●中学生の私の人生を決定付けた機体です。


● 中学三年の時に当時のラジコン技術誌の計らいで所沢市の山本昇氏を紹介してもらいました。あれから38年の歳月が流れ・・・山本氏の製作されたヴェガシリーズ機の完全コピーを経て、自分の飛行技術に合わせた新しいヴェガシリーズが完成しました。山本氏が「必ず付けろ!。」と言っていた低翼機のハンドカタパルト装置である(指掛け孔)も全機標準装備してあります。単純に考えて指掛け孔が無かったら・・・放り投げるのは至難の業です。助手が居れば別なんですけどね!テストフライトは大概一人でこっそりとやってますから・・・。


  ● 最近ラジコングライダーに目覚めたネットまみれの若いマニアにこの写真を見せたところ、「カッコ良いですねえ〜、何処のメーカーの商品ですか〜?。」これが個人の作品であると告げると信じられない!といった顔をしていました。「ブラシレスで飛ばしたらとっても性能良さそうですね。」って、山本氏が聞いたら何と答えるでしょうか。昭和40年代の作品でも現在のネット物知り博士を唸らせるフォルムを持つ、山本氏の感性には未来を見据えた能力を持った人物であると感心しました。中坊だった私は今のネット物知り博士と何ら変わらない知識しかありませんでしたが、年月の経過と共に当時の山本氏の想いが解かる様になって来ました。21世紀のヴェガシリーズは更に進化された機体デザインになって行くでしょう・・・。

  ● 上記の機体は昭和48年・埼玉の山本昇氏が設計された「ヴェガシリーズ」です。この機体の真の性能を探るべくX-11型とX-14型を其々完全コピーして飛ばしてみました。ところが山本氏も製作記事で述べておられたのですが、自分の手には負えない位の高性能機・・・スピードが出過ぎる、舵の反応が早過ぎる・・・結局クラブのアクロバット大好きのメンバーさんにお任せ〜。後方に見えるX-13型は二機の性能を基に今の自分の飛行技術に見合う能力を持つ機体に仕上げてある「VEGA-U」です。あの大御所と言われた山本氏でもそういう時代を経験しておられました。私自身も同じところで壁にぶつかり悩み続けてある日光明が射した時・・・、自分のスタイルが決定しました。


  ● もし依頼されても完全コピー機を売る事はしませんが、既にこのヴェガシリーズから自分の飛行レベルとスタイルに合わせた「NEW-VEGA]のシリーズが生まれました。ネット流行の「ダクトでえ〜、ブラシレスでえ〜・・・。」のマニアは横に置いといて!、無動力スロープスタント・グライダーを谷底に下向きに放り込む事にエクスタシ〜を感じれる人だけの為の記事だと思ってください。

  ● 今から38年も前の話なんですが当時のラジコン技術に掲載されたこのヴェガシリーズは、当時中学生だった私に物凄いカルチャーショックを与えました。当時は学校の技術の授業で簡単な三面図は習いましたが、製作記事のこの立体三面図のアールの部分なんて其処まで考えられる能力はまだありませんでした。今でこそどんな機体の図面を見ても頭の中だけで完成された立体の内部構造をあらゆる方向から考えられる能力は身に着けられたのですが、やっぱり飛行機は飛ばしてナンボ、飛んでナンボの世界ですのでブーガチャン付きの飛行テストはセットで考えなくてはなりません。

  ● 中学生だった私はある日の事・・・このヴェガの原寸図が見たくなってしまいました。近所の無責任な大人の人が「ラジコン技術に一万円でも送ったらコピーしてくれるんじゃないか?。」この大人の言葉を素直に真に受けてしまった私は当時の中学生でも出来る新聞配達等のバイトを半年間続け・・・、自分の貯金も下ろして一万円を用意しました。良く考えてくださいね!、38年前の一万円ですよ。これを当時の通販方法に習い(小為替)でラジコン技術に送ってみました。当時の私のラジコンに対する熱い思いを込めて・・・。ところが一ヶ月経っても半年過ぎても何の連絡もありませんでした。

  ● ところが当時の編集部では中学生らしくない一万円の小為替と中学生らしい文章の手紙が不釣合いでどうして良いのか解からなかったそうです。既に小為替は換金期間を過ぎていましたので現金化は出来なくなっていました。実は其れから更に二ヶ月ほど経ったある日・・・お袋から手紙を受け取りました。「埼玉県のお友達?。文通でもしてるの?。でも〜汚い字よね〜・・・。」お袋から受け取った手紙はラジコン技術の製作記事を書いた山本昇さんからでした。山本さんは私の当時のラジコンレベルを一発で見抜きました。今の君の能力では作れないし飛ばせない・・・同じ言葉を今のネットの初心者に言ったら、間違いなく一桁チャンネルの餌食でしょう・・・。しかし、当時の私には落胆よりも新たな闘志の方が大きかったです。氏から送られて来たのは手紙だけではなかったからです。一緒に送られてきた細長い小包の中身は、ガルモデルのグライダー入門機(アドラーU型)でした。

  ● 半年以上落ち込んだり明日に希望を託してみたりの果ての嬉しいサプライズに、知識先行型のネット物知り博士になる事なく当たり前にブーガチャンを繰り返す普通のマニアとして成長し、現在に至っています。山本氏とは文通という形で模型グライダー製作の通信教育を受けていました。氏は原寸大のアドラーの三面図の中に組立に必要な情報は全て記入してあると言いました。しかし、その記載された図面の情報を全部読み解くには高校生活の三年分の授業で教わる事だから、それが解かった時普通に拡大の三面図は書けると言いました。自分の技術が確立したらその時代の高性能な部品を使って、ヴェガをコピーしてごらん!と山本氏の最後の手紙には書いて在りました。完全コピーだけではありません。この時代の材料をフルに使い、更に進化させた機体を作って行きたいと思います。

● NV-01型に使用した捻り下げの冶具です。これをアルミの角パイプに固定して使用。

● NVシリーズの機体を構成するスチレン素材のリブ材です。翼端のみ3mmバルサを2枚重ねて使用します。この先に垂直尾翼が着くからです。NV機の特徴の一つであるフラットボトムの翼型で構成された垂直尾翼と翼端のバルサは平面同士なので、接着し易かったからです。ネット物知り博士の「悪影響が出る!。」が心配の人には理解されないと思いますが、アメリカで使用されているF−15イーグルは使用目的の汎用性の理由で、半対称の翼型をした垂直尾翼を対で搭載しています。対空砲火や空中戦でどちらかの尾翼を吹き飛ばされても、普通に飛べる様になっています。ただし機体中心からスラストラインがズレていますので半対称翼型となっています。ちなみに・・・自衛隊使用のイーグルは・・・、完全対称翼です。対空砲火もバルカン砲やミサイルによる直撃も受けません。尾翼が吹き飛ぶ事もありませんし、メーカーさんは左右どちらでも使える垂直尾翼を単品で在庫しておけば済みます。ライセンス生産の基本は汎用性なので、数を作って売れてナンボの世界なんですが、模型も実機も同じなんですよ。

 ● 以上の理由によりNVシリーズの垂直尾翼は左右が対のフラットボトム翼になっています。平面に平面を接着出来ますし、お山で対空砲火も機銃掃射も受ける事は万が一にもありませんから。ネットの博士なら尾翼の取り外し式も考えるんでしょうけどね!・・・。翼端を複雑な構造にすると着陸時に引っ掛けて破損したら・・・、修理が難しくなりますよ。多分・・・腹いせにネットに散々書き込むんだろうな〜・・・。そこまで想定して作っても接着する人はしますからね。機体サイズはセダンタイプの普通自動車の後部トランクに機体を組んだまま収納出来ます。機体の全備重量が600gぐらいで仕上がってしまいますが、翼面積は軽く30duを越えていますので翼面荷重はサーマル機並みです。風速3mぐらいでも充分飛べるんですが、コンコルド型のデルタ機ですので重心位置にバラストを追加して翼面荷重を増やし、風速8mぐらいの時にかっ飛んでください。ダクトでえ〜、ブラシレスでえ〜なんていう無茶な改造をしない限り、普通に飛べる様に設計してあります。

 ● 多分、3セルブラシレスぐらいならグランドで飛ばせるとは思うんですが、じゃあスロープに持ち込んでモーターグライダーに・・・と考えても、モーター回して更に高速飛行を!・・・とはならないと思います。ブラシレスモーターの回転数がどの位のを使われるか解からないのですが、多分フルパワーでも回した途端にスピードが落ちちゃいましたあ〜・・・。って事にも成るかもしれません。着陸の減速装置としてなら機能出来るかもしれませんが・・・。