● 4月中旬・・・いなか工房の管理人さんが九州入りしました。3月初旬にメールをもらっていたのですが、返信できたのは3月中旬・・・。そしてつい昨日5月の二日・・・、農作業に没頭し過ぎて・・・。ご長男の奥様の実家が雲仙市との事・・・、何となく運命的な物を感じながらも仕事を優先した為の此方の不始末・・・。大変失礼いたしました。

● ラジコン技術誌ではお馴染みの管理人さんの鳥型飛行機。垂直面を持たない鳥型の機体でも構造次第では充分飛べまっせ~・・・を研究しているモデラーさんです。昭和二十年代生まれのモデラーさんの一人ジェダイマスターです。実際にこの目で現物をみたかったなあ~・・・。

● 現在・・・農家さんに弟子入り中・・・。いよいよ「段々畑」専用の農薬撒きヘリコプターに着手です。農家さんは高齢化が進み、後継者不足・・・当初の計画では農家の後継ぎを止めた息子さん対応ではなく、お孫さんをターゲットにしています。形状はドローンタイプなんですが、強制的に拘束するので操縦不能には成りません。ただし・・・空撮ドローンみたいなサイズではありません。直径は確実に倍のサイズです。ただし・・・飛行に必要な道具一式と農薬撒きの必需品一式は軽トラで運べます。

◎ 空間線量計測ラジコン機の開発概要

● 三年間の除染業務で得た知識の集大成・・・「空間線量計測ラジコン飛行機」の概要も決まりました。そんなのドローンに任せりゃ良いよ!っと、無知な博士は一刀両断・・・。ドローンじゃ無理なんだよなあ・・・。この博士・・・知った被りで有名なエイリアンクラスです。ご存じ、帰宅困難地域は今でも除染関係者以外は立ち入り不可能です。立ち入ったヒューマノイドは着ている使い捨ての作業服は処分し、毎日身体に受けた線量を計測し・・・異常が無ければそのまま安全圏へ出れますが・・・汚染過多なら隔離されます。

● これが車両ならば安全圏へ出る前に入念に洗浄しなければなりません。まして・・・機械むき出しのドローンなんか丸洗い不可能です。線量計測用の無人機(ラジコン飛行機)の製作なんてねえ?。・・・ところが!複合材料全盛の現在ならば可能な時代になりました。

● 複雑に考えるから面倒臭くてエイリアンクラスの博士は知った被ってドローンに任せりゃ良いって結論を出しますが、要は機体の外側も内側も丸洗い出来る構造にすれば良いのですよ。単純に考えてプラモデルの組み立て前のキット状態まで分解可能な構造で機体を構成すれば、分解して丸洗いが可能になります。ビスで組立てるドローンと構造は同じです。

● 今までの除染は福島県に住む人達の生活圏の線量を下げて定住可能な地域を増やす事でした。個人の住宅の敷地面積から外部20メートルの範囲と生活に必要な道路と公共の幹線道路・・・そして里山・・・。今回開発中の線量計測機は、復興の為に必要なアイテムです。除染完了の地域の線量を計測し、更に土壌を改良し安全な土地を増やす為の活動です。既に依頼のあった東北の建設業者との計画は発動しました。

● そもそも・・・どうして無人機による空間線量計測なのか?・・・。博士なら・・・「放射線による人体被曝を避ける為!。」って、自信たっぷりに答えるでしょうね。まあ・・・それもあるんですが・・・。実機のヘリコプターでの線量計測がセオリーなんですが、航空法に定められた指定区域以外での最低飛行高度は200mです。線量計測で得られる磁力線の高低は、その範囲をそれぞれ色分けして表示されるんですが、かなりアバウト表記なんです。高度を下げれば人体被曝は確実ですし、ヘリコプターのローターが吹き降ろす強風で地面の放射性物質が巻き上げられ正確な計測数値が得られません。それはドローンも同じ事なんです。

● 数年前から浪江地区においてGPS搭載の無人機による線量計測が始まりました。ただ・・・テレビ放送された時点での飛行高度は約50mです。さらに起伏の激しい山間部での飛行にはまだまだ機体の飛行精度が追い付かず苦労していました。今回、建設会社の重役さんと計画した飛行高度は約15mです。機体はGPS搭載のモーターグライダーです。短距離で離陸・・・もしくは手投げ発進・・・。

● 機体は低翼面荷重のサーマルタイプ、スパンは最大5m。高度15メートルでの飛行が目的ですので、重い高感度の計測機器は必要ありません。線量機器も日進月歩ですので、今後さらに軽量化される時代が来るでしょう。今回の除染目的は復興事業に属します。更地になった土地に住宅を建設するのか、または、地域雇用の工場を建てるのか・・・。その為の使用目的を限定した無人計測機なのです。

● 手付かずの危険区域の除染がまだ残っているんですが、いきなりドカドカと足を踏み入れる事が出来ない地域ですので、まずはある程度正確な線量数値が必要になります。高度15m・モーターグライダーでの計測なんですが、線量を計測できる気象条件が限定されているんですよ。

● 人の手によって除染した地域でも、降雨により地面が濡れた状態、降雪による地面の凍結状態では線量計測は出来ませんでした。正確な計測数値が出ないからです。よって無人機における計測にも同じ事が起きます。地面が乾いたしかも太陽の熱によってサーマルが発生し易い更地の計測に最適な飛行物体は?・・・。モーターグライダーって事になりませんか?。

● 高度15mを目線位置にする為にスカイマスター(高所作業車)を垂直配置で設置して、オペレーターがGPSによる自動操縦と無線操縦を併用して計測を行います。何でもかんでも無人機に!って考えるから特定の業者の単独事業になってしまいますが、これなら除染業務講習を受けた有資格者ならば、誰でも事業を起こせます。航空法改正でのラジコン機の最大飛行高度の条件に合致してますし、人が住んでいない場所での飛行ですから許可も取り易い・・・。

● 除染に必要だったので私自身・・・高所作業車の資格を習得して直ぐに乗車。約二年半乗り続けてきました。特別講習(ゴンドラ最大10m未満)ではなく、技能講習(ゴンドラ最大青天井)で修得しましたので、三瓶工務店の自家用スカイマスター(ゴンドラ最大17m)に乗れました。勿論!中型免許が必要ですが・・・。20代の若造君達には無い特典である普通免許で乗れる最大8トンまでの中型車可の免許です。

● 垂直状態のジャッキアップされた高所作業車から見れる世間の風景は、不思議な事に恐怖感よりも爽快感の方が大きかったです。ラジコンマニアならば一度は考えるF3Aパターンの正確な演技方法・・・。高度20m地点をローパスの通貨位置とすれば、正宙返りと逆宙返りが綺麗に出来るんじゃなかろか?。ある意味・・・スロープでの飛行と条件が似ていますので・・・。

● で!・・・重役さんにその話したら・・・「面白いですねえええええ。」・・・GANBAのお客さんが増えちゃいました。当工房の軽量電動ラジコン機(EP-GANBA)はSTOL機(短距離離着陸機)なんですよねえ~・・・。「この飛行機・・・滑走距離短いし、上空でモーター停めてもなかなか降りて来ないし・・・。これで空間線量計測出来んかなあ~。」が!、今回の開発プロジェクトの始動でした。

● GANBAのスパンは900mm・翼弦は200mm。この主翼のスパンを単純に4倍にしたら3600mm・翼弦は800mm。軽トラで運べるんじゃないかあ?胴体は一部はみ出るけど、赤いキレぶら下げたら大丈夫だし・・・。重役さんは本物の土木屋さんですわ。勿論主翼は二分割・・・片翼スパン1800mmならカンザシで繋いでボルトで結束も可能です。

● 重役さん曰く・・・「若い子達の雇用に良いかもな!。興味を惹きやすいし楽しい土木事業があっても良いだろうし・・・。」ただそれだけに留まらず・・・、復興事業の一つとして確立させれば多くの模型マニアが事業を起こして競い合い除染事業を理解するだろうと・・・。除染は一回だけにとどまらず・・・、今度は個人レベルでの除染が確立するかもしれません。サンデーフライヤー諸氏が自ら自分の飛行場の状態を定期的に計測し、除染事業で私たちが装備した軽めの作業服で定期的に飛行場の整備・・・、ネット普及の功罪は、クラブ員以外のネットのモデラーの無許可使用・・・こっそり使用がだんだん大胆に・・・お仲間集めて無許可飛行会。ゴミは散乱放置したままトンずら~・・・は、今後の東北の飛行場では起きなくなるでしょう。