🔧 Retract (引込脚)のタイヤ以外を引き込む転用

               
● 左から(GWSマイクロランディングギヤ)・(GWS超マイクロランディングギヤ)・(京商リトラクトギヤ=EP400用)の三種の小型引込脚ユニットです。大きさは順不同・・・使用されている材質の硬い順に左から並んでいます。一番左は見た目で直ぐに解るプラモデルで多用される塩ビ系なので、有機溶剤との相性が良い分溶着し易い・・・言い換えれば溶着し易い材質は、衝撃には弱い所があり・・・荷重が大きく掛かると直ぐに破損します。たとえ・・・軽量のスチレン機に搭載したとしても、着陸等の衝撃には耐えられず・・・可動部分が破損する事態を多く見ました。よって、風圧等の荷重の掛かる大きな面積では使えないと思います。

● 真ん中の超小型のユニットなんですが、材質がイマイチ解らないですねえ・・・。ただ・・・実際に使用してみて、明らかに左の引込脚よりも丈夫だと解ります。左のプラ製の客の支柱にはカーボンシャフトが使われていますが、此方は鋼製のシャフトです。捻じ込みの台座の材質がある程度硬くないと、こういう材質の支柱は使えません。よって支柱の材質を見れば・・・小型の引込脚ユニットでも見た目で使える機体の最大重量が解ると思います。

● 一番右端のユニットは京商が販売している国産品です。引込脚ユニットのサイズと形状は、GWSの引込脚と似ています。しかし・・・明らかに、使われた金型に雲泥の差が見られます。京商の引込脚部品の材質は、PVC樹脂・・・。ナイロン系では硬い部類に入るので、GWS製よりも太い金属製の支柱が使われています。この引込脚は京商の製品である完成機体の標準装備の部品です。小袋パーツとして別売りされているという事は・・・その汎用性が大変良いと言う表れだろうと思います。要するに・・・この様な大きな荷重には耐えられない引込脚ユニットは、動く構造が限られてはいるんですが・・・別に引込脚として使わなくても他の艤装には充分転用出来ます。

               
● 此方はOK模型のスープラリトラクト・・・。ハンノプレトナ氏の世界戦出場機だった機体に搭載されていた引込脚を、OK模型と共同開発したユニットです。当時MKの引込脚が全盛の金属を多用した引込脚に比べれば、樹脂製だったので若干見劣りする部分も在り・・・発売当初はあまり人気が無かった様な記憶があります。しかしながら・・・その後の展開を見る限り、飛行機が小型化された場合も十分対応可能な構造でしたし、サイズも豊富な事から・・・あらゆる同社の機体に組み込まれましたし、自作するモデラーの機体にも充分対応出来る事から、ある意味売れ筋の商品の一つでしたね。

● 加藤無線(MK)の引込脚の台座はアルミ製の加工品だったんですが、取り付ける四本のビス孔はナベ頭のタッピングビスでした。このナベ頭のビスで引込脚を取り付けると・・・ビスの頭だけ確実に2,5mm~3mm出っ張る訳で・・・他の部品との兼ね合いに少々不具合が生じる為、自作モデラーさんはある意味・・・この出たビスの頭をどう避けて工作するか悩んだと思います。ところがOK模型の台座はジュラコンの成形品・・・台座の厚みは3mm以上ありますので、皿頭の枕頭タッピングビスが使えました。確実にビスの皿面が僅かに沈む様になってますが、残った肉厚が1mm近く有るので確実に締め付ける事が出来ました。

● 画像の箱入りは10クラスのメインギヤ用・・・。世の中の機体の動向が尾輪式に移行したので、このクラスのノーズギヤ対応型は作られませんでした。しかしながら・・・箱無しの引込脚は20クラス用のメインギヤですが、支柱はユニット内部でホウロウビスにより固定されてはいるんですが・・・分解して一部手を加えればステアリング機能の可動式ギヤに変更出来る様に成ります。素人さんが簡単にホイッ!っという感覚では無理かなァ(笑)・・・。グラインダー等の研磨工具が必要ですので・・・。

● 加藤無線(MK)の引込脚は、作動部分のシャフトが複雑な構造で形成され・・・支柱を支えるカム本体が金属を内蔵した樹脂製でしたので、自社のインジェクション成型機で製造され・・・部品の状態から組立てられていました。多分・・・同じ機構をモデラーが複製するには、NCのボールフライスが必要でしょうね。一方・・・OK模型のスープラリトラクトの大半がジュラコン樹脂の成型品・・・。ジュラコンは精密機械の歯車としても多用される材質ですので、金属ギヤと合わせて使うと摩耗に寄る金属疲労を軽減できるメリットがあります。だから・・・ラジコンヘリコプターのメインスパーギヤに多用されたんだと思いますよ。ただ・・・極度の使用過多には流石に対応出来ません。よって消耗部品として別売りの小袋パーツとして模型店に在庫してましたね。だから、トムキャットの主翼開閉システムの部品に使える事を思いついた訳ですなあ・・・。
               
● 此方はOK模型のELHリトラクトです。スパイラルシャフトとモーターを内蔵した引込脚ユニットです。もう10年前の購入なので、過去の製品なんですがねえ・・・。中々性能は良いですなあ・・・。ただし・・・下手に分解すると組立てた後、正常に動かない危険性も有るので分解してません(笑)・・・。多分光センサーを内蔵した光電式のスイッチ回路を組み込んでるんじゃないかなあ・・・て思いますよ。よって・・・この引込脚の内部は、暗室で組立てないと正確には組めない訳で・・・モデラー自身が分解する時に、光源の中で行うとセンサーの誤作動が起きるので・・・まあ、作動タイミングが崩れるんだろうと思います。このユニットを別の目的に転用する時は、なるべくユニットの機械内部には手をつけない転用をした方が良いでしょうね。

● このリトラクトは作動範囲を自由にパソコンで設定できると聞いています。此れが出来るから転用の汎用性が大きく成ったとも言えますね。別積みサーボに寄るリンケージが要らない分・・・スターウォーズに登場したXウィング戦闘機の主翼開閉システムに使えますなあ・・・。この主翼を上下に開閉する機能・・・航空機には必要なんか?って声も聞かれるんですが・・・。考えてもみて下され・・・。VTOL機能を有した反重力の航空機が、空気抵抗の無い宇宙空間と空気抵抗の有る大気圏内を自由に飛行する時は、主翼を転回した方が宇宙空間ではスラスターの向きを多彩に動かせるので小回りが利きます。

● 大気圏内では空気抵抗が発生する分、動翼とスラスターを併用すれば多彩な飛行姿勢が可能に成るので、自律安定性能と運動性能の両立を図るには必要な機能と言えるでしょう。当工房のスロープスタントカテゴリーのグライダーには、ニッケル水素乾電池を動力とする小型のEDFを装備し、エレベータの動翼と連動するダクテッドスラスターを搭載したスタントグライダーも有ります。まだ試作段階ですけどね・・・。
 
● ・・・この単純な動きだけを確実に作動させる目的で、開発され続けている引込脚のユニットです。此れだけの為に使うのは勿体ない・・・。「無い工具や部品は作ってしまえ!」の項でも記載してますが、無けりゃあ・・・作れば良いんですよ。普通にタイヤを付けて降着装置にしても良いんですが、胴体内部に組み込めば大面積を可動出来るスピードブレーキの開閉装置にも出来ますし・・・(紺碧の艦隊)に登場した後世世界の架空の戦闘機やフロート引込式の水上機を作れるかもしれませんなあ・・・。登場した水上機の引込式フロートの機能は、電車のパンタグラフの開閉システムと同じ動きをするので・・・こういう樹脂製のリトラクトユニットを転用した方が、水分付着にも対応出来るかもしれませんね。 さあ!次は応用編・・・(記事は後日・・・)