PART−2



● メールのマニアの方への答えの一つです。左のイラストは翼端リブの冶具台付近を示した図です。上は翼端リブの冶具台に捻り下げを入れていない状態です。もし、主翼の翼弦がスパン(翼幅)方向でフラットな単形翼の場合(全て同じ翼弦)・・・、捻り下げを付けない場合は翼型の中心線の変化はありません。しかし、下の図の様に翼端リブに捻り下げを付けると、翼端リブの冶具台は図の様な形状に変化します。捻り下げを付けるという状況とは下図の様に翼のメインスパーの位置と翼の基準ラインを中心に捻ると言う事です。フィルム張りの時はこのメインスパー位置毎捻った状態なので、フィルムが緩むと元に戻ってしまいます。最初の作図状態から捻った状態でメインスパーの位置を決めれば良いのです。

● 本当に定盤みたいな平らな面は無いのか?・・・。右図はこの代用品を示しています。ホームセンターで普通に購入出来る長さ600mm以上のスケール(定規)を垂直に立てて、テーブル上のゆがみを計ってみてください。中心の隙間が0,5mm以下なら充分に定盤として機能出来ます。何ぼレーザーカットのキットとはいえ・・・、バルサの経年変化による抜きの部品の歪みとたわみは当たり前に存在していますので、許容範囲内だと思います。図の様に5方向からの直線のたわみ(谷状か丘状)が0,5mm程度なら使える定盤です。もし、スチレン材で冶具台を作るのであれば、本機NV型と同じ様に組んでみれば良いのではないでしょうか。テーブルに直接接着なんかしたら・・・多分・・・、奥方様にフクロにされるでしょうから、まず厚さ5mm程度のスチレンボードを両面テープでスポット貼りして下さい。このボードの上に直接作図して部品を組めば大丈夫だと思います。

● 上記の画像はGANBAのゼロ戦とプッシャー機の捻り下げを付ける為のプランク冶具台です。主翼を捻らなかった場合と違い捻って持ち上がった分・・・、後縁材の冶具台のテーパーがきつくなっています。メインスパー上は捻り下げ無し状態と捻り下げ付き状態は同じなので変化はありません。この冶具の場合は上面のプランクなのでメインスパー位置を上面プランク材の接着面で強制的に捻り下げを付ける工作方法です。

● この工作方法は付け焼刃のいい加減な構造なのではなく・・・、普通一般的な捻り下げの付け方です。最初から捻る構造だとこれぞ!ホンマのネット物知り博士の口癖である「綿密にぃ〜!。」の大変複雑な構造の冶具になってしまいますので、こういう方法で組んでいます。

● プランク材で捻る場合は本来捻らない状態で組んだプランク材の接着面よりもホンの0,2〜3mmずれた位置で全部のリブが接着されるので、捻れた状態を保ってくれるのです。フィルムを貼ってもこの捻り下げが崩れる事はありません。

● NV型の主翼冶具の基本構造が完成した画像です。スパーが5箇所入っています。前方よりプランク内補助スパー・メインスパー・抜き面補助スパーA・抜き面補助スパーB・後縁材の順です。リブ組みをする最初の工程で必要なのはメインスパーと後縁材なので組み立ての工程が進むにつれて必要になってくるのが、補助スパーの土台材となります。右画像の抜き穴は主翼側のスパー材を冶具台に固定する為のクリップ用の挟み穴です。リブ組みでは必要ないんですが、プランクする場合に翼の歪みや反りを防ぐ為に固定が必要になって来ます。

● 別の発想ならば中央リブの土台と翼端リブの土台のみ使用して、後は画像の様にスパー材を多用すればリブレス翼でもスパーレス翼で組む事が出来ます。バルサシャーレーの中芯を作るのと同じですし、昭和のF3B機はバルサのリブ組みのフルプランク・マイクログラス仕上げか、発砲スチロールコアのバルサプランク・マイクログラス仕上げのどちらかが主流でしたからね。

● 意地でもスチレンオンリーで作りたいパークフライヤーにも、理解し易い構造ですので厚さ3mmのスチレンペーパーを貼り込んで仕上げても良いのではないですか?。私の場合はあくまでも正攻法で行きますので、自分のやりたい構造で作っていきます。

● リブの軽減孔(本機の場合は空気穴)の加工に対してもメールが来ていましたので、私自身の加工方法をご紹介します。ボールペンを使って型紙よりトレースしたら、まず、カッターナイフを使って角抜きをします。刃をなるべく立てて切らないと余計な所も切ってしまいますので注意しましょう。一度切り込みを入れたらシートをひっくり返してみて筋目が入っているかを確認します。一方方向からのカットでは全部のラインが切れませんので、逆方向からもナイフの刃を入れてください。

● 穴の大きさに合わせて各サイズの丸型サンドペーパーホルダーを作っておきます。(オリジナルパーツの項・パイプの種類の紹介画像)ホルダーに貼り込むサンドペーパーは木工用の荒目の番数を使ってください。大体80〜120番です。スチレンシートの加工について誤った認識のまま堂々巡りをされているマニアが実際に存在していた事に驚きを隠せませんでした。スチレンシートは発砲スチロールのブロック体と然程・・・材質が変わりません。柔らかいからと番数の多いキメ細かな耐水ペーパーを使っても、思う様に削れてくれません。削れないからと更に力を入れてしまうとボロボロと塊でむしり取れてしまいます。要するに摩擦熱でスチロールが溶けてしまったのです。力の逃げ道が無いので塊でモゲタ!という状態になります。

● スチロールのサンドペーパーの掛け方で最も楽で成功率の高い使い方は、トレースした穴の周りに対して直角にホルダーを当てて削る面に対して僅かに力を加える様に前後にスライドさせます。余分なスチロールはむしり取ってしまう扱いなのですが、摩擦熱が殆ど発生しないので塊で取れてしまう事もありません。

● まず角抜きした穴の四隅を丸く削り込みます。次にホルダーをサイズアップさせて更に削ります。私の経験から言わせて貰うと金属板でも木工板でもスチロール板でも・・・、削る面のアールに近い直径のホルダーを使った方がアールに沿わせ易く綺麗に仕上がります。

● 更にホルダーのサイズを上げて削るんですが、この時のホルダーの番数は最初よりも細かい目のサンドペーパーに代えた方が使い易いと思います。最後はぴったりに近いサイズで仕上げです。フルプランクの主翼では見えなくなってしまうんですが、部分プランクの主翼ではデザインの一部に見えてしまいますので、なるべく綺麗にしあげましょう。もしかすると・・・配線の穴になったりリンケージが楽に出来たりしますので・・・。孔の加工が済んだら人差し指に木工ボンドを付けて孔の中の切削面に擦り込んでおくとリブ自体が丈夫になりますよ。

● リブ材の面取り加工の詳細と道具の作り方を(オリジナル工具の項)に詳しく記載しました。ご自分の工具に有効だと思われたマニアの方は自作してみてください。

● 冶具台の本格的な調整に入りました。リブを半固定する為の挟みジョイントの取り付けです。現在はまだシンプルに見えますが。これからどんどん複雑になっていきます。この冶具はリブ組みとプランクを兼用出来るタイプです。限られた工作場を有効に活用出来る様に考えてみました。作ってる私でさえ時々こんがらがる位に複雑な構造の冶具です。

● この機体についてメールを貰いました。NV−04型はプッシャー機なんですがNV−01型から03型までは、動力機には出来ないのか?。という質問でした。この機体をこの材質で作ろうと設計した時、スチレン素材を効率良く使用すればクッション性の良いバルサ機が出来ないだろうか・・・、と言うのがコンセプトでした。大きいテーパー比と左右一体型の主翼で荷重を分散すれば、必要以外の補強は要らないと思いました。最初からネットのネタ機にはしたくありませんでしたし、これらの機体のデータが更なる新しい飛翔体のデザインに応用できます。この主翼を使えばデルタ翼タイプのジェット戦闘機の多くは作れる様になります。


●スチレン製のリブ材を固定して組み立てて行く冶具部品の切り出しが全て終わりました。本来ならば強固な冶具を作って組まないと正確な骨組みは出来ないと思っておられるマニアも居るでしょうね。多分・・・リブの押さえのジョイントをベニヤで作るのが当たり前だと思われているプライベートワークスのメーカーさんもおられるでしょう。しかし、扱う主材料がスチレンペーパーなので段階的に見ればバルサ材を多用した冶具でも充分強度は得られます。

● 右の画像はバルサ材で作ったスチレンリブを挟んで固定するジョイント部分の部品です。4mmの孔を開けてあるんですが、0,8mmのポリカーボネイトを床一面に接着して広めのワッシャーとしてあります。使用するのは3mmのタッピングビスですので補強材としての機能もします。これらのパーツの切り出しと組立には丸々二日掛かりましたが、此処からの組み立ては早いので終わり次第いよいよ機体の組み立てに入っていけます。

● 実機も模型も同じなんですが・・・、全翼機は主翼が命です。この主翼をいい加減に作るとこの飛行物体の性能はテスト機よりも低下してしまいます。「大袈裟な冶具・・・。」と言われそうなんですが、これは私の性分なのでご理解ください。

● 左の画像は試作T型機を製作した時のスチレン製の冶具です。これでも量産出来ない事は無いんですが、冬場に製作して夏場に量産すると気温の関係で冶具の寸法が極端に変化します。特に高テーパー比のコンコルド型デルタ翼機では・・・、1mmの狂いは最終的に5〜8mmのズレが翼端に生じて来ます。テーパー比がズレると修整不可能な機体のクセとして出て来てしまいます。季節に関係なく使えなくては冶具とは言えないのです。右の画像は富士重のT−1練習機の組み立て風景です。大変強固な外冶具を使って組み立てています。これも「大袈裟な冶具だ!・・・。」と言えるでしょうか。外部冶具のおかげで内冶具と呼ばれている機体の構造部品の一つと成っていく内部パネル等が正確に固定出来るのです。これらの内部パネルとは取り外し式のビス止め部品ではありません。大変硬い材質のアルミのリベットで用廃機となるまで・・・、外さないパネルの事です。実機の胴枠フレームは必ずC型のチャンネル材を使用しています。外冶具で胴枠を確実に決められた位置で固定し、内側のフランジ面に羽目殺しのパネルを固定して構造体の強度を得ています。

● 羽目殺しのリベット止めのパネルとは、インテークの内部整流パネルやコクピット内のサイド基盤のパネル等・・・、胴体内の燃料タンク保護パネル・後部胴体のリンケージワイヤーの保護パネル等です。これらの羽目殺しとなる内部パネルを固定する事でその後の工程が、大変スムーズに行える様になります。私の機体構造は複雑に見えるのは、ワザとやってる訳ではなく冶具を使って正確に組む事によって、工程毎のストレスの軽減に利用しています。実機の組み立ての手順を模型飛行機に応用しただけなのです。次の記事からはいよいよ機体の製作・組み立てに入って行きます。(製作記事・Part3に続く