ANTARESーⅠ型 (No-19) 山本昇氏オリジナル設定機 Part-1 (2) (3) (4) (5) (6) (7)  (8) (9) (10) (11) (12) (13) (14) (15) (16) (17) (18) (19) (20)
 
● まだまだ終息の見えないコロナ禍の現在、県を跨いでのスロープサイトへの移動が出来ない状態が続いています。令和三年早々に、此方長崎県も都会程では無いにしろ、連日二けたの人数で感染者が増えている状況です。其れと・・・悲しき事態、既に高齢者の死亡も出てしまいました・・・。よって県知事さんの号令の下、長崎県全域に県独自の非常事態宣言が発令され・・・県内においても不要不急の移動は自粛せよ!とのお願いがありました。さて!・・・県を跨がず長崎県内のミドルクラスのスロープサイトの点在圏内と、現在増え続ける感染者の市町村が重なっていますので、其れを承知で移動するのも考え物・・・。終息時期までの自粛とは行きませんが、其れに近い状態まではテスト飛行もお預けと言う事で、ヴェガに続く山本昇氏の設計機であるアンタレスを作ってみたいと思います。

● この機体は昭和の時代に誕生した機体です。この手のデザインの機体なら平成のラジコンブームなら当たり前に存在してそうですが、この洗練されたフォルムが既に昭和に完成されていたんです。この時代のプロポは、ミキシング機能と言えば受信機とサーボの間に組み込むぶら下げボックスが主流です。ただ其れも・・・サンワのプロポ用という狭き世界でのお話・・・。6チャンネルプロポはありましたが、ツースティックのフルハウス4チャンネル分とオグジュアリー(AUX)としての、フラップのレバーと引込脚用のトグルスイッチが付属していただけの6チャンネルプロポの時代・・・。では本機のフラッペロンの機能はどうやって作動していたのか・・・。そら!もう!・・・機械式のリンケージを駆使した構造でしたなあ・・・。まあ、其れが当たり前の時代だったので、当時のモデラーさんは如何にして機構を組み込むかに励んで飛行機を作っていた時代でも有るんですなあ・・・。
 
● フラッペロンの機構だけじゃなくて・・・スポイラーまで連動させるんだから、何処までも複雑な機械ミキシングなのか?・・・って思ったら、このイラスト画像を見て理解不能なのは、送信機側にこんぴ~たあが組み込まれた平成時代のモデラーさんでしょうなあ(笑)・・・。こんな複雑なモン組み込まなくても、適当にラジメカ積んどきゃ後は送信機側で調整出来るし・・・ってのが、スチレン世代のモデラーの言い分。でもですなあ・・・この機構を観て、あれ?・・・この機構にプラス電気ミキシングなら、更に細かい調整が可能!・・・って気づいた人なら、迷わずこの複雑なアナログミキシングを組んでみたい衝動に駆られているんじゃないですかねえ・・・。SF的な異次元飛行物体大好きスチレン世代なんだもの・・・電気ミキシングだけじゃ作れないのが、現在の模型事情・・・。其処までおりこうさんじゃないんですよねえ・・・現在のプロポでも・・・。どんなに複雑な多軸ローターのドローンでも、複雑な動きは全て横滑り飛行から始まるんですが、トラブルによる低空飛行時の急角度の横滑りに即座に反応出来ないのが玉に傷・・・。毎分数万回転のローターが手裏剣状態で降下して来るんだもの・・・大勢の群衆の中に落ちたらどんな事故に成るのか・・・。その辺を理解した上でキャンディドロップやったり空撮やったりして下さいね。
 
● 本機はスロープサイトにおける風速の強弱のコンディションに合わせた複合的な状況を、一機で賄えるように設計されています。此れが当工房が本機の製作を決めた理由でもある・・・。スロープサイトが無風の時に、強力なサーマル(熱上昇風)が期待できない条件なのに、フルスパンのレーシングなんか投げたって満足な滞空飛行なんか望めません。ですが!超軽量な低翼面荷重のグライダーなら其れなりに飛べます。逆に・・・風速が秒速10メートル以上の強風域において、この超軽量機はコントロールすら不能に成りますが、高翼面荷重のレーシングなら異次元の飛行が出来ます。

● 本機はこのスペースシャトル素材のレーシングが出現する以前の機体です。弱風の場合、キャンバーが大きく揚力の大きな翼型を持った翼面荷重の小さい機体が有利です。しかし、強風においてはキャンバーが小さく抵抗の少ない翼型を持った翼面荷重の大きな機体の方が飛ばし易い・・・。この相反する空力的条件を一つの機体でカバーしてしまうのが、今回製作する山本さん設計のアンタレスです。印刷画像の胴体内部には、重心付近に二個の鉛のバラストが搭載されています。此れで翼面荷重の調節を行いますが・・・あれ?、何処かで同じ様なものを見た気が・・・。そうですよ!レーシングの胴体内部に設けられたバラストチューブ・・・と同じ機能です。
 
● 山本さんの機体の場合、フライングスタビライザーを自機に多用されるようですが、その実現の為には構造自体が簡素化された手抜き構造では無いんです・・・。細かいパーツを組み込んで一体化していますが、それらの部品の殆どは航空ベニヤだのピアノ線だのアルミのパイプだの・・・。当時の入手可能なラジコン関連の素材や市販パーツの転用で構成されているんです。よって作る事に拒否反応を示さないモデラーなら誰でも再生出来るんですなあ・・・。サーボホーンの出力軸の孔を観て下さいな!・・・。正方形の角孔でしょ?。まだギザ山の出力軸が出現される前までのサーボって、こんな感じなんですよねえ・・・。よって、如何にリンクの機構を正確に組むかが、この時代のモデラー同士の腕の見せ所でもあったんですなあ・・・。

● 今の時代は昔に比べれば、ラジメカの多様性は優れています。よって昔の機械ミキシングを正確に作る事が出来れば、その機構と電気ミキシングが融合できるプロポなんですから、更なる模型飛行機の多様性も見えてくる訳ですよ。飛行物体が空中で合体して変形する時代・・・。其れに近い機能が出来るとするならスターウォーズのエックスウィング戦闘機なんかも実現可能じゃないですかねえ・・・。空中で主翼の転回機構・・・。翼型はどうすんだよ!って平成生まれのネット物知り博士に突っ込まれそうですが(笑)・・・。そんなもん!頭使えば可能でしょうが!。完全対称翼にすれば良いだけですよ。其れを上下に展開・・・。フラットボトムの翼型が二枚合わさってるのが完全対称翼なんだもの・・・。無尾翼機のアトラスコメットなんか、最大翼厚13%もある完全対称翼です。此の翼型のまま、無動力状態でスロープサイトをかっ飛ぶんだから・・・。13%翼ってまるで動力機の翼型です。アクロバットの出来るスポーツ機の翼型って所かなあ・・・。この翼を上下に転回すれば良いんですなあ・・・。当工房のガンバちゃんの複葉機には、こんな翼型のテスト機も有りましたねえ・・・。普通に飛んじまう複葉機でしたけど・・・。見た目がね・・・下の翼が変だってウケませんでしたのでボツ・・・。
 
● ラジコン技術誌のページ内に記載されたアンタレスの三面図です。さて・・・この三面図を原寸図にするのが最初の難関・・・。幸いな事に、本機の主要諸元には全長1200mm・全幅1850mmと記載されています。まずは1/5の縮小図面を作成します。そんな面倒臭い事しなくても、直接拡大すれば早い!って思ってる人・・・ある意味大正解!・・・とはいえませんなあ・・・。このラジコン技術誌の三面図、何度も使ってりゃ気づく事なんですけど・・・寸法が好い加減です(笑)・・・。其のまま拡大すると、主翼の取り付け角やら水平尾翼の取り付け角度がズレ捲ります。この好い加減さを少しでも軽減させるなら、まずは原寸図の縮小図面を作図すれば良いんです。

● 全長が1200mmと決定しているので、1/5に縮小すると全長は240mmです。この印刷図面の機体全長は198mmで記載されてます。この倍率の近似値を求めると、1,21倍となりました。此れが解れば後は楽・・・。単純に1,21倍しながらアウトラインや胴枠・リブの間隔を記載して行けば良いんです・・・。この時に分度器等を使って主翼の取り付け角(迎角)を正確に測って書き入れましょう・・・。すると、胴体に勘合する主翼の位置が決まります。其れにより・・・主翼前後の胴枠の位置もある程度決まって来るんです。
 
● 本機の水平尾翼はフライングスタビライザーなので、左右二分割方式です。図面上で測ると約50mm・・・。此れを1,21倍すると60,5mm・・・此れを原寸にすると302,5mmとなります。綿密にいいいい!・・・なら、この寸法を再現する所ですが、この印刷図面上の寸法が約50mmなので、実寸上の2,5mmは省略・・・単純に片翼のスパンは300mmで良いと思いますよ。何故なら・・・バルサの厚みなんて好い加減ですので、端数の数ミリなんかどうとでも成ってしまいますし、貼り込むフィルムやら接着の仕方でも数ミリの変化はありますので、あまり神経質になる必要は無いと思います。其処まで綿密に作らないと、自身のブログのコメント欄で馬鹿にされるうううう!ってご心配の方なら、しっかりと寸法出しして作って下さいな!・・・。其れよりも複製して飛びを実感出来なきゃ作る意味が無いんだから、まずは神経質な綿密さを取っ払って・・・飛ぶ機体が出来なきゃ意味が無いでしょう・・・。本機は、フラッペロンとスポイラーが完全に連動してくれないと性能評価までは至りません。更に上反角が殆ど無いので、自立安定性脳は乏しく・・・当て舵が打てないと機体は水平姿勢に戻りません。よって、ラダー機がやっと飛ばせる初心者さんには飛ばせない飛行物体です。

● 更に本機の主翼の翼型は(エップラー180)なんですが、この印刷図面の翼型の翼弦と、主翼の翼弦とは等倍比率の表記ではありません。よって其のままでは使えないんですなあ・・・。ただ!・・・この翼型の記載・・・基準の直線が記載してあるんですなあ・・・。翼型の本には、この基準線が記載して無いので自分で書き入れないと作図が難しく成ります。この基準線一本の記載が、どれだけ実寸大の拡大の手助けに成るのか・・・山本さんに感謝しなければなりませんなあ・・・。翼型が10分割してあるでしょう?・・・。此れは山本さん独自の相似形翼型の作図方法です。主翼の上面図を基本に、翼の上面図全体の作図からリブの取り付け位置を記載し、翼根と翼端のリブを10分割します。この座標を全て直線で繋げば全てのリブjが10分割されます。
 
● 画像はヴェガの翼型の作図なんですが、この山本さんは比例コンパスを使って翼型の座標を求め、その座標間を雲形定規の曲線を使って繋いで行く方法で作図しています。この比例コンパスの特徴なんですが、上下の針先の間隔が決まれば、その比率のまま拡大も縮小も出来るという優れものです。市販の雲形定規を使えば、数種類の定規のどれかと翼型のアールが合致します。翼型の基本なんですが、見れば一目瞭然・・・。作図した座標に沿って自然なアールで形成されます。よって座標を沢山プログラムするCADが無くたって、好みの翼型の作図はアナログでも出来るって事ですよ(笑)・・・。

● 文明の利器が使える人は使えば良い・・・。何か真新しい高度な利器を使わないと、自分のブログが見向きもされないって思うんなら、迷わず高度で高価な文明の利器を使いましょう・・・。でも、其れって・・・高価な利器を持たないと出来ない訳だから、お小遣いの潤沢なモデラーのみしか同じ状況には到達できません。それ以外のモデラーさんは置き去りって事でしょう?・・・。多分、日本国内のホンの一握りしか高度な知識を要する高価な利器は持てませんよ。当工房なんか蚊帳の外で充分です。量産する時は高価な文明の利器は使いますけど、一機しか作らないんだったら・・・こんなローテクでも良いんじゃないでしょうか・・・。比例コンパスを使い倒した現在、今の作図には比例コンパスも使わないで良いもっとローテクでも作図可能な事が確立できたので、こんぴ~たあが苦手なジェダイマスターの大御所さん達に教えたら大好評!。コロナ禍で動きを封じられたボケる寸前の大御所さんが、やる気を起こして息を吹き返しました(笑)・・・。バルサの板を重ねて削る?・・・そんな高度な技術使いません。ちゃんと画像みたいに作図するんですが、比例コンパスなんか使わなくても出来るんだなあ・・・。ただし!面倒臭いんですなあ・・・。だからジェダイマスター向きなんですなあ・・・。作図すればする程、ボケません・・・。
          
● 胴体側面図を1,21倍に拡大しました。此れで全長240mmです。本機の全長は実寸で1200mmなので、完全なる1/5のサイズ・・・。後は此れを単純に5倍に拡大すれば良いんですなあ・・・。縮小図面の1mm方眼を単純に5mm方眼で上下左右に拡大して作図すれば、本機のアウトラインが描けます。さて!・・・お次は内部構造なんですが、本機に使用された部材の数々、バルサシートにヒノキ棒にベニヤ板・・・全て木村バルサとお近くのヒノキ棒を扱うホームセンターで揃えられます。残るはやる気のみ・・・。此れだけは、作る意欲の無いモデラーさんには無理かなあ・・・。

● 実は・・・この事は完成するまで内緒にしときたかったんですけど、現在市販されている世界中のラジコングライダーのキットには、本機と同等のモーメントで設計されたであろう類似機種が何機か販売されています。何処のメーカーの類を教える事は出来ませんが、同じモーメント設定なら性能も本機に似通っていると言う事です。多分・・・フルエルロン型ならば、現在のグライダーは左右振り分けサーボ搭載なのでフラッペロンにする事は可能です。ただし、スポイラーまでは装備されていませんので、此れだけはご自分でご自身の責任においての改造が必要です。アナログミキシングにするも・・・デジタルミキシングにするも、貴方のやる気次第・・・。装備したからと性能低下には成らないでしょう。むしろ、スロープサイトにおいて猫の額ほどしかない狭くて安全な着陸ゾーンに、ピンポイントで降ろせる装備ですので、お仲間さんからは拍手で迎えられるでしょうね。
          
● 1/5の縮小図面で各部品のアウトラインを作図しました。お次はこのアウトラインを元に、本機実寸サイズまで拡大します。作図していて気づいた事なんですが、主翼のエルロン材はフラット幅かと思われましたが、翼端側の翼弦が若干狭く見えたので寸法を測ると、ラジコン技術誌の印刷図面上・・・翼根と翼端では約1,2mmの差が在りました。よって本機の主翼はテーパー型のエルロン材と判明・・・。うっかり間違えると、翼端側のヒンジラインで段差が付く所でしたなあ・・・。まあ・・・1mm位好いだろう・・・が、実は拡大したら5mm以上も差が出てしまった・・・って事もあり得るんですなあ・・・。見た目カッコ悪いですよォ~(笑)・・・。過去・・・ネット上のブログで、アンタレスもどきの機体を見た事があるんですが、まあ・・・ネット物知り博士が作ると、此処まで手を抜かれてしまうのか・・・って呆れましたなあ・・・。主翼はフラットボトム翼???・・・。ノーズ先端には、剥き出しのブラシレスモーター搭載で・・・って、そら!他人の勝手なんでしょうけどね。本来のコンセプトから大きく逸脱した飛びなんだもの・・・。ちと!がっかりでしたなあ・・・。

● 何で薄型半対称翼をフラットボトムに変更したんだろうか・・・。機首にブラシレスモーターを積むんだったら、元の半対称翼型の方が良かったのに・・・。動画サイトの飛行を見る限り、モーターフルパワーの上昇中・・・ずっと機首が上を向いて速度が上がらず上昇していましたなあ・・・。コメント欄にモーターのダウンスラスト5度付けよ!のアドバイスに、プロペラが下を向いて飛ぶのはミテクレが悪いし悪影響が出ると思う・・・と答える始末・・・。フラットボトム翼って事は、翼の上面しか揚力が発生しません。よって推力線が主翼の下面と平行の場合、機首はずっと上向きのまま上昇しようとするので、エレベータのダウン操作・・・所謂打ちっぱなしの状態でないと、水平飛行に成りません。よって、モーターグライダーの場合、オーバーパワー気味のブラシレス搭載の場合・・・フラットボトム翼を使うならモーターの推力線を下向き(ダウンスラストを大きく)に取る必要があります。

● 半対称翼の場合、翼の上面ほどの曲面は無いですが、下面も僅かに曲面を形成しています。よって翼の下面にも下向きの揚力が発生します。半対称翼型の飛行機が逆宙返りを出来るのは、下向きの揚力が発生するからです。よってこの博士の機体の場合・・・ダウンスラストを付けたくないのなら、オリジナルのままの半対称翼(E=180)を採用するべきでしたね。この翼型なら下面も膨らんでいるので、推力が増せば増すほど下向き揚力が上がるので、機体は水平姿勢のままかっ飛んで行きます。ムサシノ・フリークの博士でしたしねえ・・・フラットボトム翼の飛行機しかラインナップに無かったし・・・。もちっと機体のコンセプトを理解してから改造して欲しかったですなあ・・・。
 
● 隣町の老舗の文房具店から購入しているB1(700×1000mm)の1ミリ方眼紙・・・。画像の様に10枚まとめてロールにして保管しているので、クセが着いています。このクセを取って平面状態に戻さないと、作図の時に何かと面倒臭いんですよねえ・・・。まあ、クセ取りにも色々と方法は在りますが、当工房の場合・・・画像の様なフィルムの中芯を使ってくせ取り用の矯正治具を使っています。フィルムを購入して貼り込む度に一本ずつ増えるこの中芯・・・。使い方は色々あるんですよ。過去、グローエンジンが全盛の時代は、この頑丈なフィルムの中芯を飛行機の後部胴体に使う製作記事が、ラジコン技術誌に掲載された事もあるくらいですからね。
  
● 方眼紙の裏面を内側にして、この中芯に巻き付けてから、押さえの中芯を被せます。巻き付けた心棒と被せた心棒は直径が同じなので、短く切って被せた心棒をカッターナイフで裂いてから被せると、適度な押さえの力も加わるので此のまま小一時間程放置します。その後広げるとクセも取れて平面状態に成ります。あれ?・・・1メートル以上有るんじゃない?・・・。本機の胴体の全長は1200mm・・・。よって二枚分の用紙を矯正して、一枚を400mm幅でカットし、両面テープで繋ぎ合わせて長さ1400mmの用紙にしています。フィルムの中芯は減価償却済みの在庫品・・・材料費はタダですな(笑)・・・。
 
● 胴体の側面形原寸図を引いてみました。最大高115mm強・・・此れが昭和50年代初期のラジコン機の胴体寸法です。聊か胴体の容積が大きく見えるんですが、此れが丸銅や六角胴体の場合、容積率は四角胴体よりも減るんです。よってこのサイズでも適正寸法と成ります。何故なら、この時代のサーボサイズはやっとミニサーボと呼ばれるクラスが各メーカーから出始めた時代・・・。現在の様な薄い主翼の中にサーボを埋め込める時代じゃ無かったです。よって此れでも細くなった方ですよ。本機アンタレスは、胴体上部が半丸・・・胴体下部は三角状に成るので、ラインが二本入っています。まあ・・・ガルモデルのグライダーキットを多く作られたモデラー諸氏にはお馴染みの構造といった所でしょうね。

● 1/5の縮小図面を5倍に拡大して原寸図を起こす訳ですが・・・、ラインの基準はどうやって転記するのか・・・。こういった質問も有る時代なんですよねえ・・・。別に知らなくても馬鹿にはされませんし、まあ、馬鹿にする方が可笑しい・・・。知らなくても良い知識の一つですしねえ・・・。コピー機を使えば良いので・・・。ただ、何故に実寸の1/5の図面をワザワザ作図したのかの理由が、この原寸図面の中に有るんです。縮小図面の方眼紙の最下部ラインと原寸図面用紙の最下部ラインにご注目!。5倍に拡大するって事は、単純に10mm幅なら50mm幅になります。よって方眼紙の最下部ラインから胴体のアウトラインの寸法を縮小図面から計測して、5倍の寸法で原寸図に戻してやれば良いんですよ。簡単でしょ?。何も複雑に考える必要は無いんですなあ・・・。CADが無かったら作図出来ないなんて・・・あり得ないお話・・・。ただし、面倒臭い作業では在りますなあ・・・。文明の利器を使いこなすのも必要でしょうけど、其れよりも作って飛ばしたいから実寸拡大するんですから、別にCADが使えなくても作図は出来るんですなあ・・・。其方を優先した方が良いですよ。
 
● 本機の重心位置は前縁から90mm程・・・。中央付近の翼弦長は300mmですからやや前重心・・・。垂直尾翼が縮小図面では馬鹿みたいに大きく見えてますよね。平成以降のこのクラスのグライダーから見れば大きく見えるんですが、この機体の胴体のモーメントは(1対1,8)位ですので、(1対2)のモーメント比率の機体に比べれば、テールモーメントが若干短い部類になります。よって垂直尾翼も水平尾翼も大きくて当たり前です。むしろ大きく見える垂直尾翼は、後部胴体の側面積を補う意味もありますので、まあ、適正だと言えますね。ええ?・・・じゃあSAL機なんかどうなるんだあ?・・・後部胴体はカーボンパイプ一本だけど、直進性は大変いいぞ!。ハイ!御最もで・・・。その代わり、テールモーメントが長いでしょ(1対4)位あるのに、垂直尾翼の面積は(1対3)の胴体モーメントの比率と変わらない位デカいです。テールモーメントが長く成れば長い程、尾翼の面積は小さく成るんですが、その比率を崩すのは後部胴体の側面積を補う為です。まあ・・・SAL機でナイフエッジ等のアクロバットなんかしても意味無いですもんねえ・・・。

● ラジコン技術誌の印刷図面はいい加減だと記載したんですが・・・。本機のスタビライザー(水平尾翼)の構造に注目して下さい。尾翼内部に埋め込むカンザシ用のパイプ、並行配置に見えないでしょ?・・・。此れってどちらのパイプが基準だと思いますか?・・・。この二本のフライングスタビ用のカンザシ・・・平行配置じゃないと綺麗に根元まで収まりません。初心者さんが、手っ取り早く有名人を目論んで高度な機体の自作に手を出す時フリーズしちゃう原因が、こういった図面のミスなんです。彼らは此れが当たり前だと思っているので、まったく気にも留めません・・・。他にも矛盾は各所に有るんですが(笑)・・・。自作モデラーならば、こういった印刷図面の不備も寛大な心で修正するのが普通・・・。ネット世界になると、そのバーチャルな世界が現実にでも成るんですかねえ・・・。自分の知識と技術の無さを棚に上げて、お仲間掲示板で憂さ晴らししてるでしょ?・・・。まあ・・・こういった誤植ミスってのもありますので、まあ、一つの資料だと思えば良いんですよ。ぶ~んガチャン!を繰り返しながら上達したモデラーさん程、多彩な知識と技術を持てるって、ジェダイマスターな大御所たちは口を揃えて言いますけどね・・・。
 
● 図面に書き込む為だけの(E=180)を作図します。印刷図面の(E=180)の翼弦は98,5mmです。実寸作図では300mm必要なので倍率を計測しました。印刷図面の翼弦長を3,04倍すれば実寸の翼弦と成ります。この倍率が解れば後は印刷図面からの実寸計測・・・。アバウトな数値なんですけど、最大翼厚8%の(E=180)が作図出来ました。山本さんがこの翼型の中にある基準線を書き入れてくれていたので、作図が大変楽です。基準線から上下の翼の曲線までの距離を計測して、3,04倍すれば良いだけですからね。
 
● この(E=180)という翼型は、弱性のSカンバーです。主翼上面の後部が若干凹んでいます。こういう翼型は、最近ではSAL機などによく使われます。遠心力で加速して、トップスピードの状態を保ち急角度で上昇する際・・・弱性のSカンバー翼なので,言わばフラップアップの状態・・・。加速しても機首が必要以上に持ち上がらないので、速度が増して高度獲得が容易に成ります。8%の半対称翼って事は、レーシング並みの薄さなので、スロープ機の翼型としては強風ならどの位の加速度合いなのか・・・。初心者さんが欲しがる機体フォルムですけどねえ・・・。多分、操縦は難しい部類に入りますなあ・・・。上反角設定Oなので、自律安定性は・・・初心者向きでは無いですなあ・・・。当て舵打たないと水平姿勢には戻りませんしねえ・・・。OK模型のディバインを自由に飛ばせるモデラーなら扱えるかも・・・。ただし・・・ディバインは10%半対称なので、其れより薄い翼型です。スピードはディバインの30%増し位でしょうなあ・・・。時速150キロ前後って所かなあ・・・。初心者じゃオーバーコントロールで操縦不能でしょう・・・。
  
● 翼型を書き入れてみた所、その動翼と成るフラッペロンの幅の広い事・・・。山本さんの設計では主翼面積の1/6が動翼との事・・・。側面図では然程大きく見えませんけど、翼端までのフルエルロンのフラップ仕様って事は、フラップダウン時の滞空力は相当良いんじゃないでしょうかねえ・・・。着陸の際のスポイラーとの併用で、その減速力はレーシングのバタフライ機能に匹敵するんじゃないかなあ・・・。元々、こんな風速コンディション・オールマイティを狙った機体なんか、存在せんだろう・・・って所からの開発機なんだもの・・・。此れが可能な機体が存在するんだったら、既に何処かの大手のメーカーが販売してると思うんですがねえ・・・。まあ・・・ギャンブルみたいな一発機で、愛好者が少なくて狭い世界なら、売れるのもタカが知れてるので・・・何処も作らんでしょうなあ・・・。そういうタイプの飛行機ですしねえ・・・。でも、スロープソアリングにどっぷり浸かってるモデラーさんにとっては、夢みたいな飛行機に成るでしょうなあ・・・。大会では一機のみで弱風から強風まで善戦出来るんだし・・・。

● さて!・・・一発機ついでにもう一つ・・・。此れは多くのモデラーさんが不思議に思ってるだろう、山本さんのアンタレスの構造七不思議(笑)・・・。印刷図面では主翼の後縁側・・・後部胴体のF4胴枠とF5胴枠のど真ん中で、側板材を継いでます・・・。まあ・・・レーシングやってる人が、着陸時の失敗でグランドループに入ると、大概の飛行機は此処がポッキリと折れるんですなあ・・・。此れはバルサ機でも胴体が細いと起き易い破損具合です。何でこんな所で継ぐんだろう・・・が、七不思議でしょうなあ・・・。

● この件については、本機の組み立てが始まると誰でも理解すると思うんですが、平たく言えばですなあ・・・。山本さんの本機製作のコンセプトが、余計な端材を作らないとして機体サイズが決定しています。多分・・・この機体・・・もしかすると、キット販売か何かを目論んでいたんじゃないかなあ・・・って推測出来るんですなあ・・・。よってこの位置で胴体側板を継ぐって事は、機首側側板の部材を定尺900mmのシートから取った残りの有効利用を考えたのかも知れません・・・。って事は、山本さんの自作機にも形紙が存在してるって事ですなあ・・・。形紙作って、バルサシートに載せないと寸法が解らないでしょ?。機首側からこの位置までは約700mmあるんですが、定尺幅80mmのバルサシートなら、後部胴体側の部材なら700mm以内で採寸可能なんですなあ・・・。よって残りの200mmなら尾翼のリブなら採寸可能ですしねえ・・・。本機は垂直尾翼と水平尾翼以外の胴体に使われるバルサシートの厚みなんですが、1,5mm・2mm・3mm以外は使って無いんです。よって一番汎用性が高くて、お手頃なバルサシートを使って安く作ろう目論見が・・・見えるんですよねえ。
(Part-2に続く)