一部解決します!


★★★・・・・・大手メーカー(H)の製品・サンセッターの巻



● 私が考えてもいなかったメールが来る様になりました。元メーカーさんなら何かの解決方法を知ってるんじゃないか?という類のメールです。最近の大手メーカーさんは当たり前の様に完成機を発売する様になりましたね。今までのメールで一番多かった解決依頼が大手メーカー(H)のサンセッターです。最初に広告で本機を見た時に・・・あれま!・・・世の中・・・同じ事考える人は居るんだなあ〜・・・と言うのが第一印象でした。と!同時にこの部分の解決はどうなっとるんかいナ?とも思っていたんですが・・・、マニアの皆さん・・・同じ所で考え込んでしまい・・・挙句の果てはオークションにブン投げてしまうマニア続出。しか〜し・・・、投げるったって分解不能じゃ送料が高く着きますし、値段が低けりゃ赤字覚悟で次のマニアへ・・・。多分・・・同じ運命でサンセッターは質流れ品街道をグルグル廻っている事でしょう。

● 東大阪市のメーカーの面接の日に社長(故・高松守氏)の前で見せたイラストと三面図を社長が気に入ってくれて・・・、数年後社長がこっそり私に耳打ち・・・。「トンビが書いとったイラストの中に、双胴のモ・グラあったやろ!、専務(現社長・高松利充氏)には黙っといて良いから、ワシの為に一機作ってくれんやろか?。」通常なら専務の許可が必要なんですが、社長自らの御注文ですしねえ〜・・・。後で専務にまた・・・「トンビ君!態度悪いで!また僕に無断で社長のワガママ聞いてからに・・・・・。」って、嫌味タラタラ文句言われそうなのは解かっているんですが・・・、大卒の専務に最終学歴が工業高校卒の社長は理屈を捏ねられたら、何時も負けていましたので・・・、同じ高卒の私とは話易かったそうですし新入社員だから命令し易かったそうで・・・社長のゴリ押しで私の入社が決まった様なものですので、社長に逆らうなんて出来る訳ありませんでした。本当は社長は頭が良かったんだと思いますよ。人の乗せ方が上手い!。募集広告には「経験者求む。」ではなく・・・「人材募集!」でしたから・・・。

● 上記画像は昭和60年代のモ・グラ(モーターグライダー)界を牽引したOK模型のパワーユニットです。これに当時のプロポの受信機ケースよりも大きいアンプと8,4Vのニッカドバッテリー(ラジコンカー兼用)を搭載して、スパン2000mmのグライダーを飛ばしていました。モーターはブラシレスではありませんよ。ブラシ型の550Sです。多分・・・私は自重8kgの戦車にツインで搭載していたような・・・?。これをモーター付属の一次ギヤダウンのみで減速して、画像の様な折ペラ使用・トラクター式で飛ばしていました。このユニットが原点でその後のEZモーターグライダー(コナ・ロタ・ボーラ)へ続いていきます。

● 上のイラストはOK模型入社面接(平成元年1月)の際に社長に見せたイラストの複製版です。私が退職する時に持ち出し忘れた私物の一つにイラスト帳があったんですが、その後の開発時代の分とごっちゃになっていたので持ち出せずに諦めていました。当時のユニットをそのまま搭載出来るサイズなので、何処と無く加等無線のF3A機の雰囲気が漂ったデザインになりました。

● サンセッターと大きく違う点は、双胴のテールブームが主翼の上面で勘合されるサンセッターとは異なり、内翼のリブ面にビス留めになっている点です。社長の為に試作した一号機ではサンセッターと同じ主翼上面での勘合タイプだったのですが、左右の主翼が僅かでも捻じれて結合されると・・・、その主翼上面に勘合される後部胴体の尾翼結合部はピッタリと合いません。最大の原因は左右が対称に作られたテールブームの後部胴体なので、取りつけ部分の狂いは何倍もの高さの違いで表面化し・・・結局逆V字の尾翼の結合面が合わなくなります。更に!完成機です。お店やネットで購入する際にベテランならば修正可能なんですが、組める初心者さんには何が何だか解からない・・・パニック状態です。どうしても組み立てられずにネット掲示板で一しきりブー垂れた後・・・質に流します。

● 私の機体の仮名称は(ジェミニ2100)と言います。社長自ら名前を付けてくれました。双胴だからと言うよりも私が6月生まれだからという点と社長と二人で専務に黙ってこっそりやってたプロジェクトなので、(ジェミニ2100極秘開発プロジェクト)と社長が勝手に命名して・・・一人で私の数倍!盛り上がっていました。

● 社長曰く・・・これからは電動機の時代が必ず来るし、データは仰山持ってた方が良〜やろう?。もちっと経ったらナ!もちっとサイズの小さいパワーはこの550Sよりももっと!大きいギヤダウン内蔵型のモーターも出るし・・・、双胴型トラクター式ツインモーターのグライダーってのも出来るんちゃうか?。」さすが!元模型店のオヤジさん!(OK模型の原点は東大阪の模型屋さんです)発展形を考える脳ミソの回転が速い!。小倉の模型店(光模型)のマスタースーガとはお若い頃からのお友達でした。入社が決まってからこのマスタースーガに私の若い頃の話を聞いて情報を集めていたようです。高校卒業を前にしてOK模型が求人募集をしていたので、詳細を聞くつもりで電話したらたまたま社長が出ました。「君は工業高校か?。」の問いに「普通高校です。」って答えたら・・・「うちは二年に一回は募集してるから、何でも良いから飛行機の知識を身に着けてからもう一度電話して来い!。その時は名前だけ名乗ればワシに取りついでくれるから。ワシはお前の名前を覚えているからな!。」その言葉を信じて十年の歳月が経ち・・・年号は昭和の終り寸前・・・申し込んで面接して入社まで2週間掛かりませんでした。ジェミニプロジェクトをこっそり始めた最初の頃・・・「トンビ〜、お前の名前聞いて直ぐ解かったで〜!。あん時の高校生やろ?。ワシちゃんと覚えとったやろ?。」

● 「トンビ!お前将来どうしたい?。」社長に聞かれた私は正直に「独立したいです。」って答えました。社長にも私の進路について其れなりにビジョンを持っていた様です。「トンビ!三年でモノにしてやるから、どんなに虐められたって絶対辞めるなよ!。」そして三年間の地獄の様な詰め込み教育が始まったのでした。このジェミニ・・・計画もその一つです。材料の入手先・加工先・加工の値切り合戦に纏わる狐と狸の化かし合いやら業界内部の過去・未来まで・・・、毎日毎日飛行機漬けの日々でした。別業種の時は仕事帰りの模型店で何も買わずの入り浸りやアパートでの飛行機作りが楽しくてしょうがなかったのに・・・、その後の休日は何も考えずにパチンコ三昧・・・勝とうが負けようがお構いなしでした。何故なら目をつぶっただけで三面図が浮かんでいましたから。
(サンセッターの改造方法に続く)・・・あのタイプの機体はネタ機っぽい所はあるんですが、侮る勿れ・・・高性能機なんだぞう!。捨てる前に一度改造してみよう!。新しい世界が見えるかもしれませんよ。

● 上記イラスト図は(ジェミニ2100)のテールブーム内の状態を表記しています。下半角尾翼の取り付く本機のテールブームは、サンセッターとは取りつけ方法が違います。平成二年頃の試作一号機ではサンセッターと同じ位置でのテールブームの勘合だったんですが、社長(故・高松守氏)がイキナリEZ量産の話を持ち掛けた時点で・・・、このブームの付け方では不良品が続出するかもしれないので、急遽取りつけ方法を変更したのがこの構造です。

● バルサの生地完成にしろ・・・EZ構造にしろ・・・、翼の僅かな捻じれが双胴タイプの飛行機の致命傷になります。一本胴体でも主翼勘合部分の胴体取りつけ面の設定が狂ったら、胴体の推力線に平行に固定されている水平尾翼と勘合される主翼との迎角にばらつきが出てしまい・・・重心位置が同じでもエレベータのニュートラルがバラバラになります。そこで、主翼の内翼が少々捻じれても影響の出難いこの取りつけ方法に変更しました。後部のビスと上下に調整可能なテールブームの側面長孔で、尾翼の結合に無理無く調整が出来る様になっています。水平尾翼はテールブームの尾翼取り付け位置を基準に、左右対称に組み立てて尾翼を結合します。この時の主翼の捻じれによる僅かなズレは無視してブームを内翼リブ面に固定します。

● どんなに小型のサーボを使ってもサーボホーンは翼型の外にはみ出す事になりますので、ブームの高さを最大限利用してホーンの回転方向がスムーズに動ける範囲の空間を作ります。ご存知の通りにサンセッターではブーム内蔵のガイドパイプに専用ピアノ線を通してリンケージする片引きコントロール式なんですが、本機ジェミニではバックラッシュの出難いテグスワイヤーの両引きを採用しています。左右の主翼に単独操作のサーボを搭載しますので、エレベータ操作だけで無くミキシングによるラダベータの操作も可能になります。テグスワイヤーによる両引きリンケージにした事により、ニュートラルのズレが起き難いばかりでなく・・・ピアノ線よりも軽量で内蔵パイプに少々のカーブが着いていても、動きはピアノ線の様に渋くなりません。

● 上記画像まででサンセッターのオークションへの質流しを思い留まり・・・、改造してでも自分で飛ばしてやるぞ!と考えられたマニアの方はどうぞ!思う存分やって下さい。いっその事・・・主翼本体から自分で作り直すって事も良いと思いますよ。此処から先の記述はサンセッター本体の改造をジェミニ2100の工作方法で説明して行きますが、大手メーカー(H)と私は何の接点もありませんので、個人の責任において改造をしてください。

● ジェミニ2100の開発コンセプトは推進ユニットをプッシャー型にする事で、トラクター型推進では絶対に避けられない胴体による有害抵抗を無くせると考えた事による基本フォルムです。搭載するサーボを全て翼内に納める事で胴体にはレシーバーとアンプとバッテリーしか入れませんので、余裕が出て来ます。現在の様な高出力の小型リポ・バッテリーで無くても、単二サイズのニッカドバッテリー8,4V(1200mA)でも楽々搭載出来る構造を狙ったコンセプトだったのです。その代わり・・・翼内をリードハーネスが長距離這いずり回りますので、コネクタ等の結束には充分な配慮が必要に成ろうかと思います。当時からニッカドの3倍のボルト数でニッカドの三分の一の重さの同じ容量の新型バッテリーが出るぞ!って噂は、平成2年頃には会社内では公然の話でした。そのバッテリーの出現が現在の電動ラジコン機を飛躍へ導いたのは言うまでもありませんが、今のリポバッテリーはまだまだ取り扱いに留意点が沢山残っていると思いますし、昭和の30年代から40年代で言うならば・・・イグニッションプラグ付きの小型ガソリンエンジン搭載機と同じ様な状況だと思います。扱い方を間違えば(火)を噴く・・・と言う点です。リポはパワーが出ますが取り扱いには火気厳禁ぐらいの取り扱い上の注意が必要だと思います。