Swaissair(MD-11)(出所不明の中華製)販売元(netshop=skyliner38) Part-35
 
● お次は垂直尾翼のカンザシ受けの製作です・・・。此処も好い加減だったんだよなあ・・・。此れを正規の状態に戻すのが一苦労・・・。不自然に取り付けられたガイドパイプを根元から取り外して、更に取り付け部をお掃除しなけりゃ新しいカンザシ受けの台座が付けられない・・・。久しぶりにF-86セイバーのコクピットの中の計器盤の裏側・・・潜った気分だった・・・。
 
● 垂直尾翼に埋め込んだアルミパイプのカンザシは、マスプロアンテナの部品・・・。受けのアルミパイプは、ザノニア2005に使用した主翼内蔵カンザシ受けのアルミパイプ・・・。ザノニアのパイプは、内部を8,05mmに更ってもらった特注品だ。定尺2000mmを200mmに寸法切りしたモノを、旋盤加工してもらった分の一本だ。
 
● 厚めのバルサに好い加減にちょこっとだけ接着剤を塗って固定なんかするから、カンザシ受けのパイプが傾いたまま硬化してしまう・・・。最初から強固な治具を使ってパイプを固定してから接着してれば、不具合状態なんか最初から存在しない・・・。その見本みたいな治具を作って固定し直します。最初から・・・こう作れば良かったんだぜい!・・・。せっかくレーザー加工するんなら、部品は簡単に作れたろうに・・・。此れはレーザーじゃねえんだぜい?・・・。手切りでも普通に出来るのになあ・・・。
 
● 此れなら接着剤も塗り込み易いし・・・胴体内側に圧着すれば、盛り付けた接着剤は周囲からはみ出て来るんだから・・・確実に接着された事が目視で判断可能だ!・・・。馬鹿みたいな厚いバルサの板を適当に貼ればグラス製の受けのパイプ位、自立して安定するって考えるのはお門違い・・・。そのバルサ板の周囲から接着剤がはみ出て来なけりゃ確実に接着しましたとは言えないんだぜい?・・・。中華の職人さん!・・・。
          
● 使う部品は此れだけ・・・。今回はアルミパイプに交換したが、しっくりと収まるのならば・・・薄いグラス製のパイプだろうが・・・プラスチック製のパイプだろうが何でも良いのだ!・・・。実物機でも・・・模型機でも、この方向安定を司る垂直尾翼を好い加減に固定していたら・・・異常が出て機能しなく成ったら、主翼の一部が吹っ飛ぶ以上の危険な状態と成る。飛行中に垂直尾翼の殆どを失った旅客機の末路が、どんな悲惨な状況に成るのか・・・日本国内で起きた大惨事を知ってる人も多いだろう・・・。このMD-11の実物機は、当時の事故機とサイズが変わらない・・・。垂直尾翼の一部にジェットエンジンを搭載するんだぞォ~・・・。この構造を知ってる人なら、この垂直尾翼がどんな構造で胴体構造体に組み込まれているかお解かりの筈・・・。幾ら模型機と言えども、ガタ出捲りのブカブカのカンザシと・・・4mmのビス二本で模型用ジェットエンジンを搭載した垂直尾翼を支えられる訳が無い・・・。

● 動画サイトに有った・・・本機と同型の模型機を見た・・・。垂直尾翼にのみ模型用ジェットエンジンを搭載していた・・・。多分、このモデラーは、主翼のパイロンの惨状に見かねて・・・補助エンジンのみの推力搭載に至ったと思うのだが・・・。本機と同じ垂直尾翼の固定構造だとしたら・・・如何に改造と構造強化を施しても、スペース的に限界が有る・・・。助手がエンジンの始動した本機を滑走路に運んでいたのだが・・・ステアリングが利かない様だった・・・。そしてジェットエンジンの回転数が上がった時・・・機体後部全体が小刻みに振動を始めたんだが・・・明らかにジェットエンジンの推力も上がっていない・・・。音が安定していないのだ・・・。原因は・・・この小刻みな振動に有る・・・。模型用のジェットエンジンは、単純爆発のラムジェットでは無く・・・圧縮タービンがエンジン内部でブン廻る軸流式タービンエンジンだ!・・・。要するに回転軸が燃焼室に有る訳だから、好い加減な固定の垂直尾翼ではこの軸流式エンジンの回転振動を吸収出来ない・・・。よって!・・・エンジンの回転が上がらないし・・・無理に上げると後部胴体全体が振動する・・・。振動は動翼にも伝わるんだから、常にフラッター状態と同じって事ですよ。プロポを持ったモデラーさんは離陸を断念・・・。殆どの閲覧モデラーは鼻で笑うだろうが・・・、私は離陸を思い留まったオーナーさんに拍手を送ります。不具合のまま無理して離陸して墜落炎上する危険性も予測できる状況・・・。原因究明を優先した危機意識を持った真のモデラーだからだ。
 
● まずは・・・垂直尾翼に埋め込んだアルミカンザシと同直径のパイプ(マスプロ・テレビアンテナの部品)に、油分を多量に含んだハンドクリームを満遍なく塗り込みます。此れを塗ってると・・・エポキシ接着剤がパイプに付着しても接着しません。要するに硬化してもパイプには接着されないよ言う事ですよ。
 
● 改造前(左側)と改造後(右側)の垂直尾翼のカンザシ受けの接着状況です。改造前の厚さ12mmの四角いバルサ板・・・厚みが有るから受けのパイプを保持できると思ったんだろうか・・・さぞかしゴッテリと接着剤を盛ってると思ったら、殆ど接着面が無かった・・・。アール面の胴体内部にバルサの角を位置させるって、この職人・・・お馬鹿なのか?・・・。見た目の二次元平面で考えても不思議なんだけどなあ・・・。三次元立体で考えれば・・・アール面に当たってるのは角の二カ所・・・。後は隙だらけって事に成る・・・。余程の接着剤を盛らないと、全面の接着硬化は得られないんですがねえ・・・。
 
● グラスのパイプはどうやって固定したのか考えてみた・・・。工作方法としては随分手抜きの部類に入るんだが・・・。このベニヤの構造物は、胴体内部で組立てたのではなく・・・外で組立てたのだろう・・・。その証拠にグラス面に接しているのが胴枠のみだから・・・。さて!・・・このグラス製カンザシを組み込むには・・・、まず!厚く四角いバルサにエポキシを塗って、グラス面に仮に置く・・・。次にこのベニヤの台座をグラス面と接する胴枠にエポキシを盛って、胴体の前から挿入して固定・・・。この時にグラスパイプを台座のスリットから挿入して、バルサの孔も貫通させ・・・グラス胴体の木口で接着・・・。ところがバルサ面が邪魔して胴体の内側とグラスパイプが接着出来ない状態・・・。多分・・・本機修復の為の拘束できる様な治具を使わず接着剤を硬化させてしまった・・・。要するに・・・ガイドパイプ自体が傾いて接着されたのは、硬化する際に内部のベニヤの台座が動いたのだろう・・・。だからガイドパイプが傾いてしまった。よって!垂直尾翼を仮付けしたら隙間が出てしまった・・・。この隙間の時点でガイドパイプの異常に気付いていたら、良品としては成らないのだが・・・。無理矢理グラスパイプを動かしたので隙間が出てるでしょ?・・・動いたら垂直尾翼がガタるから・・・。だから細いバルサの屑を埋め込んでエポキシで固めてるし(笑)・・・。

● 一方・・・修復後の状態は、ダイレクトリンケージ用のサーボ取り付け部は潰れたが(潰さないと修復不可能)・・・、パイプの先端を固定しているビス止めのアームは接着されていません。何れは固定するんだが、依頼主が組立てる際に垂直尾翼に埋め込んであるラダーサーボから延びるリードハーネスの取り回しをし易く成っている・・・。リードハーネスを通した後、パイプ周りと固定ビス付近は高粘度の瞬間接着剤を盛って固定してもらいます。此処だけの話・・・せっかくのマイクロサーボの為の孔・・・厚めのバルサのお陰で、どんなメーカーのサーボも嵩が足らずに搭載不可能でした(笑)・・・。
          
● この垂直尾翼の取り付け用にはねじ山がビスの長さ(20mm)を遥かに超えるナイロンブロックの台座を埋め込みました・・・。よって!、ネジ山を作るのにも一苦労・・・。幾らガイドパイプが付いているとはいえ・・・斜めに開けると垂直尾翼本体に捻じれ荷重が掛かるので、とにかく慎重に・・・慎重に・・・。よってビスの長さが30mmを越えても大丈夫!。しかし・・・廻せど廻せどゴールが遠く成るので20mmのキャップスクリューで・・・。この手のヘックス系はビス自体が硬い材質なので、切る方が難しい・・・。此れを折る位の激しい飛ばし方をしたお馬鹿さんも居たよなあ・・・。
 
● 実際に後部胴体にビスで固定してみました・・・。いやいや、どうして!・・・胴体への食い付き度合いも大変良いですなあ・・・。思いっ切り振り回してみたけど・・・ビクともしませんなあ・・・。キット付属の使えない垂直尾翼よりも面積は明らかに大きいのですが、昨今の大型旅客機の垂直尾翼はデカいからねえ・・・。キット付属のオリジナル垂直尾翼の付いた同型機と駐機しない限り、スケール的には全く問題ないでしょうなあ・・・。

● ファンフライから入門したモデラーさんなのに・・・何でスケール機をEPPシートで自作すると、実機スケールサイズの垂直尾翼にしちゃうのかなァ・・・。全速飛行中は良く飛んでるのに、着陸態勢に入って減速したらお尻フリフリ・・・コロンとこけて失速・・・頭からズドンと落ちてバラバラに・・・。「電波!誰か入れましたァ?・・・。」・・・って、お仲間疑う前に、お前の設計ミスだっつうの!。ファンフライ機の垂直尾翼・・・胴体の側面積も入れたら馬鹿みたいな大きさなんだぞォ~・・・。

● 減速速度までスケールスピードは通用するんだが、実物機の場合の着陸進入速度をスケールスピードで模型機に置き換えても・・・全然模型機の侵入スピードの方が遅いのだァ~・・・。よって実機のスケールピッタリの垂直尾翼面積では、ヨーイング軸の方向安定性能は悪くなる・・・。模型機の場合は、実物機よりも相対速度が遥かに遅いので10~15%程度は垂直尾翼を大きくする必要が有る・・・。本機の尾翼を大きくしたのはその為ですねん!。依頼主はEDFを搭載したいとの事・・・。どう考えてもジェットエンジン搭載機程の推力は得られない・・・。よって!飛行出来る余剰パワー込みのユニットが無い限り、低速状態で実機スケールのままだったら・・・低速進入中にお尻フリフリが始まったら、もうリカバリー出来ません。お尻フリフリとは・・・ダッチロール現象の事・・・。此れが起きる機体は、明らかに垂直尾翼の面積が足らない・・・。
 
● あれ?・・・垂直尾翼のサーボスペースは何処だったけ?・・・。もう去年の事だから忘れていた(笑)・・・。そういう時の為の垂直尾翼全体の形紙です。此れ一枚で全体の形状からスパー位置・・・リブの位置・・・内部構造が全て解る原寸図面であり・・・形紙でも有る・・・。メーカーのキット付属の図面じゃないからねえ・・・。勇気が無いから誰も出来ないだろう?・・・。私の場合は、キット付属の原寸図から寸法を取ってるから、こういった形紙が別に作れるのだ!ただし!・・・面倒臭いぞォ~・・・。

● もう一つ不思議な画像・・・。サーボスペースが抜けとるがナ・・・って思ってる人多いだろうなあ・・・。しかしですなあ・・・当工房の場合のリンケージは、片引き探す方が難しい(笑)・・・。特にラダーは両引き仕様が多いんですなあ・・・。特に方向安定で、リンケージの遊びが原因のバックラッシュが発生したら大変操縦が難しくなる・・・。よって!、ラダーの場合は必ず両引きにしている・・・。その構造は面倒臭いぜい!・・・。大概のモデラーは敬遠するだろうが・・・。自分の機体が上空飛行中・・・右旋回と左旋回で明らかに差が出た時は、このバックラッシュを疑った方が良い・・・。リンケージが甘いので、ニュートラルが決まっていない・・・。プロポのスティックはニュートラルでも、旋回にクセが出る時は着陸させて地上で動かしてみるといいぞ!。よって!本機のラダーは両引き仕様・・・。だから!両面にハッチパネルが付くのですよ。さて!・・・この空間にどうやってサーボを固定するのかな?。依頼主さん・・・サーボの指定が無いので大変困った・・・。フリーサイズには出来ないが、各社の幾つかのサーボには対応出来るだろう・・・。トルクは1,5キロは欲しい所・・・。
          
● 先に尾翼のヒンジ類の加工中・・・。フィルムのトップヒンジを止めて昔ながらの蝶番のセンターヒンジに仕様を変更する。ネット物知り博士達は何を勘違いしとるのか!・・・、このセンターヒンジは初心者が好むリンケージと言っていた。と言う事は・・・世界中のトップフライヤー諸氏のセンターヒンジ方式は、皆さん初心者って事か?・・・。ヒンジラインがガタガタでも・・・フィルムのトップヒンジは玄人向けって事か?愛知県名古屋市のネット物知り博士君!・・・。
          
● やっとの事・・・水平尾翼と垂直尾翼のヒンジ取付の運びと成りました。本機付属の水平尾翼と垂直尾翼を見た時に・・・明らかにこのままでは使えないと実感したのは大当たりでした・・・。結局・・・水平尾翼は修正と修復・・・垂直尾翼は根本から作り直す羽目に・・・。此れがね?・・・余計な仕事だったんですなあ・・・。国産のフィルム張り完成機・・・昭和の時代から色んなメーカーから発売されて来たけど、フィルム剥がして内部構造から修復しないと組立てられないキットなんて、一機種も無かったぞ!。しかし・・・本機は此れをやらんと組立てられない粗悪品なんだもの・・・。無茶苦茶なんだって!(笑)・・・。
 
● フィルムのトップヒンジにしろ・・・蝶番のセンターヒンジにしろ・・・航空工学の基本に沿って造れば何の問題も起きません。知ってるつもりで手を抜くと・・・何処かでポカる・・・。此れを良品として流通させるって事は、ラジコン飛行機を販売するメーカーの恥・・・。どんなに見本市で宣伝したって、量産機がこの為体では意味が無い・・・。38親分はこの為体なフィルム張りの水平尾翼・・・よく入念なる検品とやらで良品に出来たモンだ・・・。不思議に成って来る・・・。
 
● 本機付属の水平尾翼自体が、テーパー翼なのにテーパー翼の法則を無視した状態でフィルム張り完成品にしてるから、他の部品との勘合時に違和感だらけに成るんですなあ・・・。まあ・・・ね!・・・馬鹿みたいにぶ厚いプランクシート(厚さ3mm)だったから、カンナで削れて修正出来たから良いんだが、此れが1,5mmのシートで歪な形状だったら・・・もうお手上げだった。プランクシートをカンナで削って修正・・・絶対不可能だし・・・。
 
● フィルムによるトップヒンジでも・・・法則に沿って造れば画像みたいな段差は出て来ない・・・。其れは蝶番によるセンターヒンジも同じ事が言える・・・。フィルムを貼ったトップヒンジに何故に段差が出来るのか・・・単純な事ですよ。フルダウン状態の水平尾翼の後縁面積よりも、エレベータの前縁面積が大きいから段差が出てしまう・・・。此れを無くすには・・・エレベータの厚みを薄くするか・・・フルダウンの角度を減らせば良いんですなあ・・・。エレベータのフルダウンに40度近くも使わないって!・・・。動いても上下の最大角は25度位で良い!・・・。
 
● 本機付属のフィルム張り水平尾翼・・・翼根側の最大翼厚10%に対して、翼端の最大翼厚は15%も有った・・・。此れはテーパー型の翼では有り得なくも無いんだが・・・此れにテーパー比の大きいエレベータを組み合わせてしまったから歪に動く・・・。この場合はテーパー比の小さい、ほぼフラットな幅のエレベータにすれば良かったのに・・・。ただ・・・水平尾翼のスケール的ミテクレは大変悪くなる・・・。だから上面から見て・・・スケールっぽく合わせちゃったから、こんなに歪な形状に成っちゃいました(笑)・・・。

● フィルムを剥がして解った事なんだが・・・。翼根のリブはレーザーの加工品だったんだが、翼端のリブは明らかにレーザー加工品では無かった・・・。黒い煤けたリブの木口では無かったからだ・・・。よって部品が足らなくなったから手切りで作った・・・。その際にリブの順番を間違って組み込んだ・・・。そうなると今度はテーパー比が合わなくなる・・・。外して組み直すのも面倒臭い・・・。後縁側をぶった切って形状を揃えた・・・。よって後縁側のテーパー比率が狂ってしまった・・・。其れに正規のエレベータを組み合わせちまったから、画像みたいな歪な段差が出たんですなあ・・・。まあ・・・中華の量産職人も・・・好い加減なんですよ。

● 嘗て日本国内でも起きていた同じ様なトラブル・・・。ラジコンブームが始まると、テレビ番組にもラジコン専門番組が始まる(テレビ東京)・・・。世間がボンボン宣伝するモンだから、愛好者がどんどん増える・・・。メーカー側はお客を待たせない様にどんどん供給する過程で、時々ポカってしまうんですなあ・・・。この時代・・・私はまだ自衛官・・・。部品の足らない・・・合わない・・・バルサキットを買わされていた時代・・・。此れと同じ状況が昨今の中国の模型業界だ!・・・。少々不良品でも作ればボンボン売れるし・・・客が何とかするやろ!・・・。いやいや!・・・生地完成状態ならまだしも・・・フィルム貼っちまってたら修正も修復も不可能だって!・・・。          (Part-36に続く)