Swaissair(MD-11)(出所不明の中華製)販売元(netshop=skyliner38) Part-36
          
● 蝶番ヒンジの取り付けについて、閲覧者より質問が有ったので記載しておきます。ヒンジガイド等の市販の治具を使って、カッターナイフで正確にセンターに溝を掘ったにも関わらず・・・、ヒンジを差し込んだら明らかにセンターがズレてしまった・・・。おまけに動翼が膨らんでしまった・・・との事・・・。自作機なのか市販のキットなのかと聞いたら、舶来のメーカーのキットだそうですが・・・。画像でも観て貰えば解る通りに、治具を使ってカッターナイフで溝を切り・・・厚さ0,8mmのテトラ製ナイロンヒンジを差し込んだら、センターズレは無いものの、木目に沿って割れが生じました・・・。

● 何故に割れてしまったのか・・・。本機のヒンジはフィルムによるトップヒンジで構成されています。よってこの水平尾翼の後縁材の材質は何でも良いんですよ。ただ・・・昨今の模型業界はソフト系とメディアム系のバルサは重宝されるんですが、ハード系程売れ残るのだそうだ・・・。理由は簡単!重くて硬いから電動機には不向きと言う訳だ・・・。この後縁のヒンジ面の材質は、柾目のハードバルサ・・・。トップヒンジには影響が無いんだが、センターヒンジにすると悪影響がバリバリに発生する・・・。
          
● 木村バルサのカタログの巻頭に記載されている概要です。Aカットと呼ばれる年輪に平行カットのシートを板目材と言うんですが、このシートは定尺80mm幅なら全面が同じ材質となります。Cカットは年輪に対して直角にカットして有るので、80mm幅のシートは柔らかい部位から硬い部位まで混在する柾目材となります・・・。センターヒンジに使う場合・・・必ずヒンジ面は板目に成る様に製材して部品を作らなければ成りません。私が加藤無線(MK)のキット製造部に勤務していた時代に、最初に教わるのが部品によって板目に加工するか柾目に加工するかの重要性です・・・。

● この重要なバルサの法則を無視して製材すると・・・上記の様にヒンジラインは正確なのに、ヒンジを入れたらセンターがズレる現象が起きます。要するに!・・・ヒンジを差し込んだ面が柾目材なので・・・柔らかい材質側に厚みのあるヒンジが逃げた!って事に成るんです・・・。此れは知識の無いモデラーが悪いのではありませんよ?・・・。君は何も悪くない!・・・。キットを製造したメーカーの職人が無知だっただけ・・・。加藤無線(MK)程の神経は使って無いって事なんですなあ・・・。此れはですなあ・・・昭和から平成に掛けての老舗のメーカーのキット製造部では、当たり前に職人が持っていた知識でも有る・・・。百戦錬磨の自作モデラーさんでも知らなかった事実でもあるので・・・知らなかったとはいえ、誰も馬鹿にはしませんよ(笑)・・・。
          
● 舶来キットを購入して、明らかにヒンジ取り付け面が柾目だなあ・・・って思ったら、ヒンジの厚みの溝を彫ればヒンジを差し込んでもセンターズレは起きませんよ。今回使用するテトラ製のナイロンヒンジの板厚は0,8mm・・・。溝掘り用のカギ型の工具は自作です。此れで幅1mmの溝を掘ってます。ええ?・・・じゃあ、ヒンジがブカブカじゃん!って思うでしょうなあ・・・。でもですなあ・・・接着剤(エポキシ)を塗って溝に差し込もうと思ったら、ヒンジの厚みよりもミゾ幅が広く無かったら接着剤が入らないでしょ?・・・。ただし・・・全体を1mmの溝にすると、今度はセンターがコンマ単位でズレる・・・。こういった綿密さのアラを見つけて、ツッコミメールを送って来るネット物知り博士も居るんだが・・・。彼らは面倒臭がってこんなのやらないって(笑)・・・。

● 溝の入り口は1mm強なんだが・・・内部はクサビ状に狭く成る様にミゾ彫り工具を調整しています。此れにより・・・入り口付近から数ミリはヒンジの両面にエポキシ接着剤の糊面が形成され・・・バルサの木目を含んで硬化するので抜けなく成ります。昭和40年代前半位までは、粘着フィルムが出始めた頃・・・。模型飛行機にとって便利グッズの筈なんだが、高級志向のモデラーさんは絹張り塗装仕上げの方が多かった時代・・・。蝶番のヒンジには丸い小穴が有るでしょ?・・・。此れはヒンジを差し込んで、爪楊枝等でピンを打つための孔です。当時はですなあ・・・接着剤が充実していなかったので、このヒンジ側に抜け止めの返りを付けたりピンを打って対処していました。動翼が固定された状態でのフィルム張りって貼り込むのに面倒臭いでしょ?・・・。でも!・・・絹張り塗装の場合は、其れが当たり前だったんですなァ・・・。

● 今回はフィルム貼り込み後のヒンジ取付だから、ピンは打てません。打っても良いんだが・・・爪楊枝の頭が両面に残るので、後処理が面倒臭くなるし・・・。ヒンジピン取り付けでエレボン動翼が付いたままでのフィルム張りの記事は、アトラスコメットのレストア記事がページ内に有りますので其方を参考にして下さい。今回の複雑で面倒臭え~・・・ミゾ堀は、ヒンジピンを打たない場合の固定方法です。ノイズレスの薄っぺらいナイロンヒンジや紙ヒンジだったら、瞬間接着剤を染み込ませれば良い!って言いますが、其れって小型機の場合でしょ?。全備重量が数キロに成る本機に紙ヒンジはねえ・・・抜けたら大事故に成るので使いません。依頼主さんには・・・自賠責のラジコン保険・・・二口くらい入ってもらう必要が有るかも知れませんなあ・・・。初心者だから?・・・じゃあないですよ。念の為・・・私でも三口入ってるんだから・・・。一口最大1億円の補償・・・。自賠責だから、支払う痛みは保険会社と共有・・・。事故の程度によって数万円は自分でも支払いを受け持たなければ成らない・・・。保障の程度にも寄るが十数万円の自己支払いの場合も有る・・・残りの巨額の支払いが保険金・・・。其れが自賠責のラジコン保険の仕組みだ!・・・。まだお世話にはなってませんけど。無事故を狙うなら・・・好い加減な造りの空物模型じゃ駄目!って事ですよ。
 
● ガイド治具をボールペン等を使って、ヒンジラインの線を引いた場合・・・何度やってもセンターがズレて表記してる場合が有りませんか?・・・。此れってネット物知り博士達が自分のブログで、精度が悪い!って愚痴ってるでしょ?・・・。其れはね?使い方を間違えてるからで有って・・・テトラ製のガイド治具は悪いんじゃ無いですよ(笑)・・・。普通のボールペンのペン先には鉄球が埋まってるんですが、其れを保持するペン先の本体がセンターズレを起こす要因と成っています。だったら・・・両面から線を引けば良いんじゃないだろうか・・・。その太くなった線の真ん中を狙って、カッターナイフで下溝を入れればヒンジラインのセンターズレは起き難いと思うのだが・・・。ネット物知り博士って崇められてる平成のネット世代のモデラーなんだが・・・広くて浅い知識は豊富なんだがなあ・・・まあ・・・昭和の黎明期を知らないしなあ・・・。さて!当時のヒンジは返りの付いた二枚板の金属ヒンジが主流の時代・・・。カミソリの薄刃で下溝彫って、庇護の盛(折り畳みの小型ナイフ)で幅を広げていた時代を知らないんだもの・・・。OK模型のオンライン・ショップを覗いてみな!・・・。未だにこの真鍮製の二枚板の金属ヒンジが販売されてるから・・・。EZ完成機のヒンジに多用されたんだが・・・知らないモデラーも多いんじゃないだろうか・・・。入れたら抜けないからね?(笑)・・・。試し溝彫りに使う時は返りの爪を潰してから使う様に・・・。
          
● 主翼の実機らしいスケール感満点!・・・の筈だった、分割式エルロンの翼端側・・・。主翼後縁の厚みに対してエルロン幅が狭過ぎて・・・まるで胴体の胴枠の角に貼り込む断面が三角のストリング材みたいだったので・・・エルロンとして機能不全を起こす可能性も有り・・・取り付けを断念!・・・。よって模型機らしいエルロンに変更したので、この超小型マイクロサーボ用の搭載孔・・・不要なので塞ぎます。
 
● 実物機と同じ修理方法です。パネルの内側に修復孔よりも一回り大きいパネルをリベットで固定し・・・抜いてある孔を塞ぐ様にパネルを成形してはめ込む・・・空気抵抗を減らすツライチ・パッチという修理方法です。私はF-86FとT-33Aでやってたかなァ・・・。昭和50年代当時・・・86と33は用廃間近・・・。まあ・・・術科学校時代の教材機でしたしね・・・。所属基地にはハチロク部隊の第六飛行隊が在籍していて・・・後十数時間の飛行で用廃のハチロクがゴロゴロしていまして・・・。定期的な整備が済んだら、格納庫を出る前に機体の丸ごと塗装(一般塗装)をやるんだけど、流石!用廃間近・・・金属疲労の予兆とも言える状況が其処彼処に表面化していた・・・。マスキングをして日の丸を塗るんだが、テープを剥がす時に銀粉毎ベラベラと周囲が剥がれて来る・・・。結局・・・金属表面の塗料の食い付きが悪く成ってるので剥がれ易くなる・・・。模型機でも同じ状況に出くわす事も有る・・・。マスキングを捲ると一緒に塗料も捲れる状態・・・。フィルムの上のライン引きで頻繁に起きる時は、フィルム自体の表面が劣化している証拠ですよ。一応の目安ですが・・・。工作室に長年保管し過ぎた古いフィルムを使う時は要注意!・・・。
          
● さて!・・・主翼のエルロンとフラップの取り付け加工が終わりました。後はクリアランスの細かい調整と翼端のウィングレットの調整・・・動翼のサーボスペースの修復も有るかなあ・・・。とにかく!サーボ取り付け部の内部補強が何も施して無いんだもの・・・。台座の一部だけでも入れてくれてたらなァ・・・。初心者さんならどう組めば良いかも解らない状況・・・。まさかファンフライみたいに、セロテープで目張りして固定?・・・。阿保ちゃうか!・・・。機体速度は最大で時速100キロ近くで飛ぶかもしれんのに・・・って具合の手抜き構造・・・。細々した作業なんだが・・・数分で完了できる状態でも無い・・・。
          
● 垂直尾翼・・・バーチカルの内部に埋め込むラダーサーボの取り付けに入りました。裏側が見える貫通孔・・・両引きのリンケージ仕様なので、ロッドも左右一対です。片引き用の細いクランクゼット曲げのチャチな金属棒が付属していたんだが・・・。初心者なら迷わず使うんじゃないかな?・・・。ただし!・・・サーボホーン側もラダーホーン側も孔はピアノ線よりも大きいから、ロッドは遊びでガタガタ・・・。プロポスティックはニュートラルなのに・・・ラダーは平気で左右にはためく始末・・・。此れじゃあねえ・・・フラッター発生機能じゃないですか!・・・。物凄い振動の果ては、垂直尾翼の破損・・・。日航機の墜落大惨事と同じ状況が、本機も飛行中に起きるかもしれない・・・。どうすんの?・・・左右のDFユニットの推力を変更させて残った動翼で懸命に飛行させるのか?・・・。百戦錬磨の日航のパイロットだから出来たけど・・・果たしてEDF初心者の依頼主に、この芸当が出来るか確証は無い!・・・。
 
● 依頼主さんがどういったサーボを搭載するか解らなかったので、今回は手持ちのアナログ式マイクロサーボを搭載してみた。このサーボスペースの幅は43mm・・・。高さは38mm・・・。サーボケースの長さ(取り付けのブラケット部含まず)が21mmなので、差し引き左右振り分けで11mm・・・。此処にPVC樹脂のエル型マウントを固定している。装着方法はまず・・・使うサーボに合わせてエル型マウントの幅を決め・・・サーボのブラケットにビスで固定・・・。次にサーボスペースに固定してあるベニヤのマウントにエル型マウントをビスで固定・・・。要するに・・・使用するサーボ(マイクロサーボ限定)に合わせて加工して組み込むので、大手メーカーのマイクロサーボで画像のサーボと近似値の寸法なら取り付け可能と成る・・・。
 
● サーボホーンはオプションのアクセサリーパーツのアームの長いタイプを使えば、翼面の外側に先端が出て来る・・・。サーボの最大作動角は概ね60度なんだが・・・アームが長ければ長いほど、動く前後の距離は長く成るので今度はスペースにあたる可能性も有る・・・。サーボの中心からサーボホーンの先端の孔までの距離よりも、ラダー側のホーンの距離が短いと今度はラダーの作動範囲を越えてしまうのでラダーのヒンジが壊れてしまう・・・。よって!プロポの機能にデュアルレートが有るので、サーボの最大作動角を減らして、ラダーの作動角と合わせると好いと思います。まあ・・・模型機用にラダー面積を増やしたので、ラダーの最大作動角は片側15~20度も有れば充分効きは良いと思いますよ。此れが無動力のサーマルグライダーなら足らないけど・・・。動力機だからねえ・・・無動力時の沈下スピードはスロープ用のアクロバットグライダー並みの速度だし・・・。
 
● 垂直尾翼のサーボスペース両面のパネルを取り付けるべく・・・6mm角のブラケットを加工して取り付けました。チマチマとした作業なんですが、模型飛行機を作る為には大なり小なりのアクセスパネルやらサービスハッチ等は作らなければ成りません。最初はね?・・・物凄く面倒臭く感じるんですが、此れが当たり前に成ると・・・然程苦にもならなく成るんですなあ・・・。まあ・・・セロテープでグルグル巻きにするよりは、見栄えするって程度ですけどね?・・・。もし!・・・昭和のジェダイマスターと同じ飛行場に居るんなら・・・この程度は出来ないとねえ・・・。セロテープを卒業して、こういったギミックに凝り出したらジェダイマスターの方からフレンドリーに近寄って来ますよ(笑)・・・。
 
● 最初に垂直尾翼を設計した時に、何処にスペースを作るのか?・・・大きさはどの位にするのか?・・・等を決めるんですが、抜き過ぎると垂直尾翼の強度が落ちますので、あまり余裕が採れませんでした。更に・・・サーボはマイクロサイズなんですが、消費電力と相談すれば、トルクは1,5kgは欲しい所なんですが、このサイズのアナログサーボでもトルクは1㎏強・・・。此れを両引きするって事は、バックラッシュが皆無に成るのでリンケージの類は汎用性が大きく成るんですなあ・・・。クランクゼット曲げの細いピアノ線のみの両引きではガタは消せませんが、テグスワイヤー込みの両引きリンケージで、ワイヤーのたるみを完全に取ってしまうと・・・アジャスター付きのピアノ線ロッドと条件は同じに成るんですよ。
 
● この両面ハッチ型の両引きのリンケージ・・・基本的に、サーボの幅を埋め込める翼の厚みが有れば、垂直尾翼バーチカル以外にも他の翼にも埋める事は可能です。片引きでも・・・ヘリコプターのリンケージ並みにボールリンクと両ネジのロッドアジャスターを使えば、同程度のガタの軽減には成ります。実際に当工房の大型スケールグライダーには、最初から両引きが出来る様には作って有るんですがね・・・。オーナー諸氏が面倒臭がって片引きにしてるだけです。(Part-37に続く)