✈ B-18 (ガルモデル)


● ガルモデルの青刷り図面です。この( B-18 )は、昭和54年に発売された機体だったと記憶しています。当時のラジコン技術誌には、カラーページにこの新作機でサーマル大会に出場された一条氏の写真が掲載されていました。

● 全長(1050mm)・翼長(1794mm)・全備重量(755g)・翼面積(37,7d㎡)・翼面荷重(20g/d㎡)・・・。この時代は、やっとミニサーボがメーカーから発売され始めた時期でした。それに沿う形で、この機体は誕生しました。特筆すべきは胴体の構造なんですが、まずはキットの箱を開けてビックリします。

● 胴体を構成する部品点数の少なさです。胴体形成の側板は、3mmのシナベニヤのみ・・・???。其れまでのガルモデルのキットとは一線を画す斬新な構造です。別に後部胴体に肉抜きもありません。その代りに後部胴体の細い事・・・。この機体は、最初から尾翼のコントロールロッドは、フレキシブルパイプ指定になっていました。主翼後部から尾翼取り付け付近まで、胴枠が一枚も入っていません。代わりに指定の位置に細いバルサ棒を接着して、胴体の左右側板が膨らんだり凹んだりしない様にする為の、簡素化された胴枠の代わりみたいな物はあるみたいでした。

● これで・・・エルロン無しのラダー機です。グランドサーマル仕様には、スポイラーが取り付け可能ですが、当時の平尾台ではスポイラーを省略した、2ch(ラダー・エレベータのみ)でも充分楽しめた機体でした。私自身が製作したこの機体数は6機です。それだけトータルバランスが優れたいたグライダーでした。当時の平尾台は、この走るラダー機がうじゃうじゃ飛んでいましたよ。

● 主翼の翼型は(ラムロット改)。フラットボトム系の翼型にも関わらず・・・最大翼厚がメインスパー付近で9%・・・。この薄い翼型からもたらされるポテンシャルは、其れまでの(クラーク Y)の翼型に見られる速度が抑えられたグライダーとは大違い・・・。とにかく・・・走る!走る!・・・。よって、ラダーの利きは反応がとても良いので、飛ばし易い・・・。初心者は上級者の指導の元、その日の内に、単独飛行が可能になります。
 
● 側面図から見れば・・・スケールっぽいデザインなんですが、前から見ると・・・単純な四角形の胴体断面です。まるで詐欺だああああああ!って、今のARF完成機に慣れ親しんだモデラーからは、お仲間掲示板での中傷の餌食にされそうです。しかし、当時はやっとミニサイズのサーボ(15×35×40mm)が発売された時代です。丸い胴体にはまだまだ寸法制限がされる時代でした。その時代において四角断面の胴体構造の採用は、当たり前・・・なんですよ。胴体内の容積は最大になりますから。

● 主翼のカンザシ受けには二本の直径5mmのピアノ線が前後配置で取り付ける仕様になっていました。最初からワイヤーベンダーで工場加工された上反角分を曲げた状態でキットに入っていました。このピアノ線にキット付属の塩ビパイプを被せた状態で、エポキシを使って胴体に接着固定します。硬化後は力を入れてピアノ線を引き抜けば良いのです。

● 主翼側のカンザシ受けパイプなんですが、前後に穴が二つずつ開いていて・・・、片翼にはパイプを4本固定する構造だったんですが、何故こんな構造だったのか・・・。実は、この機体一つでグランドサーマルとスロープが可能だったからです。別に重りを機首に積んで前重心にすれば、スロープ機に出来そうなんですが・・・。画像から機首方向のパイプに主翼を設定し、重心を合わせます。強風のグランドエリアとスロープサイトならば、今度は後方配置のパイプに主翼を挿入すれば、簡単に前重心になってくれます。強風のグランドは横風に流されやすいので、前重心設定の方が飛ばし易くなります。

● 機体サイズは現在のハンドランチグライダーとあまり違いはありませんが、全備重量は倍以上ありました。しかし翼面荷重は20グラムと軽い・・・。山スロープならば風速3m辺りの弱風域から、風速6m辺りの中風域まで飛ばせる面白いグライダーでした。

● 画像は翼端リブです。掲示板でこの(B-18)が話題になると、必ず盛り上がるのがこの翼端リブの形状です。この翼端リブのみ厚みが10mmでした。厚みのあるバルサシートで踏ん張って、主翼に捻じり下げを強制的に付ける方法です。ところが・・・掲示板の会話は違う方向に進んでました・・・。

● どうして主翼の上面をプランクしないんだろう・・・。手抜きしたんだろう・・・。キットを安くする為とはいえ、これじゃあ主翼の強度が保てない・・・。まあ・・・色々・・・トンチンカンな答えを出せるもんだなあ・・・って思ったのは私だけでしょうか。

● バルサキットのグライダーの主翼を組立てる場合・・・、それがフラットボトム系の翼型ならば殆どのモデラーが平面状のプランク材である主翼の下面から貼り込むでしょう。このフラットな主翼下面のプランクシートを貼り込んだ主翼を、翼弦方向に捻じると簡単に捻じれます。この捻じり易い主翼の上面には、スパン方向に補助スパーを数本入れてあります。これをフィルム張りすると、細かく区切った長方形のリブの空間一つ一つが独立した貼り込み面となります。

● 捻じった状態でフィルム表面に出来た小じわをドライヤーの熱風で取れば、主翼はかなり丈夫な状態で完成します。上面のリブのアール面に沿ったプランクを行った場合・・・、せっかく翼端リブを変形させて自然に捻じり下げられる構造にしたのに、上面プランクを貼ったばかりに・・・指定の捻じり下げが付けられなくなります。もし・・・無理やり捻じって捻じり下げを付けても、気温が高いスロープサイトなら、徐々にフィルムが緩んでせっかくの捻じり下げ主翼が・・・元に戻っちゃいましたあああって事にも成りかねません。

● ガルモデルの一条さんが、手抜きな構造の主翼なんか作る訳が無い!。常にキットを購入してくれるモデラーの為に最善の構造を提供してくれた一条氏に感謝しなければなりません。正に・・・ネット物知り博士達の机上の空論のお話・・・掲示板には、脳内で製作した(B-18)も多いんでしょうね。マイクロエレクトロ二クス(SANWA電器のアメリカでの販売ブランド名称)のオリンピックにしかり、OK模型のQB(クイックビルト)2500にしかり・・・、主翼のプランクは上下面とも無し!、スパン2500mmのサイズながらフィルムの引張力のみで、翼型を形成する構造です。

● 強力なショックコードで引っ張り上げても・・・主翼は大きく弧を描いて上反角を形成しますがバンザイする気配すらありませんでした。主翼をしならせる構造で、余分な圧力を逃がす構造です。
 
● 画像は、インチ表示のマイクロエレクトロニクス社の原寸図面を、ミリ表示の原寸図面に引き直して製作したオリンピックⅡ型です。発航直後の画像ですが、主翼が大きくしなっています。スパン2500mmのオリンピックですが、主翼にプランクが無くても大丈夫なんですよ。マイクロサーボ全盛時代の平成16年頃・・・ミニサーボ搭載・単三乾電池4本(6V)・マッチ箱受信機搭載で、全備重量は1050グラム・・・。グランドサーマル滞空勝負ならば、レーシングではオリンピックには勝てません。