● M-163b KOMETの製作・・・スチレンペーパーとバルサの混合構造


● 大観峰を飛行中のコメートです。実機に近く製作してありますが、ラジコンの模型飛行機らしくセミスケール設定としてあります。この組み立て説明なんですが、GANBAと違い製品が無い一品物のカスタム機ですので受注生産しかやっておりません。よって、機体の構造説明が主体と成ります。構造自体はスチレン世代のツワモノ自作マニアにはおなじみなんですが、手抜きスチレン機ばかりを作っているマニアさんには無用の長物にしかなりませんので・・・読み飛ばす事をお勧めします。軽量で加工のし易いスチレン材を内部構造に使用して、外部スキンを全てバルサ面に仕上げる構造ですので、仕上げはフィルムでも紙貼り・絹張りでもマイクログラス塗布でも可能です。この辺は昭和のひましゆ世代諸氏にも理解してもらえるでしょう。

● 当工房の製作スタイルなんですが、必ず原寸図面から形紙を別途製作してから部品を作っていきます。このスチレン材混合構造の機体のコンセプトは、定盤精度の正確で大掛かりな治具を使わなくても正確な組み立てを実現出来る様に設計しました。今後のスチレン混合機は全てこの構造と構法を採用していきます。キットに付属の原寸設計図の上で部品を組んでも必ずしも左右の主翼が正確に左右対称で組めない場合も存在します。更に主翼が後退翼の場合は、左右の主翼の後退角度が僅かにズレるだけで、正確に組めないばかりか飛ばすと必ず癖が出てきます。今回の機体も後退翼ですが、左右の主翼は必ず対称で仕上がる構造です。なぜならば・・・最初から主翼の全体寸法が決まっています。スパン寸法も後退角度も・・・。その周囲と内側の構造組み立てに限定された構法だからです。あとは・・・左右の主翼の重さにバラつきが出ない様に組み立てれば良いのです。若干なんですが、仕上がり重量が増えるくらいです。図面ごと組み立てる構造を理解してもらえると、この構造を早く理解して応用してもらう事ができます。

● 形紙には組み立てに必要な情報を全て書き込んで切り抜いてあります。基本はスチレン材両面にトレースしますので、裏面のトレースには形紙の裏面も使ってトレースします。左右の主翼のスチレンベース材は、二枚重ねてサンドホルダーで同じ寸法と角度になるまですり合わせてあります。

● 厚さ2mmのアルミアングル材の一面にサンドペーパーを貼りこんで、スチレン材の木口を仕上げています。私はマチ針を使用して固定していますが、両面テープを使っても良いと思います。

● 胴体のキール部品であるセンター材をトレースします。これを加工すると画像右側の状態になります。胴体中心付近の大きな切抜き部分は、このコメートが中翼機の為主翼のカンザシ付きセンター材を埋め込む目的で加工しました。後部胴体の丸抜き孔は一見軽減孔に見えるんですが、このコメートにはノーズ付近にブラシレスモーターを取り付けて、動力機としてグランドでも飛行出来る様な仕様になっています。バッテリーはキャノピーハッチのメカ室に搭載するんですが、動力機の場合は常に高速回転の為・・・かなりの熱源の発散が予想されるので、メカ室に空気の流れを作れる構造ですので、温まった空気をテールエグゾーストから排出可能な構造にする為です。

● 厚さ10mmのスーパーハードバルサ(使用目的はキャノピー型製作)に、カンザシ用の形紙を使ってトレースします。マニアの多くはカンザシ本体を切り出してから内部補強を考える様ですが、ハード系のバルサといえどもカーボンの棒材を埋め込む溝彫りをやると残った両端の部分だけでは、構造維持に耐えられずカンザシ材が割れてしまうでしょう。この様な部材の製作工程はまず・・・ムク材の状態で溝彫り(貫通溝)を加工し、補強カーボン材をエポキシで埋め込み硬化させた後、外周トレース面の加工を行った方が確実に仕上げる事ができます。

● カーボンの棒材を埋め込む時は、エポキシ接着剤が溢れる位に充墳させます。最後に蓋をする時に隙間から溢れたエポキシは、綺麗にふき取って下さい。もしもバルサ材のみのカンザシだったら、強い衝撃には耐えられず折れてしまい修理不能になるんですが、内部補強を確実に行うと可也の荷重にも耐えられる丈夫なカンザシになります。私のスパン3600mmの大型グライダーにも採用してますが、まだバンザイしていません。

● センターウィング材のこの位置にカンザシを埋め込みます。その為に図面から求めた上下振り分けの位置に5mmのスチレン材を挟めるガイド材を取り付けます。その為には・・・このセンター材のスチレンシートを分割してカンザシの埋まる部分をシートから除去しなければなりません。必ず直角にまた前後のカンザシが平行に成る様に加工します。

● ガイド材を付けたから正確に組める!という保障は存在しませんので、画像の様なボックスを作り治具としています。箱の外側寸法をセンター材の最大幅に正確に合わせます。三分割した最後部のシートを正確に治具に固定したら、エポキシを充分塗り込んだ部材をはめ込みながら治具にマチ針で固定していきます。この状態で硬化するのを待つんですが、三分割のセンター材をキチンと元通りに組み直すには、スチレンで組んだ治具と言えども正確さが必要です。この治具は今回のコメートの組み立て全般で活躍しますので、同じ物を作ろうと思ったマニア諸氏は、なるべく正確に作って下さい。

● 主翼のシート上には組み立てに必要な情報を全て書き込みます。主翼シートの前後縁に5mm角のバルサ棒を貼り付けると、本機のリブ材の寸法に合致します。リブ材の先にはバルサの前縁材が付くんですが、バルサ同士なので組み立てには貼り込んでいる5mmの角棒がメインの接着面となります。もしも・・・キット付属のペラペラの図面上でこの組み立てと接着を行うと、キットを作り慣れたマニアさん以外は大変な労力と神経を使って組み立てる事になります。如何にこの構造が簡単かお解かり頂けましたか?。

● 胴枠の加工の工程ですが、シートの切り抜きは全て直線抜きで分割します。曲線抜きは作業効率を上げそうに見えるんですけどね〜。面倒臭くても直線抜きの方が楽で正確だったりします。胴枠の木口の仕上げには、工作台面に対して直角に当たるサンドホルダーを使って仕上げていきます。画像では解り難いのですが、胴枠のシートの下にもう少し小さめの5mmシートを敷き、胴枠を浮かせてから加工しているんですが・・・、この方が木口を正確に加工させる事ができます。トレースしたボールペンは、約1mmの幅のインク面を描いているんですが、一番外側で胴枠寸法が1mm大きくなりますので・・・、インク面の筋が細くなれば成るほど形紙の寸法に近づきます。

● 胴枠の木口に厚さ2mmのバルサシートを細切りにして木工接着剤で貼り込みます。上記画像のホルダーで木口を荒らして成形したので、木工ボンドでも普通に確実に接着が可能です。はみ出したバルサの木口は同じくサンドホルダーで胴枠面にツライチに成る様に加工します。

● 組み立て工程に入る前の各部品の肉抜き加工です。胴枠の上部が大変ひ弱な仕上がりなんですが、胴体に組み込まれて胴体プランクが完了したら、メカ室確保の為に・・・キャノピーハッチ付近の胴枠上部は、全て切り落とす加工を行います。作業的には仕上がった胴体内部の肉抜きですので、壊し易い様に強度維持を持たせながら、極限まで肉抜きしています。

● 垂直尾翼のジョイント部分は、フィルム貼り込み後でも接着出来る様になっています。オーナーさんに生地完成でお渡しする時に、セダンの後部トランクに収まり易い様に外していました。後で接着し易い様にジョイント式としてあるのが、何時の間にか標準構造となりました。主翼の肉抜きなんですが、ここまで抜いても構造自体が崩れる事無く形状を維持しています。翼弦の中央付近に見られる細長い抜き部分は、リードハーネスのトンネルとなります。

● センターウィングの角型カンザシにピタリと勘合する角パイプを製作します。カンザシの幅はストレートなのですが、縦方向はテーパーになっています。このタイプのカンザシは、完全に勘合するとロックが入る様になっています。わずかでも抜けると即ロックが解除になる構造です。試作機のカンザシにはカーボンシートを貼りこんだのですが、今回はペットボトルに使われているペット樹脂(ポリカーボネイト)のシート(0,5mm)を貼りこんでみました。

● この角パイプはベニヤとバルサで組み立ててあります。カンザシの厚みが11,5mmと精密なので、バルサの幅材も15mm幅のバルサから削りだして作られています。

● スチレンのトレースされた座標を切り取り、ガイド材を取り付けてからエポキシ接着剤を塗り込んで硬化させるんですが、この時にカンザシも差し込んで位置がズレない様にします。

● センターウィングのスチレン治具と同じ様にアウターウィングの冶具も製作しました。寸法が短いのですが、肉抜きされた主翼のシートの重心位置が冶具の内側にありますので、このサイズでも安定しています。普段使わない時は、小間物の材料入れにも成りますよ(笑)。

● 画像が前後しているんですが、この状態が主翼を完全に勘合した状態です。この構造は他の機体にも充分転用可能になっていますが、例えばスパンの長いソアラータイプのグライダーに使用する時は、カンザシとカンザシ受けのパイプを長めで製作してください。尚・・・主翼中央ライン上画像真ん中付近に空けられた四角い長穴は、オフセット搭載のラダーサーボ用です。スチレンなのでセンターでもくり貫けるのですが、サーボから伸びる電源コードもサーボ中央なので、キールとなるシートを大きくくり貫かねばならなくなります。主翼の下面は羽目殺しの密閉空間ですので、後加工が大変難しくなります。メインカンザシふきんの角型トレース面は、ラダーサーボのサービスハッチですので、後からの加工は容易です。

● センターウィングを胴体に埋め込んで胴枠を組み込んでいるところです。流石に四機目となる本機の組み立てには、原寸大の三面図は必要ありませんでした。どのカスタム機でも言えるんですが、長期に渡っての受注生産の飛行機の製作は、構造自体を脳みそが完全に把握しています。更に言うならば・・・、時代に沿う新素材やパーツにも即対応が可能ですので、転用ができます。多分・・・今後もこのコメートを製作する機会があるとすれば、その時代の新しい技術が必ず盛り込まれると思います。

● 大観峰を飛行中のコメートです。本機の主翼には捻り下げを付けていません。翼型は完全対称ですよ。無尾翼機には必ず捻り下げを入れるものだと当たり前に考えているマニア諸氏・・・、工藤プロダクツのアトラスコメットをラジコン技術のバックナンバーで見てみましょう。捻り下げは付いていませんが、普通に安定して飛んでいます。論より証拠・・・目の前のコメートの主翼・・・作り易いですよ。(KOMET-2)へ続く