ASK-8 (Alexander Schleicher) 胴体の組立 (Part-6) 

          
● 部品番号(104)Fin Postの表記・・・所謂シム材です。材料は定尺(36インチ×1/4×1/4=914×6×6mm)が一本入っています。品番表示がありませんが、6mm強の正方形の断面を持ったバルサの棒材が定尺900mm以上でセットしてありますので、付属の部品表の数値と照らし合わせて探して下さい。この場材を寸法切りして、画像の位置に貼り込みます。このシム材は高さを成形した後、部品番号(204)・(205)を形状を成形してから取り付けます。
 
● 先にテールエンドの工作を終わらせてしまいます。2mmのラワンベニヤを二枚重ねて貼り合わせていますが、画像の様にアングル材を挟まないと平面が出ません。画像上部に薄く見える書き記した部品番号の羅列が木目方向です。此れが二枚とも同じ木目でしたので、貼り方によっては湾曲する事もありますので、アングル材を挟んであります。此れを胴体の指定位置に貼り込みますが、裏側に水平尾翼のビス止め用の爪付きナットが刺さりますので・・・此処はエポキシ接着剤でガッチリと固定しました。
 
● 部品番号(199)は、厚さ3mmのベニヤを二枚張り合わせた厚さ6mmのテールエンド・キャップです。画像上部が垂直尾翼を取り付ける上面です。垂直尾翼のバーチカル・ユニットがL字型で勘合されますので、正確な直角の接着が要求されます。ストリング材も一緒に勘合されますので、同時に接着した方が作業はやり易いと思います。

● 部品番号(200)も二枚貼り合わせの6mmベニヤです。この画像は上部が胴体下面となります。この面にはラバースプリングによるテールスキッド・ユニットが取り付けられますので、エポキシでガッチリと接着しました。当工房で製作している本機は、エレベーターのスライドコントロール・リンケージユニットが当工房オリジナルとして装備されますので・・・解説図面よりも胴体内部構造が若干複雑に成ります。
 
● 胴体上部のキール・ストリング材なんですが、画像からも解る様に湾曲しているのが正しい形状です。この部材は、胴体側面のストリング材と同じハードバルサの棒材ですので、切り込みを入れないと綺麗に曲がってくれません。キールの上部に切り込みを入れてから取り付けました。尚・・・切り込みの入った跡ですが・・・削り落としてしまうので穴埋め加工は要りません。
 
● 胴体の主翼取付の部品加工に戻ります。部品番号(204)(205)を加工して、先に取り付けてあるベニヤ部材に沿わせて肉厚を上げる部品を作っています。キットには二種類の棒材が入っていましたが、このバルサ材で其々二つの材料を切り出す合わせ取り加工を行います。トレースのラインは、先付のベニヤ部材から採ります。
 
● 糸鋸盤を使って加工をするんですが・・・、左のバルサ材みたいに厚みは10mm近くあるけど、それにも増して幅が広い場合は材料が安定しますので・・・糸鋸加工は安定するんですが、右の棒材は厚み10mmに対して幅は6mm強しかありません。このままでは安定しませんので、左の材料と両面テープで繋いで安定させてから加工しましょう。両面テープは、一面貼りの必要はありません。小片のスポット二か所貼りで良いと思います。
 
● 糸鋸加工の終わった部材です。先にベニヤ部材の上部を黒マジックで塗りつぶしておきます。本機の主翼には上反角が付きますので、このベニヤ部材と今から貼り込むバルサの肉付け部材は、上反角に合わせて上部を斜めに削り込まねばなりません。この時に、左右の部材が均等に成る様に削りますが、削った面が左右均等に黒く残れば正しく削れているという状況に成ります。
 
● 厚さ10mmの肉付け部材を貼り込みましたが・・・結局は(150)番胴枠に、上部のアール部材を貼り込んだ事で明らかに成りますが・・・、テーパー状に削り落としてしまいます。まあ・・・全体で言えば、65%は削り落ちる計算ですね。それでも部品取り付け方法は、一番確実で簡単だったりします。まるで・・・工藤プロダクツのバルサキットみたいです(笑)・・・。四角胴で組んで、外アールのゲージを当てながら、丸胴に削り落とすみたいな・・・。
 
● 胴体の構造体がある程度完成しましたので、ここらで重心位置のお話を・・・。本機(ASK-8)の現在のこの状況・・・やや致命的・・・とも言えますなあ・・・。尾翼の無い胴体の完成形で、空力の重心位置を掴んでみると・・・思いっ切り!テールヘビーです。じゃあ・・・吊り合う位置はと探してみたらが、画像の位置です。まあ・・・重心よりも前方・・・機首方向には、まだベニヤの外皮プランクも一部ありますし・・・FRP製のノーズフェアリングも装着されますが・・・、どの程度重心位置が機首方向に移動出来るか・・・ちょこっと心配でもあります。
 
● 日本国内の大手のメーカー製バルサキットを昭和時代から作り倒したモデラーさんなら・・・ご存知の周知の事実がありますのでご紹介・・・。日本国内の各メーカーから販売されていたバルサキットの殆どの機体は、画像の人差し指の位置・・・。尾翼の付いた完全生地完成の状態で、人差し指の主翼後縁付近でつり合いが取れたら・・・被覆後メカを搭載した完全完成の状態での重心位置は、送信機のトリムレバーの範囲内で収まる様に設計されていました。それが、動力機だろうがグライダーだろうが・・・。購入したモデラー諸氏の、性能向上を狙った意味不明の改良と称した単なる改造を行うと・・・この黄金比率は正立しません。

● しかしながら・・・このフレイアの本機キット・・・。いささか心配なので・・・構造体の追加改造を機首方向・メカ搭載スペースに施していきましょう。全備重量が4400g~6000g・・・この開きは、生地完成後の重心位置を合わせた状態でのフィルム貼りか絹張り塗装仕上げの違いかと思っていたんですが・・・、もしかすると、完全完成状態で最大バラスト搭載後のピタリ重心の最大値が、全備重量6000gなのではないかという疑問も生まれて来ました。う~む・・・、こういう舶来のスケール機のキットや自作のスケール機を作る場合・・・毎回心配に成るのが、この生地完成後の重心位置の設定です。

● メーカー指定の原寸図面に記載されている重心位置の指示なんですが・・・、この指示は機体の被覆終了後・メカ搭載後・・・テールヘビーの場合は機首先端にバラストを搭載して重心を合わせなさい!の指示ではないのです・・・。生地完成の状態で、一応全てのメカとリンケージの仮搭載を終えた状態で、重心位置を合わせなさい!の指示なので、この生地完成の状態で重心が合うまで調整しなさい!という意味です。被覆が済んだ!メカ搭載も済んだ!でも重心が・・・テールヘビー・・・。機首に最大でバラストを積んでも、まだテールヘビー・・・。この機体は、メーカーの欠陥機?・・・では無いのですよ。まあ・・・こういう失敗後にネット掲示板に泣き言書き連ねているのは・・・バルサキットの初心者さんに多いんですけどね(笑)・・・。

● 本機に限らず・・・バルサキットを製作したら、上記の記載文を参考にして組立を続けて下さいね。現OK模型の社長である高松利充氏が、過去のRCAWの記事の中で語っていた名言があります。「生地完成の状態で、搭載メカとリンケージを全て終えて重心調整をした機体なら、被覆に支障をきたさない程度にメカを降ろした状態において・・・同一比重の被覆材(主にフィルム)を使う限り、重心は移動しない・・・。」・・・正に!その通りです。
 
● まあ!そういう目的もありますので・・・本機の機首方向の内部構造を重量増加を狙う改造を行います。前回製作したフロッシュの場合は胴体が細身のグラス製の為・・・機首先端に搭載できるバラストが限られていました。そこで変形した垂直尾翼をバルサで作り変え、マイクログラスを貼り込む事で構造上の軽量化を図り・・・バラスト搭載の軽減に成功した一例もあります。しかし今回は・・・私のグー拳が余裕で入る位の容量を持つ胴体ですので最大限の内部構造強化を行います。

● 指定搭載受信機用バッテリーなんか、一昔前のラジコンカ―の動力用バッテリーです。このバッテリーを完全保護の名目で、内部構造強化に大いに貢献するでしょうし・・・、現在戦車競技で使用しているクラッチ駆動用の大型ハイトルクサーボを、尾翼操作用サーボに用いる事も検討中です。
 
● エレベーターロッドとリンケージ・ユニットの製作を行います。本機の様な構造体の場合は、1メートルを超える様なロッドを使用すると・・・後で入れるという寛容さが機体出来ません。むしろキットの指定が角棒ロッドなんですが、コクピット側からもテールエンド側からも後入れが出来ない構造なので、先入れが必要に成って来ます。

● キットの解説では・・・ロッドの両側にピアノ線を装着する単純な構造なんですが、ロッドの断面が(1/2×1/2インチ)の、バルサロッドとしてはかなり太い部類に入ります。機体が大型ですし、エレベータの舵面も大きいので・・・相当な風圧によるロッドの撓みを防ぐ目的もある様です。

● しかしながら・・・後部胴体の抜き面を考えれば、ロッドの取り回しは楽そうに見えたんですが・・・意外と直線引きの場合、可動範囲が狭く・・・胴枠に干渉し易い事が判明しています。更に・・・撓みは最小限に出来るんですが、サーボホーン側がロータリー式なので、直線移動が必要なロッドに横移動の動きが加わると・・・どれかの胴枠と干渉するかもしれません。

● 大型機の場合・・・それが動力付きの飛行機でも、無動力のグライダーでも・・・コントロールロッドの動きの渋さは、即飛行状況に影響する可能性もあります。今回は、はめ殺しのロッドには成りますが、完全に直線移動だけを行える構造でエレベータロッドのリンケージを製作します。
          
● 胴体内部のエレベータ・ロッドを三点支持で固定して、上下左右の撓みを完全に封鎖する構造で組み込みます。イラスト画像の左上が機首サーボ側になりますが、二本のレール上をユニットが前後します。ロータリー式サーボのロッドのユニバーサルな動きは、ユニット側のボールリンクによって吸収され直線の動きに変換されます。

● ロッド中央のユニットは上下左右に配置され、1メートルを超えるバルサロッドの撓みを防止します。画像右下のユニットは、何やら引込脚のユニットに似ていますが・・・発想は同じ所に有りましたが、ユニット内部の可動体を両側のアングルレールで拘束し、ガタを最小限に抑え・・・左右のエレベータのプッシュロッドの動きに変換します。かなり・・・重く成りそうな部品に見えますが、殆どがプラスチックとナイロンの部品ですので、まあ・・・ユニット全体で50gにも満たないでしょう・・・。

● 昭和のモデラーさんなら・・・イラスト画像を見ただけで、私がどんな部品を改造して使うかご存知の筈・・・。たぶん・・・作れるモデラーならば複製は容易ですので、大いにやって下さい。私個人としては・・・フレイアの製品開発スタッフに是非お願いしたい!。ユニットの開発を、インジェクション成型で部品化して・・・キット付属・・・もしくは、別売りパーツで製品化して下さい。大型グライダーの自作モデラーには、大変重宝する製品に成ろうかと思います。
 
● PVCの棒材(10×12mm)からブラケットを作っています。同寸法のブラケットを8個作りますので、先にローラー・シャフトの取り付け孔を開けてから、寸法切りしていきます。ブラケットはL型なので、穴開け後に本来の形状まで削って仕上げます。ドリル刃は2,0mmで開け・・・2mmのビスを使います。
 
● 全体寸法は10mm弱しかありません。手作り感満載なので、外部の形状は不揃いですが、必要な穴位置と床面との寸法は全て共通で仕上げてあります。床面のアール状の窪みは・・・ビスの頭の逃げスペースと、締め付けで使用するドライバーシャフトの逃げスペースです。この加工により、ドライバーシャフトはビスの頭に正確に勘合します。
 
● ブラケットに2mmのビスを使って、OK模型のフレキシブルロッドのインナー星型パイプを固定します。この星型パイプの長さは20mmです。此れにアウターパイプ(長さ18mm)を被せてから、もう一方のインナー星型パイプも2mmビスとブラケットで固定します。此れでバルサロッドの振れ止めパーツは完成しました。後は、ベニヤの台座に固定するのみ・・・実際に取り付ける時にまた説明します。

● 何故に星型パイプをシャフトに使ったのか・・・。この星型パイプは、言わばギヤの歯数が8個のガタ出捲りの歯並びなんですが、フレキシブルロッドの本来の動きは前後方向・・・。アウターパイプとの接点が尖った刃先の8か所のみなので、滑りが大変良い点にあります。テトラからも同種のロッドが販売されていますが、テトラのインナーパイプは材質がOK模型よりも柔らかいので、前後の動きはかなりスムーズなんですが、今回の様な使い方をすると柔らかい分・・・滑りが悪い・・・。その点、OK模型のインナーパイプはABSなので、材質はもろい反面テトラ製よりも硬いです。アウターパイプとのクリアランスも・・・言わば、大ざっぱのブカブカなので・・・今回の動きには好都合です。それでも・・・かなり軽く廻ってくれるのでアバウトな部品なんですが、動きは確実です。部品4個で6グラムで完成しました。
 
● 当工房のオリジナルグライダーには度々使用するナイロン製のアングル材を加工しています。エレベーターを左右分けの両引きにする事で、細かい調整とリンケージの容易さを実現する為に製作しています。イラストとは若干ですが、形状と内容が変わりますが、動きの確実性を重視しての変更です。
 
● 今はまだ仮組の状態ですが、一応の形状は決まりました。自作機の場合は・・・最初から搭載予定ですので、出来上がったユニットに合わせて機体の内部構造を決定するんですが、バルサキットの場合は色々と寸法的に制約が入ります。作ってるのは特注パーツの部類なんですが・・・構造が簡単ですので、取り付け前に良案が見つかれば再度作り直すかも知れません。何せ・・・はめ殺ししてしまうユニットですから・・・。
          
● まだ削り込んでいませんが、こういう両分けのアームが付きます。先端は2mmビスを捻じ込んでいますが、この部分にはヘリ・リンケージパーツのボールリンク・アジャスターが付きます。本機のスタビライザーは、当工房のEP-GANBAの主翼面積と然程変わらない位に大きいです。よって、そのエレベータのサイズも大きいので上下作動時の風圧も大きく成ります。小型軽量のグライダー用のロッドアジャスターでは耐えきれません。グロー40クラスのヘリコプターのスワッシュプレート周りで使用する強化されたロッド類の使用を考えています。
 
● 一応の形状は出来たので、此処から細かい調整に入っていきます。このPVC素材は穴開け・削りは容易なんですが、金属よりも丈夫って訳でもありません。ネジを締め付け過ぎると直ぐにねじ切ってしまいます。適度に締めて瞬間接着剤等で補強するといった作業が必要に成ります。直ぐにねじ切れるから弱いのか?っと思われがちですが、此れは通常ネジの場合のみの話であり、タッピング系のビスに関しては、驚く程の締め付け強度を持っていますので・・・胴体と主翼の勘合に使うと良いですよ。別の言い方なんですが、通常のネジを使う場合もネジの直径の4倍程の締め付け部を持たせれば、タッピングビスに匹敵するほどの強度が期待出来ます。
 
● このスライド機構は、サーボからダイレクトにリンケージされる最初のリンク機能です。ラジコン飛行機では一番お目に掛かり易い程のポピュラーな機構ですね。ただ・・・平行なレール上をスライドさせる為のクリアランスを採るのが難しいとも言えますので、簡単な構造にも見えますが、其れなりの調整の技術が必要です。
          
● リンケージに必要なユニットは揃いました。このユニットを全て使うと、1メートルを超える木製のリンケージロッドが直線上の動きのみしか出来なくなるので、尾翼の動翼への伝達がスムーズになります。実機の伝達にはワイヤーを使うのが一般的だと思われていますが、こういうシャフト型のリンケージを使った機種もあります。細かい部品の取り付けは、サーボマウントを組み込んでから記載します。
 
● エレベータのコントロール・リンケージロッドを作ります。バルサロッドに穴を開けて・・・クランク状に曲げたロッドアジャスターを差し込んで、タコ糸を巻き付けて作る・・・。が、一般的なバルサ製ロッドの作り方なんですが・・・。昭和50年代の前半辺り・・・パイロットジュニアを代表とする練習機のロッドの作り方の見本によく紹介されていましたね。

● そういう時代において・・・ヤフーブログの年金Kさんやライト工房の主さんならば、もっと本格的なロッドの作り方を実践しておられました。尾翼用のロッドは、細い胴体内部の空間で交差して動く場合も有り・・・動きの範囲の中では接触する事も有り得る訳で・・・。そういった場合でも万が一でも引っ掛かったりしない様な工夫がされていました。
 
● 年金Kさん世代のラジコン界の大御所と言えば・・・、カルト産業の沖さんや加藤無線(MK)の昌弘社長が該当しますが、どちらも既に他界されています。先代の大御所諸氏のリンケージロッドの作り方は、正に芸術でしたよ・・・。その一部を当時を思い出しながら作ってみましょう。

● 上記画像のクランク曲げしたピアノ線のロッドアジャスターを、丸棒の中心に来る様に溝を彫ります。此処にロッドを埋め込みますが、先端がクランク状に曲げてあるので中心のピアノ線は回転しません。溝を彫ってロッドを埋めたので、残った溝の空間は、バルサの小片で蓋をします。この作業の接着剤にはエポキシを使いましょう。

● このピアノ線のロッドアジャスターの全長は130mmです。その内の60mmがバルサロッドに埋め込んであります。更にそのうちの半分を鉛筆削り機で削った先端の様に尖らせます。こういう状態のロッドにしておくと・・・狭い後部胴体の内部のおいても、他のロッドと擦れあっても干渉がありません。昭和のあの時代のF3Aの世界大会に出場していた世界中のモデラーさんも、皆さん同じロッドの削り具合だったので、その効果は当時から世界的に認知されていたと思います。当工房の大型グライダーの製作依頼では、画像の様なロッドを別枠で10セット程・・・製作依頼して来る海外のモデラーも居る位ですから・・・。(Part-7に続く)