ASK-8 (Alexander Schleicher) 特殊ヒンジの工作 (Part-9)

 注・・・此処で紹介する自作のヒンジは、当工房の管理人のオリジナルです。材質等には信頼性の欠片もありません。複製されても良いですが、事故等の責任は負いかねます・・・。複製される場合は、自己責任でお願いします。
 
● 本機のヒンジラインについての説明です。本機製作中のモデラーさんから、指定の板ベロの金属板の孔位置からすると、ヒンジピンの位置が上下でズレてるんじゃないでしょうか・・・。というご指摘が有ったんですが・・・。此れはズレてるんじゃなくて、垂直尾翼が均等座標によるテーパー翼型なので、必然的にこういう位置に成ります。
 
● 過去の大観峰のスロープサイトにおいて、デコパネの自作モーターグライダーを持参したパークフライヤー氏に面白い指摘を受けました。このフライヤー氏の言ってる事が正しいのか間違っているのか・・・閲覧しているモデラー自身でお考え下さい。「このグライダーのエルロンのヒンジラインは可笑しいですよおおお!。ニュートラル状態のヒンジラインの幅が、翼の付け根と翼端じゃ幅が違うじゃないですかあああ!。僕の飛行機は綺麗に揃ってるでしょう!・完成機屋さん・・・名乗るんだったら、こういう細かい所まで気を配らないと・・・ねえ!・・・。」って、大観峰の大御所諸氏の前で、自信たっぷりに吹聴してくれたんですが・・・。

● 結局・・・このフライヤーさん・・・。大御所諸氏の前で、デコパネ機を持ち込んだので馬鹿にされたくない一心で、上げ足を取ったつもりなんですが・・・大御所さんの自作スケール機も、一様に当工房と同じ状態なのを見てフリーズ・・・。自分の知らない知識がまだ有ったのに気づき・・・足早に退散して行きました。このパークのフライヤーさん・・・の!言ってる事・・・。デコパネ翼には通用するんで・・・間違いではないですよ。でも・・・全部の航空機の構造には対応出来ませんので、知識不足の見切り発言で墓穴を掘った(笑)・・・とも言えますなあ。そう!翼型を形成しないフラットな翼面なら可能ですので、あまり悩む必要はありません。

● イラスト画像は、均等座標リブを採用したテーパー翼です。均等座標なのでエルロン材もテーパーで作ってあります。この均等座標のテーパー翼は、翼弦の長さが翼端に向かって短くなっています。リブは均等座標なので相似形です。よって翼根に比べれば翼厚も薄くなっていますが、相似形なので最大翼厚のパーセンテージも翼根と同じです。よって、ヒンジラインも均等座標で作図すると・・・翼根に比べて翼弦の短いエルロン動翼となります。

● 翼端は翼根に比べて動翼の厚みは必然的に薄くなりますが、ヒンジラインのVカットの角度が同じなので・・・見た目、翼端側の幅が狭く見えます。しかし・・・デコパネ翼は、翼根も翼端も同じ厚みなのでヒンジラインも同じ幅ですしVカット加工しても、ヒンジラインだけ見ると綺麗に揃っています。ただですねえ・・・均等座標のテーパー翼をデコパネ機と同じ構造にすると・・・動翼を動かした時に・・・再びパークフライヤーさんにご指摘を受ける羽目に成るでしょうなあ(笑)・・・。

●イラスト画像の三角錐のⒶとⒶ´の面は、どちらも同じ形状なので合わせるとピタリと一致します。此れが理解出来ない内は、デコパネ機グライダーを持ち込んだフライヤーさんは、一生グライダーのヒンジラインで悩む羽目に成るでしょうなあ・・・。この二面はどちらも平面そして、同じ形状だからピタリと合致します・・・。仮にⒶ´の面が二等辺三角を形成するVカットラインのエルロン前縁でも同じ様にピタリと一致します。この三角錐の二面を均等座標の主翼の後縁とエルロン材の前縁だと仮定すれば・・・パークフライヤーさんのご指摘は間違っていると成りますなあ。

● ただ・・・ネット状にはへそ曲がりな天邪鬼モデラーもおりまして(笑)・・・、パークフライヤーさんの言ってる事を別次元世界なら正しい!って言いきる人も居るだろうと思いますので・・・。まあ!・・・三次元(この世の中)なら無理でも四次元世界の超立方体理論なら可能だ!って言い出すでしょうなあ(笑)・・・。三次元の立方体は二次平面に展開出来るのは、小学校でも習うので誰でもご存知の筈・・・。ところがこの三次元世界において、この超立方体を二次平面には展開出来ないんですよ。ただ・・・四次元世界ならば四次元的発想で展開可能だって事です。まあ・・・ね。このパークフライヤーさん・・・。三次元において四次元世界の指摘を知らず知らずの内に、当工房にしちゃったって事です。しかし・・・大御所諸氏まで、当工房と同じ間違いをする筈が無い!って思いこんでいるので・・・自信たっぷりに自分が言い切った文言に、自分で疑問を持っちゃった・・・。で!突っ込まれてもその理論に答えられず・・・早々と退散・・・。が!真相でしょう(笑)・・・。やれやれ・・・ラジコンブームも頂点期に達すると・・・こういう現実と仮想空間の区別の着かないネット物知り博士が増えるんですなあ・・・。まあ・・・ね!ラジコン歴が浅いモデラーさん程、ネット知識吸収型の博士が増えちまう・・・。再びのラジコンブーム到来の時は・・・もっと強力な博士達が増殖して暴走!・・・暴走の果てには、国家が慌てる位の事故が頻発・・・よって規制が入って沈静化・・・の図式が見えますなあ・・・。
          
          
● 画像が少々ぼやけてますが、ご容赦下さい。相似形の均等座標で構成された主翼のエルロンのVカットライン見た目同じ幅にすると・・・、翼根と翼端ではVカットのラインを変化させて加工しないと見た目同じ幅にはなりません。その捻じれた平面を加工するのは大変難しい・・・。仮に加工出来たとして、エルロンを最大限上下させた時・・・今度は翼端側に向かって少しずつ隙間が見える結果と成り・・・このご指摘のフライヤーさんからは、「エルロンが捻じれてるんじゃないですかあああ!。こんなんじゃ真面にとびませんよおおおお!。」ってまた吹聴されそうですなァ・・・。で!実際には、エルロン材は捻じれてないので正常なんですが、Vカットラインが歪なのでそう見えるだけなんですが・・・。此れが・・・デコパネ翼なら・・・ねえ・・・。
          
● 相似形の均等座標の主翼を、パークフライヤーさんのご指摘を受けない様にする方法が無い事も無い(笑)・・・。テーパー型のエルロン材を使用せず・・・翼端まで同じ幅のフラットエルロン材を使えば、ヒンジラインは翼根も翼端も同じ幅・・・最大限上下に動かしても翼端側に隙間が出る事も有りません。

● ただですねえ・・・。バルサキットがこの指定で構成されている時は、リブの後縁側もその様にカットしてあるので、殆どのバルサキットを組めるモデラーさんは気づいていないと思うんですが・・・。メーカーの開発部で、画像の様なキットを製作する場合・・・。テーパーエルロンを使用する前提で正確な図面を引き、相似形のリブ型を作図します。この場合、テーパーエルロンを作図した方が物凄く簡単なんですが(笑)・・・。これをフラットエルロンにする場合は、リブ材の後縁側のカットラインを使用するリブ型の数分、其々作図して決めなければなりません。汎用性を考えるなら一機分ずつテーパーエルロン材を切り出し加工する位なら、加工工程の少ないフラット幅のエルロンを使った方が、コストは安くなります。要するに・・・メーカー側のコンセプトによって構造が変化するんですが、モデラー側が購入したら・・・何故にテーパー主翼なのにフラットエルロンを使うんだろう???位の疑問を持って、原寸の図面を見て下さいね。同じテーパー主翼でもテーパー型エルロンを使う時と、フラット型を使ったキットは数多く存在してますから。当工房のアーリーバード外翼は、テーパーですがエルロン材はフラット型を使ってます。って事は、リブ材のカットラインは均等座標じゃ無いって事ですよ。
          
● 最後に成りましたが・・・パークフライヤーさんが大観峰に持ち込んだ、ジェット戦闘機型のデコパネグライダーなんですが、プッシャー型の4セルブラシレス搭載機でした。大観峰はテイクオフポイントは。斜角30度程度なんですが、その先は断崖絶壁・・・。もし・・・ロストした時に、リポバッテリーが発火しても回収するのに30分以上掛かっていたら。。。即!野焼き状態・・・。よって、証拠隠滅するには機体を回収してトンズラするのが一番なんでしょうけど・・・、回収する前に火事に囲まれて持ち主さんが焼死する確率が大ですし、鈴生りの観光客は跳んだとばっちりは目に見えてますので、このデコパネ機の飛行は中止を余儀なくされました。

● このフライヤーさんは、地元に何時ものグランド飛行場を持っています。大観峰みたいに観光客が沢山見物してる中で、自分のデコパネ戦闘機をガンガン飛ばして見せたら、どんなに気持ちが良いだろう!って考えるモデラーさんは、彼一人だけじゃないです。しかし・・・お山の大御所さんに止められたら,其れを振り切ってまで投げる勇気は無かったので、まだ良い方かなァ・・・。

● さて・・・このデコパネ翼のメリットとデメリットを少々・・・。大手―メーカーさんが販売するグライダーキットには、主翼は翼型を形成するのが殆どなんですが、尾翼にはフラットな一枚板を使う場合が殆どです。揚力を生まないフラットな尾翼の方が、姿勢制御が素直に成るからです。

● しかしながら・・・デコパネの一枚翼の主翼を有する無動力機は、主翼自体が揚力を生まないのでスロープ機としては不向きです。よって翼型を形成しないフラットな翼面のデコパネを主翼に使ったラジコン飛行機を飛ばすには、必ず推進力が必要に成りますなあ。上空でモーターを停止して推進力の無いデコパネ機は、揚力を生みだす翼型では無いので途端にバランスが崩れてコントロールが難しくなります。

● イラスト画像を良~く見て判断して下さいね。この一枚板の主翼・・・翼端の方が翼根よりも、主翼の最大厚が二倍以上厚いっていう航空力学では有り得ない翼型です。テーパー翼なんですけどね・・・。もしもこの翼を高性能にしたかったら、翼端側を翼根に・・・翼弦の長い方を翼端側にしないとテーパー翼の効果は得られません。しかし・・・翼端側の方が荷重が増えるので、小さい面積しか持たない翼根では主翼全体の荷重の保持は難しくなりますなあ。そんな格好悪い形状の飛行機なんて、誰も作りたいとは思わないでしょう?。でもね・・・デコパネ機でジェット戦闘機を作るなら、こういう歪な主翼の形状にしないと性能アップは望めません。

● よってデコパネ機から入門したラジコン初心者さんは、もちっと航空力学をお勉強して下さいね。画像のデコパネ機のテーパー型の主翼なんですが、翼根側の翼弦を300mm。最大翼厚(デコパネの厚み)を5mmとすると最大翼厚1,7%の超薄翼なのでモーターとセル数に合わせて、実機並みのスピードで飛べる高性能なラジコン機に成りそうなんですが・・・。実機戦闘機ならば、エンジンが止まっても主翼が揚力を生みだせる相似形の均等座標のテーパー翼なので、垂直降下して機速が上がれば水平飛行に移れる可能性は有りますが・・・デコパネ機の主翼は揚力を生みだせないので、推力無しで水平に戻すとそのまま降下して墜落します。実は理由が有りまして・・・。このデコパネ翼のデメリット・・・翼端は翼根の最大翼厚が2倍以上なので、推力が有る時は解りませんが、無動力に成ると気流の剥離は翼根よりも早く・・・おまけに翼根よりも厚翼なので空気抵抗が増える・・・要するに失速し易い翼の構成とも言えます。よって、デコパネ翼を通常テーパー翼の均等座標にするって事は・・・翼端の厚みは2,5mm以下にしないと翼根とは相似形に成りません・・・。デコパネを薄く削る?・・・デコパネの硬性が落ちるのでお薦めできません。ならばどうするのか・・・。デコパネをベースとして上下にリブ型を接着してフィルムを貼れば良いのですよ。これで(F-117)ナイトホークと同じクサビ形のステルス翼の断面に出来ます。一気にデコパネ機の性能は向上するでしょうなあ。ムサシノの飛行機でもこのステルス翼搭載のHLGが昭和60年代に販売されてましたよ。
 
● PVC素材の角棒を加工して画像の様な形状のブラケットを削り出しました。このブラケットはバーチカルの上下で大小各一種類・・・スタビライザーでは左右其々対の位置で大小各一種類を使用して、動翼を保持します。本機のキットの構造では、ヒンジは全て金属製の板ベラを使用し、ヒンジピンは割ピンで結束する様に指示されています。しかしながら、本機の場合・・・ラダー動翼とエレベータ動翼側はキット付属の金属製板ベラを使用しますが、胴体に固定するバーチカルとスタビライザーには画像のPVC製ブラケットを固定します。

● ヒンジピンは3mmのビス・・・まだ決定していませんが、鍋頭(ユニバーサルヘッド)かヘックス(六角インサート)ビスのどちらかを使用します。よってPVCのブラケット側の孔は2,3mmで開けてあり、此れに3mmのタップを切ってビス止めにする予定です。
 
● まだブラケットの固定孔を開けていない状態の画像です。前後三列で並ぶ左側の一列がバーチカル用のブラケットです。大きさが違うのは上記で述べた様に・・・バーチカル本体が均等座標のテーパー翼だからです。よってヒンジピンの位置も上下で違います。右側の前後二個ずつのブラケットは、スタビライザー用です。スタビライザーもバーチカル同様に均等座標のテーパー型なので、後縁側もテーパーと成っています。よって、ヒンジピンの位置が前後のブラケットで其々違います。ところがですね・・・、翼端側のブラケット(前の三個)は同じ寸法です。バーチカルの上部翼端側の厚みとスタビライザーの両翼端の厚みが同じですので、ブラケットも同じサイズで作りました。

● 後部側三つのブラケットは、左側のバーチカル用のみピンの位置が高くなっています。これは、スタビライザーの翼根側の厚みよりもバーチカルの翼根の方が厚いからです。バーチカル用のブラケットのヒンジピン位置なんですが、上部側はブラケットの底から10mm・・・下部のブラケットは19mmなので、相当なテーパー比を持った垂直尾翼に成ります。

● この項で最初に述べましたが、このブラケットは当工房のオリジナルですので、多分・・・同じ物は市販されておりません。材質は削りが容易だったのでPVCを使いましたが、強度的には不安も残るのが現状です。同じ物を当工房に製作依頼されても作らないと思います。一つの方法なんですが・・・ヤフーブログ(ねこ太)さんが、ハイテクのNCマシンをお持ちの様ですので・・・ジュラコン素材か(2017・T-3)辺りの快削性の良い航空アルミ材から加工してもらうのが良いと思います。PVCのナイロン材よりも硬性は数倍上です。多分・・・有料に成るとは思いますが、一度アクセスして聞いてみて下さい。・・・閲覧してるであろう(トムさん!)、貴社の開発力でこういう大型機用のブラケット型のヒンジ・・・是非製品化して下さい。もし・・・もう試作段階・・・発売間近でしたら、ゴメンナサイ・・・。
 
● この金属製の板ベロなんですが、指定された画像のサイズでカットした時に、この板ベロ材がヒンジ用としてパンチングされたパーツでは無い事を悟りました。専用パーツならば、抜け止めの窪みの加工もしてないし、棄てるしかないのに余った板ベロ材の両端にピン孔は設けない筈です・・・。この板ベロ材の最初の使用目的は別の所に有るようですね。

● このサイズの板ベロならば・・・主翼の中に埋め込むエルロンサーボの押さえバンドの金具かもしれませんし、スパン1800mm程度のARFグライダーの分割翼を繋ぐビス止めのバンドの可能性も有りますなあ・・・。とにかく舶来製のARF機と言えば、見た目の美しさよりも・・・現実的な堅牢さが優先しますので、こういう如何にも!っていう感じのパーツをどんどん使ったりします。如何に日本国内生産の模型キットが至れり尽くせりかが解るかと思います。

● 最近の日本国内のラジコン模型は、その入手の手軽さが総合的にバカ受けして中華製模型が大半だって思ってるのは、安売り大魔王に毒された模型歴の浅いモデラーさん達の勘違いです。全世界の模型業界で見れば・・・メイドインジャパンの方が遥かに売れ筋は良いです。

● 日本国内の二大バルサキットメーカーを経験して来た当工房の代表として・・・今後のバルサキットを創造するとすれば、レーザー加工の部品の正確さも必要ですが、正確に複雑に加工されたバルサのブロックパーツも多用した、造りを楽しむバルサキットを販売するでしょう。まあ・・・言わずと知れた・・・作れない・・・もしくは作るのが面倒臭いモデラーは敬遠するだろうバルサキットの内容に成ります。だったら売れないだろう!そんなキット・・・。って考えるモデラーも今の時代なら沢山存在するでしょうなあ・・・。

● ところがですなあ・・・。ヤフーのブログを沢山見て廻りましたが・・・いやはや・・・自作モデラーさんの多い事・・・。って事は、中華製のバルサキット・・・日本国内のレーザー加工のバルサキットにモデラーさんご希望の機体が存在しないから、自作に走ってる訳で・・・。昭和の時代の様に、削って楽しむスケールキットやグライダーキット・・・メーカーオリジナル設計のキットがバカ売れしたのは、作って楽しむバルサキットが無数に存在したからです。数回訪れているラジコン黎明期からのラジコンブームなんですが、ブームが過ぎると自作モデラーが増える現象・・・。

● 大手メーカーのキットよりも、プライベートワークスと言われたガルモデルや工藤プロダクツの方が、売れ筋の比率はダントツだった事実・・・平成のモデラーさんは知らないだろうなあ・・・。何万機も一度に量産できる大手のメーカーさんと違い・・・ワンロット100機程度しか量産できなかった個人模型工房のキットの入手の順番待ち・・・。平成に成ってからの中華製の完成機しか知らないネット物知り博士は経験していないと思いますよ。そういう昭和の良き時代を懐かしむ様に、昭和のモデラーさんが運営するブログ・・・いや~!見てて心ワクワク・・・三時のオヤツのお供に成る内容です。美味しい物を食べながら、楽しく閲覧できる・・・私の至福の時間ですなあ・・・。
 
● こんな自作のヒンジなんて・・・本機の中心材がバルサ材なら必要無かったんですよねえ(笑)・・・。2mmと言えどもベニヤなんで・・・積層ベニヤの中心ラインに板状ヒンジの長溝なんて彫る方が愚の骨頂ですなあ。板状ヒンジの指定なら、こういう構造にはしないですよ・・・。当工房も同じ様な構造の機体を作ってますが、中心の芯材を5mmのスチレンとして、後縁にバルサの棒材を積層している構造・・・何でか解りますか?。言わずと知れた・・・板状のヒンジが躊躇い無く使える様にしたかったからですよ。
 
● ラダーの前縁に金属製の板ベロ型のヒンジ材をエポキシを使って埋め込み接着しています。この板ベロ材を埋め込む際…ヒンジピンの孔が必ず中心を通し固定する必要があります。そこでピン孔ピッタリの焼き鳥串に板ベロを通し、クリップバイスで串を固定し安定させ硬化させています。

● 本来のこの板ベロ材のピン孔は、(3/32インチ=約2,28mm)でパンチングされています。この孔を3mmビスが通せる様に、ハイスの3mmドリル刃で拡げました。よって直径が約3mmの竹串が使えた訳です。これだけ大きい尾翼なのに、ヒンジ二つで固定が出来るんかいナ~・・・。って思ってるモデラーさんは多いと思いますよ(笑)・・・。実機をよ~く観察して下さいね?。大概の機体はブラケット型のヒンジは二か所ですよ。じゃあ・・・何故三か所にしないのか・・・。その方が確実に保持できるじゃないか!って普通のラジコンモデラーさんなら、実機を見て思うでしょうなあ・・・。もし・・・三か所だったら・・・この三つのヒンジのピン孔が全て同軸線上を通らないと、必ず真ん中のブラケットのヒンジピンが早く摩耗します。飛行機の主翼も尾翼も・・・飛行中は常に曲げ荷重や捻じり荷重が掛かっています。よって動翼の保持に必要なブラケットは、最低限の方が金属疲労は少ないのです。

● 実機の動翼のヒンジ(ブラケット)の材質は、主翼の桁材の材質よりも摩耗に強いアルミ材を使っています。ピンを通す孔には、もっと硬く摩耗の少ないスチール系のスリーブがインサートしてあり、この中に通すヒンジピンは・・・もっと硬い材質です。要するにガタ無く無理なく動く実機のブラケット型ヒンジの部品の材質は、硬さの違う材質をの部品を組み合わせるから耐久性が良いとも言えます。此処で豆知識です!。覚えておくと模型造りに大変役に立ちますよ・・・。厚さ10mmの鉄板にドリル刃で孔を開けますが、どうして鉄板に金属製のドリル刃で孔が開けられると思いますか?。意外と知らない人も多いですよ(笑)・・・。その答えなんですが・・・鉄板の硬さよりもドリル刃の材質の方が硬いから孔が開けられます。別の言い方をすれば・・・ドリル刃よりも硬い材質の板ならば、このドリル刃では孔は開けられないって事です。よって、木工用のドリル刃では鉄板には孔を開ける事が出来ません。

● ピアノ線を寸切りするのに、家庭用の紙切りバサミは使えません。紙切りバサミの刃先の材質よりも鋼材のピアノ線の方が硬いからです。この法則を知っているモデラーさんは、切断したい金属に対して道具を吟味して使い分けているでしょう?。このキットはヒンジ材は軟鉄性の板ベロ同士の孔を割ピンで繋いで稼働させますが・・・、この割ピンが問題だったのです。差し込んだら拡げて抜け止めにするんですが、軟鉄の板ベロよりも柔らかい鉛製・・・でした。この割ピン・・・何時間の飛行・・・何回のラダー操作で摩耗してガタるのか・・・。多分・・・板ベロの孔が摩耗する前に、この鉛製の割ピンの方が早く摩耗するでしょう。これが・・・飛行中に摩耗が原因で折れて外れたら・・・飛行機はアン・コントロール・・・飛行不能状態・・・何処に落ちるのか予測が着かなくなるでしょうなあ・・・。そういう危険性が予想されましたので、構造自体を変更しました
 
● バーチカルとラダーを自作ブラケットで繋いでみました。見事に固定され・・・スムーズに動きます。さて・・・このバーチカルの後縁とラダーの前縁・・・何故にこんなに隙間を開けるのか・・・。疑問だらけのモデラーさんは、実機のヒンジラインを見た事が無いのかも知れませんなあ・・・。

● ラジコン機の数倍のスピードで飛行する実機の場合、ヒンジラインがVカットだと物凄い気流の乱れが発生します。ラジコン機のVカットの深さなんて数ミリ程度なんで、然程気流は乱れませんが、実機の場合は半円形の雨樋位に上下が凹むので、その空気抵抗は相当の状態となります。その気流の乱れが尾翼の動翼に与える影響はかなり大きい・・・。よって気流がスムーズに流れる様に、整流板を設けなければ成りません。このラダーの前縁には半円形の前縁材が装着されます。

● そんなモン付けたらラダーを動かしたらバーチカルからはみ出して余計に抵抗になるじゃないかああああ!って思ってるモデラーさん・・・実機の構造を知らないんだなあって思ってしまいます・・・。ヒンジのピン位置は半円形の中心を通過してます。よってこのピンを軸に半円形の前縁が動くので、バーチカルの幅からはみ出して作動する事はありません。更に・・・バーチカル後縁には半円状の逆アールのフェアリングが付きますので、バーチカル後縁と半円状のラダー前縁の窪みも綺麗に整流され、尾翼の動翼の気流の乱れも起きません。まあ・・・まだまだ部品が着いて行かないと・・・文章説明だけでは説得力に欠けますので、組立てに沿いながら説明して行きます。
 
● ラダーの前縁補助材に厚手のバルサ材を貼り込んで、その上下の木口に半円状にダイカットされたベニヤパーツを取り付けます。このベニヤパーツを基準にバルサ棒を錘状の半円形に削り上げて行きます。画像のラダー下部のブラケットから下の前縁なんですが、上部よりも急角度でやはりテーパー状に狭くなっています。実はこのラダーの最下部にも半円状のベニヤパーツが付くんですが・・・。解説図面とパーツの大きさに矛盾が発生・・・。よって、作り直す事と成りました。
 
● 他の半円状のベニヤパーツ同様にラダーの前縁補助材に取り付けると、バルサブロックパーツよりも遥かに小さく成るので・・・そのまま半円状に削るとバーチカル後縁とラダー前縁にあからさまな隙間が見える事になります。この半円状に削り出したラダーの前縁に均等に沿わせる為には、バルサブロックのトップに半円状の縁が沿わなければなりません。前縁を直線で揃える為には、キット付属の半円パーツでは駄目なんです。

● ダイカットされたベニヤ部品には、抜いたベニヤの残骸が沢山在りますので・・・この残骸から画像の様なベニヤパーツを切り出しました。実はこの最下部のベニヤの半円のみ・・・ラダー前縁の法則から外れる事にはなりますが、こういう加工でもしないと解説図面とキットの部品とに矛盾が生じますので、敢えて記事としました。フレイヤの開発担当様!ダイカットの部品番号(100)を修正するか・・・(7A)と(14C)の解説の矛盾を修正して下さい。

● 尚!画像に見える丸いパイプは、ヒンジピンと成る3mmビスを取り付ける為に、プラスヘッドのドライバーを通すガイド孔です。オリジナル構造ならば・・・ヒンジピンは割ピンですので、切り欠いた空間からロングノーズ・プライヤ(所謂・・・ラジオペンチの事)を使って差し込めば良いんですが、長さ10mm程度の3mmビスは差し込めても廻せませんので、こういう加工をしています。手元にあった塩ビのパイプを流用したのでこういう状況なんですが、ビスを廻せれば良いので・・・ドライバーが差し込めるならばストローパイプでも良いと思います。
 
● エレベータの前縁と成る半円・錘状のバルサ材を加工しています。翼根側と翼端側はリブの厚みが違いますので、スタビライザーの後縁側も上下対称でテーパー型となります。当然ながら・・・エレベータの前縁もテーパーで仕上げなければスタビライザーの厚みに沿わなくなります。よってエレベータ前縁がVカットの場合は二方向でテーパー・・・半円状の場合は錘状(テーパーと同じ)の仕上げが必要になります。
 
● 翼根側のブラケットヒンジの改造を行います。本機オリジナルの場合は、金属製のコの字型のホーンを使って左右のエレベータを連動させますが、この場合は左右のエレベータを独立して作動させる為、翼根側の構造を変更しています。この翼根にはキット付属の板ベロを使います。左右連動コの字型のパーツを代用品として利用しています。
 
● このエレベータの翼根側には、翼型に合わせた3mm厚のベニヤを貼り込みますが、この部材もダイカットの抜き残骸から充分切り出す事が出来ます。画像の様にエポキシをたっぷり塗布して貼り込みますが、前縁側には金属の板ベロ部品が挿入されますので、その分凹みを作り出す事が必要です。
 
● エレベター材は対称翼ですが、左右対称となれば其々の部品も左右対称に取り付けなければなりません。通常のラジコン模型のヒンジ構造とは大きく違いますが・・・まあ、実機のヒンジ構造と同じですので、組み立てと調整がとても難しいです。しかし・・・見方を変えると、此れほど単純で確実に作動するヒンジも他に類を見ないと言えます。模型用の薄い蝶番ヒンジを本機と同じ位置で使ったとしたら・・・フラッターを起こしてヒンジが抜けるかも知れませんなあ・・・。(Part-10に続く)