● Rindy-reg(レギュラー尾翼) Part-2



● 後縁材をテーパー加工する治具です。前回までのロットでは、ラトルスネイクの社長にリンディ専用の後縁材を100機分切り出してもらっていたのですが、今回からは手加工としました。いずれ機会があれば製作記事を書こうと思います。ただ、ネットのモデラーさんの多くは、記事を斜めに読み飛ばしてしまいます。何でも簡単に色んなサイズの後縁材が加工出来ると勝手に一行広告をリンクしてしまいます。「此処にこんなのがあります。」彼らは、他人の技術を大した考察もせずに、右から左です。掲示板のお仲間さんの前では「凄いですね~。」と褒めてもらえますが、載せた本人には本来の真意を理解していません。試して失敗したお仲間さんは直接文句を言ってきます。「こんな使えもしないもの紹介しやがってええええ~。」 いきなりお叱りメールが来るので此方もびっくりです。一行広告をやる場合は、メールを下さい。間違った情報を伝えてほしくありませんので。

● このリンディ専用治具は、一種類の後縁材の加工しか出来ません。決められた角度と幅寸法から仕上がる専用のサイズしかできません。しかし、厚みと幅のみなので、治具の長さを変えれば最大900mmまでの後縁材が加工出来ます。ただし、綿密なサイズではありません。0,1mmまで細かく設定できませんので、競技用の精密な寸法は出せません。それを理解した上で複製して下さい。卓上の空論しかやらないモデラーさんには面倒臭くて理解してもらえない構造です。読み飛ばしましょう。しかし、どう作れば良いか考えあぐねていた自作モデラーさんには、理解し易い方法です。


● 簡単に直ぐ加工出来る治具でもありません。サンドペーパーで削り落としますが、治具の外側にあるヒノキのガイドで寸法以上の削り過ぎは起きません。


● 溝入れをしない単純な後縁ならば、材料はどの方向でも良いです。仕上げたテーパー材にリブ溝を一つずつ入れていたら、寸法にバラつきが出ます。いつもの様にまとめて釘を打ちミシン加工をします。ミシン加工で後縁材のリブ溝を掘ると左右対称に加工しなければなりません。しかし、治具は一つの方向の加工で良いです。


● 5機分10本の後縁材を仕上げると、3mmシート3枚分を削り取る事になります。カッターナイフである程度削ってから仕上げを削ると若干ですがスピードアップになります。私の加工で治具を使っても材料取りから仕上げまで8時間以上かかります。部品単価は安いですよ。物が小さいですから。

● 最近なんですが、私のページにそっくりのページを他で見つけたとメールがありました。HP名はHANGER-7。どうやって見つけたかは知りませんが、私のHPは全部で55個あります。ページによっては画像だけ、イラストだけ、図面だけ、とそれぞれのカテゴリーで同時進行しています。個人で持てる容量ではありません。お仲間さんと共同運営で全ての格納庫を開けています。

● 過去に私の機体データは2500機分あると記載しました。格納庫が55個で2500機分のデータを保管しています。普通にHangerと検索しても出てきません。私の同業者は全ての格納庫の名前を知っていますので、パスワードを打ち込めば出て来ます。ただ、いくら狙ってキーワードを入れても出ないでしょう。運よくヒットさせた人のみが知るページです。HANGER-3はそのまま打ち込めばページが表示されますが、他のページは出て来ません。かなり面倒臭い方法なんですが、字体表記を全てデザインのみで作ったので、コンピュータはその表記を文字とは認識していません。あとは普通に好きな名前を付けて保存すれば良いだけです。よって、申しわけありませんが、今後も他の格納庫のアドレスは非公開といたします。運よく見つけたモデラーさんは、貝になってくださいね。


● 二枚組のバルサシートを使ってプランク材を作ります。左右のプランク材を揃えるのは何故なのか。見た目だけの理由ではないという事は既に記述しています。900mmの定尺シートを必要寸法に切断します。画像右側は415mmでカットした二枚組のシートです。このシートを方向を変えずに一枚に重ねます。


● 上面のシートをそのまま手前にスライドします。このシートを画像の様に裏返すと、左右の比重と木目が対称のシートの組み合わせとなります。あとは内側になる面に印を入れておけば良いと思います。


● プランクシートにメインスパーを取り付けます。これで部品の一つです。この部材を治具に固定して主翼の骨組みを行います。

● 量産開始

● 秋田のパパさん、部品が揃いましたので量産開始します。胴体はかなり古い近代ビンテージ、ドイツのウルプマをセミスケールで使います。ウルプマと言えばガルモデルのウィンディの原型です。ジェットタイプの垂直尾翼は、その後の機体には多く見られます。


● 最近のハンドランチグライダーのキットは粗瞬間接着剤で組み立てが可能なんですが、当工房の機体はハンドランチグライダーも含めて全て木工接着剤を主に使用しています。補助として瞬間接着剤を使っています。キットの場合は、期間を開けずにフィルム等でカバーしてしまいますので大丈夫なんですが、この瞬間接着剤は湿気に大変弱いという性質があります。長期に渡って生地完成機を保管すると、僅かな湿気でも接着面が緩み劣化が起こります。最悪の場合は少しの振動でバラける可能性もあります。何処のメーカーさんでも同じなんですが、生地完成機を量産する場合は木工接着剤を主剤として組み立て保管するのが普通です。
経年変

● 主翼中央のプランク材を作ります。必要寸法が幅93mmなので定尺シート幅80mmにシートを継ぎ足します。更にシート小口に幅5mmの棒材を貼り付けます。これはシートの端を強化する加工です。ネットオークションで落札した昭和50年代のバルサキットは既にバルサの材質が変化しています。バルサの棒材は曲げ難く折れ易い、バルサシートは変色変形し同じく割れ易くなっています。表現としてはふかふかスカスカ。何しろ昭和52年製造の飛行機キットを平成8年に落札、更に3年寝かせて平成11年に製作依頼を受けました。使えるバルサパーツは棒材は全滅、シートは数枚残してささくれ状態になっていました。使えるシートも端っこはふかふかでしたので、プランクシートの強化として画像の様な追加加工をした次第です。

● 翼型がフラットボトム翼の場合、主翼の下面はフラットなので少々シートがふかふかでも問題は起きません。問題は此処からです。さて、主翼両面のプランクが終わり、フィルムを貼り込みます。セオリー通りならば主翼の下側から貼りますが、いざ上側を貼り込みプランクの端っこをアイロンの先で圧着していたら、パリッと割れてしまいました。こうなると修復は不可能です。見た目が悪いので何とかしたいのですが、もう手遅れです。張り替えるしか方法はありません。上記画像の細工はこういう事態を考えて行う安全策です。


● Rindyの翼型はゲッチンゲンですので、翼下面がえぐれています。こういう翼型は滞空能力が優れているのですが、作図と工作は難しい部類に入り、被覆段階は更に難しいです。特に収縮が当たり前のフィルムは、貼り方を間違うとベテランでも失敗します。本機のフィルムの貼り方は生地完成キットの製作の項で詳しく説明しています。


● 主翼上面のプランクに入ります。プランクには木工ボンドを使っています。加藤無線の数々のスタント機も主剤は木工ボンドでした。ハンドランチグライダーの主翼はかなり薄い翼型の部類に入りますが、プランクの際の捻じれが最大の難点です。接着中に捻じれが見つかった場合でも、木工ボンドは硬化が遅いので捻じれを取ってからマチ針で固定して硬化させます。


● 翼端ブロックは10mmバルサです。接着には30分硬化のエポキシを使いました。硬化したら成形しますが、楕円翼にも関わらず翼の先端までゲッチンゲンの翼型を形成しています。


● 新型胴体を採用したRindy-Regの作図画像です。昭和50年には既に存在していたヨーロッパのスケールグライダー(ウルプマ)です。ハンドランチグライダーの分野は、競技用か初心者用の二種類しかありません。ハンドランチクラスの完成機は存在しますが、初心者がいきなり扱うには不向きです。

● 一本の胴体で入門用の性格を持った機体と、その後の上達によってセミスケールの機体に出来る様な機体を考察していました。昔から考えていたコンセプトなんですが、運動性を重視した主翼は自律安定性を悪くしてあります。初心者ほどベテランが飛ばす飛行機を欲しがると言います。何れ上達すればベテランの領域ですから、それまでは練習あるのみ。それを一機で達成出来る様にした機体です。

● 全備重量が300g以下の機体ですので、ハンドランチグライダーのカテゴリーから逸脱しない設定にしました。ウルプマモデルの胴体なんですが、元来この実機はストレートテーパー翼のソアラーです。ガルモデルではこのウルプマをモデルにしたウィンディというスパン2400mmの機体キットが販売されていました。ストレートテーパー翼ですが、エルロン無しのラダー機でした。上反角は片翼4度しかありませんでしたが、普通に飛んでいました。今回はグランドサーマル用の上反角7度のエルロン無し主翼とスロープ用の上反角3度のエルロン仕様の主翼をオプションとして準備します。


● 型紙の作成画像です。原寸図面より別の方眼紙に部品図を作図し直します。裏返しにしてスプレー糊を吹き付けます。それを厚紙に貼り付けて乾燥させます。この厚紙は定尺寸法(900×1300)あります。一枚¥150です。田舎の文房具店で購入しました。ところが、都会の文房具店ならば何時出向いても簡単に手に入りそうなんですが、実際には中々入手困難との事。文房具店のご主人に尋ねたところ、近くに保育園がある文房具店ならば比較的簡単に手に入るそうです。

● 実際にそうなのか他の町の保育園の近くの文房具店で聞いてみたら、直ぐに品物が出て来ました。保育園での使用目的が床に置けば園児が落書き、壁に貼れば園児が落書き…、一枚¥150でこのサイズです。園児にとってはかなり大きい落書き帳ですね。この厚紙の表面は真っ白です。私は型紙として使い切り出したら保管しています。この型紙で試作してから部品図面を作図してレーザーカットのプログラムを依頼すれば、失敗が起きないのです。


● この部材は胴体の内治具となるパーツです。構造は一般的なんですが、内治具を使うと大掛かりな外治具を使わなくても良くなります。しかしある程度の正確な勘合が必要になりますので、部品の加工には少々神経を使います。全ての部品をバルサで組んでもかなり丈夫になりますし、比較的軽量に仕上がります。今後のリンディシリーズはセミスケール胴体になりますので、1グラムでも軽量に仕上げる競技用の機体とはジャンルが違ってきます。


● 胴枠は3mmバルサ、ストリングプレートは2mmバルサで加工しました。通常のプレートは胴枠の外側から左右それぞれ取り付けますが、当工房の主な機体は上記画像の様にプレート一体型が多く、胴枠は一体型プレートの内側からの勘合になります。外側の胴体アウトラインも重要なんですが、センターキール構造の胴体よりも狂いが出やすいので、プレート内側の加工がかなり重要になります。


● 内部構造体が組み上がりました。この内治具を胴体の中に組み込んで完成させます。


● 3mmシートから3×3mmのバルサ棒材を、2mmシートから2×5mmの棒材をそれぞれ切り出します。


● 拘束具を使って側板を接着しています。単純に胴枠の接着だけだと歪んだり捻じれたりと組み立てにはかなり神経を使いますが、内治具型の構造体を組み込む事によって胴体側面のアールが綺麗に出ます。後部胴体の一部だけストリング材がはみ出ています。これが何故なのか解った人は昭和の加藤無線のスタント機のキットをたらふく作ったモデラーです。軽量ハンドランチグライダーなのに、セミスケールにしたので必要になりました。ガルモデルの同型機は、厚さ15mmのバルサシートを貼り付け削る工作方法でした。


● 最近なんですが糸鋸盤による加工についての質問が多くなって来ました。小さい部品はどうやって加工するのか?という質問が一番多いですね。画像の半円部分が必要部材、長方形の部分は不必要な部材です。なるべく大きい方が持ち易いので、後で切り取り易い様にしています。持ち易いので、鋸刃近くで指先を怪我する危険性も大変少なくなります。材料はケチると必ず弊害が出て来ます。余裕を持って作図し安全に加工作業を行いましょう。


● 木目が横方向に成る様に材料取りしました。かなり小さい部品ですが、無いと苦労する部品です。大きさは10×18mmです。


● 後部胴体の上部はアールとなります。軽量簡素化胴体がバルサ製ハンドランチグライダーの代名詞みたいな物なんですが、そろそろ自作派のモデラーさんからの要望にももちっと恰好良い機体が欲しいと言われていましたので、今回から採用となりました。


● こういう胴枠の傾き加減でピン!とくるマニアさんは、動力飛行機をかなり作り倒した人ですよ。主翼の取り付け部分がこの先どういう加工になるか知っています。(Part-3に続く)