● Wild-Boar-シリーズ F3A型スロープスタントグライダー
◎開発記録(例題機・Blue-Angel)


● 鹿児島鹿屋の(寝ても覚めても飛行機)の管理人Kazubu氏よりブルーエンジェル60の図面を送ってもらいました。この図面を元にスロープスタントグライダーを設計していきます。胴体の側面積は其のままに主翼翼型を半対称に、胴体幅を15%ほど狭く、垂直尾翼は10%増し、水平尾翼はフラット翼型に変更しますが、翼端方向はテーパー状に薄くなります。

● 昭和50年代に存在したテトラのホーク、OK模型のデイバインウィンドウは正にスロープスタント機でした。当時の平尾台のスロープサイトにはこの二機種を持ち込めば必ず上位入賞出来ると言われるくらいに有名でした。ただ…、上位が狙えると皆がこの機体を持ち込んだので、僅差で上位下位が決定します。その内勝てないモデラーはこの機体を諦めてしまいました。扱われ方が二機同時発航のパッシングレースでしたので、皆同じ様に製作しても操縦技術で差がついてしまいます。

● 言い換えてみればF3A機でパイロンレースをやる様なものです。スピードを変化させた静と動の演技を好むフライヤーには不利な競技と言えます。同じパッシングレースでも、一往復する毎に何かの演目を盛り込んでのフライトならば、スピードは抑えられる反面如何に効率良く演技を行いパッシングポイントを通過する事になりますので、ただ単にスピード重視の機体よりも先にゴールする事も可能になります。

● 航空自衛隊の整備員時代に基地隊員で組織するラジコンクラブ(基地工芸部)で大観峰遠征を行いました。毎年の恒例行事なんですが、大観峰の遠征にはグライダーだけではありませんでした。当時のF3A機、パイロン機、スポーツ機、複葉機、等をエンジンを外して代わりにバラストを積み、スピンナーを付けてあります。当時から大観峰は風速5m以上は常時吹き上げていました。緩い斜面から前方に行くにしたがって急斜面に変わる形状なので、前方程吹き上げが強くなります。発進直後は沈む機体もその先は高度が回復、強烈なj上昇風に持ち上げられパイロン機はハイスピード飛行、スタント機は当時の演目を軽々こなします。パイロン機の垂直上昇ロールには圧倒されました。

● 今回のコンセプトは元々演技重視のF3A機を使って、更に飛ばし易いほっとけクラス(中級)フライヤーのお遊び機レベルにまでは仕上げてみたいと思います。推進装置であるエンジンが搭載されていませんので、如何にスピードに乗れるか殺さないかの翼型を選定する事が必要になります。(E-205)を使えばスピードは抑えられますし浮きが良くなりますが、ダイブさせても垂直上昇を含むアクロが難しくなります。しかし、スロープアクロの入門機にはなります。(E-374)を使えばスピードはかなり出ますし、アクロ系演技はほとんどこなせます。ところがスピードが速い分、入門者には扱い辛い機体になります。

● 今まであまり採用されなかった方法なんですが、同一胴体で翼型のみ変更可能な機体を作り入門機とベテランお遊び機の二種類を製作してみたいと思います。

○   ブルーエンジェル60              ブルーエンジェルSSG(スロープスタントグライダー)

   全長     1400mm            全長     1400mm
   翼長     1630mm            翼長     1860mm
   全備重量  3350g              全備重量  1500g
   翼面積   45d㎡               翼面積   47,5d㎡
   翼面荷重  74g/d㎡            翼面荷重  31,5g/d㎡
   翼型     完全対称翼           翼型     Divine Wind(半対称翼)

● 上記はエンジン搭載のブルーと製作予定のブルーグライダーの諸元です。ブルーグライダーの諸元は予定なんですが、翼面荷重が軽過ぎますので、機体の全備重量を上げるか翼型を薄いタイプを選ぶか。主翼面積を決定しないと翼面積が出て来ませんし、翼面荷重も決まりません。翼面荷重の数値が小さいとサーマル向き、大きいとスロープスタント向きとなりますので、オールマイティなコンディションでのスロープにおけるフライトは無理となります。中風と強風域ならばある程度のキャパは取れますので、設計は楽になります。

● 載っかる胴体・ぶら下がる胴体

 ● 載っかる胴体とは主翼に胴体が載る低翼機の事です。静止中は胴体にぶら下がって見えますが、あくまでも飛行中を仮定して話をします。主翼に胴体がぶら下がるとは、ショルダー機もしくは高翼機を指します。模型飛行機を作ってると解る事があります。胴体を丈夫にするか、主翼を丈夫にするか・・・。両方丈夫にもしくは頑丈に作ったら必ず重く成ります。

● 動力機の場合はメカと動力が胴体内部に集結していますので、ある程度は丈夫に作らなければなりません。主翼は胴体と同じ位頑丈に・・・と思うのが普通なんですが、キットを作ってた時代には気が付きませんでした。自作をする様に成ってから主翼を頑丈に作れば胴体は然程頑丈にする必要は無いのでは?という疑問が湧いてきました。

●今の私の工作方法の比重は、主翼を頑丈にして胴体をぶら下げるもしくは載せる作り方に変わってきました。今回のスタントグライダーなんですが、7割がたスチレン材です。主翼にも沢山のスチレン部品は使いますが、バルサでプランクしてフィルムを貼ったらバルサ翼と何ら遜色の無い仕上がりとなりました。主翼の軽量化と頑丈さを合わせ持っていますので、胴体も同じ様な構造で組んでいきます。

● 胴体の作図開始です。主翼は半対称(Divine Wind)を使用する予定ですが、作図中不具合があれば別のオリジナル半対称翼に変化させると思います。ブルエン60では60グローエンジン搭載ですがスタントグライダーですので、エンジンを搭載しません。指定62mmのスピンナーは、固定ノーズブロックの為直径70mmのスピンナー型バルサブロックで形成します。

● 垂直尾翼を約8%増し、水平尾翼を6%、主翼を5%程度増やして設計してみました。本機の製作上のメリットなんですが、主翼取り付け部分をコの字カットする事で後付けが可能です。先に胴体の主要構造をスチレンで組み、胴枠を作図してから取り付けられる利便性があります。

● お仲間さんが胴体内部を見て二重構造と名付けましたが、本機はさらにこの構造を進化させて・・・スチレン主体だから可能になった新しい二重構造で製作を進めていきます。

● 図面よりもう一枚形紙用の図面を作図します。部品取り用の図面の事です。作図が出来たら図面の裏側にスプレー糊を吹き付けます。

● スプレー糊が馴染んだら厚紙に貼り込み、ある程度乾燥を待ちます。これを正確に切り出して形紙を作ります。

● このボックス構造体は、内治具と言います。胴体の主要な部分を正確にかつ堅牢に組み立てる為に今回採用しました。胴枠を大きく繰り抜き、このボックス構造体にはめ込んでいきます。

● この内部治具のお陰で、大掛かりな外治具を作る必要が無くなりました。更に、胴体に主翼を勘合する為の側板の翼型切り込みを必要としない工法ですので、胴体のみの製作を先にやっても何ら不都合は発生しません。画像手前のボックス付近は本来燃料タンクが入る部分ですが、今回はサーボ室となります。

● その先にはエンジンルームが付きますが、ここは大容量のバッテリーと受信機が入ります。本機ブルエンは、後縁側で5度の後退角が付いていますので、通常よりも後方に重心があります。この辺の重量変化も加味しながら、胴体のみを作っていきます。

● 毎度の事ながら・・・、まずは形紙の作成から始まります。細かい修正は実際に組立てながら行い、その都度形紙を修正していきます。私にとって一番大事な物は、原寸図面とこの形紙です。飛行機自体は用済みならば処分しますが、形紙は一生残します。この資料が後世にとって大事な財産だからです。

● 一時期・・・完成した飛行機本体を奪おうとする集団に付け狙われました。過去の事例なのか・・・もしくは現在も続いているのか、警察が重要視している事があります。私の試作した機体をテストするからと渡したんですが、右から左へ・・・オークションに出品した輩が居りまして、そこで法外な値段を付けて落札した人物が居たようです。

● 問題は此処から・・・暫くすると、海外の同業者から連絡が来ました。四千年の歴史の国から私の試作した機体と殆ど同じ飛行機が発売されていました。更にしばらくすると、例の輩から・・・今テストしてるけど、こういう感じにした方が良いからもう一機作ってくれ・・・なるメールが来ました。・・・先方の要求なのか?・・・それとも・・・メールの主の皮算用なのか・・・。理由を書いてメールしたら二度と連絡がありませんでした。しかし!・・・問題は此処からです。古い機体で良いから完成機を執拗に欲しがる輩が北九州に居ります。手に入れる為なら、どんな嫌がらせも厭わない筋金入りです。警察からは既に特定されたみたいですよ。ブラックさん?。誰かの又聞きか?・・・それとも一味か・・・、軽犯罪には成らないみたいです。後は・・・ピーポさんにお任せ・・・。見てたら証拠隠滅に走ろうね。ずっと追跡されるだろうけど・・・。さあ!嫌々ながら利用されてる兵隊さん達に連絡だ~!。早く口止めしないと・・・。
でも・・・その連絡行為そのものも・・・傍受されてるとしたら?・・・。番号変えても変えても・・・通信会社のお仲間さんから番号リークしてもらって悪戯電話してたブラックマウンテンキリシマさん?黒霧島さんかな?それとも○太さんかな?。全部聞かれてるんじゃないかな?・・・。携帯電話を甘く見てたら墓穴掘りますよ。通信リンクを解除されたら・・・、ピーポさん達も聞いてるって事です。

● センターキールのスチレン材全面に3×5のバルサ棒を貼り込みます。これで、スチレンの小口はバルサ材に成ります。作業を進めるに当たり、その後の接着作業が大変楽になりますし、湾曲しがちな部分に指向性が生まれ丈夫になります。

● センターキールフレームに補強材を入れます。この部材は胴枠の強化にも役立ちます。アングル材を挟んで直線を確保してから接着硬化させると、歪みは発生しません。

● 初めて当ホームページに来られた方には見慣れない構造に映りますよね。しかしながら、長年閲覧しているモデラーさんには見慣れた工作方法なんですよ。私の工作概念は、胴体を真っ直ぐ左右対称に正確に作る事!に重きを置いてます。色んな工作方法を紹介しながら実践しています。頭の回転の好い人ならば、左右二分割主翼を胴体フィレットにピタリと合わせられる工作方法に気付いた筈です。勿論!垂直尾翼は胴体の中心ラインに正確に取り付けられます。自作しようがキットを組もうが怖い物無しの筈ですよ。

● 垂直尾翼は取り外せる様にしてますが、これは工作上便利なので後で勘合出来る様にしているだけです。しかし、尾翼を組んだまま送るとなると、大型貨物になりますしフィルム仕上げには大変厄介な事態も怒り得ます。そこで、分割方法を採用しオーナーさんにはお渡ししています。これが当工房の7部組と呼ばれるキットです。段階は07キットと言います。

● 尾翼を外せる構造にした理由のもう一つは、胴体から垂直尾翼に切り替わる流れる様な滑らかな曲線を必要とする時があります。例題機となったブルーエンジェル60は、胴体枠が数枚しか入っていません。その代り、胴体の各部分に外から充てる治具を図面から作成して使用する工作方法を採用しています。キットの箱を開けたら・・・異次元の世界です。薄いバルサシートの代わりに、厚さ10mm前後の加工された棒状のシートが沢山入っています。これを接着してアウトラインを外アールゲージに当てながら削り捲ります。初心者さんや、ムサシノキットに慣れた人必ずフリーズします(笑)。

● 今回のスロープスタント仕様SSG型は、専用図面を引き直し一から作り直したオリジナルグライダーです。側面から見たらブルーエンジェルかもしれませんが、多分・・・完成してもブルエンかもしれませんが、動力搭載の絶対不可能なガチンコスロープ専用機に成るでしょう。主翼がひょろっと長い昔のSSGではありません。ワイルドボアシリーズの応用編とでも思って下さい。
  (Part-2に続く)