● グロー25ENG搭載の空野彦吉氏の機体の原寸図面を元に、氏にライセンス許可を貰ってから製作して販売したZ-3025ブラシレスモーター搭載の電動機の製作記録です。電動機化するに中り氏オリジナルの機体構造では色々と不具合が出そうになりました。そこで内部構造を大幅に私自身のオリジナル構造に変更しましたが、アウトラインと各種モーメントの設定は一切変更無しで再設計してみました。地元のマニアに言わせれば戦艦大和を宇宙戦艦ヤマト並みの改造との事です。何のこっちゃよく解かりません。しかし、30年前なら考えられなかった電動ユニットで当たり前にグローENG機が飛ぶ時代になった今、騒音の軽減と仕上げの汎用性が広がった電動ラジコン機がドンドン普及する事を切に望みます。空野さんの機体のライセンスは全機種貰いましたので、今後機会をみながら製作記事を増やしていきたいと思います。

左・25ENG搭載機/右・Z3025ブラシレス搭載機

 ● 上記画像の左側が空野氏オリジナルのハンターです。主翼の分割の無い一体型で組まれています。基本的に分割型にするとその部分の補強等が増え機体重量が重くなってしまうのですが、機体構造の90%を極限まで肉抜きしたバルサを使用してオリジナルの生地完成重量よりも軽量化する事に努めました。

 ● 空野式と呼ばれている上下分割型ではなく左右分割のオリジナル構造になっています。ネット物知り博士には「ワザワザ難しくしてウケを狙わんでもお・・・・。」と嫌味を言われたんですが、多分!今の博士の技術力ならこの組み方の方が簡単だと思います。空野式工作法はある程度模軽飛行機の構造に慣れ親しんだ人にとっては理解し易いのですが・・・、ラジコン技術の製作記事から多くの勘違いマニア族が誕生してしまいました。改良と称した大きな改造で誤認した知識のまま製作され単なる改造粗悪品にしてしまったHPの管理人さんもおられます。挙句の果てには「ホーカーハンターは欠陥機である!。」とまで言い切っておられたんですが・・・、ホームページの製作記事を読んでいてここの段階で勘違いしている・・・というのがはっきりと解かります。


 ● ネット普及後の多くのネット物知り博士の勘違いは、他人の勘違いの又聞きをそのまま疑問も持たずに肯定してしまった事にあると思います。技術が無くてもネットの掲示板だけなら他人の知識の寄せ集めだけでも物知り博士にはなれるんですが、そういう人は絶対に飛行場に自作のもしくはオークションの質流れ品を持って現れない事をお奨めします。メッキが直ぐ剥がれてしまいますよ。ラジコン技術のバックナンバーをお持ちのマニアの方は、もう一度記事の内容を良く読んでから一度実寸代の図面を引いてみて下さい。誌に載っている縮小図面から直接原寸部品を採って組み立てると思わぬ大きな勘違いをしてしまいます。

 ● 図面右側の胴枠の点線ラインが15番胴枠から20番胴枠までのカットラインとなります。実線で表記されたラインでカットすると上下同じ形状の胴体が二つ対で完成するんですが、水平尾翼の取り付け角を間違え易くなります。ラジコン技術の縮小図面から拡大する時は推力線の位置と胴枠がどれだけズレているのかを確認してください。空野氏の機体では推力線に対して水平尾翼の取り付け角は0度です。早い話が推力線に対して平行であるという事です。

 ● ラジコン技術の縮小図面から見てもはっきりと解かるんですが、何で此処で皆勘違いしたんだろうと思われる箇所があります。ホーカーの胴体の側面アールは主翼後縁付近から機体後部の上方にずれて行きます。胴枠は真円のまま排気管後部の枠まで続くのですが、胴枠のカットラインがズレているのに誰も気が付かなかったのでしょうか。という事は全部の胴枠を完全に半円状態でカットしてしまうとクロス尾翼の水平安定板の取り付け角がダウン方向に設定されてしまい、それがニュートラルであると勘違いしてしまいます。指定された重心位置のはずなのに・・・投げても投げても急降下・・・、水平尾翼の取り付け角が間違っているのに気が付かなかったばっかりに・・・。

 ● 空野さんのホーカーは機体の推力線の中心に完全対称翼の中心が重なっていますので、これを基準に直線を引いてみてください。後部胴体のアールは上方にズレて行きます。もし、空野式で下部胴体を組み立てるのであれば、ズレた胴枠の分だけカットラインを下げなければなりません。後部胴体だけで言うならば下部胴体のアールは半円に満たない状態でプランクし、主翼を組み込んだら残りの胴枠を接着しますが半円以上のプランクが必要になりますので、上下別組みの分割胴体では組まない方が良いと思います。


 ● 左側の画像に見える胴枠の先端に付くベニヤ材はストリング材を組み込んだ後カットする部分です。ここに分割翼の台座のバルサブロック板がドカ〜ンと張り付きます。私の大型グライダーにはこのパーツが当たり前に付いているんですが、カンザシで結束する分割翼の場合主翼側が平面なら胴体側も平面にした方が組立は大変楽になります。ガルモデルの分割翼グライダーは胴体のアールに沿って主翼側を削らなければなりませんでした。難しかったな・・・。ある程度の工具を持っておられるマニアなら理解は早いと思いますので有効だと思われたら、使って貰っても良い技術です。ただし、リップサービスだと再、勘違い族が蔓延してしまいますので一度自分で実践される事をお勧めします。


● センターキール型の機体の長所は胴体の中心線が直線であれば、垂直尾翼は必ず胴体の中心線に沿って取り付ける事が出来ます。画像の垂直尾翼は内部の芯材です。センターキールが3mm厚のバルサですので3mmバルサの芯材はプランク後・・・必ず中心線に取り付ける事が出来ます。ベニヤ材の出っ張りはその為のジョイントです。後は垂直尾翼の左右の傾きのみ神経を注いで取り付ければ良いのです。その為にネット物知り博士から「ワザワザ難しくせんでも〜・・・。」と言われながらも、キットの組み立てられない博士の嫌味を尻目に複雑な加工をしています。ところがですね・・・この工法が当たり前になると神経の使い所が変わるので以外と楽だったりします。


● 冶具台の橋桁です。この冶具は空野式組立をサポートする定盤に限りなく近い冶具です。左右分けの胴体の組立に対応させる為に冶具台からの高さを10cmにしてあります。基本的に上下分け・左右分けの両方に対応出来ます。


● 空野さんから貰った機体図面の胴体寸法に殆どの機種が対応出来る様に冶具台の寸法を決めました。アルミアングルのアダプターを組み替えて上下二面・左右二面に対応しています。


● ノーズ・コーンは360度同じ形でないとモーターの中心軸がズレてしまいますので、ゲージを作って細かい調整をしながら接着していきます。胴枠に使用した形紙は左右分けなので比較的簡単でした。空野さんの図面には専門誌の図面にも原寸のコピー図面にも、この翼型作図のゲージが記載してあります。オリジナル機にはかなり有効なアールゲージだと思いますよ。ラジコン技術のバックナンバーをお持ちのマニアは一度作図して使ってみて下さい。コピー図面は原寸なんですが、専門誌の記載分は縮小図面ですので拡大しないと使えません。アナログレベルの拡大の仕方は小学校でも習いましたよ。トップページの「存在しない工具は作ってしまえ!」から入って見てもらえば、小学生レベルの拡大方法が載ってます。


● 2mmのメディアムバルサ(板目)の片面に霧吹きして膨張させ、フィルムの芯に巻き付けて乾燥させると右の画像の様なアールの付いた加工シートが出来上がります。ホーカー本体のアールよりもきつく曲げ加工する事により胴枠に食いつかせて接着させる事が出来ます。バルサのシートの板目(イタメ)と柾目(マサメ)については別のページで紹介します。


● 厚さ20mm・幅80mmの定尺900mmのバルサシートからこのブロック材を切り出します。空野氏オリジナルの主翼一体型ではなく主翼二分割構造なのでこの加工が必要になりました。当初発注された方は一体型の希望だったのですが、秋葉原事件を模倣したその後のブラックマウンテンキリシマ(最初のハンドルネーム=本名カタカナ表示ミ・○・イ)のネット掲示板への悪戯書きに便乗した別の人物の悪戯が母を直撃してしまい・・・身体的精神的なダメージが大きく私自身が母の看病の為,家から出れなくなりました。(ミ・○・イ)の悪戯書きの理由がタダでラジコン飛行機のカスタム品を貰えなかったから・・・と聞いた時、北九州には今もこの様な窃盗団がまだ存在していた実態を知った訳ですが・・・、世も末だと思いました。そこで発注された方に事情を話し、木村バルサの定尺箱で送れる様にと二分割翼の構造に急遽改造しました。結果的にその後4セルホーカーから2セルホーカーの試作をしたのですが、仕上げは一体型になりますが分割主翼が胴体に確実に取り付けられる構造が完成出来ました。


● 上記のブロック材を見てピ〜ンと来た人は、ソアラータイプのグライダーに応用して下さい。私の設計したオベロンU型の主翼付け根のフィレットは同じ構造で取り付けられています。ガルモデルのキットを過去作った人ならこの構造を理解されるのは早いと思います。ガルのキットではフィレットが主翼側に付いていましたが、胴体の側面のアールに沿って削り込むのが大変難しい作業でした。この構造なら主翼側は平面加工のままピタリと取り付けられます。本機ハンターはセンターのキールフレームとフィレットのブロック材が平行に取り付けられています。主翼側のカンザシ受けのパイプの基準が大変取り易くなりました。カスタムで製作した過去の大型グライダーの殆どが主翼二分割なんですが、この構造を全機種採用していますので主翼の結合面はすっきり加工出来ます。後は翼型に合わせて半丸の彫刻刀を使って逆アールを削り込み、バルサの丸棒等に巻き付けたサンドペーパーで細かい仕上げが楽に行える様になっています。


● 左の画像はカンザシを通す角抜きの穴です。カンザシパイプが真円なので丸抜きしなければ「悪影響!が出る!」といつものお決まりの言葉が物知り博士から出る・・・と予想されるんですが・・・。もし丸抜きした場合穴が0,5mmでもズレていたら、半円を正確に削り下げないとパイプの位置修正は出来なくなりますが、角抜きなら一点を半丸のヤスリで僅かに削ってやるだけで位置修整は修了します。位置が決まったら隙間を綺麗にエポキシ接着剤で目張りしてやれば良いのです。私のカスタム機は全てカンザシパイプの穴は角抜きになっていますので、オーナーさんが自分で修理する時も修整し易くなっています。


● ほぼセンターキール・フレームが直線ですので垂直尾翼は必ず中心線に取り付けられます。後は左右の傾きだけに注意を注げば良いのです。胴体のプランク時は再度定盤に固定して貼り込んでいきます。ここから先の作業には元戦闘機の板金屋ならではの色々な面白い加工が出て来ます。油圧配管の代わりに何を使って同じ動きをさせるのか・・・、こんな使い方があったのか・・・という工夫が沢山出てきます。卓上の空論のままリップサービスで吹聴せずに、自分で試してみて有効だと判断出来たらそれは貴方の技術になります。「此処に・・・こんなのがありま〜す。」という様なネット掲示板の一行掲載には使わない方が良いと思いますよ。この技術はブーガチャンを繰り返し経験して改良して来た結果です。その経緯を説明出来なければ書き込む文章にも話す言葉にも重みが感じられませんので、直ぐにバレてしまいます。特に昭和の大御所とタメで喋る場合に・・・。


● この部分は空野さんオリジナルのハンターと同じ位置に取り付けられた尾ソリの台座です。空野さんの機体では1,2mmのピアノ線を加工してエポキシで取り付けられていたんですが、本機の尾ソリはねじ込み式としました。画像のこの星状の物体はOK模型のフレキシブル・ロッドの中芯です。これを角を取らずにそのままキールに埋め込みます。左右側方から2mmベニヤで補強してエポキシでガッチリ固めてしまいます。胴体の外皮プランクとフィルム仕上げの後、市販のプッシュロッドを尾ソリ状に加工してねじ込んでやれば完成です。その他のこのパーツを使った面白い利用方法は「オリジナルパーツの紹介」のページに記載しておきます。


● 後部胴体は通常モーメントの機体ならなるべく軽量に仕上げるところなんですが、事ジェット戦闘機のモーメントでいけばノーズモーメントが異常に長いフォルムを持つ機体が多く見られます。そこであまりシビアな軽量化をする必要もありませんので、材質としては少々硬い部類に入るメディアムハードの板目バルサをお湯に近い温度の水を吹き付けて充分馴染ませてから曲げていきます。下手に勢いよく曲げるとパキン!と割れてしまいますよ。じんわりとゆっくりと曲げていきましょう。。スプーン曲げと同じ気持ちになって「ちゃんと曲がれよ〜・・・、割れるなよ〜・・・。」と、一生懸命に念じながら曲げてください。基本的に機体全体がアールで構成されている胴体の場合、胴体の60%以上のアール部分のプランクをすれば胴体が捻れて組み上がる事はありません。これは実物の飛行機でも同じ事が言えます。実機の胴体のアクセスパネルの全部の面積を見れば全表面積の3割以下になっていると思います。


● 胴体のプランク中の画像です。胴体下面の所々にプランクしてない部分があるんですが、塞いでしまうと今後の作業がやり難くなりますので空けたままにしてあります。部品の取り付けやリンケージの取り回しが済んだら羽目殺しとなる仮のアクセスパネルです。実機戦闘機ならビス止めのパネルではなくリベットで留めてしまうパネルになります。プランクの工作方法なんですが、胴枠とストリング材で仕切られた小窓を一枚一枚塞いでいくやり方です。今のマニアなら面倒臭がって絶対やらないと思うんですが、一度このパネル甲板張りの魅力にハマッたマニアは徐々に仕上がるこの組み方にエクスタシーを感じる様ですよ。全体がアール面のこのハンターなんですが、ガタイの割には大変軽量に仕上がります。数年前に製作した1号機から数えると8機目になる今回のハンターなんですが、急遽分割翼にした1号機の図面を更に引き直して今回の量産型ハンターが完成しました。この機体の製作記事は現在進行形のハンターの製作過程です。何れ超軽量のF−104(スターファイター)の4セルEDF機の製作記事も載せましょう。ただし!、翼端にはチップタンク付きの機体です。だって・・・バッテリーの搭載場所が無かったんだもの・・・。チップタンクのおかげで飛行時間が15分に延びたし、とにかくローリング軸の安定性がすこぶる良くなりました。チップタンク万歳!。しか〜しコクピット内部は懲り過ぎたら重くなりますので注意が必要です。反省・・・。


● 空野氏の機体の殆どが降着装置をピアノ線によるスプリングダンパー型で組んであります。時々見られる実機の油圧ダンパーのストラットギヤは展示用のダミー脚です。実際に実機みたいなオレオ脚を組み込んでみれば解かるんですが、空野氏の機体はソリで充分であると気づくハズです。そのピアノ線のソリを取り付ける台座を4mmベニヤから作図して組み込みました。右側画像で見える抜き穴部分はこの台座の組み込みの作業性を楽に行う為に、まだプランクをしていません。


● 左の画像はベニヤで組み上げたノーズ・モーターマウントです。内部フレームの表面全部をニ液性エポキシ接着剤でコーティングしてしまいます。これがガッチリ固まると最大限肉抜きした構造なんですが、、大変丈夫な仕上がりになりました。この木組みの表面に1,5mmのバルサを二層構造で貼り込んでいきます。何時もの様に小窓のプランクです。胴体側は2mmの単板張りなんですが、Z−3025ブラシレスを4セルでブン回す訳ですからマウント自身がある程度のモーターの振動に耐える強固な作りであると同時に、振動を構造全体で分散させないと後部胴体全体に振動が伝わって最悪・・・動翼にも振動が伝わってしまいます。普通に飛ばす分には気付かないのですが、F3Aクラスのコンテストフライヤーにはこの動翼の小刻みな振動が気になる様です。そこで昭和の終わり頃、フローティング・マウントが誕生しました。

● このハンターではモーターをフローティングさせる代わりに、構造自体を複雑に組み合わせて動翼に伝わる振動を軽減させています。このハンターと同じサイズで内部構造自体をスチレンペーパーで構成したU型機も既にロールアウトしています。構造はロックウェル・カナード機と同じ造りです。外部コーティングにはオラカバドライを全面貼り込みました。内部はスチレンなんですが外部は全てバルサでコーティングされていますので、普通に高温でフィルムが貼れます。4機目の機体では同じ内部スチレン・バルサ仕上げの胴体をマイクログラスにウレタン塗装で仕上げましたが、普通に完成しましたよ。スチレン構造はバルサの左右分け構造からオリジナル上下分けの構造に変更したんですが、かなり正確に仕上がる上構造自体が軽量かつ丈夫に仕上がりましたので、その後(M−163b・KOMET)に使用しました。

● 右側の画像はプランクの修了した後部胴体です。モーター冷却用のNASAフラッシュが機首に4箇所設けてあるんですが、その冷却風の出口が画像に見える排気孔です。ダミーじゃないんですよ!。ここに更に成形用の10mmバルサを貼り付けて仕上げていきます。今見える孔は部材取り付け後にもう一回り大きく開け直します。センターキール型の胴体って便利でしょ?。


● 垂直安定板と水平安定板の組立です。数年前の事なんですが、「これが安定板〜・・・。」とお仲間さんに説明していたら、30歳代のネット物知り博士が話しに割り込んで来て「トンビさん!、これはね!ラダーって言うんですよ!。」と見下ろし目線で自慢げに講釈していました。私はラダーを指差して「これは?。」と尋ねたら「だから〜!、ラダーだって言ってるじゃないですか〜。」もう一度垂直安定板(バーチカル)を指差して「「これは?。」って聞いたら「僕を馬鹿にしてるんですか〜っ!、だからラダーって言ってるじゃないですか〜っ!。そういう態度は僕・・・絶対許しませんからね!。」この博士は一桁チャンネルの常連さんです。誰にも気付かれていないと思っているようですが、皆知っています。

● 胴体に固定されている垂直尾翼の名称を基本的にバーチカルと呼びます。後部の可動胴翼の部分が方向安定板のラダーです。キットの原寸大図面に記入されている尾翼の部品番号には、垂直尾翼には垂直安定板(バーチカル=V)・方向安定板(ラダー=R)・水平尾翼の場合は水平安定板(スタビライザー=S)・昇降安定板(エレベータ=E)と表示されています。これは世界共通ですので覚えていれば昭和の大御所との会話でもネット物知り博士だってバレませんよ。


● 垂直尾翼と水平尾翼の前縁にバルサの棒材カッターで7mm幅を切り出し3mmの厚みになるまで積層します。いきなり3ミリバルサを貼ろうとしても、尾翼前縁のアールには沿い難いのでこんな七面倒臭い加工を施しているんですが・・・。理由は前縁の先端のアール加工をスムーズに削れる様にする為です。貼らない場合サンドペーパーの当て方によっては、ささくれた前縁がめくれる場合があります。ミテクレの良さと後処理の軽減の為にあえて、もう一工程増やしています。個人の自由ですので参考程度です。

● クロス尾翼なのでラダーのリンケージが難しくなります。そこでセンターキール型の優位さを最大限活用して、油圧配管と同じリンケージを採用しています。このパイプの中にピアノ線を入れたら動きは大変渋くなるんですが、テグスのワイヤーならスムーズに動くんですよ。空野氏オリジナル機では垂直尾翼を厚さ7mmのバルサのムク板から切り出してあるんですが、私の機体では3mmのバルサの中芯材の両面に2mmのバルサをプランクしてあります。水平尾翼の前縁を避ける様に溝が掘ってあるんですが、ここにテトラ(丹菊モデルクラフト)のリンケージ・パーツの一つであるフレキシブル・ワイヤー(MH型)のアウターパイプを埋め込みました。このリンケージパイプの外直径が2mmなので溝を掘って埋め込めばツライチとなります。後は隙間を埋める為のパテ盛をして成形すればフィルムを貼っても表面には出て来ません。。無理に完全内臓を考えるよりも楽な作業だと思います。

 ●過去・・・メーカーの開発部時代にEZ素材であるスチレンペーパーの外皮シートの裏側に溝を掘って、この手のパイプを内臓してテグスワイヤーによる両引きリンケージの試作をして組み込んだのですが、バルサのリブ組みである本体の加工をする事なく組み込めるので作業性は良い方だと思ったんですが、時代がまだ早すぎて小型電動飛行機の時代が来るまでお蔵入りとなってしまいました。その後・・・誰も試していない様ですので何れ試してみようと思います。バルサの骨組みの中に複雑なリンケージの細工を施さなくても両引きのテグスワイヤーが可能になります。誰か私よりも先に試して「こら〜っ!、トンビ〜っ!、真似するな〜!!。」という位の本物の自作マニアが出現する事を祈ります。知った被って「何処何処のメーカーによく似た構造が在りましたあ〜。」って・・・そんな地球の裏側の名前の知れてないメーカーさん・・・、知らないって〜・・・。

● 垂直尾翼をジョイントに合わせて取り付けてみました。まだ接着はしません。このリンケージはハンターの一機目から実践している方法ですので少しずつですが改良が加えられています。慣れたもんです。

● 垂直尾翼は配管タイプの両引きだけど水平尾翼はどないなリンケージになるんやろう・・・と期待されていた方・・・、申し訳ありませんでした。至って普通のプッシュプル・リンケージです。さすがに7mmの垂直尾翼の厚みでは直角曲げのL型配管ジョイントはまだ部品が出来ていませんので、普通のリンケージにしました。ただし!2mmのプランク材に物凄く浅い角度で取り付けてありますので、接着面積はエポキシ固定でも瞬間固定でも充分対応可能です。

● ノーズ・モーターコーンのプランクなんですが、胴体の2mm単板プランクではなく1,5mmの二枚積層構造になります。私の大型グライダーでは重心から機首までの胴枠は通常バルサキットの倍以上入っています。メインの胴枠の間に入るサブ胴枠ですのでアール部分のみの簡素化された胴枠です。この胴枠とストリング材の小窓を一つずつプランクして行くのですが、面倒臭く性〜もない!構造だと言われるんですが・・・。この小窓を二枚張りするとプランクの厚みは3mmとなります。「何でワザワザ重くするんですか?性〜もない!。」なんでしょうけど、一枚目はフレームの小窓に接着するんですが二枚目は裏面一帯に接着剤を塗ってプランクします。言わば積層された内部に硬い皮膜を作る事で表面のバルサを削り易くしてあります。

● ビンテージ・グライダーの場合は極端にきついアール面も少なくありません。胴枠の数が多ければ多いほど小さい角を沢山持った機体外皮が出来上がります。例にとれば翼型をCADで作図する場合に翼弦方向の座標数が少なかったらその翼型の表示は座標と座標の交点を直線で結びますので、、かなり角ばった翼型になります。ならば座標の数を今の10倍に増やして表示させると短い距離の交点を直線で結ぶんですが、人間の目ん玉はいい加減ですので曲線で表示された様に見えてしまいます。要するに胴枠の数が多ければ多いほど機体外皮の座標が増えますので、更にプランクのつなぎ目に平面のサンドペーパーホルダーで短い平面を作ってやりその数を増やしてやれば良いのです。

● プランクの胴枠と胴枠の間の面に均等にとペーパーを当てると、生地完成の状態では艶が無いので解かり難いのですがフィルム等を貼り込んで透かしてみると、胴枠と胴枠の間のプランク面が凹んで見えるハズです。これは凹んで見えているのではなく実際に凹んでいるのです。曲面をプランクする場合は胴枠間のプランク面のペーパー掛けには充分注意をしましょう。

● 私のビンテージグライダーの重心から機首にかけてはダブルプランクになっています。作業工程は増えるんですがアール面を出しやすい他のメリットは、とにかく丈夫な機体外皮構造になりますので重心位置をしっかりと持つ事が出来ます。吹き飛ばされそうな強風の中で握力をかけて掴んだとしても、へこたれて胴体が凹んだりする事はありません。ただし・・・クラッシュは別ですよ。ひ弱な構造は高性能狙いの軽量化であるとしても、機体ホルダーの助手さんがバキッ!っと発進前にやっちゃったら・・・その日は飛行中止になります。場合によっては仲が悪くなる事も・・・。

● ノーズマウントのプランク状況です。1,5mmのバルサシートを小窓に沿って一枚ずつ貼り込んでいきます。左画像は一層目の追うランクが修了して乾燥待ちの状態です。中央画像は二層目の貼り込みなんですが一層目とは違いプランク面全部に接着剤を塗り広げてベタ張りします。最初の一面はマチ針で固定するんですが、次の面からはセロテープで固定していきます。右の画像はモーターとバッテリーを冷却する為のインテークです。この部材の余分な部分を成形したら二層目のプランクに入ります。

● 左画像で垂直尾翼の取り付けラインに段差が見えると思いますが、これは意図的に段差を付けてあります。空野氏の機体ではムクの尾翼を胴体の上面から内部胴枠の3mmバルサに爪楊枝を利用したピンで差し込んで取り付けるやり方なんですが、私の機体ではベニヤのジョイントで結合する方法です。台座となるセンターキールのバルサの目の方向はプランク材と平行なので、グランドループの地面接地の場合は大きな横向きの荷重が掛かりますので、割れ易くなります。そこで尾翼と同様の厚みになる一層目はバルサの目を90度変えて貼り込み、二層目はプランク面と平行に貼り込んであります。この面は実機ホーカーハンターと同じ緩い逆アールのフィレット面と同じ削りを入れます。

● ノーズモーターのコーンを仮止めしてみました。モーター取り付け面の下方に見える切り欠き部分は、モーターの配線が太くてコシが強いので無理にねじ込む必要が無い様に最初の設計段階から決めていました。余談なんですが今回のホーカーの製作記事に多くの空野ファンから質問のメールを頂ました。その中の幾つかのメールが同じ質問だったのですが、ジョイント部分の無い胴体のノーズ先端とモーターコーンの取り付けはどういう風に行うのか?、誰でも見れば疑問に思うでしょうね〜・・・。次の画像アップで解かるんですけどね。ホームセンターで購入できる材料を使って、簡単なドリル工具をお持ちの方なら誰でも作れる最強の道具を紹介します。羽目殺しの状態でも圧着可能で接着剤硬化後は完全に取り外せる道具です。30年前に築城の整備格納庫で使っていた工具の簡素化された形です。実機には修理可能な大きい壊れ方(空中爆発分解墜落以外)をした機体でも、絶対狂わないポイントが三箇所設けられています。これを「ハードポイント」と言います。機体を修理する場合はこのハードポイントを基準にして機体を元通りに組み立てて行きます。この時に必ず登場する道具の一つです。この道具にそっくりな工具をサシモノ大工の職人さんは当たり前に使いこなしています。言わば航空機専用の大工道具と思えば理解は早いと思います。大工道具名では「ハタガネ」と言うんですが・・・、ハタガネを想像した人は一部正解なんですが構造が少し変わっています。使い方次第ではグライダーの製作やスケール機の製作・・・、はたまたシャーレー機の修理にも使えるかもしれませんよ。何しろ羽目殺しの圧着法ですからね。

● 上記の画像から構造を理解出来た人は、どうぞ自分で作って使ってみてください。これは一つのアイデアに過ぎません。実機の場合・・・、同じ様な構造で冶具を作りそれを基準に機体の胴枠を固定してストリング材を入れ機体の外部パネルをリベットで固定していきます。最終的にはこの冶具は外してしまうんですが、冶具を固定する為に最初から埋め込んであった固定ナットには別の電子部品が取り付けられたりします。要するに実機の場合は通常部品の取り付け部分と修理をする際の冶具の取り付けの互換性が出来る様に、最初から設計してあるという事です。私の機体には大なり小なり・・・この方法を組み込んで機体を作ってあります。オーナーさんでもお手上げの場合は、この内部冶具の取り付けナット穴(正式にはホイストと言います)を使って冶具を組み込み機体の修理を行います。この自作工具もそういった実機工具の中から模型用として生まれた道具の一つです。形を変えればシャーレー機の修理にも使えますよ。暗闇の黒猫探しに行き詰まっているレーシング・フライヤーの皆さん・・・、KT山さんと相談しながら考えてみてください。

● 二層目のバルサプランクを終えたらインテークの穴あけをします。一層目でインテーク内部の加工をしたんですが、二層目のバルサはそのボロ隠しの意味合いもあります。別にマイクログラスで覆ってしまうのでカラー塗装してしまえば解からないのですが、生地完成までの製作記事を書いていますので、手抜きも出来ません(笑)。コーンの先端に付いているのはコレットキャップです。市販のプロペラを使いたいので、あえてワザワザ難しくウケを狙ってみました。博士にまたグチャグチャ言われそうです。
● これはOK模型から販売されているAPCプロペラです。画像のペラは全てグロー・ENG機用なんですが、電動機用のペラもある事にはあるんですが・・・。数から言えばグロー機用には敵いません。電動機用のペラを使用して最高の設定を報告するのが普通のマニアの製作記事だとは思うんですが、私の記事は一瞬で燃え尽きる「うをおおお!、凄いですねええええ!。」の機体ではありません。誰でも情熱と根性とお小遣いが潤沢な方なら製作可能な技術で記事を書いています。何しろ・・・小学生のファンまでいますから・・・。APCペラの優れている点は捻り下げの付いたペラの全面を使って推力を生み出せるという特徴を持っています。他社のぺラから同サイズのAPCペラに交換しただけで、エンジンの回転数が少し上がるって噂が出るほど誰が使ってもその高性能ぶりが実感出来ると思います。今回のハンターに使用するZ−3025ブラシレス・モーターに最適なグローエンジン用のペラを探るため、このサイズのペラと同じ内容でテストフライヤーの大御所さんに渡して、テストを繰り返してもらいました。実際に機体を組まれる場合にはこのサイズから選ぶと大体対応が可能な様です。ダイヤ(7〜9)・ピッチ(5〜9)の内の9種類のペラを使用してテストしました。

● 直径10mmのバルサの丸棒に部分ネジのタッピング・ビスをねじ込みます。番線カッターを使ってビスの頭を飛ばします。バルサ棒の表面に両面テープを全面に貼り込みます。

● 画像の様な進行方向で600番の耐水ペーパーを巻き付けます。回転方向は通常ビスの締まる方向です。逆転させるとペーパーがパイプに噛み付きタッピングビスのシャフトが抜けてしまいます。中央画像の様にアルミパイプの内面の研磨を行います。画像の隅に見えている様なスプレー式の工業オイルをペーパーとパイプ内側に拭きつけ、パイプをしっかり持ってドリルを回転させます。時々前後にペーパーを移動させながら、少しずつ研磨していきます。サンドペーパーの交換は必要ない様です。遠心力でパイプ内側を擦る様にして、少しずつ研磨して行きますのでオイルは切らさない様にケチらずに使いましょう。

● 使用したパイプは胴体側を外径12mmのアルミパイプ(材質:2017)いわゆる17Sと呼ばれている航空アルミ・ジュラルミンに属しています。粘りと加工の快削性を兼ね備えた優れた材質だと思います。主翼側も同じ材質の外径14mm×内径12mmのパイプを使用しています。同じ内径と外径のパイプを勘合させるのは大変難しいのですが、快削材料の優位性を生かして研磨の加工をすると最小限のガタを有するカンザシとパイプが出来上がります。ここで言っているガタとは、カンザシとパイプがスムーズに抜き差し出来る程度のガタという意味です。

● 左画像の右側が加工前のパイプです。左側のパイプはまだ少し引っ掛かりが残っている作業途中のパイプです。右側の画像は右端から主翼内蔵のカンザシ受けのパイプの内径の研磨用・中央はカンザシとなるパイプの表面を磨く為に回転軸となるインナーシャフト・一番左はカンザシ受けのパイプの表面を磨く為のインナーシャフトです。今の状況でも充分抜き差しには問題は起きないのですが、主翼からのハードランディングでカンザシに傷が入ると抜けなくなる可能性が大きいので、もう少しガタを大きくしたら完成です。このパイプ同士のカンザシはインナーカンザシにタップが切れるので、少々ガタが大きくても確実に固定させる事ができます。もうワンサイズ落として外径10mmのカンザシに外径12mmのパイプを使って、2mクラスのグライダー用カンザシを作ってみましょう。