Part-9

★・・・・・部分プランク機のフィルム張り後の塗装仕上げ


● 主翼面にはオラカバドライのブライトレッド・バーチカルチップにはトランスパレットのレッドを其々貼り込んでいます。機首胴体部分は塗装仕上げと成る為に、オラカバのクロムライトを専用アイロンの高温域でしっかりと空気抜きをしながら貼り込みましたのでバルサの生地の木目やプランク材の継ぎ目までしっかりと浮き出ています。実は此処までしっかり貼り込まないと塗装は出来ません。昭和63年に成家氏のF3A機である25クラスの開発が始まりました。開発室長が試作した量産型機ではチューンドサイレンサーを使用しなくても充分飛行出来る性能を有していました。私が担当したのは表面のフィルムの被覆なんですが、胴体とバーチカルはマイクログラス仕上げなので、部分プランクの主翼と水平尾翼(安定板・エレベータ)ラダーともリブ組み仕様をフィルムで貼り込みます。


● クロムフィルムで仕上げた表面をウェザリングと同じ方法でサンドペーパーを使って荒らします。これはこの上に乗せるサンディングシーラーの代用品であるベビーパウダー配合のクリアラッカーの喰いつきを良くする為です。塗装面の境界より僅かに大きめにマスキングして拭き付け対応の新聞紙で塗り面以外をカバーしてしまいます。

● ベビーパウダーを配合した刷毛塗り程度にシンナーで希釈したクリアラッカーを乾く度に3回重ね塗りします。半日ほど乾かすと内部まで完全に硬化しますので、240番程度のサンドペーパーで表面を仕上げていきます。最後はスポンジペーパーで表面を滑らかにします。所々クロムフィルムが見えているんですが、フィルム表面にもしっかりとペーパーのキズが入っていますのでその上から吹き付ける塗料は喰い付きが良くなります。昭和の航空自衛隊の万能色だった半艶の銀粉塗料を拭き付けます。

● 銀粉塗料の利点は発色性の良いカラーでも完全に色を隠せるところです。ブライトレッドやマリンブルーの様な発色性の良いカラーの上に重ねて細いラインを入れる場合に、平行ラインならば其れなりに然程目立たないのですが・・・、クロスラインの場合其れもレモンイエローの様な軽い黄色の場合は発色性の強い塗料が透けて見える場合があります。通常の3倍ぐらいの重ね塗りをすれば消せる時もありますが、塗面が厚く成りますので中々硬化しませんし・・・明らかに段差が付きます。そこで!この銀粉塗料を使って色を消します。あのハチロクブルーズの(F-86)の派手なデザインでも銀粉一発丸塗りで、部隊仕様機に早代わりです。「お前!ブルーズやったんか〜・・・。」って独り言を言いながら、ハチロクの日の丸マーク付近の修正をする為にペーパー掛けをしながら初めて気付くんですよねえええ・・・。

● ウルトラマリンブルーを数滴垂らしたホワイト色を良く混合してから、重力式のスプレーガンで3回塗り重ねて仕上げます。胴体部分にはサンダーフラッシュのラインが入りますので、指に付かない程度の表面乾燥ではマスキングテープを貼り込んだ時点でアウトです。剥がすとくっきりと痕が残ります。硬化乾燥には48時間以上が適切だろうと思います。

● この様なデルタ型のグライダーがスロープにおいて高速飛行を始めると、フォルムが単調な為にウラとオモテの判断を見誤ると操縦ミスによる墜落とロストに繋がります。そこで・・・この座布団みたいな翼面をキャンバスに派手なラインを入れ捲くって、機体のウラとオモテをはっきりと認識出来る様なデザインで仕上げます。ベースがレッドなのでレモンイエローやホワイト色のドット柄等が目立つデザインとなるでしょう。尚、主翼上面のハッチはエレボンコントロール用のサーボが其々収まる部分です。外から動きが見える様に、ハッチパネルはトランスパレット色の塩ビ板に成るかもしれません。

● 画像左はフィルム張り後のエレボンホーンの取りつけ状況です。テグスワイヤーによる両引きリンケージなので複雑に見えるんですが、ピアノ線片引きと違ってバックラッシュによるニュートラルのズレが全く発生しませんので、プロポスティックレスポンスはかなりクイックな反応を示します。画像右は低翼機の便利グッズである指掛け用の孔です。

● 指掛け用の孔は空気抵抗に成らない構造で作ってあります。信じられないネット物知り博士諸氏は埼玉県所沢付近の大御所さん達に山本昇氏設計のヴェガV型(昭和48年製作)の指掛け孔の事を聞いてみましょう。考え方が180度ひっくり返りますよ。それよりも自分で検証してごらん?。空気抵抗で著しくスピードが低下する状況にはなりませんから・・・。ホーンは両面ともビスだけで取り付けてあります。製作方法は(何ちゃってリブ組みエルロン)の項を御覧下さい。

● 部分プランクの主翼にマスキングを施してからフラッシュラインの塗り分けをします。ベースがブライトレッドなので発色性が大変強く・・・カブイエローと言えども完全に色を出そうとしてもベース色が残ってしまいますので、正確なカブイエローになりません。そこで銀粉色の出番です。発色能力の強いブライトレッドも銀粉色の前では一発で同化されてしまいました。この上からカブイエローを吹き付けると完全なイエローに成ります。因みに・・・銀粉色に直接赤色を適量調合すると何色に成るか知ってますか?。調合銀色70%に対して赤色30%でピンク系の桃色メタリックに成ります。当時の暴ヤン(四輪暴走族)が挙って使った暴ヤン色です。これをIM製のウィークエンド・スペシャル25クラスのグラス胴体に丸塗りしたら・・・、晴れた空では映えるんですが、曇った空では視認性の大変悪いカラーでした。オマケに半艶なので表面が汚れると直ぐ汚くなりました。暴ヤン達も同じ経験をしている筈です。

● 機体のウラオモテでラインの配置を変えてあります。メインのイエローラインを基準にして細かいラインを散りばめて・・・、ウラ・オモテ両面の視認性を良くして塗装完成と成ります。もっともっと派手に成りますよ!。

● ステンシルを作図して機体に貼り込みます。作図方法は極めてアナログ手法ですが、ハイテクコンピ〜たああああを必要としませんので、やる気さえ有り余ったマニアなら誰でも作れます。

● 塗装の95%は完了しました。下地の塗料から含めるとサンディング・シーラーに始まり艶出しのフタル酸樹脂エナメル塗料まで・・・実に15行程・・・。仕上げにはクリアのウレタン塗料で光沢を出しました。これがグランドで飛ばす動力機ならば、リトラクトギヤも搭載してブラシレス4セル・・・でしょう。胴体着陸なんかはさせません・・・が!、本機はスロープスタントグライダーですので胴体着陸確定ですし・・・、ワンフライト後の着陸で機体表面の何処かに必ず美しい?ストライプが入るでしょう。初フライトまでの現地での駐車場で、お仲間さんに自慢した後は・・・・・他のお仲間さんの在来機と同じ様なストライプを、修理不能になって用廃機と成るその日まで刻み続ける事になります。ビンテージの格好良いスケール機ならば塗装も映えるんですが・・・、スタントグライダーの基本はストライプが増える前提なので、フィルム仕上げが普通です。今回はフィルムでも綺麗に貼り込めば、映える塗装が可能であるという事実を実践してみました。本機は(鳥取砂丘バージョン)機です。年がら年中素直な海風が風速5〜10mで吹き上げて来ます。その平均風速に合わせて翼面荷重を決めて機体サイズをデザインしました。鳥取砂丘は標高20m程度の丘スロープに属していますので、同じ様な条件のスロープならば山岳地帯でも土手でも飛ばせる様に設計しました。

● 機体の縦横比が程よい値になる様に設定してみました。画像の様にウラとオモテのデザインが同じ所もあるんですが、明らかに判別可能な柄になっていますので、視認性は大変良くなりました。フライト場所を海に面した砂丘を基準にしてカラーデザインを決めましたので、霞の掛かった大空とウルトラマリンブルーの海でも映える配色としました。

● 各翼面荷重の違う試作型機をテストフライしてくれた各地のインストラクター諸氏が、共通した見解を示していました。垂直上昇ロール時の軸の通りがすこぶる良いそうです。そこで試しに垂直に立ててみたら・・・あらま!・・・安定して立ってしまいました。後退角の強い翼形に見られる自律安定性の良さもさる事ながら、機体上下の空力もバランスが良かったという事実はテストフライ後に判明しましたので、予想しなかった結果です。


● フィルム張り塗装仕上げで現在500gです。リンケージはテグスワイヤーですのでワンセットでも10g程度ですし、トルク3kgのサーボはメタルギヤ仕様のWP−150MGを二個使用し約50gです。あと双葉電子の小型FM受信機とバッテリー搭載でも、全備重量は650g前後で仕上がるでしょう。試作型NV−01X機は600g前後で仕上がり・・・、各テストフライヤー諸氏が其々バラストを増やしつつ、最大1000gまでテストしました。風速15mの台風並みの状況下で機体全備重量1000gのテスト機は、最大瞬間スピードで203km出たそうですが、急旋回をかけたらエレボンがフラッターを起こしかけたそうです。テグスワイヤーの両引きによるフラッター対策も時速200kmを越えたら危険信号点滅って事ですね。皆さん!本機の過度な性能追求は自重しましょう。スロープスタントの基本は、動力スタント機であるF3Aと同じ様に静と動の演技の組み合わせで楽しむカテゴリーです。無動力専用機ですので決して失速スピードまで減速させてはならない!という制約はあるんですが、充分な高度と吹き上げ風が確保されている条件ならばアバランシュ等の完全失速を含むアクロバットも可能です。さて!秋の鳥取砂丘・・・何時頃出陣しましょうか・・・。