロンサーボの搭載マウントとリブキャップの装着くらいです。主翼の前縁には翼先端のアール部分を形成する厚さ5mmのバルサを貼り込んで、成形したら完了です。主翼の後縁側にはリブ組みされ補強したフラップとエルロンの各動翼が取り付けられます。今風〜のテープヒンジ?は・・・使用しません。フラッターが出たら止まらなくなるからです。しっかりとバタフライのノイズレスセンターヒンジ型で仕上げて行きます。本機の主翼にスパン方向に走っているメインスパーとサブスパーは基本全てヒノキ材です。これに表面上バルサがはりこんでありますので、接着剤はエポキシでも木工ボンドでも瞬間接着剤でも使える様に成っています。


● エルロンとフラップのプランク行程に入りました。フラップの特別な加工と補強は無いのですが、エルロンは後縁側が弧を描いて膨らんでいますので最大幅80mm以上になります。フラップと同じ構造では捻れと撓みに耐えられずにフラッターを起こす可能性がありますので・・・、リブ間全てにクロスのサブリブを配置してマス目を増やしてフィルム1マス辺りの引っ張り荷重を軽減させ、エルロン構造体自体を強化する加工工程になります。そういう複雑な構造体にしてもムクのエルロン材を作るよりは軽量なエルロンに成るんですよ。

● 主翼側はメインのプランクも全て終わったんですが、最終工程としてのリブキャップの貼り付けが残っています。リブ上の三角板の小さなプランク材は、高級感やミテクレ目的の余計なパーツではありません。スチレン世代のマニアには原因が解からずフィルムの貼り方を間違ったか?と錯覚するんですが・・・、昭和40年代からフィルムを貼っている大御所さんに聞いてみてください。大御所さんでもどうし様も出来ないフィルム自体の特性と部分プランク翼の宿命みたいな現象ですので・・・、現象の軽減には成る!というこのミテクレ向上レベルの三角板をワザワザ貼り付けてみました。部分プランク翼のリブ面は翼型に沿っているのでフィルムも当然翼型に沿って貼り込めるんですが・・・、リブ間は翼型に沿わないというのが絶対に避けられない部分プランク翼のフィルム張りの現象です。
 
● エルロンサーボは横積みです。蓋となるベニヤカバーが直接サーボマウントとなる構造です。サーボはトルク3kgに近いミニサイズを搭載し実機と同じ両引きとする予定です。たとえセンター駆動となる蝶番型のノイズレスヒンジを使用しても最大幅80mmのエルロンですので・・・片引きではフラッターが起きる可能性があるからです。フラップサーボの取りつけは昭和のF3A機の単独舵面の振り分けサーボと同じロータリー駆動での搭載と成るんですが・・・、(入り口は狭いが中身は広い!)と言われた搭載方法ですので、リンケージとハーネスの処理に不都合は起きません。加藤無線(MK)勤務時代に開発室長が多用していたオリジナル構造の転用です。

 
● エルロン材を強化する為にクロスリブを入れます。広く一般的に言うならば建築構造の一つである(筋交い)という部材です。これを入れると捻じれに対する曲げ強度と捻れ強度が飛躍的にアップします。ただ・・・適当に入れても効果は薄く、面倒臭い構造にしかなりません。効果的な構造体にしたければ、簡単な試作品を作って指先で荷重を掛けてみれば、その具合を実感できますよ。

 
● フラップの後縁構造材として3mm厚のバルサを接着してあるんですが、この後縁材は動翼リブの中芯材ですのでリブの角度に合わせてテーパー加工せねば成りません。ほぼ・・・1/10mm程度まで削り上げる事になりますので、先にプランク用の1,5mmバルサを貼り込んでおきます。先に3mmの後縁材のエッジを太書きの油性マジックで色付けしてから、プランク材を貼り込むと色の境がはっきりと解かりますので・・・、ほんの僅かに黒い線が残るまでサンディングで落として行きます。この仕上がった状態が右側の画像です。両面共エッジ部分のみですが、プランクが修了しています。細かい作業の集合体なので、全然捗っていない様に見えますが、いい加減な工作はオーナー氏に譲渡した後の寿命に比例してしまいますので、しっかり作り込むのがカスタム品の価値とも言えますので、当工房のプライドにおいても手抜き作業は御法度なんですよ。多分・・・オーナー氏の力量だったら、寿命は本機の方が長いかもしれません(笑)。
 
● 現在主翼両面のリブキャップを接着中です。スパンが3mを越えるエルロン付きの機体ならばキャップを付けた方が、主翼の強度は上がります。最近のレーザーカット仕様のスパンが3mを越える大型機でもキャップレスの主翼が有るじゃないか!って思われているマニアの方?・・・・、主翼のスパン(翼長)とリブの枚数を数えてみましょう。リブキャップ付きの主翼よりもキャップレスの主翼の方が、リブ間が狭くリブ枚数が多いと思いますよ。要するに!被覆にフィルムを使うもシルクを貼るも・・・翼の捻れに対しての強度問題に成りますので、どちらの構造もフィルムの接着面積が同じ様に成れば主翼の捻れ対策には成るって事です。本機をキャップレスで作ったならば・・・、リブ枚数は倍以上になった筈です。
 
● 本機のフラップ動翼のサーボルームを加工します。骨格丸見えの内装に壁打ちします。劇的ビフォーアフターのリフォームみたいなモンです(笑)。サーボベットの主材は1,5mmのベニヤなんですが、サーボビス面はもう一枚部分的に厚みを架さ増ししておきます。
 
● サーボベットはエポキシを使ってガッチリと固定します。使用するサーボ本体をビス止めしてから、サーボの周囲をバルサブロックを使ってサーボのサイズまで埋め込んでしまいます。この方法は昭和60年代に加藤無線(MK)で開発された量産型試作機の成家氏のオーロラシリーズや、ウルフガング・マット氏のジョーカーに採用したエルロン動翼コントロールサーボの台座で使用していた構造です。メインのリブにサブリブを追加してマウントを作る方法もあるんですが・・・、リードハーネスの後入れ時の引き回しが難しくなりますので、この方法を採用していました
 
● 仕上がったサーボマウントからサーボを外すとこういう状況になります。入り口は狭いんですが・・・内部はリブ間いっぱいの空間がありますので、長めのリードハーネスの収納も充分出来ます。サーボトップ面はほぼ主翼の表面とツライチになりますので、サーボ本体による空気抵抗は殆どありません。
 
● 上記のイラスト画像は、本機Lo−100の主翼リブ型を表記しています。NO−4リブは普通の弱性の半対称翼型です。主翼下面にフラット面がありますので、作図はし易いと思います。この番数の前後リブ付近はLo−100の中央翼付近の矩形翼部分になるので、通常アールを持った至って普通の翼型なんですが・・・、NO−15のリブはヒンジラインから後縁までのラインが変化して弱性のSカンバー翼類似と成っています。Lo−100の後縁は外翼に当たる主翼の形は前縁が相似形の均等座標翼なんですが、後縁側は弧を描いた楕円翼で構成されています。この翼リブを全部均等座標で作図するとヒンジラインの凹みは無くなるんですが、ヒンジラインが山型になるか・・・ヒンジラインが円弧を描いてしまいます。前者ならばセンターヒンジ(蝶番型)ならば使えるんですが基準が採り辛く大変複雑になりますし・・・、主翼上面にテープを貼り込みヒンジとするトップヒンジが使えなくなります。後者ならば・・・ヒンジラインが均等座標に従った湾曲(弧を描く)しているので動翼として機能出来なくなります。

● 動翼として機能させ尚且つ基準を採り易くする為の処置として・・・、イラストの様な複雑なラインを持ったリブ型に成りました。ところが・・・全部のリブを切り出してから気付いた事なんですが、デメリットだらけだと思っていた複雑な翼型が・・・捻り下げの調整の必要の無い素直な冶具のみで捻れの無い正確な主翼を組めば、結果的に捻り下げ効果の得られる主翼に仕上がる事が解かりました。イラストでは上下が逆なので解かり辛いと思いますが・・・、点線部分が主翼下面を基準にして作図したラインなんですが、主翼の前縁を基準に直線を引いたら図の位置を通過します。この線を基準に翼型を見ると弱性の半対称翼型になります、ご存知!飛行機の主翼は地上では飛行機本体の胴体に付けられた取り付け角の状態で納まっているんですが・・・、飛行中は主翼自身が一番空気抵抗に成らない状態に移行します。主翼の取り付け角を大きくした機体の胴体が前傾姿勢で飛行するのは、こういう理由です。

● Lo−100の主翼にはこの異なった二種類以上の翼型が同居しています。飛行中に一番抵抗の低い状態に変化すると、内翼は普通の半対称翼型の状態で飛行するんですが、楕円を含む外翼はエルロン付近が跳ね上がった弱性のSカンバー翼になりますので、動翼はニュートラル状態なんですが動翼が跳ね上がった状態になります。捻じれの無い素直な主翼を組み立てたら、弱性のSカンバーを有する捻り下げ付きの主翼が完成します。実機のあの複雑な翼型って・・・こういう効果があったのかと改めて実感できた瞬間でした。この機体を設計した人って・・・頭良いですねええええ・・・。
 
● 購入されたのはグライダー・インストラクターの方です。残りの加工を全て終え・・・被覆前の完全生地完成状態となりました。送信機と胴体のサイズを比べてありますが、普通の身長の方(170cm強)では左手にプロポ・・・右手に機体・・・は難しいと思います。こういうサイズの胴体の場合は、必ず助手のお友達と二人以上の時に飛ばした方が安全だと思います。私は大丈夫ですよ。グローブみたいに大きい手のひらですから・・・。
 
● 胴体のメカ積み状態をキャノピー越しに見ています。見えるサーボは軽量・コンパクトなマイクロサーボではありません。堅牢なぶ厚いケースに守られたデブ・サーボと罵られている標準サーボです。重心よりも前方搭載なので、ウチワみたいなラダーとスリッパみたいに面積の大きい動翼には、この標準サーボは威力を発揮します。1gでも軽量化しないんですか?無動力のグライダーなのに・・・と、ネット物知り博士達の煩い忠告には一切耳を貸さず・・・空耳扱いで記事を書き続けているんですが、何で標準サーボ搭載なのかはこのクラスのビンテージグライダーを自作されるマニアにもキットを製作されるマニアにも公然と知られている事ですので此処での説明は割愛させていただきます。(美味しい皿うどんが冷めるから・・・。)
 
● 本機は初回ロットのカスタム設定でしたので、翼型自由設定機でした。その後の3号機からは5号機までの三機で其々の翼型でテストを重ねて次のロット分からは翼型固定で量産しました。この機体は二号機なんですが・・・実機とは違う翼型を指定されましたので、主翼の取り付け角と水平尾翼の取り付け角は白紙状態からの手探りです。主翼の迎角は決まっていますので、残りは水平尾翼の取り付け角度です。予めの基本設定は決まっていますので、プロポのトリム分の範囲で調整出来る位置を模索する為に水平尾翼には取り付け角をビス二本で調整出来る機能を加えてあります。F3A機の様な複雑な内部調整機能等ではありません。胴体に水平尾翼を固定する際の台座に少々手を加えてやれば、かなり簡単に確実に機能を取り付けられます。
 
● 主翼後縁側のフラップ部分は翼型に均等座標で沿っているんですが・・・、エルロン部分は後縁側が円弧状態です。均等座標で設定するとヒンジラインが湾曲するので、動翼の主たる目的の上下運動が出来なく成ります。ヒンジラインを直線にする為の翼型の設定方法は、均等座標で山形配置にするか厚みを揃えて動翼側に弱性のSカンバー機能を加えるか・・・。翼型を手に持って色々と考えていたら・・・閃いてしまって思わずニマ〜って不敵な笑みがこぼれてしまい・・・、後者の設定となりました。捻らない主翼を正確に組むと・・・結果的に外部主翼には捻り下げ効果が生まれる不思議な主翼構成となりました。本機は胴体上部のセンターウィングがボルト固定ですので、主翼のみの注文にも即座に応対出来る機能としてあります。この方式は今後増えるかもしれません。ウ〜ム!・・・、エクスタシ〜を感じますねええ・・・。

● 12月10日現在の本機Lo-100の画像です。各翼のフィルム張りも完了した所で画像が送られて来ました。この大御所さんはとにかく・・・やる事が素早い・・・。バルサの機体の鉄則は!・・・生地完成になったら捻じれや歪みが出る前に被覆せよ!がキット製作マニアの基本行動です。バルサ材は自然に生息していた木材ですので、自然環境の季節の移り変わりには直ぐ反応してしまいます。そこで、間髪要れずに表面処理で歪みや捻れが出る前に固める所は更に固めてしまうのが、上手にラジコン飛行機を製作する技術の一つとなっています。

● この日は雪が積もっていた様です。氏の話しによると私のウレタン塗装仕上げの記事に触発されて・・・、昭和の大御所らしく胴体は絹張りウレタン仕上げとするそうです。おおお!流石!大御所・・・。と内心褒めてみたんですが・・・。南阿蘇のご自宅の標高は有に600メートルは在り・・・、その工作室は夏は30度以上冬は零下何度でしたっけ?・・・。その様な環境の場合、夏場の30度は好環境と言えるんですが、冬場の零下・・・があまりウレタン塗料の硬化環境には適していません。ニトリセルロース系ラッカー塗料は常温と風通しの良い場所ならば表面乾燥には最適ですので、気温が多少低くても風通しの良い場所ならば揮発性の良い塗料なので早く乾燥してくれるんですが、ウレタン塗料の場合は主剤の他に硬化剤を調合して硬化させますので、塗装環境は常温以上40度以下の状態が一番良い環境となります。

● 氏のお庭は広いですので屋根付きの東屋にブルーシート等で急ごしらえのテント小屋を張り・・・、800程度の電器ストーブでテント内の気温を上昇させて乾燥室を作れば良いと思います。乾燥硬化中のウレタン溶剤の匂いはラッカー系溶剤よりも強烈ですので・・・、「洗濯物に匂いが付くからヤメテ〜」って奥様に叱られます。これ!必ず言われますよ!。H山さん!。薪小屋だってテラスのウッドデッキだって自作した腕前なんですから・・・、ブルーシートのテント小屋くらい簡単だと思います。是非実践して下さい。

● 平成25年の新年早々・・・絹張り塗装仕上げの(Lo-100)が完成したとの連絡が入りました。やっぱり・・・色付きの機体は格好良いですね〜・・・。胴体のストライプは実機の資料が無いのでオリジナルだそうですが、程好いアクセントになっています。今回の塗装にはジェダイマスター・リンデン氏持参のお土産品である使い捨てカラースプレーが惜しげもなく吹き付けられています。私の製作したボンバルディアQ-300のソリッドモデルもデザインコンペ用のカラーデザインの際・・・使用させて頂きました。
 
● デビューフライトは2月の平尾台大会だそうですが、10m近い強風日ならばダントツ優勝候補でしょう。何故なら・・・実機本体がスケールスタント仕様でしたし、これを安定性重視のお遊び機にはしていません。正真正銘のドスコイ・スロープスタント機で設定して製作しましたので、シャーレーのレーシング機も真っ二つにへし折れてしまう位の頑丈さを持っています。まるで(腐界)の牛アブみたいです。(風の谷のナウシカを見ましょう。私の大好きなアイドル的キャラクターです。体形も似てますし・・・。)

● この重厚な飛びっぷり・・・迫力があります。エルロンが上がってる様に見えますが、此れはフラップが下がっている状態です。本機の主翼は、飛行中は外翼の楕円翼のみニュートラル状態でもSカンバ―翼に成るという特殊な翼型ですので、捻じり下げを付ける必要がありません。よって、スピードが出過ぎるので、写真撮影用に減速しています。言わば・・・弱性のバタフライ起動状態です。