● Rindy-T Ⅱ型 (主翼付き生地完成7部組セット)

 ●  機体生地完成 ¥14580 内訳(機体価格 ¥13500・ 消費税 ¥1080) 送料別料金

 ●  製作機数  ×3機

 

● 本機は実機ケストレル(長元坊=チョウゲンボウ)をセミスケール化した機体です。グランドで楽しむハンドランチグライダーの枠よりも、スロープグライダー枠に属します。よって超軽量機ではありませんが、スロープグライダー機の中では軽量機の部類に入ります。通常のスロープ機が無風に近く滞空不可能な状況でも、微弱なそよ風程度の吹上風と斜面から離れた空域に発生するサーマルエリアを使って飛行する事が出来る性能を有しています。

● 主翼は一応ポリへドラル(二段上反角)翼なんですが、ストレートテーパー翼の翼端側に強めの二段目上反角を採用しましたので、広いフレームで飛ばすスロープグライダー特有の飛行の妨げに成らないほど良い安定性を示します。グランドでチョコマカと舵を打って飛ばす機体ではありません。実機らしく大きなフレームで優雅に飛ばせるコンセプトとしました。

● 上記の空域の条件ならば、標高5m程度の土手スロープや20m程度の丘スロープでも普通に飛べます。更に、海岸における海抜2m程度のスロープでも風速1m程度もあれば飛行しますし、季節を選ばず晴天時の砂浜から発生する熱上昇風を上手に拾って滞空できます。

● 本機の主翼は部分プランクの仕上げですが、全面プランクと同じ性能を有しています。全面プランクされた主翼は重くなりますが、その翼型を完全に維持していますので良い性能が機体出来ます。ところが部分プランクの主翼は、たとえ高性能な翼型を採用しても、リブ材とプランク面のみ高性能翼型を維持できますが、抜けている面は別の翼型にしかなりません。

● 試しにフィルムで仕上げた翼を前後から眺めてみて下さい。リブとリブの間が凹んでいます。これは、紙を貼ろうが・・・シルクを貼ろうが・・・フィルムを貼ろうが、必ず同じ波打ち状態で仕上がります。対策としては、リブ枚数を3倍の数に増やすか・・・補助スパーを5本程度這わせるかなんですが、高性能翼型に近づきますがかなり重くなります。

● これらの状況を改善できる主翼を本機では採用しました。オリジナルの翼型なので翼型の本には掲載されていませんが、しいて言うなら実機(P-51ムスタング)の主翼の翼型に似ているかも知れませんね。前線配備の基地において、工具が充分揃ってなくても機体の被弾修復を確実に行い、元の主翼に戻せる翼型です。当時のアメリカの開発者は面白い発想をしていましたね。

● 本機の主翼はたとえ抜き面でさえリブ面と同じ翼型を維持しています。種を明かせば「な~んだ・・・。」ってレベルの翼型ですよ。かなり・・・大昔なんですが、ムサシノからも同じ発想のハンドランチグライダーが販売されていましたよ。ただ・・・薄い翼型に成れば成るほど主翼の硬性が弱くなりますので、あまり普及はしませんでした。でも当時はステルス翼?って噂されてましたよ(笑)。

● 本機の主翼翼型の作図です。普通のありふれたフラットボトムの翼型に見えますが、画像で気づいたモデラーさんは頭のてっぺんに電球が灯った筈です・・・。上記で説明しましたが、ムサシノから販売されていた(スカイ・エコー)と発想は同じ位置にあります。この翼型ならば、部分プランク式主翼の欠点を補える構造です。上面プランクのメインスパー後方のサブスパーから後縁まで・・・直線です。これなら、リブ間の凹みやゲッチンゲン翼のフィルムの出っ張りも起きず、翼型にピタリと沿った主翼となります。

● この翼型のもう一つの利点が大変作図し易い所です。テーパー翼なので翼端側に沿って翼厚が薄くなりますが、この座標を取ってしまえば後縁側の作図は直線一本で完了します。あとは上面の数か所の座標を取れば翼型作図は終了です。

● さて・・・綿密にしないと・・・ブログでは皆に馬鹿にされるううううう!ってばかりに、自作モデラーさん達は難しく難しく考えて製作記事を書かれていますが・・・。部分プランク翼でも全面プランク翼と同じ仕上がりになれば、製作時間と翼型の正確さはこのタイプでも充分良いのではないでしょうか?。完全対称翼でも半対称翼でも・・・このタイプの翼型ならば作図は可能です。

● この翼型の最大翼厚は7,8%です。リンディよりも更に薄い翼型ですが、上面プランクがサブスパーまで延びていますので、主翼の硬性は今迄のリンディの中では一番です。セミスケールですが、ケストレル(長元坊)に近い仕上がりとなります。

● 部分プランクのバルサ主翼構造のSAL・・・現実味を帯びて来ました・・・。バギングは・・・やっぱり・・・一部のモデラーさんにしか普及しません。誰もが作って飛ばせる高性能なバルサ機でないと・・・。

● リブは片翼15枚です。最大翼弦180mm・翼端で105mm・・・オーソドックスなストレートのテーパー翼です。グランドで飛ばすハンドランチグライダーの意味合いよりも、土手・丘程度のスロープでスケールっぽく飛ばす方が似合ってると思います。フラットボトム翼ですが、8%の薄翼なのでスピードは出ますよ。

● 片翼750mmのストレートなテーパー翼ですので、後縁材もストレートに750mm超サイズで加工しました。専用の加工ホルダーに入れて加工する前に、あらかじめバルサカンナで削っておきます。1,5mmのハードとメディアムのバルサを木工ボンドで貼り合わせると、ハード側が強いのでメディアム側に反りが入ります。そこで、ハード側を削ると丁度つり合いがとれて真っ直ぐな後縁材の仕上がりとなります。

● メインスパーの加工です。幅25mm・長さ770mm、1mmと2mmのメディアムバルサを貼り合わせて3mmのバルサ板を作ります。通常のハンドランチグライダーは二段上反角を多く採用しますので、片翼2ピースとしてリブ面同士を接着剤で繋ぐ方法を使いますので、捻じれにも比較的強い主翼を作れます。

● ストレートなテーパー翼はその点強度的に落ちますので、それを補う為の細工が必要になります。メインスパーにムクの3mmバルサを使う方法もありますが、貼り合わせて3mmにすると接着剤の面が補強の役割を持ち、スパー材の強度が上がります。

● 型紙を使ってメインスパーをバルサ面にトレースします。リブをスロットインする溝も加工します。

● このメインスパーの仕上がり寸法は、主翼中央側が12mm・翼端側が6mmしかありません。生地完成の主翼でも中央側の寸法は14mm・翼端側は8mmです。これだけ細いメインスパーをレーザー加工した場合、キットならば直ぐに箱詰め・販売・購入したお客さんは直ぐに組み立てしないと・・・、お店側に在庫・・・お客さんの手元に渡る頃には・・・型抜きしたら反ったり捻じれたりしています。

● ベニヤならばある程度の期間、日持ちもするんですが・・・。これが軽量バルサの泣き所と言えます。今回のスパー材は750mっもあるので、レーザーには不向きです。これだけ細いと・・・加工してなるべく期間を開けずに組み立ててしまいます。レーザーきっとなら人件費が掛からないから安く成る!・・・が定説なんですが、熱加工のレーザーはバルサ材の強度を一部損なわせて加工しますので、幅広しーとでは解らなかったシートの反りが露見してしまう結果となります。

● 部品が採れましたので組み立てに入ります。リブは片翼15枚です。主翼のみの仕上がりは左右一対で目標90グラムです。

● リブは2mmバルサ、後縁材はスロットイン加工です。下面プランクはメインスパーまで、上面プランクはサブスパーまでです。中央翼は4番リブまで両面プランク、残りは抜き面となりますが、リブが直線なので抜き面全ては平面と成ります。翼の全面が全面プランクと同じ状態で仕上がりますので、性能は上がります。

● 主翼の上面に貼り込むプランク材の前加工です。ここは主翼の結合面ですが、プランク材を接着剤を塗らずにクリップとセロテープで仮止めしています。この主翼には片翼8度の上反角が付くので、リブが傾いて固定されています。上反角が無い場合は、プランク材の木口はアールに貼り込んでも直線になります。上反角が付いたリブは傾けて固定した時点で、二方向にアール面が生じます。

● 主翼を繋いでからこのプランク材の加工をすると、結合面は直線ではないので綺麗に合わせる時に苦労します。この場合は、結合する前に先加工してしまいます。本機は生地完成のキットですので、カンザシ溝の加工のみを行いますので、購入されたらエポキシを使って結合して下さい。

● ベニヤ製のカンザシを作ります。形紙からベニヤにカンザシの外周をトレースします。この時にカンザシが破損しない様、澪を掘ってピアノ線を埋め込みます。こういう溝加工を行う場合は、溝を先に掘った方が持ち手の面が大きいので、切り抜きやすいです。材質が2mmのカバなので、よく切れるカッターナイフで何度もなぞる様に切り抜きます。

● 主翼の結合面にカンザシ溝を加工しています。この画像から読み取れるカンザシ結合時の注意点がありますので、キットを購入したら役立てて下さい。分割翼ではなく結合翼の場合は、メインスパーに平行にカンザシを固定する場合が多いです。キットによっては・・・上下の角材のスパーに接着したり、本機の様に板材スパーに接着したりと様々です。

● こういう場合のカンザシの固定には、必ずエポキシを使って下さい。瞬間接着剤は早くて仕上がりが綺麗なので、平成のモデラーさんは当たり前に使いますが・・・、この瞬間接着剤の泣き所は・・・湿気に弱く衝撃にもろい性質があります。昭和の時代から、バルサの生地完成機を販売していた大手のメーカーでは、何処のメーカーでも組み立てには木工接着剤・・・荷重の掛かる部分はエポキシを使っていました。これは、大国に大量生産させる場合も・・・きっちりと指示書に記入してある最大注意事項なんです。

● このベニヤカンザシの溝にも、ピアノ線が埋め込まれています。絶対に主翼のバンザイが起きません。それでいて2グラムしか増えませんので、安全対策として当工房の機体は全て何らかの棒材を封入してあります。2セルで充分飛べるガンバに、6セル積んで飛ばしたお馬鹿さんが居ましたが・・・、どんなに急旋回をやっても宙返りをやっても・・・カンザシも主翼も折れませんでした。むしろ・・・反トルクが出捲りなので・・・ラダー機としては大変飛ばし難かったそうです。モーターのスロー回転で水平飛行・・・モーターオフは、トリム最大で・・・。良い子は真似しちゃダメ!。

● 主翼を仮組して胴体に載せるとこんな感じですかね・・・。元々のRindy-Tのコンセプトは、ストレートテーパー翼でスケール機に化けるハンドランチグライダーでした。しかし当初の予定が大幅に変更になり・・・ハンドランチの主翼に合わせて胴体を着せ替える方向となりました。実は・・・こっちの方が製作が早いし、数売れば商売に成り易いからです。

● 世の中のハンドランチグライダーの扱われ方が・・・、まるで消耗品並みの乱暴さ・・・。壊れたらバキバキへし折って、サイトの茶店の焼却炉へ・・・、ところが、胴体は再起不能に成りますが・・・、比較的に主翼は残るんですよねえ・・・。で!お仲間さんの要望が・・・「コード200mmの主翼に合う胴体作ってくれへん?。」でした・・・。「どんなん欲しい?。」って聞いたら、「スケールっぽいのがええな・・・。」っと来た!。じゃあ、ケストレルにしよか!。昭和のモデラーさんは、T尾翼のケストレルが大好きです。

● 主翼のカンザシ溝を作ります。リブをまとめて切りました・・・今度はリブ間を壁で塞ぎます。どうでしょうか・・・上面プランクが済んだらパイプの出来上がりです。複雑に・・・綿密に・・・掲示板に載せても馬鹿にされない様な・・・って難しく・・・難しく考えちゃうから、目の前の超簡単・確実の工作方法を見逃してしまいます。エポキシたっぷり塗ってからズブリ!と結合・・・。ちと!表現が卑猥かな?(笑)。

● もう一度・・・卑猥な件を・・・。画像のカンザシを見て何かに気づいたモデラーさんは、自作の機体に応用出来る知識と技術が備わっています。この機体が小型だからこのサイズのカンザシでも充分耐える能力を持っています。スパンが長くなる・全備重量が増える・よって主翼の厚さも増す・・・、要するに機体が大きくなるとこのカンザシでは役不足・・・。だったら使えないじゃん!・・・は!ネット物知り博士の浅知恵ですが、カンザシの厚みを増やして金属棒の直径を大きくしたら使えるぞ!っと気付くのは昭和のモデラー諸氏です。

● 直径6mm程度のアルミ棒でも、長さ80mm程度なら埋め込み可能です。長く使うと曲がる可能性もありますが、この長さならばエポキシでガッチリ固めると、充分補強材として使えますよ。まだ・・・掲載していませんが、Early-Bird-3600 に既に採用して結果が出ています。原型機の60%縮小版が、アーリーバードのシリーズ機です。

● さあ!上面プランクです。いつもの代わり映えしない工作画像ですね。説明は他機種と同じなので割愛します。一つ違う点。裏側から見ると・・・、上下のプランク面に若干の差が・・・。後縁材以外!プランク面を除いたら他は全て直線です。今まで悩み続けたフィルム貼り込み後の抜き面の凹み・・・。たわんでると勘違いして更にアイロン当てて・・・孔が開いちゃいました・・・。自分のアイロン技術に失望したモデラーさんへ、フィルムを貼ったら後縁側から主翼を眺めて下さい・・・。リブ間・・・凹んでませんから・・・。
                                                           (Part-2へ続く