★★★ なんちゃってカーボン・カンザシの作り方



● 画像を繋いだので少々歪になっていますが・・・、これから折れ難くて作り易く比較的軽量に仕上がる「なんちゃって・カーボン・カンザシ」の製作方法を記述していきます。このカンザシの特長はクリアランスを出し易くガタが出難い点にあります。ただし!カンザシ受けになる角型のパイプ側の製作をいい加減に作っていると、このカンザシのメリットは得られなく成ります。その点を重視して製作してください。

● 上記左の画像はカンザシの型紙です。まずは必要な寸法の作図を正確に綿密に〜・・・行ってください。細い方のカンザシは主翼後部のノックピンの役割を果たします。地元の飛行場でお仲間さんに見せたら・・・、またしてもネット物知り博士から見下ろし目線の鼻笑い発言を貰いました。「そんな細いカンザシで2mを越えるグライダーの主翼が持つ訳ありませんよ〜。バルサなんか使わなくったってカーボンのカンザシが有るじゃないですか〜!。角型だってシャーレー機に使ってるぐらいだし・・・。」そこで私は「角型カンザシは簡単に手に入るんか?。自由な寸法で・・・。」と、聞いたら睨みつける様な目で「ブラジルの○○ってメーカーの▲△▼って機体によく似たカンザシ使ってましたよっ!。」口の減らねえガキだなあ〜と思いました。さてそのブラジルのメーカーさんですが、どんなに探しても見つかりませんでした。▲△▼って機体に使われてたって言ってましたが、それってその機体にしか使えない専用パーツって事でしょう。このカンザシも自分のオリジナル機の為の一品なので同じ事なんですが、自由に寸法を決められる利点があります。博士〜・・・、ネットの波乗りも個人の自由なんですが、本質を見極めてから私たちの会話に加わってください。最新型の高級プロポとネットの知識だけで昭和の大御所と同格である!という自惚れは「ひまし油世代」の私達には通用しませんよ。博士はまだ23歳です。「なんちゃって・・・」の構造と制作方法なんて・・・理解しないんだろうなあ・・・と思いました。

● 博士と同じ「知った被りと鵜呑み」組のマニアにはこのカンザシは作れないと思いますので、申し訳ありませんが諦めてください。しかし、自作マニアにとっては渡りに船だと思いますよ。ただし製作を容易にする為にはミシン(糸鋸盤)をお持ちのマニアの方が楽だと思います。飛行場の博士の頭の中では、バルサのカンザシを切り出したところで正確な物なんぞ出来る訳が無い!と思っているでしょう。誰がそんな無茶苦茶な作り方するんですか?。話を最後まで聞かずに腰を折る様な発言をするから、本質が解からなくなります。この画像を見ただけなら多くのマニアも勘違いするだろうと思うんですが、手順を知ったら「ナルホドなあ・・・。」と思われるでしょう。

● このカンザシの製作に必要な材料を明記しておきます。先に材料を揃えていた方が作業がスムーズに行えます。

     @厚さ10mmのスーパーハードバルサ・・・定尺購入なんですが実質450mmの寸法で事足ります。
     A直径4mmのカーボン・シャフト・・・・900mm定尺で購入した方が安上がりです。
     B3×5mmのヒノキ棒を二本・・・これも900mm定尺で購入してください。
     Cカーボンシート(厚さ0,2〜0,3)・・・・・然程沢山は使いませんが、購入できるシート寸法で準備してください。
     Dエポキシ接着剤(30分硬化以上)・・・実はこのエポキシ接着剤が無いとこのカンザシは強度を持てません。
     E荒めの木工用サンドペーパー・・・荒めと書きましたが、180番〜240番で良いと思います。


● M−163b KOMETの画像です。スパンは1600mmを越えるスロープ専用グライダーです。保険用のモーターユニットも搭載出来る様にノーズキャップを外したら、アルミ製の十字マウントが組み込んであります。しかし、ユニット無しの状態でも風速6m以上で充分飛行可能な機体です。風速10mを越えたら実機と同じくロケットみたいな飛び方に変身します。このコメートに今回のカンザシを使用しました。主翼を完全に勘合し終えるとガタは皆無の状態になります。この調整が機体組み立ての最後に出来るのもこの「なんちゃって・カーボン・カンザシ」の特徴かもしれません。

● ミシン(糸鋸盤)を使って溝を彫ります。その後専用のサンドホルダーを使って溝の仕上げをします。このホルダーはバルサにシート上面を基準に溝の側面を研磨します。ホルダーをL型のアングル状にしてありますのでバルサシートの上面に対して直角に研磨出来ます。ボールペンでケガいた線を僅かに細く残せる位置まで綺麗に削り落としてください。

● 溝の仕上げが済んだら3×5のヒノキ棒をシートの片面に嵌め込みます。この時必ずエポキシ接着剤を使ってください。瞬間接着剤では強度が足りません。瞬間接着剤は平面同士の接着の場合・・・、その面を引き剥がす方向には大変強い接着力を発揮するんですが、捲って剥がす行為と捻って剥がす行為には必要強度を保てなくなります。飛行機のキットを全て瞬間接着剤に頼って組み立ててしまい・・・、空中分解した原因が解からず・・・メーカーに文句を言うのは筋違いです。全て瞬間で組めます!と表記してあるキットも存在するんですが、そういう表記の無いキットはキット付属の説明書をよく読んでから組み立てましょう。右側の画像では埋め込むヒノキ棒が解かり易くなる様に表面で仮固定していますが、実際の加工は裏面から行います。

● エポキシ接着剤でヒノキ棒の固定が済み完全に硬化したら、今度は溝を彫った内側の面を目張り補強してください。この作業はカーボンのシャフトを埋め込むのにどの様な溶剤を使うかによっても変化するんですが、今回は30分硬化のエポキシ接着剤のみでの作業ですので・・・回りくどい説明にはなりますが、これ以上の作業工程は存在しません。練りこむエポキシの量ですが、OKボンドの20g容器一本ぐらいは必要です。

● 溝が硬化したら最初の難関は突破しました。そこで最初に蓋をした裏面の仕上げを行ってください。私の場合は画像の様なシート幅を超える大きなサンドホルダーを使います。これも一つの知識だと思ってください。シート全体に均等にペーパー掛けをする場合はなるべく面積の広いサンドペーパーホルダーを使った方が綺麗に仕上がります。この面には次の工程でカーボンシートが一部接着されます。なるべく綺麗に平滑に仕上げてください。

● カーボンシャフトを寸切り後に溝に埋め込みます。この時も30分硬化のエポキシをたっぷり練り込んで使用します。最初に溝の内部もエポキシ処理をしましたので、若干ですがカサが増しています。同じ厚みのヒノキ棒をそのまま埋め込んで接着してください。隙間が開いたらエポキシを充墳してうめてください。この時800Wのヘアードライヤー・1200Wのヒートガン等を使って、エポキシ接着剤をサラサラの液状まで軟化させると細かい隙間にも入り込みますので、確実に充墳させる事が出来ます。面倒臭がらずに作業をすれば必ず最高のカンザシが出来ますよ。

● スーパーハードバルサと言えども・・・シート自体に反りが入っていた場合は、正確なカンザシは出来ません。画像で使用しているアングル材は厚さが3mmの物を使用しています。これを大き目のクリップを多数使用してシートを挟み、直線を出してからエポキシで完全に硬化させます。後は邪魔にならない所に立て掛けて硬化を待てば良いのです。

● 接着剤が硬化したらはみ出したヒノキ棒をカンナで削り落とし、先程使用した幅広のサンドホルダーで仕上げます。多くのネット物知り博士からは精度のかけらも見えない粗悪なバチモンカンザシと言われてしまいそうなんですが、知識ばかりが先行して実際に試して作った事も無い技術無しの博士達ばかりなので理解しては貰えないだろうと思うんですが・・・。理解して貰えた少数派の本物のネットの博士の皆さん!一度作ってみませんか?。「ミシン・・・持って無いねん!・・・。」と諦める必要はありませんよ、作業工程を順追って観て行けば・・・ミシンが無くても此処までの状態に作れる様に説明しました。

● ネットの普通の博士ならまず頭の中でこのカンザシの構造が理解出来ていません。それこそ!ネット掲示板のお決まり語である(よく似た・・・)構造を本物の博士達は別の部品で過去に一度は作った事があるはずです。昭和のキットには必ず同じ構造の部品の組み立てが組み立て説明書に明記してありました。ミシンを使えば作業工程のスピードアップが望めますのでこの様な製作手順にしました。この構造を使ってもっと丈夫な構造のカンザシをスロープスタントグライダー(1/5・飛燕)に組み込んだのですが、購入してくれたオーナーさんのクラブのENGスケール大御所さんには理解してもらえませんでした。カンザシ内部の構造をアナログ写真で撮り封書で送ったにも関わらず・・・、せっかく複雑な構造でプランクしたのに全部張り替えてカーボンロービングで補強を指示したそうです。自重6kgのエンジン機ではないんですよ!、普通に仕上げれば3kg強で仕上がる無動力のスロープ機です。おまけに主翼は左右一体型のワンピース翼です。使用したカーボンシャフトは6mmです。これを2mmのヒノキ板で4方向を包んで埋め込みました。どんなGを架けても主翼中央からのバンザイはありません。そのために部分プランク翼を採用したのに・・・。畑が違うとエンジン機の大御所でも初心者クラスに戻ってしまう様ですね。


● やっと最初の画像(左)に戻って来ました。この右側の画像のカンザシの周囲をミシン(糸鋸盤)で切り出して仕上げればカンザシの内部構造体の完成です。左の画像で周囲を切り出して溝を彫ってカーボンシャフトを埋め込むなんて・・・私でもやりませんよ。最近の傾向は何でも簡素化・簡単に出来て安い物がネット掲示板では「うおお〜!凄いですねえええ。」の対象物に成る様ですが、どんなに素晴らしい自動機が出現しても実際に作業するのは人間です。自動機の起動スイッチを入れるのも材料を決められた位置にセットするのも人間です。卓上の推論をネットで実しやかに語り合うのはラジコンマニアには必要ありません。実際に自作して飛行場で試してその結果・・・、皆で意見を出し合い改善を目指す!、これが本当のラジコンマニアの姿だと思います。それとですね・・・メールを貰えるのは嬉しいんですが、訳の解からない質問に的確に答えてあげたにも関わらず・・・事実をひん曲げて一桁チャンネルに投稿するのも可笑しいと思いますよ。私の場合は恐喝グループの被害者って事でネットのおける私に対する事件に発展しそうな悪戯書きは全て調査の対象になっています。調べられて特定された挙句にブラックマウンテンキリシマ(ミ・○・イ)を始めとする一味との関連性を疑われてしまいますよ?。こちらは間違った考察には正しい答えを提供します。子供レベルのワガママな質問は止めましょうね!。

● 仕上がったバルサの構造シートをミシン(糸鋸盤)で切り出します。別に綿密に途轍もない大きな神経を使って切り出す必要はありません。ケガいたボールペンの基準ラインさえ残しておけば、このラインが消えない内はカンザシの寸法が小さくなる事は有り得ないからです。ただし・・・内孔のケガき線の場合はボールペンのセットバックを計算に入れないと孔が小さくなってしまいます。一度お使いのボールペンを定規を使って直線を引いてみて下さい。定規とボールペンのラインの間に隙間が出た場合・・・、このセットバック分を大きく採る必要があります。

● 当ホームページの自作工具に直角出し専用のサンドペーパーホルダーがありますので、同じ物を自作されて綺麗な角出しをしてください。右の画像は0,3mmのカーボンシートです。これをカンザシシャフトの必要面に貼り込んでいきます。このカンザシを見て不思議に思ったマニアの方は偉いと思いますし、自分で自作するならこういう利用法をと考えた筈です。カンザシのテーパー部分が主翼内部に納まる部分です。残りはフィレットを含めた胴体内部に入ってしまう部分です。翼内のカンザシとしては短いなあ・・・と思った方・・・、一度作って試してみましょう。テーパー型のカンザシの強固さが理解出来ると思います。KOMETの胴体幅寸法はフィレットも含めると200mmあります。機体画像の胴体がどれだけ太いか解かると思いますよ。と言う事はキャノピーも相当な大きさです。当ホームページの(ひとり・de・ギュー)を参考に自作してみましょう。


● カーボンシートを貼り込んだ理由は、強度面の確保よりも如何なる状況においても傷が付き難く滑りが良いからです。後で詳しく述べますが、細かいクリアランスの調整も比較的簡単な方法で解決出来ます。あまり難しく考えてしまうと何も完成しなくなります。今自分が持っている工具と自分が得た知識と技術をフル活用すれば・・・、私よりももっと良いカンザシを作れる筈です。卓上の推論で掲示板において馬鹿にするも良し!、自分で試して更に改良をして自分独自の技術として発表するも良し!、どうぞご自由に・・・。多分、上辺だけのネット物知り博士だったら前者の方が多いと思いますが、本物の技術と知識が同調した博士なら必ず試すだろうと思い・・・、平文の暗号電探・・・発信しています。エニグマ解読器なんか要りませんよ。

● 上記のイラストは通常の丸型フラットカンザシと今回製作した角型のテーパーカンザシの構造と機能の違いを示したものです。イラスト上部の丸型フラットカンザシの場合は、矢印で示す様に円形の周囲全面に応力が発生します。カンザシとパイプのクリアランスが大変重要になってきます。ガタが大きいと抜き差しは容易になりますが、フラッターの原因にもなります。比較的入手し易い材料で互換性のピッタリ合う物を探して使用すれば良いと思います。

● イラスト下部の自作した角型テーパーカンザシの場合は、4面で其々発生する応力を支えています。角型(タテ)の場合は、幅の広いタテ方向の上下二面でロール軸とピッチ軸を支えています。ヨー軸は幅の広い側面で支えているんですが、実際に使用する機体にはカンザシの前後にジョイントとなるビス留めの台座が付いていますので、殆ど応力は発生しません。むしろ・・・複雑な機体姿勢による応力の分布によって、補助的な働きをします。工作方法は上記画像の様に自分で自由に作る事が出来ます。抜き差しはスムーズですし完全に勘合した状態で初めてガタが皆無になるのが、テーパー型カンザシの優れた点だと思います。

●右側のイラストの下部は角型シャフトの(ヨコ)使いの場合の断面を示しています。このタイプのカンザシは実際にシャーレー工法のレーシンググライダーに使用されています。これを今回のカンザシと同じ構造で作ろうとすると、工具を沢山持っているマニアが有利になり、一般のマニアには大変作り難い構造のカンザシになってしまいます。今回自作したカンザシと同じ様にバルサ面を全てカーボンシートで覆う構造ならば、1,5mm程度の厚さのアルミ板で合板加工すればロール軸に対する応力の強度は大変強固なカンザシになろうかと思います。

●★ 今回の「なんちゃってカンザシ・・・。」を作ろうと思ったキッカケは、数年前の大観峰での出来事に由来しています。平尾台から参加していたメンバーさんのスパン6m近いシャーレー工法のスケール機が、お仲間さんの手投げ発進でのテイクオフの失敗で頭から地面に落下・・・、その時の衝撃で右の主翼が胴体のフィレット部分の根元からポッキリと折れてしまいました。当日の現場にいた大勢のお仲間さんが一様に驚いてしまったのは、そのカンザシの造りと手抜きとも思える構造にありました。シャーレー工法の完成機なので購入したお仲間さんの製作ミスではありません。墜落して破損して初めて解かる完成機の構造ミスの代名詞みたいな出来事でした。


● この機体のカンザシの構造は少し変わっていました。カンザシシャフトが主翼側に固定され、胴体内部にカンザシ受けが内蔵されています。左右の主翼の受けなので干渉しない様に受けをずらして取り付けてあります。カンザシのタイプは完全な四角錘です。先に行けば行くほど断面積が小さくなるテーパーカンザシです。ポッキリと折れたカンザシの内部構造を見てお仲間さんは一様に呆れてしまいました。何層にもグラスファイバーを積層して強度を高めたカンザシの内部中芯は普通のバルサ棒だったのです。ここにもう一本金属の棒でも内蔵されていれば・・・、ポッキリと折れる最悪の状況は防げたと思います。何はともあれ・・・飛行中のバンザイでなくて良かったですよ〜とは、持ち主のオーナーさんの弁でした。現物の状況を目の前で見てしまった私としては、同じ物を作るであろう複数の閲覧しているマニアに対して、危ない構造物の提供が出来ません。少々重く成ろうが・・・構造が複雑に成ろうが・・・、安全に留意した構造で設計してみました。多分・・・同じ機体を個人で輸入して購入したマニアの中には、同じ状況になって頭を抱えた人も居るんだろうなあ・・・とオーナーさんと語らいました。このオーナーさんは自分でカンザシの内部構造の強化改造をした様ですよ、あれ以来・・・カンザシのイキナリポッキリ状態には成らないとの事でした。