● 無動力フルサイズの大戦スケール機と近代ジェット戦闘機の空中戦です。ダクトでえ〜っ!ブラシレスでえ〜っ!と保険付きのグライダーをご希望の方はご遠慮下さい。垂直に近い斜面の縁から下向き30度に機体をドスコ〜イと放り込めないマニアもご遠慮下さい。不時着した機体の回収が面度くせえという方もご遠慮下さい。登山靴とピッケル持って機体を担いで山登りの出来る人なら参加出来るでしょう。でも・・・歩けませ〜ん、持てませ〜ん、お腹すいた〜、疲れた〜・・・は、置いてけぼり確定ですのでご注意ください。試作したクラス(F-1)の飛燕の構造です。生地完成2450gの構造です。ノーズに600g搭載で重心が合います。仕上がりは基本3200gなんですが・・・、どうすりゃ4500gになるんやろう・・・不思議です。オーナーのN君!、何で〜?。


● 主翼中央部の結合は外部からは見えないのですが、内部に6mmのカーボンカンザシを埋め込んであります。スパー材の幅に合わせて厚さ10mmの木型用スーパーハードバルサの内部をくり貫き、6ミリのカーボンシャフトに厚さ2mmのヒノキ棒を仕上げが10mm厚の角材になる様に巻き付けてエポキシで固めて埋め込んであります。この構造は簡素化されて全備重量300gの電動飛行機(EP−GANBA)にも採用してあります。言わば飛行中のバンザイ防止の工夫です。尚GANBAでは1,8mmのピアノ線を厚さ2mmのベニヤカンザシの中に埋め込みました。ネットの博士からは「素人の考え方だ!。」と酷評されたんですが、オーナーさんは200人以上おられますが、バンザイの報告はまだ聞きません。主翼二分割の大型グライダーのカンザシ・・・、焼きの入った鋼材を使ってるじゃないですか。GANBAのカンザシにピアノ線を使って2g増えたって、飛行性能が大きく低下する事はありません。むしろ、安全対策が施してあると思えば良いのではないですか?。

● ネット物知り博士にはウケないフォルムの機体デザインだとは最初から解かっていたんですが、スロープのレーシングフライヤーにウケルとは思いませんでした。GANBAの翼面荷重は動力飛行機と言うよりもモーターグライダーに近い数値で設計しました。スロープでどう扱われているのかと言うと、グラス製のレーシングでも浮けない様な状況の時のサーマルポイント探しで大活躍している様です。レーシンググライダーは空気抵抗を極力減らす翼型を採用して、走らせて飛ばす様に設計されています。走れば当然揚力も発生するんですが、機体の全備重量を空中に浮かせられない程の風速でもサーマル(熱上昇風)が垂直に発生していればその力を利用して機体を上昇させる事が出来ます。そこで保険付き(モーターグライダー)のGANBAの出番となる訳です。


● 上記中・右の画像は飛燕の為に製作したキャノピーの木型と塩ビ素材のブルースモークキャノピーです。世の中のネット物知り博士達が掲示板で繰り広げているキャノピーの製作方法は、ツルっとした水滴型が多いのですが、このキャノピーは適当な考え方で成形しようとしても・・・多分出来ないと思います。この様なタイプの成形品を段付型キャノピーと言います。


● この様な複雑な形状のキャノピーを作る場合は、上記画像4段目右側の様に幾つかのブロックに分けて削り込み最後に結束接着します。使用する接着剤は全て二液性のエポキシ接着剤を使用します。木型に使用するバルサはスーパーハードバルサです。ラワンみたいに硬いので業界ではバランと呼んでいます。それだけ硬いと言う事は身が締まっていますので、高温で一気にシートを軟化させて高温のまま木型に貼り付けるわけですから、柔らかい素材のバルサでは収縮してしまうからです。表面処理としてエポキシの溶剤にアルミの粉を混ぜて塗り込み更に水砥ぎして表面を滑らかにしてあります。

● キャノピーの真空成型の基本である木型の構造は、底辺の面積よりも上方の面積が小さくないと成形後成型品が外せなくなります。一発成型の場合例えて言うならピラミッドは一発押しが出来ますが、スフィンクスは一発押しが出来ません。スフィンクスの場合は最低でも分割パーツの木型で三発押し後接着組立となるでしょう。グルナウベビーのキャノピーも同じです。


● 木型のアール部分の切り替え面に小さな穴が開いているのが見えますか。これは真空成型の基本である空気抜き用の穴です。アールが切り替わってもエッジを正確に表現出来る様に空けられた空気穴です。大きすぎると凹みますし小さすぎるとアールの表現が曖昧になり仕上がりが汚くなります。この木型は試作用のラインに乗せてもらったので、最高10発ぐらいまでしか成型できません。もし、何百個何千個と成型するのであれば、もっと硬い身の詰まった樹脂型にしなければなりません。ここまでの作業で約10万円は掛かるんですが、N君はキャノピーの成型費用は3000円しか認めてくれませんでした。何千個と量産してコストダウンされた定価商品とカスタム品を同じ扱いにされても困ります。大御所さんにその事を話したら皆さんに声を掛けてくれてN君と同型機を発注してくれたんですが、キャノピーの木型代は人数分均等割りで払ってくれました。昭和の大御所さん達は完成機屋と呼ばれている私達工芸品のカスタム業の事情を解かってくれています。


● 木型の底の面なんですが、バルサで作った木型の底には少なくとも6mm以上の厚みのあるベニヤを張り込まないと、高熱と強力な吸引でキャノピーのエッジが潰れていまいます。そこで材質的にはバルサよりも硬いベニヤを張り込んで同じ様に成形します。ベニヤの面は平らに見えるんですが、樹脂が所々着いている部分が凹んでいるところです。この状態がほぼ平面状態と言えます。床面に傷みたいに走っている線は上記で説明した空気穴のくぼみです。この溝を着けないと空気が抜け難くなります。

● 中と右の画像は主翼下面に取り付けるラジエーター前の整流カバーの中心リブです。スロープグライダーなので草地に下ろす胴体着陸なんですが、真っ先に接地する場所がラジエーターの底板面ですので内部補強する必要がありました。そこで画像の様に成型して真ん中から二つに切断し、両面を合わせて接着後ラジエーターの成型品のリブとして使用します。画像では余分な部分が残っていますが、使用する時は成型品の断面がT型になる様に加工して接着します。


● 飛燕のリブ材です。とりあえず残り三機分となりました。このリブ材・・・CADを使わず作図しました。中学の時に山本昇氏に比例コンパスの使い方を教わって以来、ずっと作図はコンパス一本です。私の家の真上はカミナリの通り道です。パソコン作業中にカミナリの音が少しでも聞こえたら必ず真上を通過しますので、安全の為にパソコンの電源は落としています。私の兄弟はアマチュア無線の一級の資格を高校生の頃に既に持っていました。家のベランダには物凄く大きな無線のアンテナが立ててあったのですが、カミナリが落ちる場所は我が家と決まっていましたのでその後アンテナを撤去する際・・・近所からは撤去反対の嘆願書が来たそうです。ただ・・・兄弟自体が実家から都会へ移り住んでいましたし、無線局が移動したので撤去の運びになったんですが、地域の人達はカミナリが何処に落ちるのかが解からなくなった今・・・自己対策に追われる事になりましたとさ!。落ちる時は半端じゃなかったですよ。物凄い音がしましたし茶の間のテレビの画面がいびつに歪んでましたしたから・・・バチン!と凄い音がしてコンセント付近が青白く光った事は一回では無かった様です。強力なアースの設備を施していてもこの調子でしたから。

● 一番右側の画像を見て下手な溝入れだと勘違いした人にはこの機体の主翼の構造は理解出来ないと思います。これはメインスパーの溝なんですが、主翼中央は10ミリの角材なんですが翼端では5ミリの角材になる様にカーボンロービングでコーテイングされたヒノキのスパーを自作しました。主翼中央のバルサ10ミリのカンザシの内部構造はトップ項目の「なんちゃってカーボンカンザシ」の工作ぺーじで何れ紹介します。ガタ無く確実にロックし初心者でもミシン(糸のこ盤)が確実に使える人なら製作は容易な構造です。

● 別項目でも同じ事を書いているんですが、この画像は生産が既に修了しているOK模型・EZ機のキャノピーとテトラ(丹菊モデルクラフト)のバルサキット・ホーク18のキャノピーです。生産が修了していてもメーカーに在庫として残っている部品には必ず品番が付いています。廃番にならない限り在庫として残っている場合が多いので、キャノピーを基準にして機体サイズを決め自作機を作る事も可能です。大戦機を自作したいと思っても最後の難関がキャノピーの製作なんですが、私自身も若い頃同じ苦労をして自作の二の足を踏んだ事があります。こういう時代にこそパーツとしてキャノピーが定価で存在しているのなら、購入して自作機に挑戦してみるのも面白いと思いますよ。

● 一緒に写っているのは1リットルのコーラのペットボトルなんですが、キャノピーの大きさが解かりますか?。このキャノピーはOK模型・40クラスEZの零戦とムスタングのキャノピーです。定価で存在していたんですが現在のリストからは消えています。しかし機体本体は無いんですが、キャノピーの在庫は残っています。自作機を作りたいマニアは一度メーカーさんに直接聞いてみてはどうですか?。以外と解決策が早く見つかるのではないかと思います。

● 左の画像はOK模型・EZ40クラスのムスタングのキャノピーとラトルスネイク製1/16ムスタングのキャノピーで大きさ比較をしてみました。中央の画像は当社製品のF3A型スロープスタント機ワイルドボアのキャノピーなんですが、前後其々二種類以上の使い分けが出来る様に最初から作ってあります。当社のキャノピーはカスタム機用の特注ですのでキャノピーのみの一般小売はやっていないのですが、左画像の二種類はメーカーに在庫が残っていればキャノピー単体での購入は可能だと思います。右の画像は奥がスピットファイヤー用で手前が飛燕用なんですが、両機ともキャノピーの形状が似ていましたので最初からセミスケール・キャノピーで木型を作りました。WAR−BIRD−FIGHTで使用している無動力のスロープ専用大戦機は、飛ばして楽しむだけのモノですので置いて楽しむ品評会用には作られておりませんが、特注品で作るスロープ用の機体に使用するキャノピーですので細かいディティ−ルは必要ではありません。むしろ確実に取り付けられて頑丈な方が喜ばれますので・・・。

● あまり巨大には見えないのですが・・・、スケール大会で動力機と並べても引けをとらないデカさだと思います。通常ならばエンジン部品と燃料がタップリ詰まっていそうな場所に・・・標準サイズのサーボとか大容量の受信機用バッテリーが詰まっています。でもね・・・あまり詰まってそうに見えないでしょ?。それだけ飛行機がデカいって事です。

● 画像後方に見えるのはスパン900mmのバンジー・ホーク(A−4スカイホーク)ですが、小さく見えるでしょう。スロープ用なので実機のスケールダウンのモーメントでは重心が合わなくなるんですよ。そこで!スケールフリークのマニアさん諸氏のお叱り覚悟でモーメント比率をスロープスタント専用機に変更しました。動力スケールの大御所ならばどう変化したか一目瞭然だと思いますが、こうでもしないとメカとバラストだけでは追いつきませんので・・・え〜と・・・ゴメンナサイ・・・。よってテールモーメントが短くなりましたので・・・、比率計算で水平尾翼を大きくして・・・垂直尾翼は水平尾翼の比率から約65%範囲で面積を決定しました。

● この後の量産型機からはスチレンペーパー主体で機体構造を組んだので、全備重量2500gは楽勝でしたよ。5mmのスチレン材も適材適所の複雑構造ですが・・・、丈夫になるんだなあと実感しました。同じスピードで斜面に突っ込んだら・・・間違いなくこの試作型機が再起不能になります。じゃあ量産機は?自重が軽いって言うのは・・・ある意味丈夫って言えるのかもしれません。スチレン材・・・恐るべし・・・。ま!落ち方と落とし方にもよるんですけどね!。初心者が派手に落としても絶対壊れないのは、頭の中の空想世界だけですって・・・。落とし方が悪かったら確実に再起不能状態まで壊れます。壊したくない人は完成したら絶対に飛ばさないか・・・上手な着陸が出来るまで壊れても良い飛行機で練習してからにしましょう。本日・・・無風と視界不良で飛燕は飛行中止でした。あれから数年・・・この飛行機のその後の消息・・・誰も知りません・・・。ミステリーです!金田一さん!。