🔧 落札した昭和の遺物グラス胴体のカンザシ上手に工作する

● 平成のラジコンブームは、インターネットの普及と共に始まり・・・その頂点を極めた時期から、過去起きたブームの頂点同様に新参モデラー諸氏の歯止めの利かない暴走行為によって・・・政府を動かし規制される事で終焉を迎えます。模型歴が半世紀近い古株のモデラーさんは、ラジコン模型の黎明期からご存知なので・・・「ああ!・・・またかあ~・・・。やれやれ・・・。」の諦めにも似た溜息で、規制された枠の中でも・・・最大限のラジコンライフを模索しながら歴史を刻んでおられます。

● 新参モデラーさんの中には、オークションサイトで昭和の遺物を値踏みしながらなるべく安く落札して、お仲間掲示板でご報告・・・。多分、誰も持っていないし・・・此れが完成出来たらお褒めパチパチの右肩上がりは確実!。お仲間掲示板で自慢して・・・うおおおお!凄いですねええええ!・・・のお言葉を沢山貰ったからには、是が非でも完成させなければなりません・・・。ところが!完全完成の飛行機から入門して、一応一人で飛ばせる様に成り・・・次に作った飛行機はレーザー加工のバルサキット数機・・・。綺麗にフィルムで仕上げて自分のブログに掲載・・・。コメントでお褒めの言葉を沢山貰えて・・・有頂天に成る快感を覚えてしまうと、もう見境が着かなくなります。止めとけば良かった~・・・と、後で後悔する様な昭和の遺物を落札して作り始めたは良いのですが、途中で製作記事が止まります・・・。

● 昭和の遺物は・・・難攻不落の要塞みたいなバルサキットなので・・・その洗礼を浴びると、製作記事は既に存在していない過去のメーカーの悪口一色に成ります。閲覧してるけどコメントしない古株モデラーさんは、そういう勘違いな新参モデラーは放っときます(笑)・・・。古株モデラーさん達の歴史の刻み方は、こういった新参モデラーには拷問みたいなバルサキットを、あの手この手で克服して来たツワモノばかりだからですよ!。そういった新参モデラーさんから、残りを作って欲しい・・・みたいな要望も多かった時期もあります。しかしながら・・・この手の新参モデラーさんは、製作経過を逐一報告する事を要求して来ます。まあ・・・ね!。閲覧しているお仲間さんの為に、あくまでも自分で作っている様に細工しなければ・・・お褒めのコメントが減る事が怖くて、こういう悪い事を考えちゃうんですなあ・・・。

● 画像だけを製作経過に伴って送ると・・・自分のブログで記事をアップ・・・。私は彼がブログを持っている事すら知りませんでした・・・。この悪巧みは意外と違う方向から綻びが始まり、結局バレちゃいました(笑)・・・。彼のページにコメントしていた主さんは、以前から私のページをお気に入りに登録して頻繁に閲覧していました。どうも・・・作風が・・・接着剤の使い方やカンナの当て方・・・工作風景の工作台の傷の入り方・・・そら!頻繁に観てるんだもの・・・。記憶に残ってますわなあ(笑)・・・。そういった画像の修正等をしないで画像転載しちゃったから・・・直ぐにバレたという訳ですなあ・・・。もちっと頭を使えば良いのに・・・。結局・・・製作途中のキットは、送り返して欲しい・・・の要望後、送ったけどその後の消息は解らず仕舞い・・・。製作費用等は踏み倒されたまま、メールは跳ね返され・・・携帯も繋がらない・・・「お客様のご都合で・・・お停めしております!。」・・・ってか!。当ホームページに頻繁に登場する(手っ取り早く有名人!)の元祖は、この新参さんから来ています。レーザーキットの数々の製作記事・・・此れも怪しいもんですなあ・・・。

● でもですね・・・。本気で組立てに行き詰まってる新参モデラーも居るんですよねえ・・・。メールで正直に心の内を明かし・・・教えを乞う新参さんも確かに存在している訳で・・・。手っ取り早く・・・というモデラーとは違い、古株モデラーと同じ歴史を刻もうとするモデラーも居ます。この項で紹介する記事は、そういうマジなガチンコモデラーに対するエールを込めた内容です。難攻不落の昭和の遺物に臆する事無く・・・果敢に挑戦して完成を目指して下さいね。其れが既に他界されたメーカーの機体開発者への礼儀というモンですよ。新参モデラーさんには難しいかも知れませんが、完成まで漕ぎつけられれば・・・一皮剥けますよ。
  
● 上記画像は全て昭和の遺物・・・FRP製グラスファイバー積層の胴体です。左から(DISCAS)(ALPHA)(FROSH)の胴体です。一番左のディスカスの胴体は、私の手の平が余裕で自由に入るので・・・カンザシ部分の加工には何ら不具合は生じません。真ん中は厚手のグラスクロスを二層ほどしか巻いていないので中身が透けている40年以上昔のグラス胴体アルファーです。内部補強が一切無いにも関わらず、究極の応力外皮構造なのでボコボコと凹まない舶来の胴体です。右端は此れもアルファートとは登場時期の変わらない国産品のフロッシュの胴体です。

● このアルファーとフロッシュは胴体幅が70mm前後しか無いので、カンザシの取り付け付近に手の平が自由に入るというモデラーは一人もいないでしょう。五本の指をピンと伸ばして手の平を丸めれば入るぞ!といった天邪鬼なご意見も有ろうかと思いますが、其れでは全く持って意味が無いんです。どの機体も主翼が二分割なので、胴体の内部にはカンザシを固定する台座を設けないと強度を有するカンザシの保持が出来ません。よって主翼を差し込む側の金属製のシャフトであるカンザシを、決められた位置に正確に固定するには、胴体内部の補強が必要に成ります。

● こういった胴体内部のカンザシ固定があまりにも難しかったので、完全完成機の時代に成るとワンピースの主翼を胴体の上面に固定する肩持ち翼(ショルダーウィング)タイプが流行った訳ですが・・・。昭和の遺物には・・・このワンピース翼のショルダータイプは、バルサキットに多く用いられ・・・初心者用の機体か、玄人向けのスロープスタントグライダーに多く見られました。此の遺物に見られるスケールタイプの機体なんですが、バルサで胴体を構成すると・・・女性的な丸みを帯びた細身の胴体を表現するには、厚手のバルサを多用しないと表現が難しく・・・厚手のバルサの為に内部補強の堅木(ベニヤ等)で補強すると、メカ搭載の為の内部の容積が限定されたメカしか積めなくなりました・・・。よってスーパーモノコックという内部構造で強度を上げる胴体から、ガラス繊維を積層して、不要な胴枠やストリング材を極力省略する応力外皮構造の胴体が普及する様になりました。

● ところが!・・・当時でも、このグラス胴体のカンザシ固定の為の内部補強に苦労するモデラーは当たり前に存在していたんですが・・・、其れでも見た目の高級感はバルサキットでは到底表現出来ません・・・。言い換えれば、グラス胴体の仕上がりに魅了された一部のモデラ―のみが、苦労して・・・あの手この手で果敢に挑戦して作り上げていた・・・と言うのが本音です。そういう訳でして・・・ネット普及後のインスタ映え目的の別分野の方達同様・・・昭和の遺物のキット製作の難しさを知らない、平成の若きモデラーがオークションで安く購入してお仲間に見せびらかし・・・墓穴を掘る!・・・といった現象が彼方此方で頻発したのでした。レーザーキットはスロットイン工法を極めたキットなんですが・・・此れに慣れ親しんだモデラーさんが、昭和の遺物に安易に手を出すと、必ず返り討ちに遭います(笑)・・・。製作上の難しさの愚痴の捌け口は・・・お仲間掲示板やら自分のブログやら・・・コメントする昭和の遺物を知らない世代の者同士で、メーカーの悪口に華を咲かせます・・・。多分・・・観てるけど・・・コメントしない人って、昭和の遺物をその時代に当たり前に作っていた古株さん達です。若きモデラーのそういう会話を観ながら・・・モデラーの質も地に落ちたなあ・・・って思ってるかも知れませんね。
 
● 当時はこういった原寸大の図面が一枚だけキットに入っていた時代です。カンザシの取り付け位置を示した上面図と側面図を胴体の一本分記載してあるだけの図面です。さて!・・・平成の若きモデラーさんがこの図面を見れば、どう思うでしょうなあ・・・。如何にもって感じの簡単構造なので作り易そうに見えますなあ・・・。まあ・・・ね!。見た目の第一印象ってこういう感じなんですよ。レーザーキットよりも部品が遥かに少ないので、初心者にも簡単に組めちゃう!って勘違いするんですなあ(笑)・・・。
 
● 図面上の胴体内部の厚みって・・・如何にも均一っぽく見えるんですなあ・・・。補強の堅木もピッタリの内寸だしねえ~・・・。でも・・・この補強板を何処から入れるのって言ったら、前から入れるしか無いんだが・・・。此処で最初の難関・・・。胴体の内部にピッタリ寸法の堅木を、カンザシシャフトの指定の孔位置にピッタリと納めるには・・・このピッタリの寸法では絶対に挿入不可能だって事は、算数を習った小学生でも知っています。さて!・・・その理由に気づかなかったら、こういったグラス製胴体の加工は難しいですなあ・・・。

● この堅木の固定位置は、胴体内部の主翼フィレットの内側なんですが・・・内寸ピッタリの堅木を収めるには斜めに傾けないと所定の位置には納められません。要するに・・・全長がピッタリ寸法でも斜めに傾けると、対角線上の寸法は内側寸法を越えるので余計に収まり難いって事ですなあ・・・。更に、胴体幅が狭いので指先に堅木を持って無理矢理押し込んだら最後・・・もう修正の為の取り外しが出来ません。要するに見えない位置への補強堅木の固定って言う作業は手探り状態って事です。

● じゃあ!胴体の内側寸法に合わせて補強堅木の寸法を短く切ったとして、今度は確実に収まるのかと言えば・・・そうでも無いんですなあ・・・。このフィレット内部って言うのは厚みを持たせないと丈夫に成らない箇所なので、図面上の内部寸法は当てに成らないんですなあ・・・。何度やっても上手く入らない・・・て時は、この主翼のフィレット位置の内部のグラス積層面が図面通りに成ってないと疑った方が良いって事です。此処まで書くと・・・何ていい加減なキットなんだろうって思うかもしれませんなあ・・・。でもですねえ・・・此れが当時は当たり前だったんですよ。だから根気の要る作業をルンルン気分で熟せるモデラーにしか作れなかったので、一部のモデラーにしか普及しなかったという訳・・・。

● こういった垂直尾翼を有するグラス製の胴体って言うのは・・・左右分けのメス型に合わせてグラスを積層して、最後に左右の胴体を真ん中で繋いで一体化するのが基本の作業工程です。要するに・・・お椀の内側のアールに沿わせてガラス繊維を積層するので、型から外すと外側はツルッとした鏡面に成ります。しかし・・・内側はガラス繊維と部分補強のグラスの帯でデコボコしてるのは当たり前・・・。グラスの溶剤は粘性が無いので・・・多く塗り込んで余った溶剤は、低い方へ・・・低い方へと流れて固まるので、結果的にフィレットの内側が厚くなります。バルサのプランク面にマイクログラスを貼り込む技術は、若き平成生まれのモデラーなら誰でも出来るとは思うんですが、同じグラスファイバー製の胴体だから嫌悪感無く購入してしまうんでしょうけど・・・。奥が深いでしょう?・・・昭和の遺物は・・・。お仲間掲示板で愚痴る気持ちが解らん訳でも無いんですなあ・・・。だってええええ!・・・。知らなかったんだものおおおおお!(笑)・・・。
 
● 放っておくと・・・延々と設計した故人の悪口を言われそうなので、まあ!個人の責任において可能な解決策の一例を記載しておきましょう。こういったグラス構造の主翼フィレット周りの内部構造は、カンザシシャフトを内蔵固定するにおいて・・・シャフトの固定を確実に行う為の補強板を入れなければ成らないのですが、其れでも本体のグラスの積層が薄かったら・・・全く持って強度が足りません。

● この応力外皮構造っていうのは・・・この主翼勘合部分だけを例に取れば、滑らかなアール面の他の胴体と違って角は在る・・・逆アールは集中してるといった複雑な構造なので・・・画像の様に天井部分を画像のサイズで抜いたくらいで崩壊する様な構造では無いんです。捲ってみて初めて!図面上の内寸と実際の内寸が違うって事に気づく筈です。
 
● 位置さえ決まれれば・・・補強堅木の内寸を調整してカンザシパイプと併用し、エポキシ接着剤で埋め戻してやれば良い訳ですよ。此れだけぶち抜いたんだから、内部は見渡せますよね?・・・。堅木と胴体内部のグラス面には隙間が有る訳ですが、こういった箇所にエポキシを練り練り詰め込んでも・・・流れちゃう事も有るんですが・・・バルサ片を細かく切って盛ったエポキシめがけて隙間に差し込んでやると・・・毛細管現象と表面張力で流れ出る筈のエポキシを止める事も出来ます。エポキシが硬化したら、再度練り練りしてエポキシを盛ってやると、更に強度が上がります。ご存知この位置は重心付近・・・。少々盛ったって大きく重心位置がテールヘビーに成ったりしないんですなあ(笑)・・・。
 
● カンザシの内部補強が完了したら、今度は切り取った胴体上部のパネルを埋め戻すんですが、まずはアールに合わせて厚手のバルサで部分胴枠を作って胴体内部に固定します。周囲四カ所の辺全部に胴枠を埋め込んだら、切り取ったパネルを接着すれば胴体は元通りです。画像に見える小窓は、新たに設けたメンテナンス用のサービスハッチです。此れが当工房のオリジナルな小窓・・・。当工房は、左右の主翼の結合方法が独特なので、必要不可欠なハッチとも言えますね。
 
● ハッチ加工する時にドリル刃を使ったので、直径分だけハッチ寸法が縮みました。なるべく均等な隙間に成る様に上部のパネルを振り分けて接着して下さいね。空いた隙間はエポキシ練り練りで盛り上げて・・・硬化したらカッターナイフで削り取り、サンドホルダーで仕上げました。詳しい作業手順は(Frosh-Part-2)から記載しています。

● 昭和の遺物のグラス胴体は、何処のメーカーの物も同じ様な構造ですので、紹介した加工方法が使えます。しかしながら・・・「そんな素人みたいな改造なんか使えるかあああああ!ってお考えのモデラーさんは、もっと格好良い加工方法を見つけて改造して下さいね。多分・・・無いと思いますけどね・・・。まあ・・・指先をお姉ちゃんみたいに細くしたとしても、こういった色付きの胴体の場合はやっぱり手探りの作業に成るだろと思います。いっその事・・・外からは見えないんだから、目を瞑って作業するとか・・・真っ暗闇で作業しても同じ状況です。なるべくストレスを貯めたくないなら・・・上記の方法を試して下さいね。