F-4G Phantom (F-4EJ Phantom)EDF仕様機 概要 Part-1

 
● スチレン構造体・・・バルサプランクによる3セルブラシレス・ツインモーター仕様のEDFとして製作します。製作記事の前に・・・この耐用年数が桁外れに長いファントムについて概要を記載します。このファントムという機体は、ベトナム戦争の時代から現役で飛んでいる戦闘機です。カテゴリーがF表示なので(Fighter=攻撃機)なんですが、とにかく頑丈な機体ですので機体下部のペイロード力が抜群ですので・・・爆撃機としての機動性も良く、爆弾投下後は手練れの敵機を蹴散らし・・・音速飛行で帰投出来・・・更に空母への着艦も可能なアレスティング・フックも装備しています。

● この(F-4G)は言わばベトナム戦争時代の特攻機・・・。爆撃隊を率いて敵のエリアに最初に侵入・・・。敵の防空レーダーにワザと探知させて、其のレーダー波に載せて誘導ミサイルを発射!・・・。ただし!失敗すると、玉砕覚悟で敵エリアで暴れ回り・・・味方の爆撃機への活路を優位に遂行させる作戦行動となります。その為に・・・この4Gファントムの搭乗員は、常にトップクラスのパイロットしか成れませんでした。名誉ある作戦行動とはいえ・・・命を懸ける特攻任務・・・。米軍にもサムライ精神の神風はいたようですね・・・。

● 一方の(F-4EJ)は、私の在隊中の最新鋭と言われた機体です。当時はハチロク(F-86F)もロッキード(T-33)といった亜音速機も部隊配属されていましたが、ファントムはマッハ2以上の速度でカッ飛べる戦闘機だったので、整備の仕方もハチロク程シビアでは無かった様に記憶しています。マッハで飛ぶ機体ならシビアだろう!・・・とは、知識の無いネット物知り博士のお言葉・・・。一基搭載の(F-104=スターファイター)に搭載されたJ79エンジンは、マッハで飛べる推力を生みますが、此れを二基搭載してるファントムの推力は桁外れ・・・。

● 主翼は薄いけれど・・・ちゃんと前縁はアールを形成してます。マルヨン(F-104)の主翼の前縁は、カミソリみたいに尖ってましたし・・・胴体のラインに突起物は一切見られない完全無欠な流線形ボディでしたが、ファントムはアルミパッチの外板補強だろうが・・・塗膜の厚塗りだろうが・・・はたまた、ナベ頭のリベットだろうが、モノともしない強力な推力を有していました。機体が重い分・・・空気抵抗に然程影響が無い外皮板は空気抵抗優先よりも、頑丈優先!・・・。完全完成の模型機みたいな空力ボディは必要ないんですなあ・・・。模型機の主翼の上面に・・・不自然な台形の段差って無いでしょう?・・・。実機には有るんだなあ・・・。この内部はタイヤハウス・・・。量産型試作機は実弾爆装しないから最初は解りませんでしたが・・・フル爆装しちゃったら最初のタイヤ幅では機体を支えきれないので、厚みのあるタイヤを履く事に・・・。ところが今度はタイヤハウスに収まりきれない(笑)・・・。其処で!厚くなったタイヤの分・・・主翼の上面を一部膨らませた結果が、あの歪な主翼上面の形状・・・。

● 歪に成っちゃった主翼の上面なんだけど・・・それでも操縦性には何の問題も無いし、悪影響も起きないし・・・。外皮板が少々歪でもマッハ2,4で飛べれば、当時としては及第点だったんでしょうなあ・・・。私自身・・・ハチロク触るよりファントムの板金触ってる方が、気持ちに余裕が在りましたしね・・・。下半角のスタビレータ―の前縁に着いていた逆方向に反り上がったチタニウムの部品・・・。新品に交換する時の寸法カットと穴開け作業は、私達若き作業員が最も楽しめる交換作業でした。

● このチタニウムって合金・・・熱を加えると硬くなる・・・。よって寸法カットには超硬のバンドソーを使うが、低速回転でなるべく高温に成らない様に、油を注しながら切らなければ成らない・・・。ビス孔開ける時も同じです・・・エアードリルの回転を落とし、油を注しながら・・・そして全体重を掛けながら超硬のドリル刃で加工しないと難しかったですなあ・・・。まあ・・・ね。当時は、搭載コンピュータも板金の材質も、最新鋭の物が使われていた機体だったとも言えますなあ・・・。平成に成ってどこぞのカルト教団の劇薬生成施設で使われてた耐腐食性金属のハステロイ合金だって、私達の時代にはまだ・・・ハステロイの末尾にエックス(実験段階)を付けて呼ばれてた時代・・・。ただ・・・このハステロイ合金の戦闘機への使用目的って何だったんだろう・・・って思ってました。ひとつ記憶に有るのは、大戦中のヨーロッパ戦線において、ナチスドイツが開発したロケットエンジン搭載機(Komet)の燃料が、特殊な性質を持ち・・・飛行中に電気系がショートしてして発火すると、金属だろうが人間だろうが・・・皆ドロドロに溶解してしまったらしい・・・。そこで、考案されたのが耐腐食性の合金ハステロイだったんじゃないかなあ・・・って思います。燃料タンクにハステロイを使えば、劇薬レベルの燃料でも金属製のタンクは侵せないので、ショートして火花が飛んでも引火はしないって事だろうか。宇宙開発には重要なアイテムって訳ですなあ・・・。