VEGAーX (No-12) 山本昇氏未発表のヴェガ考察

  
● 山本昇氏発表のヴェガは三機種あります。ところがこの(No-11)と(No-13)の間の(No-12)が欠けています。山本氏の談話として、(No-11)の飛行挙動があまりにも過激すぎたので、当時の自分の技術に見合う(No-13)を作ったとあります。ヴェガシリーズとしての(No-13)はⅡ型と表記されていますが、Ⅰ型からⅡ型に至る過程で幻の(No-12)が存在していたと考えるのが普通だと思います。

● ヴェガⅠ型の性能を山本氏の当時の記事の文面から読み解く限り・・・、作り難さは当然の事ながらその飛行能力が操縦するするオペレーターを選んでしまう所から、自分が飛ばせないのなら意味が無いと判断して、もっと扱い易いⅡ型を作ったんだと思うんですがねえ・・・。かの山本氏でもⅡ型の開発までには紆余曲折が有ったんでしょうなあ・・・。結局、製作記事として専門誌に掲載するんだったら、不特定多数のモデラーが閲覧し追従する事を考えるなら・・・Ⅰ型よりも性能が穏やかで作り易く、更に未来を見据えた斬新な構造をと模索する訳で・・・。

● 翼型はⅡ型でもⅠ型同様(エップラー374)としている事から言えるのは、進入性の良さを重視して自律安定性を若干悪くする事で、運動性能を向上させた・・・操縦技量の幅をⅠ型よりも広く設定した機体なのかも知れませんなあ・・・。機体のプロフィールは、Ⅰ型よりも全長が長く主翼の翼弦はⅠ型よりもテーパー比が大きく、翼長はⅠ型よりも短く・・・翼面積はⅠ型よりも広く、全備重量もⅠ型よりも若干軽い・・・。その分、風速が中風域でも飛ばせるので穏やかな性能って成るんでしょうなあ・・・。Ⅱ型の機体の分割形式は、主翼の前縁と後縁部で三分割・・・所謂胴体三分割構造です。

● 多分、当時の大手メーカーの開発部でさえ考察しなかったであろう分割方法だもの・・・汎用性からいけばキットにはし辛い工法ではありますなあ・・・。よって、一発でこの構造を有するⅡ型を製作できる筈は無いんですなあ・・・。ヴェガⅡ型を作るにあたってその試作Ⅱ型が無いと、斬新な分割方式の正式Ⅱ型は作れません。仮にⅠ型の胴体三分割を考えた場合、当時の時代背景を考察するなら、サーボ類は胴体内部に搭載するしか方法が無く・・・構造が更に複雑に成ってしまいます。

● 正式Ⅱ型の後部胴体の前方からは、内蔵スタビ用のクランクから延びたロッドアジャスターが見えています。このアジャスターは主翼内部に有ると思われる中間クランクに連結されると考察した方が普通でしょう。Ⅱ型胴体上部のハッチの位置からもそう読み取れるんですなあ・・・。そういった斬新とも言うべきリンケージの実現の為にも、試作のⅡ型が存在していると思った方が自然な訳ですよ。その考察をこの項では記載していきます。