✈ Me-163b Komet (内部スチレン構造体) Part-3
 
● 胴体内部はほぼスチレン材です。外皮はバルサ面なので、フィルム仕上げでも絹張り紙張り塗装仕上げでも・・・そして、マイクログラス塗布からの塗装仕上げも出来ます。一見難しい造りなんですけどね?・・・自作モデラーなら誰でも根性入れて作れば完成します。スチレン材は保護がしっかりしていれば、バルサやベニヤの内部構造体よりも、経年変化が遅くやって来ます。ベニヤやバルサで構造体を作る時は、糸鋸盤等の特殊工具も必要ですが・・・スチレン材ならば、カッターナイフとサンドホルダーのみで、部品加工が済んでしまいます。

● 他の機種の製作記事にも、あらゆる構造の製作記事が有りますので、合わせて閲覧して下さいね。スチレン材の表面を全て木部で覆うと、シンナー系の塗料にも侵されません。コクピットの中も同様で、全面にバルサを貼ると、誰が見ても内部主構造体にスチレン材を使っているとは思いません。飛行機本体を持たせると、百人中百人がその軽さに驚きます。「空野式使ってるんですね!・・・。」って知ったか振りする人が殆どなんですが(笑)・・・、コクピットを外して二度ビックリ・・・。空野式バルサのセミモノコックと言うよりも・・・知ったか振ってるスチレンにセロテープグルグル巻き飛行機を持参した、モデラーさんの飛行機に近いので驚いてます。

● スチレン機持参組だって、せっかくスチレン構造体は同じなのに、胴枠毎に発泡スチロールを埋めて外皮にセロテープを目張りするんかなあ・・・。バルサを貼れば昭和の一桁生まれの大御所さんを唸らせる出来栄えに成ったのに・・・。実に勿体無いですなあ・・・。企画・・・設計・・・組立・・・メカ積みまでをたった一週間で行うには、スチレン構造にセロテープグルグル巻き飛行機の方が適してるんですがねえ・・・。昭和の大御所に自慢げに見せてもねえ・・・彼らは「よう出来とるなあ・・・。」とは言うんでしょうけど、其れで終わりですよ。当工房は昭和のシングルボタン打ちの時代から、ラジコン模型を楽しんでいます。時代の流れで色んな素材を使ってラジコン機を作ってますが、このスチレン構造体もその一つに過ぎません。
 
● コクピットの被せる透明のキャノピーを作ります。世の中・・・此れだけネットが普及して来ると、色んなモデラーさんが自作した真空成型器(バキューム成型)を拝見させてもらいました。ただ・・・本格的過ぎると、明らかにこのキャノピー・・・業者に依頼してな?って疑う位の出来栄えのモノも有る・・・。まあ‥所謂、他人の画像の寄せ集めのバチモンもある様なので、100%信用はしない方が良いと思える成型機が殆どです。

● 今回使用する成型機は、吸引の掃除機を使わない・・・吸引時の騒音が無い・・・成型機です。まあ・・・昔から大御所さんが使ってる木型に熱で柔らかくした塩ビのシートを押し付けて成形する、型押し成型に近いんですけどね。木型は真空成型器にも使える形状をしています。
 
● 木型に使うバルサの材質はスーパーハードバルサです。業界の開発部では、ラワンみたいに硬いのでバランと呼ばれています。バルサの部位で言えば・・・育ち捲った大木の一番外側の角材ですね。南米エクアドル産のバルサは、10年ほどで20メートル位の大木に育つ特殊木材です。乾季と雨季の差が激しい土地の場合、雨季に栄養分をどんどん吸い上げる為・・・大木の中心は穴だらけ・・・。育ちが早いって事は、倒木しない様に外皮をどんどん硬くしながら成長しなければなりません。だから通常木材とは材質が逆に成るんです。乾燥させて水分を抜くと、丸太の外側が硬く・・・中心に近づくに沿って柔らかく成ります。穴だらけなので・・・。

● スパーハードバルサは薄いシート状に仕上げても、湾曲し難いのでアール面のプランクシート材には適していません。ただ目が詰っているので、ポリ樹脂を塗り込んでも木目の奥底まで浸透せずに表面をガッチリ硬化させます。真空成型の場合・・・シートを熱で柔らかくするんですが、指で真面に振れたら火傷する位熱いです。このシートを木型に被せて吸引するのですから、柔らかい材質のバルサでは木型が収縮してヒビが入り、その筋がモロに成形品に残ります。自作品ならば其れでも良いでしょうけど、製品ならば不良品の扱い・・・。販売出来ません。
 
● キャノピーの木型の仕上げ方ですが・・・側面は若干狭く成る様に削り込みます。理由は、キャノピーの枠に噛みつく様にする為です。枠に接着剤を盛る時に、キャノピーシートが貼り付き接着し易くする為です。キャノピーの木型には切り代とするベニヤの嵩増しを底部に貼り付けています。引きが甘いとキャノピーの必要寸法よりも上部に引きの甘さが残る(吸着されずに、アール面として残り、必要寸法が足らなくなる状態)場合があります。
 
● この型押し成型器を思いついたのはトイレの中です。便座の形状を観て閃きました。しかし・・・このまま木型に押さえつけても吸引しなければ、底部迄の綺麗な形状が出ません。この型押し成型機のシートの固定板・・・真ん中が切れてるでしょう?・・・。此れがこの成型機の真骨頂です。此処は蝶番で繋ぎます。
 
● 電気ストーブでシートを取り付けた型枠を熱しています。指先で突いて充分柔らかくなったら、両手で型枠を持って水平に押し付けます。木型の上部のキャノピーラインの形状が成形出来たら、今度は型枠を半分に折り、シートを語枠毎、木型の底部に引っ張り込みます。此れで、木型の側面にシートが貼り付き、引き延ばされます。後は霧吹きで水を吹き付けて、シートの粗熱をとりさってしまいます。シートが常温まで冷えたら成形完了です。
 
● 型枠に固定するシート(ペット樹脂=ポリカーボネイト)は、割れ易くする為にシートの真ん中、前後に切り欠きを入れます。更に成形後のキャノピーは、型枠を拡げて外そうとすると、無理な力でシートが割れたり曲げ筋が白くは言ったりするので、ビスを緩めて押さえを外し、型枠を下に落とします。木型からシートを外す時は、後部の広い方を僅かに広げると木型から成形したキャノピーが外れます。
          
● 色々と細かいモデルチェンジを行った5号機なんですが、面構えが実機コメートよりもスマートでカッコ良くなってしまいました。もちっと豚っぽい機首なんですけどね?・・・実物は・・・。まあ・・・此れでもJRGAの競技会では、スケールクラスに出場できる位ですので、細かいデティールには拘らない方が良いですよ。機首が詰れば詰る程空気の流れは悪く成ります。競技会は無動力限定ですので、モーターや配線・アンプ・バッテリーを搭載していても・・・コードを抜いて無動力の設定なら出場出来ます。
          
● 実物機(Me-163BV41) 第16実験部隊 ウォルフガング・シュベーテ大尉の機体・・・。整備員が勝手に赤色に塗ってしまったので、大尉は気分を損ねたまま出撃・・・。しかし、音速に近い速度960Km/hの臨界速度の影響で推進ロケットのフレームアウト・・・。惜しくも敵機撃墜には至らず・・・。

● 本機はこの実験部隊のシュベーテ機のカラーで仕上げる予定・・・。胴体はマイクログラス塗布からの塗装仕上げにするか、単純にフィルム仕上げにするか思案中・・・。主翼はトランスパレントの半透明レッドは確定・・・。ただし裏表が解らないと操縦ミスによるロストも有り得るので、翼の上面と下面ではステンシルの量を調節して対処の予定。胴体下部のスキッドの底を白くするのも好いかもしれない・・・。

● 本機の製作記事は被覆とメカ積み・・・その後の山上グランド飛行場、及びスロープサイトでの飛行記事へと続きます。記事のアップはもう暫く先に成るでしょう。