✈ 霧ヶ峰式 鷹号 (セミスケール設定・工房オリジナル機) Part-3

          
● 大観峰での初飛行です。スパン2000mm以下のスロープ専用グライダーは、大体このサイズです。大き過ぎず小さ過ぎず・・・此れが、昭和の一番小型のお手頃サイズです。バルサ・ヒノキの定尺が900mmなので、その範囲で作れる最大のサイズがこの2メータークラス・・・。オーナーさんが左手で握った胴体の幅・・・摘まんでる感じじゃないでしょう。大体・・・当時のサーボが横二列で搭載出来る幅だから、胴体の最大幅は70mmから80mmの間です。

● 一条氏のガルモデルから販売されていたグライダーは、氏オリジナル機もセミスケールグライダーも・・・売れ筋のトップは、このスパン2000mmクラスの機体ばかり也・・・。昭和のラジコンブームにおいて、ラジコングライダー部門では大手ラジコンメーカーを抜いて一番人気と知名度を誇る小規模なメーカーでした。

● 大手メーカーのグライダーキットは、正確な組み立てがほぼ約束される補償みたいな製品でした・・・。一方のガルモデルのキットは、好い加減というか・・・大雑把というか・・・モデラーの評価は、大きく二つに分かれました。実は・・・インターネット何ぞ存在していなかった昭和40年代から50年代初期でも、写真は見るけど文章は読まない風潮が既に始まっていて、原寸大の三面図が主流のバルサキットは、敬遠するモデラーが続出。原寸三面図の他に解説書の小雑誌も付けないと、完全に組めないモデラーが続出しました。

● 大手メーカーのバルサキットに比べると、良い処無しのバルサキットにも見えてしまうガルモデルのグライダー・・・。其れって大手のキットばかりを作って来たモデラーが、ガルモデルのキットを初めて触った時の感想であって、其れだけキット製作で経験積んだのなら楽勝じゃん!・・・ってのが、ガルモデル・フリークの言い分(笑)・・・。大手のメーカーの解説書にも記載されていなかった、自作模型飛行機にも応用できる裏技が、このガルモデルの原寸三面図の空いたスペースには満載されていました。

● この難攻不落のガルモデルのキット組み立てで経験を積んだモデラー諸氏は、その後の平成時代・そして令和新時代に成っても・・・発売されるレーザー加工のキットを組みながら、深くため息をつくのであった・・・。「組めるもんなら、組んでみろ!っていうメーカー側からの意欲ってものが全然感じられない・・・。」のだそう・・・。一応完全な形には組めるんだが・・・それ以上のトキメキが無い・・・。今の時代は完成機購入が当たり前の時代・・・。ラジコン機は飛ばして楽しむのが主流・・・。自分で組立てなきゃ飛ばす段階へ進めない時代では無いんです・・・。其れだけモデラー自身の技術の低下が増えた証明みたいな現状です。

● その裏技満載のガルモデルのキットを、面倒臭がらずに組み立てて来たモデラーさん達の自作機・・・。一条さんのコンセプトにピッタリハマった万人受けのグライダーを多く作るでしょう・・・。其れって同じ時代を生きて来たモデラーなら誰でも解る事・・・。昭和生まれの同世代でも、平成生まれの若きモデラーでも・・・ガルモデルのキットを知らない人には、その出来栄えの評価ってのが神様レベルに見えてるらしい・・・。だから悪い事考える連中には、脅してでも無償で手に入れたくなるらしい・・・。自分で持てばお仲間掲示板では、模型歴の長い昭和の偉人を演出出来るしね。「画像一枚から複製しました!。」って一行文添えるだけで・・・。ただし、自分で作って無いから突っ込まれると答えられない・・・。だから、事情を知ってる悪いお仲間さんが屯する掲示板にしか出入りできないって特徴もあるんですなあ・・・。バレそうになったら証拠隠滅・・・。オークションで売りさばいて現金化・・・。其れが平成のラジコンブームでしたね。
          
● 何時の時代からか・・・初心者でも大型グライダーの完成機を購入して、スロープサイトに持ち込む風潮が増えました。ベテランでも作れない様な複雑構造のヴィンテージグライダーを抱えてサイトに現れます・・・。聞いた話では、初心者に見合う飛行機を持ち込むと、皆に馬鹿にされるから・・・だそうです。でも、そういう素性を隠して投げちゃうんですよねえ・・・。EPP素材のファンフライから入門したモデラーなので、グルグル形は上手いんだが・・・水平飛行が全然ダメなんですなあ・・・。水平八の字飛行が基本のスロープサイトにおいて、右パス左パスの水平飛行時は、必ず谷側旋回が基本なんだが、ワザワザ大回りして手前に旋回・・・。此れはスロープサイトではご法度です。

● 右パスの右旋回・・・左パスの左旋回は、追い風に乗る訳だから舵が甘くなるので、斜面にへばり付いて座ってるお仲間たちは大変怖いです。自分の飛行機持って移動してるでしょ?・・・。グランドでもこのルールは適用されます。過去のインストラクター資格修得講座において、どんなに飛ばすのが上手いモデラーでも資格が取れないモデラーさんが、この基本八の字飛行を知らない人と出来なかった人です。
          
● 胴体に対して主翼の迎角を2度付けるとどうなるんですか?ってメールで質問を受けたんですが、こう成るんですよ(笑)・・・。機首が下がって水平飛行するんですなあ・・・。実機のスケール感たっぷりでしょう。飛行機の主翼ってのは、飛行中は一番空気抵抗に成らない姿勢に、自ら移行するんですなあ・・・。だから地上では迎角が付いても、飛行中は迎角は0・・・。代わりに設定した分機首が下がるんですなあ・・・。

● さて・・・推力装置が本機に備わっていたらどうなるのか・・・。本機の主翼はフラットボトム翼型なので、下面は平ら・・・上面のみしか揚力は発生しません。無動力だからこの飛行ですけど、推力マックスで速度が上がると・・・機首上げ状態で上昇飛行が始まります。推力を加減して水平飛行に移行しても、機首を上げたまま水平飛行するのでカッコ悪い・・・。フラットボトム系の翼型を持った飛行機は、推力線のダウンスラストを多めに入れるのはその為ですよ。しかし・・・昨今のモグラさんは、最初からフラットボトムの浮きの良過ぎる翼型から、半対称類似翼で浮きを抑える翼型を採用するでしょう?・・・。此れはですなあ・・・推力線のダウンスラストを少なくする意味も有る・・・。機首先端のスピンナーとプロペラが、明らかに下向いてたらカッコ悪いですよね。
          
● 此れが落差の大きいスロープソアリングの醍醐味です。飛行機を見下ろしながら飛ばせます。グランドにおいて、自分の目線での水平飛行・・・ファンフライやらプチトレーナーなら可能でしょうけど、大型機で此れをやると操縦ミスした時の愛機の破損状態は・・・もう絶望的破壊・・・。

● ところがスロープサイトだと・・・操縦者の身長は、落差の分だけ増えるので数百メートルの身長の目線での水平飛行ですので・・・大型機を飛ばしても地面は遥か下方です。グランドでは機体を180度ひっくり返さないと、完全なる機体の上面は見えませんけど、スロープフライトなら上から見下ろして飛ばせるんですよねえ・・・。此の感触に気づいたモデラーさんは、スロープフライトの虜になって行くんですよ。

● さて・・・初心者の皆さん!・・・自分では飛ばせないベテラン仕様のフルスパン・レーシングを、今でもお山に持ち込んで誰かに飛ばして貰って画像を撮り・・・最後に愛機を持って写真を撮ってもらい・・・なんて演出。まだやってるんですか?・・・。多分、そういう演出・・・もう通用しませんよ。お山のベテラン諸氏も馬鹿じゃない・・・。そういう演出が大惨事に成るって実感してるからです。等身大の飛行機を持ち込んで、指導を受けながら徐々に上達した先に・・・レーシングを飛ばす醍醐味と取り扱い上の危険性が身に着いて来ます。手っ取り早くスロープサイトのスカイマスター(仙人クラス)には成れませんよ。