Ask-8 (Alexander Schleicher) 胴体内蔵リンケージ(Part-13)
 
● 通常の両引きタイプのワイヤーリンケージの場合は、生地完成状態の機体を被覆(フィルム・シルク張り)仕上げが終わってから、ラダー本体と垂直尾翼をニュートラル状態に拘束してワイヤーの張り調整を行います。其れが一番簡単だからです。ところが本機の場合は、胴体内部への内蔵型を採用したので、拘束する方法もセオリーとは違っています。

● こういう内蔵型は無駄って言うモデラーも居るんですが・・・、スケールを重視したり従来の方法だったら明らかにテールヘビーに成りそうなキットだった場合・・・其れなりの改造は必要に成って来ます。本機でも従来の当工房と同じ構造で作れば、こういう複雑な加工は必要無いのですが、キットをお持ちのモデラー諸氏の為の製作記事ですので、大きく改造する為の色んな材料の追加や改造は、追従しているモデラー達の負担となりますので、なるべく負担を減らす内容で改造をしながら製作しています。
 
● 従来型のリンケージ組み込みに近づける目的で、ニュートラルでホーンを固定してからワイヤーのテンション調整を行いました。このリンケージ先入れを行ったメリットは、尾翼コントロールのリンケージ部品を全てロッドアジャスターの単一部品で揃える事が出来ます。要するに特殊な部品が必要無くなるって事です。

● もう一つの利点は、胴体内のリンケージパーツの引き回しを、目で見て調整しながら確実に行えます。以上の観点から・・・実機と同じ様に、胴体外部パネルは最後に組み込む組み立て方法が一番確実だと言えます。しかしながら、現況のラジコン飛行機のバルサキットの多くが、胴体の外部パネルを完全に取り付けた状態での、手さぐりに寄る胴体内部のリンケージ加工に成るので難しく成ります。当工房で開発中の新型バルサキットは、実機の胴体の組立手順を参考にしています。正確に組む為も必要なんですが、ラジコン飛行機独自の分解方法をもっと簡単に確実に組み込める様に、実機の構造を採用しています。

 ※ お客さんが心配です・・・。

● 昨日(9月6日)の午前3時8分に起きた北海道での断層地震・・・。正しくこの地震速報をテレビで聞きました。その前日、5日は・・・午後からエアコンの取り付け作業が一件入っていて、その作業が夕刻の6時過ぎまで続いたので、風呂に入って自宅工作室で涼んでいたら・・・冷え過ぎた6畳間は室温25度・・・疲れた身体を急激に冷やしたので、眠くなる・・・。このまま25度で寝たら凍えてしまうので、エアコンを28度に設定し・・・しばしの御昼寝・・・。このパターンで、今夏は昼間連日のエアコン取付、一風呂浴びて工作室でお昼寝を繰り返し、体力を維持していました。年齢的に午前様は難しいのですが、夕刻6時辺りから昼寝に突入し、夜10時辺りに自然と目を覚まし、テレビを見ながら食事して・・・それから放送終了砂嵐を全局確認して二階に戻って飛行機製作・・・が、すっかり週刊づいていました。

● ところが六日に入った深夜午前1時過ぎても、何故か面白く興味を惹く番組が目白押し・・・。基本的に深夜の民放各局がやってる深夜ショッピングには全く興味が無いので、NHKの教育と総合を最後まで見るのが何時ものセオリーなんですが・・・。午前3時過ぎても放送してた(ハートネット)東北震災7年目の実情を描いた生き残ったご家族の短編エピソードを放映してました。そして、正にそのエピソードの最中に・・・地震速報!北海道で地震発生の一報を放送していました。ビルの定点カメラから写る映像に、何時もと違う違和感を覚えた人は、私だけでは無い筈・・・。今回の地震の最大の爪痕は、電力供給の全道ストップに寄る停電・・・。嘗て熊本地震の本震時でも、熊本全体の電力が完全にブラックアウトする事はありませんでした。真夜中の地震と・・・電力のブラックアウトに寄る漆黒の闇の世界・・・被災者の多くが、不安に成っても可笑しくない状況が、地震直後に北海道全域で起きていたとは・・・。

● 一夜明けて・・・地震の爪痕の状況が解るに連れて、人口密集地の直下型地震とは別の災害の恐ろしさが見えた時に、阿蘇の赤橋の崩落現場の事を思い出していました。山体が崩れると、麓に住む人たちの明暗ははっきりと表面化します。太古の昔に噴火した火山の噴出物で堆積した地盤のもろさ・・・小高い山体の麓に家を建てても、それが太古の昔の火山灰の堆積して出来た山体ならば、今回の様な断層地震では崩れる危険性も多分に起こるという事実を、九州に住んでいる人々でも身近に感じられる恐怖でした、もう一つは今夏に発生した多過ぎる台風のもたらす大雨も、地盤を軟弱にした要因として語られていました。

● 私自身が、過去・・・阪神の大震災をリアルタイムで経験しています。その後・・・何年にも渡って震災の日が近づくと、NHKのスペシャル番組では、阪神全域の地下活断層の特集をやっていました。その中でも特筆すべき事実もある・・・。大阪のJR環状線の内側に東西に走る上町筋と言う道幅の広い道路が延びている。この上町筋の真下には、上町断層帯が走っている・・・。この断層帯の真上に作られたのが上町筋なんですが、道幅が広いだけでなく・・・歩道も田舎の対面国道分位の幅が有り・・・その先にはこれまた奥行きの広い植え込みが連なり・・・その端に家屋やビルが建っています。

● この建設方法には色んな説が有るんですが、この上町筋の北側にに大阪城が位置している事実・・・。野村萬斎氏主演の陰陽師に出て来る風水の地脈の龍とは、活断層の事を指している・・・という歴史学者さんの見解もある位ですから、まんざら適当に作った道筋とも思えなくなります。大阪の街中には至る所に、この地脈の龍(活断層)の動きを封じる霊的な要石が置いてあるので、絶対に動かすな!という場所も沢山あるそうです。大阪が商人の町として、大昔から栄えて来た要因に・・・この迷信染みた陰陽師の霊的な封印が成されていたとしても可笑しくはないのかもしれませんね。更に・・・この上町筋の地下には地下鉄の路線も一部入っています。要するに・・・この地脈の龍が動く時は、動きを封じるのでは無く・・・むしろ動き易くしてあるのでは・・・と結論付けた地質学者もいる位です。よって断層被害を大きくしない様に道幅を広く取って建設した・・・とも言えるのではないかと思います。

● 今回の地震で、この震源地の近くに住む当工房のお客さんとの連絡が取れないので心配していたんですが、先ほどアマチュア無線の資格を持つラジコンクラブのお仲間さんより連絡が有り・・・お客さんの無事が確認出来ました。インターネットのSNSが確実だ!っていう人もいるんですが、停電に成っても太陽光発電で貯め捲った電力を使って、日本中に地震の状況を配信しているハム太郎氏もいます。こういうお仲間さんの連携で、当工房のお客さんの無事が確認されました。道内のハム太郎さんどうも有難う御座いました。

● 最後に・・・阪神の大震災を経験して以降の数年間は、私自身も揺れの恐ろしさにビビッていました。地震が発生するのを恐れて、何時も壁際に背中を密着させて眠っていました。旅先でも同じです。旅館の広い部屋では寝れないので、一晩中車の中で寝ていた時期があります。旅館に宿泊料金を払って、車の中で運転席に座ったまま寝る・・・???。こういった状況が、遠方にカスタム品を納品した時の何時もの行動でした。チェックアウトする際に、フロントで支配人さんに問い詰められた時に・・・正直に胸の内を話したんですが、次回から利用した時は・・・わざわざ、三畳の狭い部屋を用意してくれました。地震が来ても一番崩れ難い部屋だと教えてくれたんですが、この部屋は普段は従業員さんの休憩室だそうで・・・如何なる災害にも耐えうる特別室だとも言っておられました。地震発生時に従業員さんが全滅したら、宿泊者の為の避難誘導すら出来なくなるからです。大型旅客機には、全ての起こりうる事故に対して、生存する確率の高い座席がある様に・・・旅館やホテルにもそういった部屋が在るのも頷けます。

● 防災ラジオが全市民に無償で配られてから、民放の番組に混じって放送される災害に対する備えを促す番組も、毎日行われています。私の住む海岸が隣接した地域の最大の災害は、地震による津波被害・・・。まあ・・・対岸の大陸との距離が太平洋程は無いので、増幅する波の威力も太平洋程では無いにしろ・・・波高3mでも充分危険に値する場所なので、高台に逃げる為のハザードマップは確保しています。ライフラインが全て停止した状況の中、最初に必要な物は食料。災害物資が届かなければ、まず最初に危険が及ぶのは高齢者でしょう。

● 世の中・・・不思議に思わないのか?・・・。災害派遣で活動する自衛隊は、避難所に多く滞在している民間人の為に、調理をしたりお風呂を設営したり・・・日中は災害場所のかたずけをしたり、行方不明者の捜索をしたりと・・・精神的にも体力的にも、被災者以上に神経をすり減らしているのに・・・。あの強靭的なパワーは何処から出て来るのか・・・。そりゃあ・・・毎日の厳しい訓練の賜物だ!・・・で結論付けるだけでは無知としか言いようがありませんよ。活動する為には、被災者よりも食う!・・・が原則!。食う為には隠れて被災者よりも良いもん食ってるんだろう?・・・。ってか・・・。その辺が民間人の無知な所でもある・・・。自衛隊員の高カロリーなエネルギーの源は、缶詰食にあり!・・・なんて知らないでしょうね。五目御飯にとり飯・・・赤飯にイナリ寿司の缶詰・・・多分普段の民間人は、誰も食べないだろう高カロリーな缶詰が、彼らの栄養源でもある。しかし・・・イナリ寿司の缶詰???、楕円形の缶容器に所狭しと詰め込まれたイナリ寿司なんですが、ぜんぜん酸っぱく無いですよ(笑)・・・。最初は・・・物凄く抵抗感のある独特の味なんですが、何故か・・・また食べたくなる味です。あれから40年余り・・・少しは改良されたんじゃないかな。でも…とり飯と五目飯は、今でも出されれば直ぐに食べるでしょう。この二缶に関しては、お手持ちの食べ慣れた醤油を掛けて食べると美味しいと思います。私は、缶詰食にオマケで付いて来る(マルちゃん・激麺ワンタン麺)と何時も一緒に食べてました。とんこつ味のカップ麺が良く合うと思いました。最近ネットで検索したら、当時の銘柄も有れば・・・新しい缶詰も発売されていましたよ。

● ライフラインが全て停止しても、火種と一斗缶と飲めない水が有れば・・・缶詰食なら温めてアツアツ状態で食べられる事実・・・。ハザードマップの非常物品の一つに加えておきましょう。リングプルで開けるタイプじゃないですよ。付属の缶切りで切り抜けて開けるタイプだから、ガンガン高熱で温めても破裂しませんし・・・。大阪から帰郷して以来・・・知り合いの市の職員さんには、色々と教えてあげたのに・・・未だに缶詰食の備蓄すらやらない南島原市・・・。330度を海に囲まれた島原半島の僅かに陸地とつながった道路が寸断されました・・・フェリーの埠頭も壊れました・・・の状況の中、さて・・・空輸できるのはヘリコプターのみ・・・。どういう災害物品でこの窮地を乗り切るのか・・・。熊本地震の影響で島原半島内の活断層(有江断層)にも強大な歪のエネルギーが蓄積されている筈・・・。この有江断層は、島原半島を東西に分断するほどの強烈な断層です。もしも・・・数メートルズレただけで、道路もライフラインも寸断されて孤立するでしょうなあ。特に口之津町は・・・。海岸線の崖が全て崩れたら完全孤立・・・。フェリーの埠頭なんか直ぐ駄目に成るでしょうなあ・・・。いま現在の陸地だって海を埋め立てた土地ですし・・・。今回の北海道の様な揺れの周期の長い地震波動ならば、液状化する可能性は大きいでしょう・・・。山手にも海沿いにも民家が建ち並び、今回の様な山体崩壊が起きれば一溜りも無い・・・。南島原市で、地震によって孤立する可能性があるのは、我が町だけかもしれませんなあ。断層からは一番離れているんですけどね。

 ※ 主翼組み立て前の下準備 湾曲したベニヤリブの修正
          
● 主翼の中央リブから翼端方向に向かって三枚のリブは、ラワンベニヤを二枚張り合わせた積層ベニヤで構成されています。しかし・・・キット付属のベニヤは画像の様に湾曲しています。この三区間にそれぞれ配置されるリブには、内蔵する角型のカンザシパイプや補強の堅木の角材がトラス方向で内蔵されるため、直線のリブでないと正確には取り付けられなくなります。まずは、この湾曲したラワンベニヤのリブを直線にする為の修正加工を行います。
 
● 本来ならば・・・二枚貼り合わせの場合、湾曲するであろうと予測の出来る材質ならば、左右対称にダイカットするのが普通なんですが、本機の内容は同じ方向で全てのリブがダイカットされているので、其のまま貼り合わせても湾曲した積層ベニヤのリブが仕上がってしまいます。此れを直線に修正する方法ですが、画像の様に細刃の鋸で切り込みを入れ反りの力を緩めてしまう加工をしています。この状態が出来たら、アングル材にクリップで固定してエポキシで硬化させると、リブは直線に戻せます。この切り込みが無い状態で貼り合わせても、湾曲した材料の癖は付いたままなので、アングル材に拘束しても外すと湾曲した面は少なくなる程度なので完全ではありません。
 
● 自然硬化を待ってからクリップを取り去ると、見事に湾曲面が無く成りました。この状態に成って初めて組み立てる段階に移れます。このフレイヤのキットに関してハッキリと言える事・・・。出来立てホヤホヤの新作キットなら、長い期間寝かせたら駄目です。何故なら・・・国産バルサキットの様な湿気の管理を充分された材料では無いからです。この手の軽量なラワンベニヤは、湿気の多い日本国内の風土には着いて行けません。オークションで落としたキットでも、なるべく早い内に組立てて被覆を済ませて、湿気から守って下さい。今回の薄い鋸刃による修正は・・・鱧の骨切りやってる様なモノ・・・。多分・・・模型飛行機のキットを黎明期から作っている人なら、誰でもやってる禁断の裏技です。私だって、そういうジェダイマスターから若かりし頃に教わった位ですから・・・。
          
● 片翼分のリブ枚数が32枚なり・・・。全部・・・ラワンベニヤです。肉抜きしてあるとはいえ・・・重いなあ。此れがバルサで構成された国内仕様の機体なら・・・リブ枚数分で約半分以下の重さです。何故にベニヤなの?・・・、まあ・・・ね!。南阿蘇の大御所さんに大観峰で会ったら聞いてみて下さい。風速何メートル域で飛ばす機体なら、翼面荷重はこの位まで行けるから、全備重量は最大此処までの許容範囲がある・・・。此れって、極めしモデラーのどんぶり勘定なんですが、このいい加減にも思えるどんぶり勘定具合は、長年の経験から導き出された答えでもある。

● 要するに・・・大観峰の落差の大きい強烈な上昇風の助けを借りれば、中風域の日が多いから中風域で飛ばせる飛行機の翼面荷重で飛行機を作れば、必ず安定した好結果が得られる・・・といった、自作モデラー特有の成功性の高いどんぶり勘定だって事ですよ。「トンビさん!翼面荷重で飛行機を作るのは、大きな間違いです。出来た飛行機に合わせてモーターのパワーをチョイスする!・・・が正解です!。」って、大観峰にリポバッテリー搭載の大戦機の隼を持ち込んで、観光客の近くをかすめ飛んで得意に成ってた、甲佐飛行場のお馬鹿さんには言われたくないわな!。かすめて飛んだ代償は、観光客の足元に裸搭載のリポ仕様機をボコンボコン落としてニコニコしてる大馬鹿野郎!。二度と来てほしくねえな!って熊本グライダークラブのクラブ員さんが、口を揃えて駐車場でボヤく・・・。誰か解ってるやろ!。翔太(ブラックマウンテンキリシマ・ミ・ツ・イ)の腰巾着(IズミUSA)・・・。
 
● フレイヤのキットに、何処を探しても主翼翼型の表示がありません。其処で本機の素性を探る意味もありますので、エアロフォイル(翼型)の一覧表から、アナログ検索で探してみました。座標検索から近似値で該当できた翼型は(NACA・63-2-615)。主翼下面が膨らんでるので半対称翼みたいですが、後部の翼型が凹んでいるので高揚力翼のゲッチンゲンと同等の浮きの良さも持った翼型です。要するに半対称翼なので上向き揚力もありますが、同時に下面も膨らんでるので下向き揚力も発生します。よってフラットボトム翼の様に浮き捲る・・・常に上昇し続ける上向き揚力だけの翼型では無いので、常に機体は降下しようとする意思表示を持った翼型でもあるので、言わば走らせる翼型と言えますなあ。

● 複合材料で作られたレーシング機の主翼は、最大翼厚が7%前後の薄翼の半対称翼です。薄い翼型であるが故・・・空気抵抗が少ない分速度が出ます。実は初心者さんが大きく勘違いしてる事柄があります。薄い翼型ならスピードが出るので飛ばし易い!って所なんですが・・・。大観峰・・・初入山のグライダー初心者のモデラーさんは、口を揃えて言ってるんですが、シャーレー機を持ち込めば誰にも馬鹿にされない・・・バルサの初心者機では馬鹿にされて相手もして貰えない・・・。ん・・・・???。多分・・・初見はシャーレー機で来たから初心者では無いって思ってはくれますが・・・飛ばし出して、イザ!着陸・・・減速なしの高速着陸!。もしくは意味不明のバタフライ全開での着陸進入・・・。これ等の行為・・・初心者だと直ぐバレまっせ!。

● レーシング機はバルサの初心者用機みたいに1グラムでも軽くした軽量グライダーではありません。その日の風速状況に見合った翼面荷重にする為に、重心位置に搭載するバラストを調整しながら飛行させるスタントグライダーに属しています。ただただ上昇風に乗って高度を獲得できるフラットボトム翼(一番ポピュラーで言えばクラーク Y)ではありません。無動力仕様のグライダーは、常に降下しようとしていますが、この沈下ベクトルの角度を降下スピードを利用して揚力を生みだし、浅いベクトル角で飛んでる軽量グライダーみたいに飛ばすのがレーシング・グライダーです。従って・・・減速装置はここぞ!って時に、瞬時で使うから最大の減速効果が発揮できる訳で・・・遥か前方からの着陸進入で、バタフライ全開しても、安定良く効果的な減速は、バルサの初心者機みたいに上手くは行きません。詳しい実践的な効果の程は、大観峰の状況を知り尽くしたエキスパートクラスのモデラー諸氏に聞いて下さいね。今までバルサのHLGでクルクル飛行していた初心者さんが、初入山時にフルスパンのレーシングを持ち込むのが、どれだけ危険な行為か自分自身で解ると思いますよ。自分で起こした人身事故や物損事故・・・72メガヘルツ帯全盛時代なら、妨害電波のせいにして言い逃れも可能でしょうけど、ギガヘルツ帯主流の今の時代・・・妨害電波入れましたかああああ?って、言い逃れは・・・無理かなァ・・・。
 
● 主翼の組立に入る前の、組立治具を作ります。え~と・・・ですね~・・・。この組み立て解説図面を紹介すると、歪みの無い定盤レベルの板に主翼の図面を置いて・・・その上で組め!と指示してるんですが、此処で問題に成るのは歪みの無い定盤レベルの板が必要に成るんですよ。この配置図から言えば・・・主翼下面を上にして、後縁材を乗せるダイカット部品のカイモノを所定の場所に配置してって成るんですが・・・。この組み立てる定盤が、捻じれてる・・・湾曲してる・・・工作台だったら・・・、正確には組めなくなる危険性も含んでいます。

● 当工房の主翼組立治具は、どの機体を組む時も・・・必ず定盤の上に金属製のアングル材を取り付けて、その上で主翼を組立てています。別に定盤なんだから、そのまま解説図通りに組めば問題無いんですけどね、追従するモデラーさんの使用している定盤が歪んでいた場合・・・説明通りの仕上がりには成らないんです。アングル材を取り付ける時には、固定するブラケット側に調整機能が付いてますので、細かい歪みや捻じれ・・・あるいは直線出し等、このブラケットが有るから正確な治具が出来るとも言えるんです。
 
● キットに付属している左右の主翼の原寸図面なんですが、薄っぺらい用紙の印刷なので湿気や乾燥の年月が長期に成ればなるほど歪んでいます。この図面を定盤に敷いて、この上で組む・・・がセオリーなんですが、此れはキット加工が済んだ出来立てホヤホヤのキットを組む場合のみ有効です。数年経過した図面は、湿気と乾燥で膨張と収縮を繰り返すので・・・正確な図面とは言えません。

● こういう場合の図面には修正が必要に成るんですが、画像の様に厚手のケント紙をスプレー糊で貼り込んで形紙にしてから修正を加えると、この原寸図面は形紙として残す事が出来ます。本機の主翼は二分割でも片翼が1900mm程度あるので、原寸図面は三枚継ぎに成っていました。各図面の端には繋ぐための点線が表示されています。此処を正確にカッターナイフ等で切り落とさなくては成りません。
 
● 本機の主翼はストレート型のテーパー翼に見えますが、後縁側のみ二段テーパーと成っています。更に前縁はリブに直角・・・メインのスパーは、中央のリブにたいして2度の前進角が付けてあります。解説図面が全て横文字なので、読み飛ばすと後で大変苦労しますので、ご注意下さいね。
 
● 解説図面は(シートNO-2)、部品番号46番から翼端側がエルロンに成るんですが、矢印で囲んだ文章中にトレーリング・エッジがチェンジすると記載されています。このエルロンからテーパー比が変化していきます。要するに・・・翼型が変化すると言う事です。パッケージ(外箱)の写真からは解り辛いですが、これは図面の収縮による直線が曲がっちゃったのかい?って思わないで下さいね。国産キットの原寸図面の中には、質の悪い紙を使った原寸図も過去にはありました。直線が曲線に変化していて、材料を手に・・・首を傾げたモデラーさんも多いと思いますよ。ガルモデルのザノニアの図面とか・・・ね。多分・・・印刷ミスだとは思うんですけどね。一条さん主催のガルモデルというメーカーは、家族だけで運営していたプライベート・ワークスです。1ロットが、数十機から百数十機のキット生産量しか見込めない家庭内手工業とも言える状況だったので、部品のカットラインも適当(笑)・・・。でも、人気が有ったって事は、当時の作りたいモデラーの制作意欲を掻き立てるキットだったとも言えますよ。だから・・・少々の印刷ミスでも許せたと言っても過言ではないのかもしれませんね。

● ガルモデルのエピソードをもう一つ・・・。バルサキットのグライダー構造で、主翼二分割構造の機体を多く採用してました。スパンが1200mm前後のエルフでも、スパン1800mmのオリオンでも主翼の二分割構造を採用していました。此れが何を意味するのか・・・、当時は中学生や高校生でもラジコングライダーを作っていた時代ですので、運搬の便を良くする為の工夫とも言えますね。未成年者は、運転免許が取れませんし・・・自家用車なんて持ってません。親子でやってるモデラーならそういう場合の障害も無いのですが、子供だけでは無理・・・でも好きな未成年の学生達は、仲間で集まって、バスでスロープサイトまで上がるって時代でしたし・・・。そういう子供達への一条さんの親心とでも言えるんだと思いますよ。私もそのひとりでしたから・・・。特に関東サイトには多かったって話を聞いてます。三浦半島の城ヶ島とかね・・・。バス停からお弁当とグライダーを入れた細長い、お母さん御手製の袋を持って、歩いてる未成年の子供達がいたそうですよ・・・。
 
● 後縁材に定規を宛てると一目瞭然!・・・。こういうトラップレベルの細かい罠も、この舶来キットには存在しています。一番良いのは、実機の三面図と照らし合わせながら作るのが良いかもしれませんね。各部所の細かい画像も掲載されていれば、尚良いと思いますよ。
 
● メインのスパー材の加工を行います。このスパー材は斜め継ぎなので、実寸55mmずつズラしてセロテープで固定しました。此れを画像の様なラインをボールペンで記し、細い鋸刃で切ろうとしたんですが・・・何故かヒノキとは別の感触が・・・。まさかなあって思いながら、カッターナイフで筋を入れたら・・・5回もなぞったら・・・切れちゃいました・・・。うわ!此れってラミン材かあ?・・・。このラミンって材料は、軽量で削り易い反面折れ易いデメリットも持っています・・・。この材料をメインスパーに使うとは・・・。信じられん!。分割翼のセンター側の半分は二枚貼りなんですが、何処で折れるか心配なので・・・飛燕に使ったカーボンロービングをメインスパーに全面貼り込もうと思っています。
 
● 2メートルを超えるメインスパー材の結合を行います。こういう長物の接着なんですが、諸説色々と在りますが、究極は仏閣等で使用する宮大工の複雑な継ぎが最高なんですが、加工が複雑すぎて誰も追従しませんので比較的簡単な部類の確実な継ぎがこの方法です。接着面積が増えるだけでなく、広範囲の斜め継ぎなので荷重に耐えられるメリットもあります。ガルモデルやオーギの敢えて木口同士を密着させて添え木を当てても、何ら強度に変化は無いんですが・・・。継ぎ目付近に色々と部品が付く場合は、添え木を回避する加工を部品側に行うので、その分手間が増えます。この斜め継ぎは、それらの手間が掛からない分作業時間の短縮が出来ます。結合には二液練り練りのエポキシが良いですが、低粘度の瞬間接着剤を促進剤を使わずに流し込み自然硬化させる方が強度が上がります。此処は時間を掛けてじっくりと作業しましょう。
 
● フロッシュのスパー材の結合でも使用したアルミの角パイプとアングル材で構成された専用治具です。角パイプは20×40mm・板厚3mmですのでかなり強固なパイプです。このパイプは今年で30年目・・・業界時代に大阪の金物団地の業者から定尺4000mmで購入・・・。此れを2000mmでカットして使ってます。ホームセンターにも類似品は有りますが、多分・・・専門業者の倍以上の価格でしょうね。因みにホームセンターなら、2000mmで¥6000位ですが、業者なら4000mmでもこの半額以下でしたよ。大阪のこの業者さんは、単品買いが可能でした。現在はHPもある様ですので、問い合わせてみるのも良いかも知れませんね。
 
● 本機の解説の指示では、この短い方を繋いだスパー材の角に合わせて重ねて接着せよとあります。要するに、一枚目の繋ぎ目を二枚目(内側)で覆って補強する訳ですが、この方法はガルモデルの添え木の継ぎ方と同じ方法です。この重ね張りには、必ずエポキシを使って下さい。瞬間接着剤や木工ボンドでは経年変化と湿気には耐えられず・・・剥がれる可能性もありますので。
          
● メインスパーを二枚重ねると画像の様に段差が出来る訳ですが、此れはリブ溝が主翼の中央側を基準に指定されたリブまで、ダブルの厚みでダイカットされています。此れより先の翼端側(エルロン部)はシングルの浅いダイカットですので、順番を間違わない様に、リブ材には番号を振っておきましょう。リブ材の後方に見えるシングルのダイカットは、スポイラー室の補強構成のショートスパー材が組み込まれます。
          
● メインスパーの工作中です。本機のメインスパーは、主翼リブの途中までを裏打の二重張り構成に成っています。しかし、上下とも同じ位置だと曲げ荷重が集中しますので、リブ3枚を跨いで上下のスパーの継ぎ位置をずらしてあります。このずらしたスパー位置を間違うと、リブのスパー溝にスパー本体が入らなく成りますので、解説書を見ながら正確に工作しましょう。

● 最近のバルサキットで多く見られるスパー補助材をバルサシートで作って、勘合溝を設け・・・リブを正確に嵌め込む工作方法があります。翼端まで同じ翼弦のリブで構成される矩形翼の場合はあまり影響されませんが、テーパー翼の場合はリブの固定位置は、図面に指定された位置に正確に取り付けないと前後の縁材を取り付ける時に直線が出なく成ります。それらの不具合を少しでも減らす目的で、バルサシートで作られた補助材の方法が採用されています。

● じゃあ!大型機でも採用すれば良いじゃないか!って、バルサ組立の初心者さんは、誰しもが思う事・・・。多分・・・途中で繋いで作れば・・・と言うでしょうなあ・・・。しかし、大手のメーカーのキットでも途中で繋いで片翼1800mmの翼構成・・・なんて存在しないでしょう・・・。繋ぎ目を作ったら・・・更に補強する為の補助構造をリブにも作らなければ成らなくなるので、構造が更に複雑に成るからです。キット初心者さんは、グライダー初心者さんに大変多いと思いますが・・・、昔は作り倒した果てに自作モデラーに成った時に、自分なりの工作方法を確立する場合が多かったです。ただ・・・この初心者モデラーと同じ様な事を思っていても、其れは飛行場で仲間内で愚痴ってるだけで、今の初心者さんみたいに他人の家の塀にさらし首みたいな落書きはしませんでしたよ。

● バルサキットを作り倒した果ての自作モデラーにしか解らない事なんですが、初心者さんが疑問に思ってる事・・・メーカーさんの工作手順の難しさ等・・・何故、そういう工作なのか・・・身に染みて理解できる日がやって来ます。模型飛行機の構造は、実機の構造の簡略版なんですが、基本的な製作手順はどちらも同じです。其れをアルミ板を曲げてアングル材にするかチャンネル材にして作るか・・・、バルサやヒノキの棒材を複数組み合わせて作るかの違いしかありません。

● 私のページで頻繁に登場する(ネット物知り博士)っていうモデラーさんは、技術が伴わず他人の知識を自分で検証せず丸暗記して・・・堂々と吹聴しているラジコン初心者さんの事ですよ。何処かのラジコン初心者さんのブログに、「大型機を作るんなら、2メートルのバルサ材やヒノキ材・ベニヤ材を使えば、途中で材料を繋ぐなんて、面倒臭い構造なんかにする必要無いって思うんですが・・・。おい!〇〇メーカー!もっと頭を使わんかい!。」・・・多分・・・このメーカーさん・・・。空耳扱いしてると思います。しても良いと思いますよ。この初心者さんは、もしキットが存在しても絶対買いませんし、作れませんから・・・。2メートルの材料???。世の中のバルサ材の定尺基準を彼は知りません。そういう材料は、原木裁断の段階から2メートル材を作る事に成るので、特注品扱いと成ります。現在のキット価格の50倍位の部材を加工して作る事に成る・・・。他の部品は900mm定尺からも作れるが、主翼のみの部材だったとしても・・・キットの箱は2メートルを越えますなあ・・・。通常キットが宅急便扱いなら、このキットは大型貨物のヤマト便・・・。在庫してくれる模型店も問屋さんも有るだろうか・・・。って事を、この初心者の博士は考えた事が無いのかもしれませんね。航空大学を出た!って言ってる初心者モデラーさんだけど・・・。知識先行型・・・って言うのはこういう人の事です。下っ端からの叩き上げのモデラーさんには、こういうネット物知り博士は居ませんよ(笑)・・・。
 
● 主翼を組む前に絶対間違えてはいけない事を記載します。そんなん言われんでも解っとるわい!って思ってる人には、無用の長物・・・読み飛ばしましょうね(笑)。解説図の方は、主翼の上面を下にして組む様に詳しく解説しています。それに対して原寸図面の方は、主翼上面から見た図を記載しています。よって、各リブを取り付ける為のメインスパーの基準線を入れる場合は、あくまでも主翼上面に取り付けるメインスパーの内側に、基準線を入れなければなりません。更に・・・この基準線なんですが、主翼の前縁側に2度傾く前進翼設定なので、基準線を入れる場合もスパー材には2度傾いたラインを入れる必要があります。
 
● 記しは左右対称に入れる事が必要です。まずは・・・図面の継ぎ位置と木部の継ぎ位置を基準にして、各リブの取り付け位置をメインスパーの後部側面に成る面に記載していきます。この場合は、組立てに必要な定盤と接する上面のメインスパーの内側に基準線を入れています。この際・・・基準ラインは2度傾けてラインを引きます。
          
          
● 可変式の分度器を2度に設定してラインを引いています。このメインスパーは幅が(3/8インチ=約9,5mm)あります。此れだけ幅の有るスパー材にリブを取り付けると、指定角度で正確に取り付けた場合と・・・好い加減に直角で取り付けた場合とでは、主翼の前縁側と後縁側ではかなりのズレが生じます。何故なら・・・リブの翼弦が300mm以上ある為、細かい距離での角度のズレは、何十倍にも増幅されてしまうからですよ。1,5度の角度のズレは、前縁側で約15mmズレ・・・後縁側では30mm近くズレますので、メインスパーへのリブの取り付けは最新の注意が必要に成りますよ。無理やり合わせようと瞬間接着剤で拘束すると・・・その影響は、主翼のスパン方向の反りや捻じれに繋がります。治具に拘束している時は気づきませんが、治具から解くと途端に湾曲したり捻じれたりします。無理矢理嵌め込むのではなく・・・少々甘いかなァ・・・って感じる位の勘合具合の方が正確に組めるようです。
 
● キット指示では、最終翼端リブに翼端バルサをベタ付けする最もポピュラーな取り付け方法なんですが・・・、当工房はオリジナル機もキットでも、翼端材の取り付け方法が違います。此方の方が特に翼端エルロンを搭載した主翼の場合は、壊れる確率が大幅に減少するからです。

● ところが・・・キットのスパーを其のまま組むと、主翼のスパーは翼端側が大きく余るんですが・・・下面となるスパーは、翼端バルサの途中で寸法が足らなくなります。この不足分を余った上面側のスパー材の端を切断して代用します。翼端ブロック分よりも5mm程長めに取ってから切断します。
          
● 翼端側の繋ぎも斜めカットで接着面を拡げ、一点集中の荷重を分散しました。翼端の構造強化の為の面倒臭~い工作方法は、当工房の各種機体の製作記事をお読み下さい。着地の際のラリアット着陸(翼端を引っ掛けてのグランドループ接地)でも、翼端ブロックがもげ取れないので、エルロンを壊す事が無く成ります。翼端ブロックがもげると・・・ラダー機ならば後縁をもぎ取り、エルロン仕様機なら、ヒンジラインを主翼側の後縁材毎モゲ取りますので、主翼自体を修復不能に成るまで壊す確率が増えます。
     (Part-14に続く)