● New Early Bird  Part-3


● ん?、どこかで見たようなスチレン素材の箱、箱型の治具です。治具以外の使用目的は小間物入れです。一機分のリブ材の切り出しは大変手間がかかるので、数機分まとめて作ります。レーザーカットならば一機ずつの加工が出来るんですが、セミオーダーのカスタムの場合は此方の加工の方が、リーズナブルになります。レーザーカットは手加工キットよりも安上がりだ~って、ネット掲示板では語られています。貴方だけのスペシャルな一機を、カスタム価格ではなく、量産キット価格で要求するネット物知り博士達には、メーカーの苦労など何処吹く風です。言う事を聞き入れてもらえないと解ると、途端に正義の味方になってメーカーを糾弾し始めます。それでも聞き入れてもらえないと解ると、自分の言い分を証明してやると、メーカーと同じ過程を踏んで…、自爆します。やっと解ったみたいですね。


● レーザーカットとミシン加工ではどっちが安上がりなのか。元々、レーザー導入をメーカーさんが決めたのは、ダイカット職人さんの多過ぎる仕事量を軽減する為です。ダイカットの場合は、上記画像トレース面にダイカット用の刃を埋め込み全て手作業で作ります。1ロット1000機分には対応できますが、何度も力を加えて型抜きすると刃が痛んできます。痛んだ刃では抜けが悪くなり遂にはダイカット治具本体が壊れます。その点、レーザーは照射能力が一定ならば、半永久的に同じ正確な部品を刻み続けます。
● しかし、カスタム機にレーザーを使うと手加工のミシン切りよりも数倍コストが上がります。何で~?。って、博士諸氏は思うでしょうね。上記画像の材料は、2ミリバルサを6枚重ねてミシン切りしています。3機分で材料の厚みは12ミリです。もし、1機分なら6ミリなので切り易い様にも思えるのですが、材質がバルサです。軽くて柔らかい。細かい加工では材料が割れやすくなり、正確な加工が難しくなります。6枚重ねるとある程度の抵抗が刃にかかる為、材料を押す又は引っ張るスピードを制限しないと、切り口が荒くなり正確な寸法が出にくくなります。早く切ると鋸刃も折れやすくなりますので、適正スピードが必要になります。

● 要するに、1機分加工も3機分加工もミシン加工の鋸刃の走る距離は同じなので、3機分切った方がコストは安くなります。貴方だけの1機…、を製作するのがどんなに手間が掛かるかご理解頂けましたか?。レーザーも同じですよ。貴方だけの1機。プログラムも貴方だけの1機の為です。コストダウンなんて出来ません。もしも、少しだけでも安く仕入れたいなら、お仲間さん数十人で発注すれば、量産品扱いなのでプログラムに掛かった費用は発注者分均等割りです。少しだけ安上がりになるでしょう。1ロット1000機なら?、プログラム分は1000分割。キットが博士の納得する適正価格になります。


● 治具を使って主翼内部材を組んでいます。少しでもコストダウンと製作のスピードアップの為です。キットでは正確な組み立ての為にスロットイン加工をしますが、治具を使えば最大翼寸法を拘束しますので、内部材の組み立て加工だけで済みます。この治具を正確に作っていれば、ある意味半永久的に同じ主翼は組み立てる事が出来ます。この治具は今から7年前に製作保管していた治具です。7年前の治具を使って数週間前に製材されたバルサを加工して組んでいます。現在、当工房のホームページで紹介している機体全て、量産試作機も含めて主翼組み立て用の治具は保管してあります。その数は6畳間の棚全てを埋め尽くす量ですよ。大手のメーカーさんならば、この十数倍の治具を保管しています。維持費も大変です。


● アルミアングルを使ってプランク材の接着をしています。バルサ材は自然の木材ですので、木目や硬度によって何方かの方向に反っている場合がありますので、なるべく翼面上下に反りを持っていき、接着剤を多めに使って時間を掛け、アングル材で修正しながら硬化させます。今までの経験上ですが、平面での完全なる反りと捻じれの修正は出来ません。ですが、主翼上面はアールを含むプランクですので、同じくアングル材を使って上下方向の反りをとってやれば、捻じれの無い素直な主翼を仕上げる事ができます。


● 当工房の機体には主翼に楕円の翼端を有したタイプが多々あります。自作をする場合、大きな翼端ブロックを翼端のリブ面に接着するのが一般的なんですが、当工房の機体の場合は、メインスパーを翼端まで使いブロックを前後に分けてそれぞれ組み込む構造に成っています。

● 翼端ブロックの一体物べた付けの場合、着陸の際翼端から接地すると翼端ブロックがもげ取れてしまう可能性が大きくなります。取れた翼端ブロックは翼端リブをももぎ取り、最悪ラダー機ならば後縁材を、エルロン機ならば後縁材とエルロン動翼までもぎ取り、その主翼が修理不可能に成る位の破損状況となります。

● もし、キットをお持ちで、翼端ブロックのべた付けが図面で指示してあれば、翼端リブと仕上げた翼端ブロックの境は、マイクログラスを貼り込んで補強をして下さい。翼端が踏ん張ってくれると、破損個所は上記以外となりますが、再起不能な主翼にはなりません。


● 本機フライキャッチャーの主翼は、名機と言われたアーリーバード165の主翼をそのまま流用していますが、楕円を形成する翼端ブロックもそのまま継承させています。主翼上面のメインスパーにはヒノキを使い、そのヒノキが翼端まで達しています。形成のブロック材は前後で分けられ完全に上下をプランクする事で、ムクのブロック材よりも軽量ですがムクのブロック材と同じ強度を持たせた構造になっています。たとえ翼端から接地するグランドループに入ったとしても、応力が分散されて修理不能な破損にはなりません。


● コクピットとメカハッチの加工です。図面よりメカハッチの型紙を採寸します。本機の最大胴体幅は72ミリですので、定尺80ミリのバルサ材から寸法取りするんですが、厚みが20ミリですのでこのまま糸鋸盤で加工しようとすると、必ず傾き正確な寸法が出ません。そこで、高さを40ミリにして加工が済んだら接着結合します。


● 別のバルサシートの小口に両面テープを貼り、画像の様に固定して糸鋸定盤に接する面積を大きく取ります。これで加工する材料は安定しますし、かなり正確に切り出す事ができます。


● 最初に胴体側面のアールを加工しますが、切り落とした余分の材料も捨てずに残します。今加工した面に切り落とした部材を両面テープで貼戻し、直方体にします。


● この直方体に今度は胴体上面図のアールを描き再度糸鋸加工します。コクピットはアール加工後、同じ型紙を使って3ミリバルサの床板を取り付けて完成です。


● ここまでの加工を先に済ませないと、メカ室の加工が進みませんので先加工しました。アーリーバードはオープンコクピットが基準設定の機体です。日本国内で飛行隊を作ろうとしたら、半数以上のお仲間さんはフルカバーのキャノピーに改造してしまいました。見てくれが悪いから…が理由でした。胴体後部はトラス構造です。実機グライダーでガル翼の後部トラス構造の胴体を有する機体は、私の知る限り存在していません。

● アーリーバードは実機ではあまり見た事のないガル翼のセコンダリー(中等練習機)の位置付けで設計しました。当然なんですが扱いもある程度の神経を使って飛ばす飛行機の部類に入ります。当工房の機体の殆どが翼面荷重設定機ですので、極端に重くしての強風におけるハイスピード機でも無ければ、更に肉抜きをして超軽量のハンドランチグライダーにもなりません。

● 大手メーカーさんの販売している機体の殆どは、この翼面荷重重視で作られています。メーカー側でフライヤーの飛行テクニックに合わせて、初級者用、中級者用、上級者用とそれぞれのクラスに分けて、機体を設計しています。世の習わしなんですが、上級者しか飛ばせない様な機体ばかりをメーカーさんが作ってしまったら、これから入門する初心者は飛行機本体を組む事が出来ません。組めないから完成しませんので飛ばせないという事になります。



● コクピットと後部胴体のトラス組みの初期加工の画像です。コクピットカバーはメカハッチにもなりますが、本機のコンセプトは実機に在りそうで無いオリジナルスケールグライダーです。パイロットを搭乗させるルールですので、それっぽく加工していきます。まだまだ削り込んで曲面を際立たせていきます。後部胴体のトラスはまだ初期状態です。更に複雑に組み込んでいきます。完全トラス構造なんですが、驚く程丈夫な胴体になります。クラシックな動力機には多くみられるトラス構造ですが、先人の技術は凄いと実感できます。


● コクピット周りとメカハッチは更なる削りを入れて曲面を際立たせていきます。まだまだ削ってはサンディングを繰り返します。後部胴体のトラスはほぼ組みあがりました。ここから先の胴体加工は、細々とした艤装(オグジュアリー)のみとなりました。各尾翼の前縁はアール加工、後縁は薄くテーパー状に削るエッジ加工が残っています。


● 話が逸れますが、昨年秋に航空法が改正され空物ラジコンとドローンを含む無人航空機の飛行制限が始まりました。私個人の考察としては、来るべくして来てしまった当たり前の事態だと思います。昭和40年代と現在では、空物ラジコンは搭載無線機の進化により、大変安全で高性能に成ったと実感しています。しかし、それを扱うモデラーさん達の進化は、ルールを強化しないと安全ではない状況になっていると思います。何れはこういう時代が来るかも…とページの記事内で呟いたら、本当に成っちゃいました。航空法に詳しいお空の番人さんに聞いてみたら、今までの蓄積された色々な事案が限界を超えた為の処置だと言ってました。

● もう少し前向きに考えて、良い方向に向かったとも言えるかもしれません。私の知っている航空法改正に伴う最新の事例として、ドローン問題があると思いました。無線制御のドローンは、あくまでも地上のオペレーターの操縦でコントロールしますので、有視界飛行が原則です。しかし、コンピュータープログラムによる飛行は、自動操縦ですのプログラムによる決められた動きはしますが、自然の営みによる不意打ち的な事態には対応できません。三軸ジャイロを搭載したラジコンヘリコプターは、スロットル操作のみで上昇し空中停止出来ると考えているモデラーさんが、掲示板で実しやかに書き込んでいるのを見て可笑しいと思うのは、昭和のミッション組み立てキットから入門したヘリコプターの大御所マニアだけではないと思います。 (Part-4に続く)