Ange-ssg (ブルーエンジェル60) F3A型スケールスタントグライダー Part-3
   
● 使用しているのは木村バルサの1,5mmです。何処のメーカーのバルサシートも同じだと思うんですが、定尺で送られてきたバルサのシートは、長さ900mm方向が必ずしも直線だとは限りません。其れが製造工程中の保管でも・・・切り出した時の木目の具合でも・・・木材は長くて細い方に湾曲します。画像の様にシートを二枚張り合わせる場合は、面倒臭くても貼り合わせる同士の小口面は必ず直線を出すために、定規とカッターナイフを使って湾曲分を切り落とした方が良いですよ。このカッターナイフで切り落とす際・・・一度に切ると、木目の具合でカッターの刃先が曲がって切ってしまう場合が有るんです。こうなると何の為に直線切りしてるのか解らなくなりますので、一度に切り込まず・・・数回刃を通すつもりで切り落としましょう。所謂・・・鱧の骨切と思えば良いですよ。木目を斜めに切る時は、何回も刃を通してやれば歪んで切断!あああああ!しもうたああああ!って事態には成りません。貼り込む小口は木工白ボンドをたっぷり塗り込んで貼り合わせ、所々にセロテープを貼って補強しておきましょう。木材にセロテープ?・・・。意外とバルサは貼れます。
   
● 本機のリブのスロット溝が多いのに気づかれた人も多いかと・・・。主翼の後縁の直ぐ前方のサブスパーは3×5mmのバルサ棒なんですが、後縁材とこのサブスパー材を跨ぐようにプランクシートを取り付けましょう。このサブスパーの効果は意外と大きく・・・翼の反りを防ぐ強力な構造に成ります。此れが上下に付くわけですから、プラスGとマイナスGに効果が発揮されます。右端の画像はフラップとエルロンサーボの取り付け室を繋ぐトンネルです。配線高度は此処を通ります。
   
● 本機の主翼に収まるフラップサーボとエルロンサーボは、ハッチ側に固定されます。其の為の取り付けビスの台座を主翼側に組み込みます。小型機ならばベニヤの台座を瞬間接着剤をたっぷり使って・・・が可能ですけど、こういった振り回す悪路系の場合は、その下に支柱を取り付けて台座を補強した方が台座が丈夫に成ります。尚・・・サーボ室内はスチレンなので、木部に変えないと確実な台座の固定が出来ません。スチレンリブの面に、専用接着剤でバルサシートを貼り込んでいます。
   
● 主翼の上面側のプランクを行っています。このプランク作業には治具を使います。定盤の上に捻じれの無い状態を作り出し・・・その状態でプランクを行っています。ご存じのモデラーも多いと思いますけど、プランク終了後の主翼が捻じれていた場合(意図的な捻り下げ設定を除く)・・・フィルムの張力で捻れを取れるかと言うと、こういった最大翼厚が10%ともなる翼型の場合、フィルムの収縮だけでは完全なる修正は出来ません。よって捻じれない設定を確実に行ってからプランクした方が作業は楽に成ります。抜き面のある主翼なので、誤解される方も多いと思いますけど、本機の主翼は・・・もう捻じれません。捻ってみれば解りますけど・・・ビクともしません。
   
● 本機の前縁はダブルに成ってます。内側の前縁の厚みは3mmなんですが、外側の前縁は厚さが5mm在ります。木工ボンドをたっぷり盛り付けて指先で塗り広げてから、5mmの前縁材を圧着・・・。マチ針で固定して効果を待ちます。内側の前縁上でプランクシートを成型し・・・このプランクシートの小口も外側の前縁材で塞ぐので、プランクシートの剥がれる心配が無いんです。加藤無線(MK)のスタント機のキットの殆どが、この方法で前縁を構成しています。カンナで削る時にプランク材の剥がれに神経を使わなくて良いでしょう?・・・。このダブルエッジ構造・・・当工房のオリジナルグライダーではお馴染みですよ。リンデイにも使ってるって、知らない人の方が多いですけどね・・・。
   
● 左右分割の水平尾翼を作ります。本格的なF3A機はこんな水平尾翼の分割構造なんて採用しません。何故ならば作り手さんの工作技術に差が出てしまうので、バルサキットにはあまり使われません。むしろ左右を別々に作っても、胴体に組み込む前に一枚の翼に結束してから組み込むのが一番正確だからです。ところが本機の場合は、F3A型のスケールグライダーなので翼型を色々と試せる様に分割翼としています。
   
   
● 上記画像四枚は本機の分割式水平尾翼の内部構造・・・下記四枚は中華製のフィルム張り完成機の分割水平尾翼です。日本国内のネットショップが輸入販売元(Skyliner38)が良品として販売し、愛知県の初心者モデラーさんが送料込み7万円で購入したんですが、自分では組み立てられないので製作依頼された機体です。上記の水平尾翼構造でも解る様にカンザシは直行が基本です。ところが依頼品は、わざわざ曲げてありました。で!水平尾翼を組み込んだら・・・あれま!・・・前縁に隙間が出ています。輸入販売元は「販売前には入念なる検品を行います!・・・。」って自身のページで唄っているのに、何故にこの様な不良品が混じるんでしょうか・・・。このカンザシは特注のアルミパイプなので、日本国内での入手は出来ません。販売元と思われる中華の(FLY FLY HOBBY)に尋ねたら、既に生産終了でラインナップからも削除されていました。よって廃版品なので部品は揃えられませんでした。

● 輸入販売元のネットショップに直接連絡しようとも思いましたが、其処には管理人氏の注意書きが・・・。当店に否定的な方・・・もしくは謂れのないクレームは迷惑メールとして扱い、お返事する事は出来ません・・・。と言う事は、入念なる検品というセールス文章の代償はどう責任取るんだ!って内容の抗議メールと受け取られたら、返答はしてもらえないって事でしょうなあ・・・。泣く泣く改造させられる羽目になりましたなあ・・・。上記の機体の製作は熊本震災の後の時期・・・下記の依頼品は、コロナウィルスのパンデミック宣言が出た辺りです・・・。中華は米国との輸出入のトラブルで、次第に国内の産業が悪化・・・。多分・・・依頼品の製作を頼まれていた下請け業者が、取引を打ち切られたんでしょうなあ・・・。其処で不良品を隠して日本のネットショップに売り込みを持ち掛け、利害関係が一致・・・。今回の不良品一式の高額販売が見事に成功しちゃった訳で・・・。

● 購入しちゃった愛知県の初心者モデラーさんに、不良品と良品の区別なんて見分けるのは無理でしょうなあ・・・。私でも仕事を受ける時に見抜けなかったんだから・・・。このネットショップの本機の販売記事・・・。良品のセット内容と組み立て画像の一部を掲載していたんですが、此れだけなら誰だって良品だって思ってしまうでしょうなあ・・・。売り抜けたらその画像はすべて削除・・・。当方としてはその良品の組み立て画像のみが頼りの綱・・・。組み立て説明書が付属して無いんだもの・・・。此れだけ当工房でこき下ろして差し上げたこの不良品販売の(Airliner38)なんですが、未だに怪しい中華製ラジコンを販売し続けていますなあ・・・。さあ!・・・次の犠牲者は誰なんでしょうなあ・・・。当工房はもう受けませんよ。このネットショップの取り扱った商品は・・・。
   
● 中身はスチレン構造体なのに・・・仕上がるとバルサの生地完成状態・・・。スチレンの内部構造への使用は邪道だの・・・悪影響が出るだの・・・散々言われたんですがねえ・・・。言ってる人達って自分で検証なんかしていません。まあ言い換えると・・・スチレン世代と言われる平成のネット普及後の、便乗組モデラーが挙って使ったスチレン材の飛行機のあまりの出来の悪さに、嫌悪感を示すバルサ組王道のモデラーさんが負け惜しみで言ってるだけでしょうからね。このモデラーさん達は、昭和の黎明期も知らないので・・・発泡コアのバルサプランクの主翼構造も見たことが無い・・・。当時の7部組み生地完成のF3Aスタント機のキットって言えば、このタイプって時代が存在してたんですけどねえ・・・。流石にスチレンリブの構造体は無かったけど・・・。発泡コアの主翼って重かったですもんねえ・・・。中身が抜けてたらなあ・・・って誰しもが思っていた筈・・・。中身・・・思いっきり抜けてますぜい!。
   
● 水平尾翼の位置・・・胴体下部のハッチを作ります。画像の位置で六角レンチを回すと、前方のカンザシが上下に動き・・・水平尾翼の取り付け角度を変化させます。それ以外には何の機能も無いので、一応の蓋としての役目しかありませんがハッチを作ります。構造を簡単にしたかったので、予め枠を組んでその中にバルサの棒材を積層して胴体のラインに合わせて成型します。
  
● だんだんと形に成って来ましたね・・・。先日・・・ラジ絶さんと乗雲さんがラジ絶さんのコメント欄で語ってましたが、バルサの入手が困難なんだとか・・・。まあ・・・原因は、中華の爆買いに在るんですけどねえ・・・。そんなに欲しかったら10年くらいで育ってしまうんだもの・・・自国で栽培すれば良いんじゃねえか?って思うんですがねえ・・・。世界を困らせるような爆買いなんかしないで・・・。で!爆買いしたって半分以上は捨ててるし・・・。大事な資源なんだし飽食の時代は既に過去の負の遺産・・・。なんでも適当に作って販売するから、何れ飽きられる・・・。ユーザーはワガママだって事を忘れては成りませぬ・・・。

● 飛行機の構造全てをバルサとベニヤで構成するのが、プロの領域って言われてもなあ・・・。こうも入手が困難な状態だったら何かで代用して、バルサの消費を抑えるしかないんじゃないでしょうかねえ・・・。で!・・・採用したのがスチレン構造体・・・。邪道だ!って騒いだところで、入手困難に成ったんなら其れなりに使う材質を変えれば良い・・・。こういう柔軟な考察も、これからの時代は必要に成るでしょうなあ・・・。
   
● エルロン・フラップ・エレベータ・・・各種動翼の組み立て画像です。工作方法はラダーの工作方法と同じなので割愛させて頂きます。ただし…此方の動翼は全面プランクですので、プランク後の処理が少々必要です。それらの処理のみ続けて記載します。あくまでも知っておいてもらわねばならない事なんですが、本機は無動力で飛行する強風用スロープスタント機として開発しました。動力機への仕様替え等・・・其のままの構造で使えるとは限りません。ただ・・・別の言い方をするならば、バルサやヒノキを使ってリブ組みする際のうち治具として使うスチレンベースなら、これほど便利な材質だと言う事が既に解っています。過去の機体ですが、リンデイの初期型(0号機レベル)の主翼の内治具として組み込んだまま完成させた事があります。治具を組み込んだまま組み立てる構造は、サーマル工房のアーバンでもお馴染みですが、此方はスチレンシートの弾力性を利用した主翼の破損を防ぐ目的で組み込みました。此れにより・・・前縁付近のみが大きく壊れると再起不能になる従来の主翼が、破損しても前縁のみなので修理が楽になったとも言えますね。
   
● この動翼の作りなんですが、市販のムクのエルロン材を使えば作業が楽だ!・・・って言う人もいるんですが、翼型に沿う様に各種動翼を設定するには、其れ専用の動翼をムク材から切り出す事に成ります。少々厚みが不揃いでも良い!ってモデラーなら其れでも良いんでしょうけどね。ムクのエルロン材を専用に量産していたのが加藤無線(MK)のバルサキットなんですが、其処まで大袈裟にしなくてもリブ組みすれば普通に出来ますよ。もし!市販のエルロンを使うのであれば、変な言い方には成りますが・・・使用するエルロンに合わせて主翼の翼型を決めれば良いんじゃないか?・・・って思うんですけど・・・。どちらにしても原寸図面を書く事は必要に成るんですがねえ・・・。多分・・・市販のエルロン材を使えば簡単!って言ってるモデラーさんは、原寸図面を引かないんじゃないかなあ・・・って思うんですけどね。行き当たりばったりで飛行機作っても、自分で飛ばすんだもの・・・誰も文句は言いません。だから私自身も同じ事が言える・・・。個人で飛ばしてるんだから、文句を言われる筋合いは無い!・・・ですなあ・・・。
   
● ムクのエルロン材っぽく見えますが・・・リブ組みエルロンの全面プランク仕様です。言い換えるなら・・・特注の専用エルロン材です。ムクで切り出したエルロン材よりも空洞部分が多いので軽量に仕上がるメリットもありますし、ムクのエルロン材にみられる反りや曲がりもありません。此れがカスタム屋さんのお仕事です。コンテストフライヤーさんの世界を相手に戦う機体は、大概カスタム屋さんが作ってます。多分・・・値切って購入するレベルじゃ無いんですよねえ・・・。其れが本職ですので、製作費用も一機7~80万円はするんじゃないでしょうかねえ・・・今のレートなら・・・。其れを二機発注するんだから(本命機と予備機)、作る側も神経疲れるんですなあ・・・。まあ、コンテストフライヤー以外の町のお仲間さん相手のF3A機を作ってあげてる方が気楽だって事ですね。当工房も最初はこの路線だったんですが、元来グライダーフリークなモンで・・・F3A機もガチンコ無動力のスタントグライダーに仕様替えってのが楽しくて・・・。昭和50年代の平尾台には沢山いましたよ~・・・。F3A改造のスロープスタント機が・・・。フォーミュラーレーシングみたいな飛行機も飛んでましたねえ・・・。市販のフォーミュラーボデイ(ラジコンカーのボデイ)を其のまま載っけたのが、空中で追っかけっこしてました・・・。其れがレースに見えるから面白い・・・。下手に派閥を作って、狂信的カテゴリーに固執して敵対視する別のサイトの雰囲気じゃ無かったなあ・・・。
   
● 水平尾翼の翼端ブロックの加工です。治具を作って切り出した翼端材を固定して、糸鋸盤に通すと溝が出来ます。この溝は後縁側なんですが、翼端を削る時にこの溝にベニヤが収まっていると削り過ぎには成りません。此れもF3A機のカスタム屋さんなら当たり前の構造です。此れを糸鋸盤を使わず組み込む場合は、翼の下面側をL型に切り込みを入れて取り除き・・・ベニヤを接着して埋め戻してから翼端材を成型すれば良いんです。糸鋸盤が無いから無理!って諦める必要は無いですよ。お仲間さんに見せる時は被覆後ですからね?・・・言わなきゃ誰も解らない(笑)・・・。
   
● 此方は主翼の翼端ブロック材です。主翼は半対称翼型なので、翼内の基準線も対称翼みたいに中心を通りません。よって翼の下面に近い基準線なので、画像の様に二枚のバルサシートを貼り合わせて使えば良いんですなあ・・・。よって下面側にL型の切り欠きを作って二枚の翼端材を貼り合わせると、あら不思議・・・ベニヤ挿入の切り溝が出来ちゃいました。此れだって飛行場でお仲間さんに言わなきゃ誰も解りません。
   
● 前後二分割の翼端ブロックとはこういう状態に成るんです。メインスパーの壁と翼端リブの二面で接着されるので、翼端を地面に擦っても翼端材は外れません。此れが一体だとどうなるのか・・・。最悪な場合、翼端ブロックが主翼から外れるんですが・・・この時に翼端リブをも捥ぎ取ってしまいます。翼端リブと後縁材は接着されていますので、後縁材をもむしり取るので・・・最悪、その主翼の修復は不能に成ります。其れを少しでも解決する目的で、こんな面倒臭い工作と成りました。翼端材の状態から見て・・・どう見たってF3A機の翼端には見えませんなあ・・・。此れが最大翼厚10%の半対称翼型(Divine wind)です。
   
● 北九州小倉西区でお店を構えていた(光模型)のご主人が、加藤無線(MK)勤務中に私に要望したF3A型のスロープスタントグライダーに一番近い形状に成りました。私自身が組合の違う二つのメーカーを渡り歩いた経歴が在りますので、今回の製作にあたって両社の代表的な構造を合体させました。まだ模型業界に足を踏み入れる以前・・・平尾台のスロープ大会にOK模型のディバインウィンドで出場したんですが、かなり走る飛行機でしたね・・・。走る分、操縦が上達した私には扱い易い機体でした。よってこの翼型なら私にも飛ばせるので、加藤無線の代表機であるブルーエンジェルに採用しました。尚!この機体の量産と販売はありません。しかし・・・この機体の性能を有したオリジナルな機体は、何れキット化して販売する機会も有ろうかと思います。