● Fallen-Angel(堕天使)のSSG製作(例題機ブルーエンジェル60)Part-2

● Fallen-Angelとは、航空自衛隊築城基地に在隊中、上官が付けた私達ラジコングライダーチームの名称です。このメンバーで当時の九州中のグライダー大会に出場していました。ボコンボコン落としても落としてもめげないメンバーさんの熱意を評されての命名です。さて・・・現在も存在してるのか定かでない築城基地ラジコンクラブですが・・・、何らかの形で残っているとは思いますが・・・、その実態は解りません。ただ・・・ワッフが増えた!という情報だけは伝わりました(笑)。

● スピンナー型ノーズブロックの製作画像です。スピンナーと言っても回転するわけではありません。ただ・・・内部が空洞なので、バラスト収納が可能になりました。取り付ける時に10回転ほどねじ込みますので、まあ!一応回転しますけど(笑)。まずはノーズ付近ベースブロックの製作です。必要な厚み18mmに2mmベニヤを貼り付けて20mm仕上げとなります。

● 木目の方向が18mmなので、エポキシで貼り合わせてから厚さ18mmまで落とします。合わせ木細工の方はスピンナーの部品です。大小5段重ねとなります。

● 合わせ木細工の部品は形紙を使ってドーナツ状に加工します。若干部品が小さめなので、完全な真円はトレース出来ていませんが、半径3mmずつ大き目に作図したので、これでも充分形に出来ます。内部くり抜きをしたので、安全策です。

● これをエポキシ接着剤限定で組立てます。高速で回転させて切削しますので、瞬間接着剤は絶対に使わないで下さい。

スピンナー内部にもエポキシ接着剤をたっぷり塗り込んで隙間を埋めます。貼り合わせだけでは加工中の強度が足りません。面倒臭い工程ですが、硬化したらまた塗り込むを数回繰り返してエポキシの肉厚を上げて下さい。

● スピンナーの内部を空洞にしたのは、バランス調整用のボール鉛を封入出来る空間が必要でした。スピンナー単体を外せる工夫をしなければなりませんでした。画像は部材に固定する各種のナットです。手に持っているのは1/3,5で製作したLo-100の主翼取り付け台座に組み込まれた鬼目と六角ボルトです。此処まで大きいボルトは必要ありませんので、今回は4mmビスと爪付きナットを使用しました。

● スピンナーの寸法断面です。オリジナルブルエンよりもスピンナーを大きくしています。メカの搭載スペースを大きくしたので、胴体幅をオリジナルよりも11mm広く設計し直した為です。胴体側面は垂直尾翼を10%ほど増やしたので、全体的なデザインを若干変更しました。

● デボネアシーラやスーパースターといった名機から更に成家氏のノバは進化しました。その先に氏の名機オーロラがあります。この機体もF3A型からスロープスタントグライダーに変化しています。全く別物なんですが、ブルーエンジェルの基本的な性能は継承せねばなりません。風速10m辺りからSSG型の性能が発揮されるでしょう。

● ここ数年前からF3Aを辞めてスロープグライダーに転向するモデラーさんが増えてきました。最初に持ち込む機体はレーシングなのかと言うとそうでもありません。昔懐かしいバルサキットで作られた当時のスロープスタント機です。ただし・・・綺麗なアクロを描けるのかというと、やっぱり正確さよりもダイナミックに自由に演技させる向きの機体ばかりです。

● もちっとなァ~・・・、ナイフエッジに耐えられるデザインやったら演技の幅が広がるんやけどなァ・・・。やっぱり元スタント屋さんですね。スロープスタントでも魅せる演技に拘ります。じゃあF3A機をスロープに持ち込めば・・・が本機誕生のキッカケとなりました。詳しくはもっと後で記載しますが、30年近く前にこの機体の製作を熱望された模型店のオヤジさんが誕生の理由を語ってくれました。

● スピンナーの部材に載せていますが、これはスピンナー台座の裏面です。爪付きナットの台座をエポキシで完全に埋め込みました。4mmビスは刺さったままですが、潤滑剤を吹き付けて一緒に接着されない処理をしてあります。

● 何時ものサンドペーパーホルダーの画像です。角度設定の平面出し用ではありません。それを応用したアール面を削り出せる専用ホルダーですので、オールマイティには使えません。決められたアールの大小スピンナー限定です。作図状態から3mm引いた状態でホルダーを組みます。そこに1,5バルサを二層に接着して完成させます。ホルダー面の補強は二層目バルサは一層目バルサにエポキシを全面塗り込んで硬化させました。

● バルサ面の埃を全部取り去り、両面テープの食い付きを良くする為に、セロテープを全面に貼り込みました。バルサにセロテープ?・・・貼れる訳ないよ~って信じてるネット物知り博士の皆さん!・・・、現に貼れてますよ。ホルダーにはスチレン材切削に愛称の良い60番の粗目のサンドペーパーを貼りました。バルサ材よりも柔らかいスチレン材に粗目のペーパーなんて馬鹿じゃないかあ~って書き込んだネット物知り博士さん。60番でスチレン材削ってみなさい!。論より証拠!。世界が変わるよ。

● たったこんだけの部品作るのに・・・丸二日・・・。製作前に工程の数をシュミレートして止めようかとも思う位・・・複雑な工程でした。そんな性も無い事・・・ってまたあらヨットの管理人さんに馬鹿にされるだろうなァ・・・。

● 丸二日掛けて苦労して作った治具と部材が部品に変わる瞬間です。生地完成まで僅か15分でした。

● 実はこのスピンナー型ノーズブロックは胴体生地完成の最後では作れません。このスピンナーの形状に合わせて胴体の機首周りが決定していきます。スピンナー本体だけでもかなりの重さがあるんですが、製作上の難関であるテールヘビーに大きく貢献してくれるので、材料選択も楽になります。勿論!購入可能なスピンナーの形状に合わせても良いのですが、胴体内部構造やら搭載メカのサイズやらと細かい決め事を優先すると・・・、結局・・・スピンナーは自作するしか無い・・・と諦め半分・・・。これが自作カスタムメイドショップの運命(サダメ)なんでしょうね・・・。

● 一応ボックス構造ですし全備重量はオリジナルブルエンの半分以下になりますので、過度な補強を必要としない構造なんですが、1,5mmのベニヤを一本側板としてエポキシで貼り込みました。この時、画像の様に貼り込むベニヤに掛けたゴムの張り線位置を山型にすると、より接着圧力が強まります。

● 重心より前方のノーズ方向のプランク仕上がりの厚みは3mmとなりますので、そのまま3mmシートはアールに沿いにくいので、1,5mmシートの二枚張りにしています。一層目は平面とアール面はなるべく貼り易い方向で貼り込みます。二層目は通常の貼り方なんですが、一層目のつなぎ目を隠す様に貼り込みます。

● 一層目はソフト寄りのメディアムバルサを使用して、なるべく胴枠のアールに沿わせて貼り込みました。二層目はハード系メディアムバルサを使い、広範囲を一枚で貼り込みます。この二層目ですが、木工接着剤をケチらず多めに塗り込み、時間を掛けて硬化させると驚く位・・・外部側板が丈夫に成ります。この状態で約300gです。画像の計量時はノーズ付近のブロック材も全て接着された状態です。

● こういったアール面のプランク材を貼り付ける時の裏技なんですが、胴枠に接着剤を塗ってプランク部材を乗せたら、セロテープを貼って下さい。テープの上からマチ針を刺すと、テープ接着面の糊がマチ針の抜け止めになりますので、プランク材が浮き上がりません。ただし・・・プランク材は水分を含ませてアール状に加工して乾燥させた物を使います。

● ノーズを此処まで絞るとスチレン構造だけでは無理ですので、オリジナルのブルエン同様に厚手のバルサブロックを貼り込みます。しかし!・・・グロー60ENG搭載機よりは少なめのブロックです(笑)。

● あまり進んでない様にも見えるんですが、このパネル甲板張りは実機と同じ方法なので時間が掛かります。アルミ板をリベットで留めるのか、バルサ材を接着剤で貼り付けるのか・・・、やってる事はどちらもよく似たものです。台座に乗っている位置がどんどん前に成って来ています。これが二層目プランク材辺りでつり合いが採れる様になったら、尾翼の構造の補強に余裕が出て来ます。

● 今回の機体をスチレン主体にしたのには理由があります。スチレン板には指向性があり、内部は柔らかい発砲スチロールですが、外部表面は瞬時に高熱を加えて冷却するので、目が細かく締まっています。これを利用するとキール材になったり胴枠に出来たりします。外部表面の硬さを組み合わせて立体にすると、ベニヤよりも軽くてバルサよりも加工し易い丈夫な構造体が出来ます。

● このサイズで内部スチレン材の重さは僅か80gでした。ここにバルサの棒材、シート、ブロック材を貼り込み現在300g強です。完全にプランクが済んで尾翼一式取り付けても、全備重量は600g前後でしょう。主翼は400g程度で仕上がる予定ですので、メカとリンケージ、被覆のフィルムを入れても目標の1500gは達成出来そうです。・・・ですがァ・・・。

● 本機のコンセプトは無動力のアクロバット専用機です。風が弱くても1500gなら浮かす事ぐらいは出来ても、スーパーアクロまでは出来ません。やっぱり風速10mくらいは必要です。この状況の1500gは風に翻弄されて操縦が難しくなるでしょう。翼面荷重的には目標数値の20%増しぐらいの全備重量1800gは必要かもしれません。(続く)

● コクピット周りの工作に入ります。メカ室辺りには段差を設けたのですが、コクピット兼キャノピー兼メカハッチという兼用しまくりの構造ですのでこういう形になりました。作りが複雑なんで難しく見えますが、ロック箇所が多いので基準が採り易く固定が楽になるでしょう。

● どんなに大きいブロック材を使っても・・・半分近くは削り落としてしまいます。中々全備重量が増えませんので、都度都度計測していますが20グラム・・・30グラムといったスピードでしか増加しないのが現状ですね。F3A機は切った貼ったに削ったが加わるのでグライダー製作の倍の工作時間と行程が必要です。一応スタントグライダーなんですけどね~・・・。構造自体が・・・F3Aですからね。

● 垂直尾翼の工作です。形紙は大きく抜いてますが、実際は・・・手抜きしました。リブは最大翼厚8%の完全対称です。左右同じ形だから当然なんですが・・・。実は主翼も水平尾翼も粗同じ構造です。

● 今回は1mmバルサを貼り込んでいます。接着剤は普通に木工白ボンドですが、食い付きを良くする為にスチレンの接着面を荒らしておくと上手く付いてくれます。現段階での胴体全体から見る垂直尾翼は、あまり大きくはありません。しかし・・・胴体の側面積も垂直尾翼の一部と換算すればかなり大きくなります。もっともっと垂直尾翼は大きくなりますよ。

● 今後の展開を少しお話ししますが、水平尾翼はカンザシによる二分割構造と取り付け角のアナログ変更可能装置・主翼は変則3ピース分割構造となります。当初はワンピースで翼型の違う主翼を数枚と考えていたのですが、アルミパイプの組み合わせで3ピース翼が可能だと判断しましたので、そちらの構造に変更しました。

● この3ピース構造ならばセンター翼の付け替えで主翼の後退角度や上反角の有り無し・・・または翼端上反角・変則複葉機の構造も可能になるでしょう。スロープにおける色んなスタイルの機体が飛行する姿は多分新鮮だと思いますよ。そして、行く行くは・・・こういうスタイルの機体のシャーレー構造確立です。さて・・・何時の事に成るやら・・・。(Part-3に続く)