● イタチゴッコの化け電(違法周波数)

● 私がラジコンを始めた昭和40年代の後半・・・、既に化け電(違法周波数)は存在していました。当時・・・市販されたプロポには、電波管理局から認可された正規の周波数が搭載されていました。このクリスタル周波数は固定式で、模型店のご主人が近隣のラジコンモデラー達となるべく同じ周波数が集中しない様に振り分けていました。

● 当時は、多くの個人経営のラジコン模型専門店が日本中に沢山点在していました。模型店のご主人達は、地域毎に密接なパイプを持ち、なるべくラジコン電波の近接妨害が起きない様に、地主さんから土地を借りてモデラー達の飛行場を確保していました。当時は現在の様な、小型軽量の室内で飛ばせる・走らせる・・・ラジコン模型は存在していませんでした。休日にはそれぞれのクラブ毎の飛行場や、広場や池に集まって、クラブの大人達と子供達が一緒に成って楽しんでいた時代です。

● ラジコン業界から新しい技術が提供されると、それは各メーカーから商品化され模型店でモデラー達は購入します。馴染みの模型店に行けば、ラジコン業界の新しい技術と知識が得られた時代でもあります。模型店のご主人は、メーカーとも太いパイプを持ち、発売された商品の詳細も詳しく尋ね・理解し、各モデラーに販売していました。

● 大人達は、日進月歩の模型業界に合わせて競い合う様に新しい分野のラジコン模型に手を出しました。そして、起きてはいけない事態が起きてしまいました。当初は、高級模型をガッチャン周波数(同電波の不注意による発信)を避ける為でした。大人達は電気に詳しいお仲間さんから、市販されていない周波数を手に入れ・・・交換してもらっていました。

● 休日の飛行場にて・・・何時もの様に楽しんでいたら、パトカーが来ました。警察官は一人の大人に近づき何やら説明しています。大人は酷く激情しながら説明しています。「こがん!ボロか、玩具とは違うったい!。」っと、私達子供のポンコツ号ジローを指さしています。何が起きているのか解らないまま、その大人はパトカーに乗せられ連れていかれました。

● 後日・・・模型店のご主人が話していました。模型人口が増える・高級ラジコンが増える・・・、何時かはやって来ると危惧していた事態・・・。しかし・・・模型店のご主人やお仲間さんが通報したのではありませんでした。ラジコンに割り当てられた周波数は、陸物ラジコン・空物ラジコン・産業ラジコンの様な、専用周波数の括りが無い、一括周波数帯でした。27MHz帯が6個、40MHz帯が2個の合計8種類しかありませんでした。

● 空物模型に大人達が使ったのは40MHz帯の2種類の周波数ですが、これもモデラーの飽和状態では決して安全とは言えません。そこで、化け電(違法周波数)ならば、安全だと手を出したのでした。ラジコンモデラーの為の安全確保だからと悪びれる態度も見せずに堂々と使用するから・・・捕まっちゃいました。

● この逮捕劇には裏話が存在します。九州電波管理局が一枚関わっていたとは、模型店のご主人から聞くまでしりませんでした。管理局はトラックドライバー達が主に使用していたCB無線(通話用の大出力トランシーバー)は違法であると位置付けしていました。このCB無線の出力からすれば、国家試験の必要なアマチュア無線と然程変わりません。このCB無線は27MHz帯で、ラジコン用に割り当てられた周波数と一部被っていました。これが混信トラブルによるラジコン飛行機の墜落人身事故の要因ともなるので管理局側は、取り締まりに出ました。

● 今の時代・・・個人で電波モニターを持てる様になりました。しかし当時は特定の業務を行う職種の人間しか扱えない時代でしたし、そういう物が存在している事実さえ知らない時代でした。CB無線を使っている車両や発信元を探っている内に・・・、ふと、広場で飛んでいるラジコン飛行機の電波状態を調べたら、該当周波数ではない事実が判明しました。そうなんです!・・・当日・・・、たまたま電波管理局が飛行場の近くに居たんですよ。

● 人物は特定されました。それも複数で・・・。そこで警察に通報・・・。警察権力を使って厳重注意・・・。結局のところ・・・模型店主判断でクラブは強制退会・・・。違法電波発信の大人達は、遠方クラブへの移籍しか方法がありませんでしたが、違法電波使用のレッテルを隠しても・・・再び管理局に摘発されたら、また退会です。昭和40年代の後半でも・・・化け電騒動は普通に起きていました。

● 昭和50年代のプロポはクリスタル変換型が主流になりました。飛行場において同バンドが多い時は、安全の為に振り分けやすい周波数に変更可能になりました。しかし・・・このクリスタル変更可能なプロポの出現は、一部の特定された飛行場と環境にしか安全性を確保出来ませんでした。

● 特定された環境とは、広く空域が見渡せる飛行場や、山スロープです。それ以外の飛行場ではやはり混信トラブルが発生していました。流石に・・・老舗模型店の主催する山スロープでは、この化け電モデラーに出会った事はありませんでした。まさか・・・その後の無秩序なモデラー達の行為の終着点が・・・、空物ラジコン業界の首を絞めようとは・・・その時代には誰も解りません。

● 新電波時代(空用・陸用・産業用)