●・・・・・ATLAS-COMET2007のレストア画像


● 昭和47年工藤プロダクツより無動力強風用スロープスタントグライダー「アトラスコメット」が発売されました。当時中学生の私はラジコン飛行機を買うお金なんか持っていませんでした。お小遣いを貯め捲くっても当時の2chプロポは高価でしたし、飛行機のキットだって1万円台は当たり前だった時代の¥4800のキットです。紙飛行機で無尾翼機は作っていましたので飛行特性は知っていたんですが・・・、平面組みの紙飛行機とは違う立体組みのラジコン機ですので・・・イキナリ購入!無知能で製作!が大変危険な行為である!と後悔する前に、九州の西の果ての田舎町の玩具店では入手不可能でしたので購入すら実現しませんでした。

● ただし!田舎にしては立派な本屋も楽器店もあった我が町なんですが、自転車で走っても10分そこらで通過出来てしまう小さな海沿いの町なのに、こういう文化面でのお店だけは充実していたので、現在のネット文化のアナログ版みたいな世界が小さな町中に溢れていたのも事実です。あれから40数年・・・ネットの普及と共に・・・我が町も当時の勢いは何処へ?・・・もう30年経ったら人口10人の過疎の村に逆戻りするかもしれません。ところがね〜・・・田んぼと畑だらけの田舎のメリットは、ラジコン飛行機の飛行場が沢山出来る!って状態なんですよ。過疎の村バンザイ!ラジコン飛行機のクラブが再び沢山出来そうです(笑)。

● 平成19年7月に製作したアトラスコメット2007型の試作機です。キットはおろか・・・工藤プロダクツ自体がもうありませんのでバックナンバーに載っていた折込の図面を元に復元してみました。アウトラインと各種モーメント設定をほぼ同一で設計し直してみました。ところが!自分でスロープサイトに出向いてテストするのが出来ない位に忙しい時期だったので、大御所さんに生地完成状態の機体を渡してテストしてもらっていたんですが、5年の歳月の後・・・あらゆるテスト結果の集約された本機が帰って来ました。今回はこの機体を昭和47年当時の工藤東氏オリジナルカラーで仕上げてみたいと思います。

● 工藤プロダクツの機体キットの基本構造は、多角形の胴枠に厚手のバルサシートを貼り込んで丸く削るのが当たり前の構造なんですよ。ですから当時のマニアはラジコン飛行機のキット=カンナ屑とバルサの粉末は当たり前だって考えていた筈です。そのカンナ屑とバルサの粉を工藤機から排除したら・・・、誰も工藤プロダクツの飛行機だって気付かないでしょうね・・・。其れくらい!削って仕上げる楽しさを持っていたキットのラインナップでしたから・・・。


● 光量不足の画像なんですが、テスト機の主翼の下面に見えるのはエレボンサーボの丸型ホーンです。フィルムを剥がすとサーボの取りつけ位置は画像の様に成っています。主翼の中央付近に開いている四角い孔はレストアの点検の為に今回開けた部分です。試作機は左右の主翼を結合した状態でテストフライヤー諸氏に渡したんですが、主翼下面の中央プランク材のみ未接着の状態でした。使用してもらう指定のミニサイズサーボの大きさに合わせてマウント孔の加工や、リードハーネスの埋め込み作業等に便利な様にとの配慮のツモリだったんですけどねえ・・・。大御所さんが使用したサーボは(JR=NES−321)型のミニサーボだったんですが、このタイプの国産サーボは本体付属のリードハーネスが標準型サーボ並みに長く設定されているので、中間に入れる延長のハーネスが入りません。ものの見事に羽目殺し・・・状態でした。

● 国産プロポメーカー品から台湾製サーボまで其々10個単位で在庫しているんですが、当工房の大型グライダーでは当たり前の様に標準型(約50g)サーボが大活躍しています。ほんの一部の種類のサーボを並べてみたんですが、サーボサイズで一目瞭然です。国産型ミニサーボ(左から二個目と三個目)のリードは標準サイズなんですが、海外品の殆どはマイクロサーボ並みに短く設定されています。この機体の場合・・・サーボ配置の状況なら、ショートハーネスタイプに内蔵リードハーネスが理想だと思います。


● サーボのウンチクをもう一つ知った被ってみましょう。画像左側は奥の黒いサーボがトルク2,5kgのJR製です。手前はウェイポイントのサーボでトルクは同じく2・5kgです。さて!国産品はミニサーボサイズ・舶来品はマイクロサーボサイズ・・・本機は同じトルクのサーボでも10数グラム多い国産品を使いました。別に高級感を演出する為ではありませんよ。ちゃんとした理由があります。二つのサーボの表面積はビス孔二つの舶来品より、ビス孔四つの国産品が広いという理由です。当然マウントの抜き穴も大きく成るんですが・・・、本機はエレボン動翼のフルサイズ・・・スパン1200mmいっぱいに左右の動翼が付いています。テーパー幅のエレボン動翼なんですが、舵面のサイズだけならグロー60クラスF3A機とほぼ同じです。この機体コンセプトが強風8〜12m用のスロープスタントグライダーになっていますので、工藤プロダクツのオリジナルコメット同等のスタント性能に近づける様に取り付けるサーボの固定面積の広い方を採用しました。同じ風圧が舵面からサーボの出力軸に掛かるのであれば、踏ん張りの効くビス孔四つの固定の方が信頼性は高いからです。

● 右画像は標準サーボとの比較です。ウェイポイントの同型サーボにはメタルギヤ仕様の(150MG)タイプがあるんですが、トルクは3,5kgもあります。国産標準サーボのトルクは3,3kgです。さて!大型グライダーのエレベータと特にラダーに使用する場合はどちらを選択しますか?。ウチワみたいなサイズのラダー舵面に舶来のマイクロサーボは多分・・・踏ん張りが利きません。あまり変わらないトルクなら、標準サーボが確実だという事です。機体が大きくなればなるほどサーボトルクが重要に成って来るんですが・・・、サーボ本体の風圧対策のサイズを無視して単なる微量の軽量化?なんかしたら、大変恐ろしい行動をしているという事を自覚しておいた方が良いと思いますよ。

● このリード線の長いミニサーボを再利用するんですが、後入れは不可能に近いので300mmの延長コードを先入れしてフィルム張り完成後、このコードの先にサーボ付属のリード線を繋いで外れない様にセロテープでコネクタ部分を結束し、通し終えたらお役目修了ですので取り外す手順です。

● 古いフィルムの剥ぎ取り作業もほぼ完了しましたので、面倒臭がりの大御所さんの手抜き部分の加工を更に進めて本来のコメット2007型に近づけていきましょう。大御所さんがフィルムを貼り込んだ胴体とは大きく雰囲気が変化していると思いませんか?。胴体は新しく作り直したのではなく・・・本来の曲面まで削っている最中です。これでもまだ70%程度の削りなので、完全な形状はもっとアール面が強調された仕上がりになります。工藤オリジナル機よりもアール面がはっきり出ていると思うんですが・・・、ラジコン技術誌の昭和48年当時の工藤氏ご本人の製作記事をお持ちの方は、見比べてみるのも面白いと思いますよ。


● 工藤東氏は面白い発想をしていますね。この発想は「空野彦吉=三宅優氏」の機体構造と航空理論と良く似ています。空野さんの機体の基本は実機の動翼コントロールと似ています。亜音速戦闘機にしろ・・・近代音速戦闘機にしろ・・・主翼のフラッペロンと水平尾翼のエレボン設定のみを通常飛行のメインコントロール機能として採用し、リンケージを簡素化しています。

● 主翼の被覆に入りました。被覆材にはオラカバドライのトランスパレット・レッドを使用します。再三ページで取り上げているんですが今だに多い質問のメールが、フィルムの貼り込み時における対処方法の一つであるフィルムカット間違い後の対処なんですが、フィルムはカットしてしまったら再利用出来る範囲ならば何かに使えるんですが、使えない範囲なら諦めるしかありません。それらの失敗等を未然に防ぐならば、型紙を作ることをお勧めします。ただし!フィルムにはアイロンを当てる表側とバルサ表面に密着させる裏側が存在しますので、左右対称のテーパー翼の場合は、型紙の裏表を二面ずつ使って、合計四面のシートを切り出します。同じ方向を四面切り出してしまうと・・・最悪二面分は使用不可能なサイズに成りますのでご注意ください。

● 大手メーカーさんの販売されているフィルム一本の寸法は、昭和の20クラス動力機の機体表面全部を余裕を持って貼り込めるサイズで一本!としてあります。ですから幅が600〜700mm×1800〜2000mmと成っています。型紙を使うと採れないと思っていたカバー面もサイズ的に採れる範囲で収まる場合もありますので、フィルムをケチりたいマニアは実践される事をお勧めします。そんなん!ショーも無い!・・・って思ってるお金持ちのマニアさんは大いに失敗しまくって、フィルムの大量消費をしつつ!模型業界に貢献してください。

● 本機はムクのテーパーエルロン材を使っているんですが、流石!昭和の大御所さんらしく・・・ノイズレスヒンジを使って抜け防止のピン打ち加工が施してあります。数年前に貼り込んだフィルムも経年変化を起こしかけていたので張替え作業になったんですが、ノイズレスヒンジをわざわざ外す必要も無いのでそのまま貼り込みを続けます。

● 工藤オリジナルのコメットの垂直尾翼は5mmバルサのムク板を組み合わせて、床板には幅広の2mmバルサを接着加工して当時存在していた厚さ2mmの硬質スポンジ製の両面テープで、主翼に固定されていました。しか〜し・・・21世紀のマニアさん(元々は昭和の大御所マニアさん)達に、それもスロープ大好きの飛ばし屋さん達に・・・紙張り塗装仕上げなんかしそうな人は居ません。手っ取り早くフィルムを貼って瞬間接着剤で尾翼の台座を・・・・なんて考えたら怖くなりました。もし!この作業をある程度完璧にこなすとしたら・・・、主翼の尾翼取り付け面のみクリヤラッカーを厚塗りしてからフィルムを圧着気味で貼りこみ・・・、尾翼台座の裏面にもフィルムを貼り込んでの瞬間接着剤での固定ならば・・・、ある程度の強度を維持した仕上がりと成るんですが・・・。本機の場合は安全策をと思い・・・、主翼内部にナイロンブロックの台座を埋め込んでビス四本で固定する方法を採用しています。

● エレボンサーボの取りつけ画像です。先入れしていたリードハーネスにサーボを結合し、リード線が長めのNES-321サーボをダイレクトで使う為内臓した延長ハーネスを抜き去る作業を行います。

● 延長ハーネスとサーボのコネクタ部分は、翼内のかなり狭い空間を通過しますので抜けない様にまた、引っ掛からない様にセロハンテープで角を隠す様に貼り込んで抜き取ります。

● この記事を御覧のマニアの方は逆アール面の被覆処理はどうされていますか?。私の場合・・・大きな逆アールはフィルム張りで対処するんですが、画像の様な小さいアールの場合は迷わず塗装する事にしています。色は少々違ってしまうんですが、仕上げが楽で良いと思いますよ。フィルムの一部も一緒に塗装しますので、1mm程フィルム面を残してマスキングテープを貼り込み・・・残りは新聞紙等で養生します。ベビーパウダーを添加したクリアラッカーを乾燥時間も含めて3回ほど塗り重ねます。

● 時間的に急がない人は24時間ほどじっくりと乾燥硬化させると、ベビーパウダーを添加したクリヤラッカーは快削なサンディング状態と成ります。最後にスポンジペーパーで表面を磨いてから銀粉塗料を一回だけ吹き付けます。銀粉の良い所はどんな色でも銀粉色に成り下地を完全に消してくれます。最後にラッカー塗料(ニトロセルロース系)を二回ほど吹き付けて完了です。

● 小ビス4本を使って主翼台座に固定します。右画像が完成したコメットです。主翼と垂直尾翼はトランスパレットのレッド・胴体はブライトレッドのフィルムを使って仕上げてあります。ブライトレッドは主に白地にストライプで使うと良く映えるんですが・・・、このレッドをベースに使って他色でストライプを入れるとどんな色も映え難いと言われています。ところが!飛ばす場所を海岸スロープに限定すると・・・このブライトレッドが凄い効果を発揮してくれますので、今回胴体の丸張りに採用しました。ブライトレッドの代表的な使用例を挙げるとすれば・・・、昔懐かしいハチロクブルーズの赤色です。霞のかかった淡い空にもくっきりと映えるブルーインパルスのストライプ・・・懐かしいですね。さあ!どんなストライプでデコレートしましょうか。