✈ Early-Bird Ⅲ型 (フライキャッチャー165) Part-1 (2) (3)
※ このアーリーバードⅢ型は、Ⅰ型・Ⅱ型と大観峰を拠点に俵山・夜峰山・平尾台・川内峠・栗野岳・吹上浜・・・等、九州のあらゆるサイトの斜角条件とサイト形状・風速域を十数回の訪問でデータを採った機体から、除染現場出向の折り、休日を利用して愛車で訪れた色んな東北サイトの条件に対応出来る新型アーリーバードに着手しました。

※ 東北サイトの特徴として、強力な吹上サイトが数多く点在していますが、そのサイトに出向く為の登山道が幅は狭いし、勾配がきつい・・・多分冬場は絶対出向けないだろうサイトが多いと実感しました。側溝は有るんですけど、何故か蓋がされておらず・・・冬場は豪雪で脱輪したら、最悪遭難するかも・・・という恐れも有る訳で・・・。平尾台でも大観峰でも、真冬の登山道の凍結は有っても、道路に備え付けの融雪剤を振り撒いてアイスバーンを溶かし、自力で脱出。・・・が可能ですけど、東北のサイトは・・・冬場の入山は制限、もしくは禁止なので、強行突破はレスキュー隊のお世話に成るかも知れないので止めた方が良いですよ。

※ 季節は夏場・・・東北のサイトは何処も涼しかったですよ。東北のモデラーからメールで情報を貰ってサイトまで登ったんですが、駐車場にクルマを停めて飛行機を持って登る事数十分・・・。サイトの中に愛車を乗り入れられるサイト何ぞ何処にも無いです。飛行機を投げられるポイントは沢山あるんですけど、着陸時に難が有ると思いました。とにかく自生している植物が堅牢なんですよねえ・・・。充分減速させてから軟着陸させないと、多分Ⅰ型とⅡ型では胴体の下部が壊れる確立は多いですなあ・・・。飛行技術のレベルが、上級者向けに限定されてしまうんですなあ・・・。九州のサイトなら、Ⅰ型機なら上級者指導付きの条件で、初心者にも対応出来たんですがねえ・・・。

※ 其処で・・・胴体の強化を含む構造のリニューアルを行い東北仕様のアーリーバードを再設計しました。Ⅰ型とⅢ型は何れバルサキットとして販売が決定しています。しかし・・・此の製作記事は、Ⅲ型初号機のカスタム機の構造で記事を進めます。特殊な加工や専門工具が無い普通のサンデーフライヤーにも理解出来る内容です。当工房の製作するオリジナル機に使用する材料ですが、入手先は個人でも可能な様に構成しています。
 
● 霧ケ峰式鷹号の製作記事と胴体が共通なので、記事の内容が一部交錯しますけどどうぞご容赦ください。鷹号の胴体なんですが、元々はアーリーバードⅢ型の胴体を鷹号から流用したので共通構造なんです。六角胴体はヴィンテージグライダーの代表的な形状なので、その構造自体が強固な造りに出来るんですなあ・・・。古典機には四面の菱形胴体も有るんですけど、人が載って操縦するなら、四角胴体よりも六角胴体の方が空きスペースが無いので、構造的にも空力的にも優れていると思います。ただ・・・作るのが少々難しいんですけどね。

● 私は一条さんのガルモデルの製品である(アドラー)から入門しました。その後も同社の機体を数多く製作したので、自作する時もそのキット製作で得た経験が、今の構造体に反映されています。しかし・・・ベニヤとバルサが主体のラジコングライダーの構造に、敢えてスチレン材を多用する構造とは・・・理解出来ないモデラーさんは読み飛ばして下さいね。時間の無駄かもしれません。ただ・・・スチレン材でも適材適所・・・使い方によっては強力な構造形成のアイテムに成るんですよ。
  
● スチレン材同士なら専用接着剤のセメダインでも良いんですが、胴体の外皮はバルサ材なのでスチレン部品の木口には、全て1,5mmのバルサを短冊状態で貼り込みました。此れで部品は全て木材と同じです。スチレン材の上手な使い道の知識は、スチレン世代の平成のモデラーに多いので、理解も早いんですけどねえ・・・。この点、スチレン製セロテープグルグル巻き飛行機に嫌悪感を示す、昭和のひまし油世代の古株さんの方が首を傾げてます(笑)・・・。何故なんだろう・・・って思っちゃうんですけどねえ・・・。京商のセンチュリオン(グロー049)・スポルタビア(グロー049)の機体構造の素材は、発砲コアのスチロールでしたね。丸々スチロールの・・・。激しく墜落したら折れるムクの主翼・・・。

● この飛行機群は、昭和50年代初期の製品でしたよ。その後・・・ミラージュ戦闘機も同構造で発売されましたし・・・一時代のスチレン機の構造体をご存知の筈・・・。メカプレートは、当時のサンワと双葉の標準セットがセット出来る発砲コアの成形スチロール製・・・。このメカユニットを胴体内部に押し込むだけでセット完了!・・・。ある意味画期的でした・・・。要するに・・・スチレン材も適材適所なら有効な材料なんですよ。このスチレン構造体は、今後の自作模型の強力なアイテムに成るでしょうね。船舶模型の内部構造体に使えば、ベニヤ主体の船舶模型が・・・外皮はバルサの積層構造で充分な強度を持てるかもしれません。浸水対策を完璧に行えば、船舶外皮はフィルムを貼っても防水出来るかも・・・。モーターが推力ならば船体はなるべく軽量な方が良いですしね。
 
● 実は今回の記事・・・スマホ対応の為に新しく編集し直して書いています。製作記事からもう四年以上経過していますので、画像の5機分の量産品はもう在りません。今後・・・この仕様で胴体を作るとしたら、新作のアーリーバードⅣ型からに成ります。バルサキットに成るⅢ型でも使用しないスチレン構造体ですが、今後もカスタム仕様機では使っていきます。
 
● わざわざ・・・スチレン部品の木口にバルサを貼り込んだのは、木工ボンドを使える様にしたかったからなんですが・・・。何故木工ボンドに拘るのか・・・。此れはですなあ・・・昭和50年代の模型業界は、ある意味ラジコンブームでした。このラジコンブームにおいても、実は完成機が持て囃された一時期が有るんです。OK模型のARF機は、ABS成形品の胴体にバルサ組みフィルム貼りの主翼と尾翼を組み合わせたセット・・・当時、戦争映画のセットとしての大戦機を多く作っていた生田無線が、世の中に放った絹張りクリアウレタン塗装仕上げのフライングタイガー・シリーズは、ブームに上手に乗ってバカ売れしました。昭和60年代に入ると、今度は加藤無線(MK)から、加藤社長の長女であるミチコ嬢でも飛ばせるグロー15ENGを搭載した、完全対称翼で低翼エルロン仕様・・・上反角強めで矩形翼、低翼面荷重のモグラ的飛行性能を有した(レディ15)が発売されました。この飛行機は生地完成品ですよ。あの・・・スタント機畑の加藤無線がモグラの完成機を作ったら、こう成りますよ!を実現したんですなあ・・・。

● この飛行機・・・エンジンマウント周りを除く他の構造体は、全て木工ボンドで組まれていたって知らなかったでしょう・・・。当時の開発室長だった藤澤氏は、この木工ボンドの使い方が適材適所・・・。常に仕事終わりにはボンドを容器に満タンにして・・・。常に同じ容器を二本用意・・・。内容物も同じ重さにセットして・・・。此れがカスタム職人としての最低限の製作前の準備だと言っていました。

● どういう事かと言うと・・・。主翼は左右対称に、常に同じ比重のバルサを使って組み立てる事。接着剤を塗る時は、左右の主翼が工程ごとに常に同じ重さで着ける事・・・。工程ごとにボンド容器の重さを量れば塗り込みのボンドの量の違いが直ぐ解る。その量の開きが大きいと、仕上がった主翼の重さも変わるので左右どちらかの主翼に重量が原因のクセが出てしまうとの事・・・。言われてみれば納得の正論です。で!当工房もこの白ボンド容器・・・何時も満タン・・・。二本使いで対処してます。此れがカスタム屋としての常識だからですよ。当工房の生地完成機のセットを購入されたモデラー諸氏の感想・・・「二枚組のバルサを使っても、自分で作ると主翼の重さが左右でバラつくんだけど、どうしたら同じ重さに出来るんですか?・・・」・・・こうすれば出来るんですなあ・・・。極々・・・誰にでも出来る裏技なんですけどね。面倒臭いから誰も真似しないだけ・・・。生田無線のフライングタイガーも、OK模型のARFの完成機も・・・バルサの構造体の接着剤は木工ボンド・・・。冶具にしっかりと固定して硬化させるから有効な接着剤なんですよねえ・・・。
 
● 幾ら主剤が木工ボンドでも・・・荷重が掛かる部分や衝撃でポロリと外れそうな所は、エポキシ系接着剤でガッチリと接着します・・・。此れは昭和40年代からの常識です。今流行りの瞬間接着剤オンリーで構造体を組み、外皮の上からマイクログラス塗布・・・。絹張りウレタン塗装でもやるんかいな?・・・を彷彿させながら、いやいや普通にオラカバライト(フィルム)で仕上げるんですけど・・・ってか!・・・。信じられんわ!荷重は外皮のバルサだけで踏ん張ってるので、度重なる飛行回数で内部構造は悲鳴を挙げる様な工作ですな・・・。何時か飛行中の構造破壊による空中分解が起きるでしょうなあ・・・。
 
● 内部スチレン構造体でも外皮を全てバルサにしたので、高温で貼り込むフィルムにも対応出来るんですよ。まだ細かい部分にスチレン材が見え隠れしてますが・・・最終的には、主翼と胴体を分解しないとスチレン材は見えません。後部トラス組からは見えちゃいますけど、フィルムを貼る所は全てバルサなので貼り込み作業に関して言えば、支障は全くありません。
 
● 本機の垂直尾翼と水平尾翼の主材料は5mmのバルサ材です。此れを複雑に組んでますが、大袈裟な構造って言われちゃいました。別に3mmでも良いんじゃない?ってのが平成生まれの若きモデラーのご意見・・・。本機の前身であるⅠ型では、4mmバルサを使って同じ構造体を組みました。3mmでは強度的に弱くなるし、5mmでは重くなる・・・。よって4mmバルサを使ったんですが、この4mmのバルサシート・・・汎用性も知名度も薄いので数が出ません。木村バルサに大量発注しても割高なんですなあ・・・。で!5mmを使用する事に・・・此方がメジャーなんで安かったりするんですよねえ・・・。

● 5mmのシートでも構造を軽量化すれば4mm材と余り重量的にも強度的にも大差は無いんです。問題は糸鋸加工かレーザー加工か・・・ってレベルのお話。レーザー加工のバルサの厚みの限界は6mmまで・・・。其れよりも厚いと切り木口が斜めになるんですよねえ・・・。じゃあ!照射力を上げれば良いじゃん!ってご意見も有りますが・・・。言ってる人は、実際にレーザー加工機を使った模型飛行機を自作されない人です。自分でやれば止めとけばよかった・・・って後悔しますよ。照射力を上げると熱源も上昇しますが、木炭化する幅も広がるので寸法通りに加工出来なく成るんですなあ・・・。其れがレーザー加工機の限界・・・。よってⅢ型のバルサキットを作る場合は、レーザー加工機の能力に余裕を与える目的で、尾翼部品には4mmバルサを多用するでしょう。
 
● ラダーとエレベータの前縁ヒンジラインは、厚さ5mmのままVカット・・・。後縁側は厚さ2mm強になるまで、両面を粗目のサンドホルダーで根気よく削ります。サンドホルダーは必要以上に切削面に押さえつけなくても、粗目のサンドペーパー(50番位)なら滑らせるだけで其れなりに削れて行きます。要は削り過ぎない様にする事・・・。

● 左右のエレベータは単独のリンケージでは有りませんので、昔ながらの方法で連結しています。ただし・・・昭和の模型業界の事情で現在の様なカーボン繊維はありませんでした。見えない様に隠していますけど、3×5mmのヒノキ棒を二枚積層して6mmの角材にするんですが、カーボンロービングを間に挟んでから厚みを5mmに落としています。左右のエレベータとこの連結棒はエポキシ接着剤を使っています。連結する特は必ず直線上で行う為に、アルミのアングル材を使っています。
 
● 私のホームページが世の中に知れ渡る以前の、当時存在した多くのブログでは・・・リブ組の治具を使って自作の飛行機を組立てる・・・なんて、一人もいませんでした。しかし、その後の数多くのブログでは、当たり前の様にリブ組用の治具を作って組んでいる管理人さんが増えてるんですなあ・・・。其れまでは空中殺法当たり前だったのに・・・。で!素性を隠して聞いてみたら、「自作するにもキットを作るにも、正確なリブ組みをするなら治具を使った方が良い・・・。」なんだそうですが・・・。この管理人さん・・・以前は治具なんか使わない空中殺法で、リブ組みしてたんですけどね(笑)・・・。

● 実は、当工房・・・一機しか作らない製作記事も書かない、初期の試作機の場合・・・治具なんか使わないんですなあ・・・。一機分一回しか使わないんだったら、画像みたいな複雑な治具は使わないですよ。まあ・・・閲覧数を右肩上がりにするには、重要なアイテムだとは思うんですが・・・。ただですなあ・・・スロットイン加工を施した部材を有するバルサキットなのに、何で複雑な治具をつくるんだろう・・・って閲覧者は皆さん感じている筈・・・。意味の無い右へ習いの行為は、時間の単なる浪費・・・もしくは単なるパフォーマンスにしか見えないんだけどなあ・・・。

● 当工房が製作記事を挙げる時の複雑な治具類は、その後量産するのに必要だからです。よって正確なスロット加工なんて要りません。スロット加工を使わないから、正確に組める様に治具を作るんだから・・・。レーザー加工のバルサキットなのに、複雑な治具を作って組立てるのは何か矛盾していると思うんですがねえ・・・。
 
● 正確なレーザー加工のスロットインならば、本来マチ針なんかも使わなくて良いんですよ。はめた傍から低粘度の瞬間接着剤を流し込めば・・・。画像みたいに前縁材と後縁材が拡がらない様にストッパーを打って、その中で組立てるんだから・・・リブが納まらない時は少し寸法を詰める加工をすれば良い・・・。プランク後の完成した主翼は、一機目から5機目迄・・・全て外寸法は同じ大きさに成りますしね。冶具を使って飛行機を組むのは、すなわち一機以上の量産をする為に必要だからです。冶具の中身の範囲でリブ組みするんだから、前縁後縁が湾曲したり捻じれたりしませんし・・・接着剤が硬化するまでは別の作業も出来ますしね。コストダウンっていうのは、こういった作業する側の人件費の削減を狙った省力化の目的があるんです。
 
● まずは・・・アウターウィングの組立てです。主翼の翼型はラムロッドなので、下面はフラット・・・。先にプランクシートを貼り込んで、リブ組みを一部拘束してしまいます。楕円の翼端材も取り付けて、接着剤の硬化待ちです。実はですなあ・・・。長年の経験上、この時点で主翼が捻じれていても良いんですよ。その後の組立で修正出来ますから・・・。
 
● この楕円の翼端ですが、下面はフラットなまま上反角が付きます。上面はリブのカーブに沿った翼型に成るまで削ります。その為に厚めの部材を組み込みました。このカーブした翼端の部材は、翼型に加工してからこの幅で製材も出来るんですが、まあ・・・捨てる所が8割くらい出てしまいますので、コストは跳ね上がります。其れが購入モデラーの負担に成るので、画像の部材です。

● 翼端ブロックの形成は、色々と方法があるんですが、現在なら真空成型を個人でも自作して使ってるモデラーも確実に増えました。OK模型が頻繁に翼端に成形品を使うのは、キャノピーの成形と手順が同じだからです。真空成型は、木型や樹脂型が大きく成れば成る程難しく成るんです・・・。其れに比べれば翼端の成形品は小さい訳だから、ある意味作業はし易いし・・・成功率も高いと思うんですがねえ・・・。まずは小さい成形品から挑戦して、経験を積めば良いと思います。意地でもキャノピー成形に拘らなくても・・・。自作模型をブログにアップしながら、最後に真空成型を・・・・って上手く行かないでしょう・・・。真空成型やってる自作屋さんは、成形の成功例しかブログに掲載しません。でもそこに至るまでの途方もない失敗例が沢山有るって事を忘れないで下さいね。ローマは一日にして成らず・・・真空成型も一発で・・・出来る訳無いです(笑)・・・。(Part-2に続く)