✈ Rindy-Ⅱ (regular stabilizer) 軽量グライダー Part-2

 
● 水平安定板(スタビライザー)と垂直安定板(バーチカル)は、バーチカル側に埋め込まれたクッキージョイントを介して結合されます。お手持ちの三角定規を使って、水平尾翼と垂直尾翼の直角出しと、垂直尾翼が水平尾翼にボールペンで記した二本の線の中に綺麗に納まる様にして下さい。

● 垂直安定板(バーチカル)の取り付けが、本機を真っ直ぐ飛ばせるか否かの重要な調整です。此れが狂っていると本機は真っ直ぐ飛びません。幾ら自律安定性の良い機体でも、垂直尾翼が胴体の中心線に平行に付いていないと、ラダーを僅かに切った状態ですので、機体は左右どちらかにバンクしながら旋回挙動が起きます。此れがショックコードでの曳航上昇中に起きると、ゴムの収縮でスピードが上がった状態と成るので・・・その挙動はもっとハッキリと現れます。

● 手から離れた機体は、大きく弧を描きながら墜落して行きます。此の挙動を押さえる為にラダーの当て舵を打つ事に成るんですが、初心者さんにはその加減が解らないのでオーバーコントロールで、余計に操縦が難しく成ります。この調整が解らない場合は、ベテランフライヤーに調整法を聞いて下さい。もしくはグランドで目線の高さから、機体を投げて真っ直ぐ飛ばない場合は再度外して調整も必要です。
 
● 5×5mmのバルサ棒が二本入っています。此れは垂直尾翼と水平尾翼の結合面の補強材です。画像の様に前後を丸く加工してコーナーに貼り込みます。さて・・・この作業を先にやるか・・・後からやるか・・・フィルムを貼り込む時に、この部材が邪魔して初心者さんは大変貼り難いと思います。

● よってこの補強板は成形したら見えてる一面のみ先にフィルムを貼って、後から貼り込んだ方が作業が楽です。ただし・・・ちゃんと調整してから貼り込んで下さいね。此処まで書くと、頭の良い初心者さんは気づいた筈です。立体上に組まれた尾翼にフィルムを貼るよりも、一枚板の状態で別々に貼った方が作業が楽だって事に・・・。要するに調整をしてもらう目的で、この作業手順で説明しました。百戦錬磨のモデラーさんには余計なお世話・・・でしょうなあ・・・。
 
● 曳航フックの取り付け位置が全部で4個設けてあります。一番後部の孔が重心直下のフックの取り付け位置です。一条卓也氏(ガルモデル主催)の著書(グライダーの全て)に記載して有りますが、グライダーの曳航で一番安定しているのが、イラストに記載した重心位置から機首側に25度の角度です。よって本機の場合は一番機首よりの孔にフックを捻じ込めば良いです。此れでも25度には足りませんが、此の位置なら機体を手から離すと・・・機体は適正角度を保ったまま操縦しなくても上昇して行きます。ただし・・・グライドテストを終えた適正重心位置の調整が終わった状態だと言う事をお忘れなく・・・。

● 一条氏の製作されたガルモデル全機種のバルサキットのフック位置は、全てこの主翼の重心位置から25度で調整されています。此れはベテランさんの様に曳航中の更なる高度獲得の為の特殊な操縦を必要とせず・・・初心者でも安全に機体の上昇が行えるショックコード仕様の取り付け位置なんです。此処にフックを付けたって飛行場のお仲間さんは誰も馬鹿にはしませんよ。セオリー通りな方が操縦を確実に覚えられますし、操縦に馴れたらフック位置を変えれば良いだけの事・・・。まずは機体を壊さずに、何度も調整して早く上達する事です。

● 動力ラジコンをかじった事の在る年配モデラーさんでも、構造が簡単な部類のHLGは最初から全てを解ったつもりでいます。よって曳航フックの取り付け位置を重心よりも後方に着けてしまい・・・手を離した瞬間に機体はコブラ状態で背面に・・・。低高度で背面に成ったら・・・もう回復不能です。決して(E)の位置にフックを付ける様なお馬鹿な行為はしない様に・・・。ベテランさんが重心直下にフックを付けるのは、まあレーシンググライダーの名残です。機体の姿勢を神業的操縦で制御して、最大高度を獲得しようとします。ベテランさんに負けたくない気持ちは解るんですが、重心位置よりも後方にフックを付けても高度は獲れません。逆に知識の無さが露見するだけですので・・・。
           
● 曳航フックの位置を記載しておきます。(A)の位置にフックを付ける時は強風時です。電動リールでもゴム索のショックコードでも、風上に向け機体は発進します。昭和の時代は、まだスペースシャトル素材のレーシング機なんて存在しませんでした。胴体はグラス製でも、主尾翼はバルサのリブ組みの機体が多かった時代です。当時の機体にはサーボと連動するレリーズフックが市販されていたんですが、この部品は機体を風下に向けてもフック解除の操作をしないと索が外れませんでした。

● よって当時のベテランフライヤーさん達は、高度を更に獲得する為に機体を風下に向けてショックコードを引っ張り・・・頃合いを判断して急旋回!・・・得られたゴムのテンションで更に高度を獲得しフックを解除・・・。此れが高度獲得の高等テクニックとされていました。ところがこの軽量HLGのクラスには、この装置が在りません・・・。よってゴムの収縮のみのテンションで、如何に高度を獲得できるかが勝負なんです。無風と弱風の場合は(B)(C)の位置にフックを付けます。此処まではフック位置が重心よりも機首側に有りますので、機首先端には下向きの荷重が掛かるので・・・エレベータ操作で機首を上に向ける事が出来るんです。まあ・・・寛平さん(凧あげ)と同じ状態だと思って下さいね。適正角度の凧の姿勢なら、大きく向かい風を受けて硬度をどんどん上げて行きますよね。曳航中のグライダーも同じです。凧の道糸は凧の重心よりも前方です。此れが重心よりも下なら・・・結果は(E)の状態になるんですよねえ・・・。

● 上記で説明した重心よりも後方のフック位置(E)は、イラストの様に機体から手を離すと姿勢はこう成ります。意外と知らない動力機から転向された年配の古株さんも多いですよ。本当は言いたいんですけどね・・・模型歴は私よりも長いので、知らない知識も知ってるつもりを主張します。下手に教えると逆切れされますので、飛行場でコブラ状態を体験してもらってから・・・理由が解らず途方に暮れた時のみ指導しています。ホント!怒ると怖いですからね(笑)・・・。

● 動力機の年配古株さんなんだから・・・知ってて当然だと思うんですけどね。ノーズギヤ搭載の三車輪式飛行機の場合、メインギヤは必ず重心位置よりも後方に取り付けます。何故なら・・・重心位置よりも前方だと、機体はシリモチ状態なのでノーズギヤは浮いてしまいます。此れでは離陸出来ませんね。こういう知識が先行してしまうので、中々気づかないモノなんですよねえ・・・。グライダーのフック位置を機首側に付けるのは、言わば動力機に置き換えるならシリモチ状態を作り出して高度を獲得する様なモノ・・・。この辺の知識が有れば・・・重心位置よりも後ろにフックを付ける・・なんて考えは起き無い筈・・・なんですがねえ・・・。航空母艦から発艦する戦闘機って、重心位置よりも後方にフックを付けないでしょ?・・・。フック位置は重心位置よりも前方で無いと加速も離陸も出来ませんしね。
 
● 搭載メカを吟味して・・・被覆は全てソラーフィルム状態で245グラムで完成です。当工房としては、このクラスでこんなロングノーズの機体は作りたくは無いんですがねえ・・・。此れが平成ラジコンブームの流行りなんで・・・。今後、このリンディを作るなら、もちっとサイズを大きくして、スパン1850mm位には拡大したいですね。全備重量は550グラムくらいには成るんですが、風速2~3メートルのスロープサイトでも、風に翻弄しないで飛べるでしょうし・・・。他のシリーズで使用した翼型に変更しますので、進入性の良い走るHLGに成るでしょう。

● 今の胴体内部の容量なんて・・・昭和の標準サーボ搭載の小型グライダーと同じ状態で、ギッチギチなんだもの・・・。マイクロサーボにミニ電池と基盤剥き出しのミニ受信機・・・。時代は昭和から令和に移行したんだが、ラジコンの地位もトイラジ並みに落ちてしまった感が有りますなあ・・・。こういう時代でも、ラジコン飛行機の胴体の容量は余裕が無ければ飛行機本体の構造強化は出来ませんしねえ・・・。よって新世リンディ・シリーズは現状の40%増しのサイズで作ります。高性能なゲッチンゲン翼型?・・・抜き面のある主翼には不向きだってェ~・・・。よって採用しません!。其れでもゲッチンゲンに拘る人は、大手のメーカーさんから購入して下さいね。