◎ レストア中の機体の紹介(終了後に販売します)
  
● Orion-3500(オリオン=スパン3500mm)  前部胴体はFRP成形品・後部胴体はアルミパイプ・主尾翼共アベチ貼り
仕様になっています。熊本の大御所から物々交換で頂いたグライダーです。此れだけの大型機なんですが、上反角強めのラダー機です。

● 昭和のラジコングライダーは、バルサ製胴体でもグラス製胴体でもラダー仕様機は当たり前でした。エルロン付きのグライダーも有りましたが、主翼の中に単独で収められる小型のサーボが存在していなかった時代ですので、胴体の中にエルロンサーボを固定して、プッシュロッドとエルクランクを主翼に内装してエルロンを作動させていました。

● この機体にはエルロンが搭載されていませんが、ロングテールモーメントなのにラダー面積がとても大きく作られています。機体のデザイン的にはSALグライダーとよく似ていますので、現代風なんですが昭和50年代後半には存在していた舶来製品です。主翼はスポイラーのみが搭載されるタイプなんですが、サーボは胴体内部に固定する仕様です。

● 胴体が長年の経過によりかなり汚れていますので、一度ペーパー掛けで汚れを落とし左右分け胴体の繋ぎ目をパテで埋めてからウレタン塗装で仕上げたいと思います。基本的にモーター搭載のグランド仕様機には成りません。ごらんの通り、メカが胴体内部に集中しています。バッテリーを搭載するには、グラスの胴体を大きく切断しなければなりません。強度低下は明白です。

● 胴体に固定された一枚板のカンザシと、主翼に内蔵された真鍮の角パイプ。主翼に設けられた二つのダボ・・・。その先にはスプリング掛けのヒートンが・・・。つまり・・・メインのカンザシは焼の入った板カンザシのみ・・・。胴体側の孔にそれぞれダボをはめ込み、強めのスプリングで固定する方法です。この固定方法は、クリアランスを出し難く思われるモデラーが殆どでしょうね。しかし・・・このダボがかなりキッチリとハマるので、強度的には何の問題も起きません。

● むしろ・・・斬新とも言うべきです。もし今の技術を使うなら・・・、ホームセンターでダボの代用となるビニール製のムクの棒材とアルミパイプを購入して、自作する事も可能かもしれませんね。メインのカンザシなんて・・・アルミの板と積層ベニヤをサンドイッチすれば強度のあるカンザシができますよ。当ページのなんちゃってカンザシは、表面に薄いカーボン板を貼っただけなのに強度は抜群です。

● ダボ先が主翼の結束部品になるなんて・・・、さすが舶来メーカーの開発部。ただ・・・日本国内では普及しません。合理性よりも確実性を選ぶ傾向にあるからです。この合理性は胴体下部の曳航フックにも見られます。フックの材質は発砲ジュラコンの様ですね。ラジコンヘリコプターのメインスパーギヤは生ジュラコンなんですが、粘りがある分切削には向きません。しかし、この発砲ジュラコンは、インジェクション成形の 時に強制的に金型に食い付くので、痩せ難く強度があります。それでいて切る・削るが楽に出来ます。純アルミは炭素含有量が僅かなので、曲げるのは楽なんですが・・・弱い衝撃でも変形し易いデメリットもあります。しかし、ラジコン機のメインギアに使われるアルミ板は、炭素の含有量が多いので曲げ難いのですが削り易いです。

● (注)複合材料・金属等の説明の仕方がど素人っぽいとのご指摘がありましたが、知識のあるモデラーからみれば幼稚でも知識の無いモデラーには専門的な用語を多用しても・・・何のこっちゃよく解ら~ん・・・となります。そういったモデラー諸氏の目線で記載していますのでご了承下さい。知識の無かった学生時代の私と同じですから・・・。

● もし・・・自作グライダーのカンザシをお考えならば,板カンザシも良いと思います。当工房の(なんちゃってカーボンカンザシ)は角カンザシなんですが、この板カンザシも同じ部類に入ります。自作グライダー用に購入されたい場合は、鉄工所で焼の入った鋼材を作ってもらいましょう。

● カスタム品なので割高にはなりますが、新しい世界が開けますのでお薦めします。1mm方眼紙に原寸図でも縮小図でも良いですので、キチンと書いて鉄工所のオヤジに見せて想いの丈をぶつけて下さい。もし、一枚頼んでどの位の料金かが解れば、今度は十枚で注文すれば少し割安となるでしょう。

  
● Vampia(ドイツ製)の機体です。組立るとスパンは3170mmなんですが、バラすと片翼1800mm近くになります。垂直面を持たないホルテン型のフォルムですが、現代風に仕上げた面白い形をしています。垂直面の翼を持たない機体は、ヨー軸の安定性が悪くなると思われがちなんですが、代わりに強い後退角を付けた主翼で方向安定を補っています。

● ただし・・・どんな翼型でも良いという訳でもありません。基本的にS型カンバ―を有する翼型を使った方が飛行の成功率は高いといえます。本機バンパイアはガル翼を採用したスロープ・グランドサーマル両方で楽しめる機体のようですね。重心位置は、主翼センターのテール付近にありますので、その位置に曳航用のフックが装備してあります。

● 現在の飛行区域の条件から考えて、この機体はスロープ向きだと思われます。ただし、山スロープ限定という訳ではありません。海スロープでも丘スロープでも風速5メートル以上ならば充分飛行可能です。ガル翼の特徴である内翼には強めの上反角、外翼は上反角無しの場合自律安定性がありませんので、バンクさせたら水平姿勢に戻すには当て舵が必要になります。しかし、自律安定性の悪い機体は、運動性能が良いという反面がありますので、初心者向きの機体とは言えません。

  
● 一見・・・カーボン製の主翼センター部に見えますが、ベニヤとバルサで組むキット構造です。左右分けの主翼は発砲コアにバルサをプランクしてあります。ハッチは1mmベニヤの一体物で、後部はヒンジで固定され前部は実機と同じリセプタクル・ビスで固定します。双方の固定ビスはインチサイズなのですが、ドイツ製子ビスの特徴であるマイナス専用ドライバー仕様です。

● この機体も修復作業が済んだら販売します。72MHz(52バンド)のレシーバーが付いています。サーボは片翼二個ずつ(エレボン・フラッペロン)合計4個が積み込み済みです。延長用リードハーネス・コネクタはフタバ製ですが、国内メーカーとの互換性はある程度効きますので、買い足す必要はありません。

● 使える機能を沢山設けるのも良いとは思いますが、シンプルに⒉チャンネル(エレベータ・エルロン)で飛ばすのが良いと思います。しかし・・・こういうホルテン型機の特徴なんですが、エレベータ(昇降舵)が若干鈍い(スティックの反応が遅れる)傾向がみられますので、エレベータとエレボンを連動させると利きが良くなります。その際に、エレベータの舵角を少なめに・・・エレボン側を若干多めに調整するのが良いと思います。

  
● デュアルレートを使って、舵角の調整を完璧に行うと、異次元の飛行をします。垂直面が無いので、あまり遠方に出して飛行すると姿勢が解らなくなりますので、機体の制御が出来る様になったら斜面に沿わせて飛行するパッシングコースをお勧めします。飛行する姿は、鳥にも見えますが・・・怪鳥ラドンにも見え・・・カラスは逃げ惑い・・・トンビは勇敢にも向かって来るでしょう(笑)。

  
● 今回の紹介機の中で、最も修理箇所を要する機体(Fox)です。主翼・尾翼に関しての修理箇所は微々たるものですが、このグラスファイバー製の胴体の歴戦跡は・・・、普通のモデラーさんでは考えられない位・・・激しさを物語っています。舶来品なので素材の荒さも見て取れるんですが、軽量木材のバルサを適材適所に配置して修復して行こうと思います。

● こういうスケールタイプのグラス胴体は、内部に胴枠が入っていません。よって・・・グラスのプライ数で強度を確保する場合が殆どですので、実機では有り得ない位に胴体がボコボコ凹みます。ですから・・・こういうグラス構造を有する機体の着陸には、かなりの慎重さが要求されます。

● 過去の掲示板でよく書かれていましたが、内部補強の無いグラス胴体には胴枠等を自作で追加するのが望ましい・・・?。まあ・・・そういう機体も存在してましたからね・・・。1グラムでも軽くしないと滞空性能や運動性能が落ちる!って、限定された書き込みを多く見られた時代もあったんですけどね。多分・・・IT関係のモデラーさんの多くは、他人の考察を鵜呑みにする傾向が多かった時代ですので、こういった書き込みを自信満々で自分のページに載せていました。

● このフォックスは近代ソアラーに多く見られるロングノーズモーメントの機体です。尾翼一式が通常モーメントの機体よりも大きくなっています。更に、模型機ですので方向安定(ヨー軸)を良くする為に、実機よりも尾翼一式が大きく設定してあります。主翼の翼型は半対称翼なんですが、高翼面荷重向きで設定されています。要するに高度の沈下し易い翼型を使い、走らせながら揚力を得るので、ハンドランチグライダーの様にヒラヒラ飛ばす系の飛行機ではありません。落差の大きいスロープにおいて、広範囲で走らせながら飛ばす機体です。

  

● 胴枠を追加する加工なんて・・・多分・・・加工道具を持たないモデラー諸氏には無理です、ここはじっくりと・・・三十年以上前に実機戦闘機の複合材料箇所で多用された修理方法で説明していきます。簡単に説明すると、グラスのプライ数のみで強度を得ている箇所の胴体内部は、ほぼ胴体外部と同じ形状で構成されています。修理箇所の外部胴体に離型剤を塗ってからグラスシートを乗せて型をとっていきます。これを雌型として胴体内部の部材を作成します。

● 溶剤が固まるまで内部パッチを外部から小ビス等を使って内部胴体に密着させて硬化させます。内部パッチが完全に硬化したら、ビスを抜いてビス孔とクラック部分をグラスパテで塞ぎ、硬化後に水研ぎ等で段差を落とします。細かいピンホール等の修正が済んだら下地塗装(プライマー)に入ります。

● このフォックスの歴戦跡は胴体全面に及んでいますので、多分・・・実機ならば用廃機扱いのレベルなんですが、模型ならば・・・まだまだ現役復帰は可能な状態です。むしろ・・・新品キット状態よりも胴体の強度は上がると思いますよ。内部修復と胴体外装の丸剥き塗装でも300グラム増加には成らないでしょう。翼面荷重はまだまだ許容範囲の数値ですので、風速6メートル以上の山スロープで飛行可能です。

  
● 主翼は薄翼の部類に入りますが、デジタルタイプの高トルクサーボが搭載されています。リンケージは極力遊びを無くす構造ですので、スティックワークの反応はかなり敏感になります。更に上反角を付けてありませんので、旋回の為、機体をバンクさせたら終了後に当て舵を打ってやらないと水平には戻りません。

● ラダー機の自律安定性に慣れた初心者には、このフォックスの機敏な反応にはついて行けません。グランドで小型の動力付きフォックスの飛行を見た事がありますが、操縦していたのは明らかに初心者でした。河川敷飛行場でしたが、機体を追いかけながらその場でグルグル廻っていました。飛行機を完全制御出来ないので、操縦者を中心にして飛行機がグルグル廻るという危険な行為です。

● このフォックスは上記の初心者には扱えませんので、購入は控えて下さい。あくまでもスロープサイトにおいて、パイロットよりも後方に機体を廻さない制御力が必要です。それでいて、必要以上の荷重旋回をしない優雅な飛行を好むフライヤー向きの機体です。高翼面荷重機なので、着陸するのも一苦労しますが、スポイラーとフラッペロンを上手に使いバタフライブレーキと同じ効果を期待できます。本機は機体の修復後に販売します。