NEW Early Bird Part-2          

● 原寸図面よりデータを取り、別紙の方眼紙に垂直尾翼と水平尾翼の作図をします。レーザーカットや試作機を作る場合は、この作図から部品単体の型紙を取ってそれをバルサにトレースし部品を加工するのが一般的なやり方です。しかし、今回はこの作図面からテンプレートを作り、このプレートを使って直接材料取りを行います。


● この作図面を厚紙に貼り、必要なデータを書き込んだら、切り抜いていきます。これを使用するバルサ材に直接トレースして、部品を取り組み立てていきます。このセンターキール構造体では、キールフレームが直線で各胴枠がキールフレームに直角で交わっていれば。必ず胴体左右の外部側板は同じアールを形成します。当然なんですが、垂直尾翼は必ず胴体中心線上に取り付く事が可能になります。二枚側板構造体の胴体でもスロットイン方式で、センターに取り付けられる様にメーカーも色々考えていました。しかし、それは胴枠を側板に正確な角度で接着し、胴体の左右アールが対称であるという状態が条件となります。


● 東北には画像の様な良い地形のスロープサイトが目白押しなんですが、此処に上がるまでが大変です。九州の有名サイトで一時期問題となった、サイト内でのナイトフライ&BBQなんか絶対出来ないでしょうね。冬場は登れない、道幅が狭いのに側溝に蓋が無いので、端に寄り過ぎたら脱輪確定、場所によっては携帯電話も圏外になるし、暗くなったら歩いて下山、東北の人里離れた山の中ですので、デイダラボッチやら、おっこと主やら、くまモン辺りが出て来ないとも限りません。御山の神様を怒らせたりしては駄目ですよ。


● 胴体の床からプランクをしていきます。胴枠に沿う様にストリング材を削り、2ミリバルサを貼り込んでいきます。胴枠の小口は、接着力を上げる目的で粗目のサンドペーパーで荒らしておきます。接着剤は普通に木工ボンドで貼れます。押さえにはマチ針を使っていますが、現在のマニア諸氏の工作方法は、直接瞬間接着剤を使って固定している様ですが、私は昔ながらの方法を使います。


● 接着剤が硬化したら、マチ針を取り除き軽くペーパーで磨きます。右画像はスキッドを取り付ける為に、キール部プランクを平らにしてからスキッドの台座を接着します。この部材を更に成形してから逆アールを含むスキッドを取り付けますが、工作順序としては最後になるますので、後程記載します。


● 側板は2ミリバルサから切り出します。バルサシートの定尺幅が80ミリですので、側板の高さが足りません。型紙を作ってカットラインに座標を入れ、別の部材を切り出し繋ぎ合わせます。機体製作では邪道と言われていた左右側板の別貼工法ですが、センターキール工法だとこの邪道工作が正攻法となります。二枚側板の昭和のキット製作方法では、必ず胴体左右がどちらかにずれるので正確な胴体を形成するのは至難の技でした。

● センターキール工法では治具を使ってセンターフレームの直線を出し、ここに二分割胴枠を左右から直角に貼り込みストリング材を取り付けますので、この時点で胴体の正確な形成は済んでいます。そこに別々に側板を貼り込んでも左右のズレは出ません。しかし、このキール工法にも弱点が存在します。胴体本体のロール軸の捻じれには対応出来ません。胴体がロール軸で捻じれると、主翼と水平尾翼の取り付けの際、胴体前方から見ると左右均等な角度にはなりません。ならば水平尾翼の台座を削れば…、今度は垂直尾翼が正確に取り付けられなくなります。胴体の捻じれはこういう不具合を招きますので、キール工法と言えども気を抜けません。

● 実機も模型も同じ状態が存在するのですが、胴体のプランク面が胴体全体の70%を越えると胴体の捻じれは出なくなります。実機の場合、通常整備において胴体の開けられるアクセスパネルは、全体の30%以上を越えても胴体の捻じれはないのですが、何故だと思いますか?。実機胴体の胴枠は、アングル胴枠では無く、チャンネル胴枠で作られています。外側は胴体の外装を形成するスキン材となるんですが、内側にも外部スキンと同じ形成材を必要箇所に応じて貼り込んであります。この内部スキン材が外部スキン材と同じ働きをし胴体の捻じれを防止しています。

● 当工房の大型グライダーには、お仲間さんが名付けた胴体二重構造工法の機体が数多く存在します。製作記事としてアップしていますので、そちらも閲覧して下さい。この工作方法は実機からヒントを得て生まれたのですが、主翼が左右二分割の場合に効果を実感できます。胴体は二枚側板の内貼りベニヤが外側板に直接接着していた通常工作方法とは違い、この内貼りベニヤが大きくくり抜かれた胴枠内側から勘合されています。左右二枚の内貼りベニヤを胴枠内側から勘合すると、胴体上部から見ると完全なる直方体のボックスになります。機首先頭の胴枠と側板の直角を出せば、残りの胴枠も必ず平行になります。当然なんですが、胴体を貫通する左右主翼を結束する為のカンザシパイプも必ず胴枠に平行になりますので、主翼内部のカンザシパイプがそれぞれの左右主翼で正確に組み込んでいれば、確実に胴体との取り付けが可能になります。胴体を正確に組むという作業は、その他の部材の取り付けが大変楽になります。


● 胴体機首先端のノーズブロックは、20ミリバルサを3枚重ねています。貼り合わせと機首取り付けにはエポキシ30分硬化型接着剤を使用しました。ノーズコクピットとの段差にはベニヤを貼り込み、キャノピー取り付けの台座を加工します。垂直尾翼の一部に水平尾翼が交差するクロス尾翼の形態ですので、かなり堅牢なバーチカルになりテールヘビーを心配しましたが、ノーズブロックの材質をメディアムハードにする事で解決しました。

● ご注文品は~……っと。え~、またしてもリンディですか~。リンディのT尾翼なら胴体セット数本残っているんですが、レギュラー尾翼は新たに製作しないと在庫は無し。新型アーリーバード(フライキャッチャー165)を作り終えないと先へは進めません。多分前から私のページを見ているお仲間さんでしょう。福島出張ご苦労様って書いてありましたから。新しい見出しが増えたので、工房再開を知ったのだと思います。


● 上記画像は左側がアーリーバードシリーズで必ず使用した主翼部材組み立て用の治具です。本機フライキャッチャーもこの治具を使って主翼を組立てます。いわゆる使い回しです。昔から何処のメーカーもやっている使い回しなんですが、ちゃんとした理由があります。同じ系統の機体で同じコンセプト、同じカテゴリーで設定された機体ならば、過去の機体で結果の出ている高性能な主翼を使った方法が、開発が早くて済みます。本機も同じ目的ですので使い回しが可能になるのです。ただし、スパン(翼長)が長くなると、内翼は使えますが、外翼はスパンが長くなった分テーパー比が変わるので、この治具は使えません。

● 右側の治具はリンディ、アーリーバードより以前に製作した、標準サーボを胴体に二個並べて使えるハンドランチの機体を作った時の主翼治具です。元々の理由が飛行機の大会に協賛して貰おうとメーカーさんに打診したのですが、申し込んだのが大会一週間前でしたので、間に合わなかった時の為に作ったのがスロープタジーです。タジーって何?って聞かれるんですが、リンディ同様に大御所さんの名前からきています。昭和ならば当たり前の胴体の太さなんですが、マイクロサーボが当たり前の現在に昭和のお仲間さんは理解して喜んでくれた人、時代遅れだってバカにした人、様々だったのですが、基本コンセプトが使い様の無い工作箱に眠っている標準サイズ(50gサーボ)を胴体に二個搭載して、重心合わせのバラストとして搭載すれば、余計な重りを積まなくても良い。単純な理由で開発した機体なんですよ。よって、当工房で製作している機体の多くは、標準サーボ搭載可能な容量を持っています。


● このアーリーバードの主翼はガル翼の為、上反角と下反角が同居した構造になっています。主翼中央はかなりの角度の上反角が付きますが、外翼は2度程度になります。その為には、内翼と外翼の結合部分は下反角設定になります。何故、ガル翼なのか。こんな構造の複雑な機体を作ったのか…。戦争における戦略的な意味合いもありそうなんですが、構造をよく見ると胴体の一番頑丈な部分に主翼の結合台座を作れるので、主翼のバンザイ現象を防げるのではと思います。模型で作ってもショルダータイプより主翼カンザシ部材の固定が頑丈になります。(Part3に続く)