✈ FROSH (フロッシュ)

● オーギ・セール・プレーンのフロッシュです。昭和47年頃の発売だったと思います。この図面は当時、既に社会人だった北九州の大御所に貰いました。胴体と胴枠の原寸図面しか残っていませんが、図面に縮小のイラスト三面図が記載してありますので、たったこれだけのデータからも、読み取れる情報は多分にあります。 
● この画像が一番重要な情報を沢山もたらしてくれます。昭和40年代の日本製プロポには、ミニサーボもマイクロサーボも存在していません。20mm×50mm×50mmを基本とする標準サイズのサーボしか無い時代です。フレーム・ナンバー(C)で、高さ120mm・幅は85mmもあります。手に持った感覚として、ソフトボール位ありますよ。

● 主翼の翼型は(OHGI 220)・・・オーギ・セール・プレーンのオリジナルです。半対称翼型なんですが、エルロン無しのラダー機です。主翼の上反角は、片翼で( 3度 )しかありませんが、当時は此れが当たり前だったんですよ。充分の自律安定性を持ち、反対称翼型のお陰で良く走ります。よって、旋回後の回復の当て舵も素早く反応し、大変飛ばし易い。
 
● このフロッシュの主翼は、二分割主翼を採用しています。ところが、本来胴体の一部として構成されているフィレット付のカンザシユニットを、胴体とは別に組立ます。実は・・・こういう工作方法を、ガルモデルでも採用していませんでしたので、多くの私と同年代のモデラーさんすら知らなかったと思います。

● 何処のモデラーさんのページを見ても、フロッシュと同じ工作を見かけた事がありません。主翼の分割構造で一番厄介なのが、胴体から迫り出したこの主翼の結合部であるフィレットです。このフィレット部分を胴体から切り離して、主翼と同時に組立てると結合部分はピタリと勘合出来ます。
 
● この画像はこのフロッシュの主翼製作構造を、当工房の(Lo-100)に採用した時のものです。Lo-100では、この中央のユニットを脱着可能な様に、ボルトで胴体に固定しています。フロッシュは、この様に組立てたら完成したユニットを胴体に組み込んでからプランクを行うので、胴体のフィレットと主翼の結合面は綺麗にピタリと勘合できる事になります。

● モデラー自身が自作機を二分割主翼で製作する場合は、上記の構造に更に厚みのあるバルサシートを使って、アール面の多いフィレットを削り出す事も出来る様になりますよ。
 
● 胴枠と呼べる肉抜きされたフレームが胴体に接着されるのは主翼の後縁までです。それより後部の胴体には簡素化された棒材の加工品を胴枠の代わりに使用する事で、後部胴体は比較的軽量に仕上がりますし、当時はまだ直径10mm程度のバルサの丸棒をロッドの代わりに使っていましたので、この胴体構造に成らざるを得ない時代でした。この変則7角形の胴体断面図に記載されているストリング材は、すべて3×3mmのヒノキです。当工房のミランダにも同じ様にストリング材にヒノキを採用しています。胴体の側面のデザインが、何処となくフロッシュに似ていると思いませんか?。

● 水平尾翼にクラーク(Y)を使っている辺りも、このフロッシュが初心者対応機では無い事を物語っています。水平尾翼自体も揚力を持つと機首の頭上げは起き難くなりますので、重心が定位置の場合・・・常にエレベータを引きながら飛ばせるので、ある意味失速し難く、スロープ向きの機体と言えます。このフロッシュの水平尾翼は、ゴム留めの脱着式が標準構造でした。当時の自家用車は、まだ高価な時代です。誰もが当たり前に持てる時代ではありませんでした。運搬の事を考えるならば、細長いキャリングケースに入れて、電車やバスを使う場合も考慮した親切な設計だったんですよ。設計者の岡本氏は・・・素晴らしい・・・。