「願いをかなえるベル」にまつわる昔話

昔々、島原半島では飢饉が続き、育つ野菜も少なく人々は貧しい暮らしをしていました。
そんな中、殿様は年貢の納め方が足りないと、ますます納める年貢の負担を増やしたのです。

人々は生活の苦しさに耐えかねて、これ以上我慢できないと一揆をおこしたのでした。
集まった人たちは島原の城に押しかけ攻め込みました。

しかしながら幕府軍の反撃にあい少しずつ退却し、追い立てられ原城の城跡に立てこもったのでした。
一揆の村人たちを率いていたのはまだ少年の面影を持つ美しい顔立ちの青年「天草四郎」です。

そして四郎のそばにはいつも美しい娘が佇んでいました。その名を「みちか」と言いました。
四郎を慕う村人たちは幕府軍の攻撃に必死で耐えます。しかしながら冬の寒い数か月、城跡に立てこもりながらみんなは疲れ切っています。

四郎は悩みます。「どうしてこんなことになってしまったんだろう。私たちは争いをするために生まれてきたわけではない。田畑で作物を育て楽しく暮らしていたかっただけなのに。この世の苦しみ、争いなどのない世界はないものだろうか?」四郎は原城の裏に広がる海岸に抜け出て真夜中の海を見ていました。

その時四郎の眼に美しく光るものが見えました。岩の間から小さな光が四郎のほうへ差し込んでいるのです。
近づくとそこには美しく輝く鈴が埋もれていました。四郎はそっと掘り出し水たまりの海水で洗いました。
叩いてみると涼やかに鳴り響きます。そしてなんとその響きに反応するかのように、有明海の沖に何か黒い塊のようなものが動き出しました。

黒い塊に見えたものは、なんとイルカでした。たくさんのイルカが海岸に向かって押し寄せてくるのです。
浜辺までやってきたイルカは四郎の心の中に話しかけます。「四郎様、あなたの願いは伝わりました。私たちの背中にお乗りなさい。苦しみ、争いのない平和な世界に皆さんをお連れします」喜びに満ちた表情で、四郎とみちか、そして村人たちは、イルカの背中に乗って夕暮れの海を沖へ沖へと進んで行きます。
苦しみ、争いのない愛と平和の国へと向かって。
城跡には、美しい鈴が残っていました。

時がたち、出来事は伝説となり、ある日口之津港のターミナルビルの海側に鈴の飾られたベンチが出現したのです。そのベンチに座り、そっと小さく鈴を鳴らすと、願いが叶うと言われています。
あなたはどんなお願いをするのでしょうか?

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