Ask-8 (Alexander Schleicher) 主翼の組立 Part-31
          
● 以前から・・・昭和の遺物のグラス胴体のキットやバルサキットをオークションで落札されたモデラーさんより、フライングスタビライザーのニュートラル時のガタについて、時々解説している製作記事中のイラストや文章だけでは解り難いとのメールがありましたので・・・まあ、機体の色々な箇所にも代用できる技術ですので紹介します。今後・・・バルサの自作機を作る場合の参考にもなりますので、少々噛み砕いて解説します。必要の無い知識・・・既に解決策をご存知のモデラーさんは、読み飛ばして下さいね。私的な解説なので、読めば読むほど・・・腹が立つでしょうし(( ´艸`)・・・。

● まず・・・フライングスタビライザーの作動の機能のみを垂直尾翼に組み込んだ場合を説明しましょう・・・。単純に垂直尾翼の厚みにピッタリの長さのパイプを埋め込み・・・シャフトを通して運搬の便を図る目的で抜き差し可能にした場合、シャフトが軽く廻る事ばかりを優先すると画像の様にガタが大きく成ります。シャフトの紛失を防ぐ目的で、左右どちらかのスタビライザーにシャフトを接着固定するモデラーが多いと思いますが・・・どうでしょうか?・・・。仮にパイプの長さを15mmにしたとして・・・スタビライザーの翼端側の上下の振れ幅は大変大きくなりませんか?・・・。そういう場合は右のイラストの様に、垂直尾翼に幅の広いフィレットを設けて、パイプの長さを増やしてやればガタの振れ幅は小さく成ります。

● 信じられないモデラーさんは、お手持ちのガラクタ箱に残っているカーボンパイプとシャフトを組み合わせて実験してみましょう・・・。短いパイプと長いパイプにシャフトを入れて、上下と前後に動かしてみれば一目瞭然だと思うんですが・・・。昭和の遺物の代表格であるスロープスタント機、OK模型のディバインウインドの水平尾翼は、フライングスタビライザー仕様でしたね。ピアノ鋼線のシャフトに銅製のパイプの組み合わせでしたが、厚さ8mmの垂直尾翼の側面には幅の有るフィレットが着いています。よって接着内蔵するパイプも両面のフィレットの幅分を含んだ長さでキットに入れてありました。結局・・・試作を繰り返してテスト飛行を行う際に、このパイプとシャフトのガタについて・・・そのガタ幅を最小限にする工夫として、あのフィレットの幅が決まったとするならば・・・シャフトの長さも・・・パイプの長さも・・・スタビライザーの翼面積とスパンによって決定された長さだと思います。

● このキットのエレベータのリンケージは、スタビライザーの前方シャフト(回転軸の中心)を基準に、直接コントロールホーンをビス止めする外部ホーンが採用されていました。ただ・・・左右のスタビライザーは、後部のシャフトに連結され動かす仕様だったので、後部シャフトを勝手に短く切って使ったモデラーさんの場合は、左右のスタビライザーにガタによる差動が生じて・・・エレベータを動かすと、この差動が影響してお尻をフリフリする現象が起きていました。当時の平尾台の吹上峠のサイトには、多くのモデラーさんがディバインを持ち込んで、この左右のスタビの差動現象に頭を悩ませていました。結局の所・・・仲間の一人が、左右のスタビの単独リンケージに改造する事によって・・・この差動が無くなったので、後は皆さん右へ習い(笑)・・・。一発で解決した経緯があります。

● しかし・・・元々がシャフト二本で保持していたフライングスタビライザーを可動軸一本で支える、左右単独のリンケージは・・・フレキシブルロッドをもう一本胴体に内蔵する事から、当時の強固なアイエム製のフレキロッドではテールヘビーに成ってしまい、重心合わせの為にバラストを追加しないとつり合いが採れなくなりました。結局・・・重くなった分、中風域では機体が浮き難く・・・強風域では極端に走り出す・・・過激な機体に成ってしまい・・・。上級者しか満足に扱えない機体に成っちゃいました(笑)・・・。当時の私はまだ現職の自衛官・・・。車が無いので電車でワンピースのディバインの主翼(スパン1850mm)を袋に入れて運んでました。胴体から左右分けで、水平尾翼を外せる構造は大変嬉しかったんですけどねえ・・・。
 
● 此方は昭和の遺物の中でも難敵最強!・・・。グラス胴体の内蔵型ホーンの改造例です。キットに付属の原寸図面の場合は、イラストの左側みたいな内蔵の仕方でしょう?・・・。フィレットが着いてる機体ならば・・・作動時のガタ幅は軽減される様なんですが・・・。グラス面には外部のスタビライザーとの接触面を考慮して、隙間を確保する目的で段付きのプラ製のブッシュを差し込むタイプが多いですね。ただし・・・此れは、正確にグラス面に孔を開けれた場合のお話で・・・少しでもズレると全く意味の無いシャフトのガイドパイプに成ったりします・・・。此れが昭和の遺物を安く落札して、組立途中でフリーズしちゃったモデラーさんの成れの果てです。

● このグラス製胴体なんですが、垂直尾翼はグラス製ですがラダーはリブ組ってタイプが遥かに多いので・・・垂直尾翼の後部は開いてるキットが多かったでしょう?・・・。グラスの積層状態が唯一肉眼で見える空間でもある訳だから、右側のイラストの様にクランクホーン自体を改造して組み込むと、ガタを最小限に抑えた機構が実現出来たりします。L型の作動ホーンを上下に延びた菱形ホーンに改造して、上下に延びた作動ホーンの両面を航空ベニヤ等で挟んでやると、ガタが極端に減らせます。重さが増えるじゃないかああああ!って博士さんは、別の機構でも考えてくだされ!・・・。増えるって言っても数グラム・・・。スパン3000mmの機体でも充分許容範囲の構造ですので、作れるモデラー諸氏は試してみましょう。きっと好結果が期待出来ますよ。ネット物知り博士の皆さんが、飛行場でしつこく聞いて来るかもね(笑)・・・。当工房の機体・・・フライングスタビのソアラー全般に内蔵してます。
          
● この形状のホーンを組み込んで、上下を左右から板で挟むと・・・イラストに示したロール軸とヨー軸の二方向へのガタが極端に減らせます。両面がシナ材・カバ材の航空ベニヤを使って、この挟む板もベニヤで作ると・・・極力隙間を減らすと摩擦力が大きく・・・湿気を含むと板が膨張し動きが鈍くなる可能性も有ります。こういう場合はクランクホーン側とガイド板のどちらかをプラ板に変更すると解決するでしょう。尚・・・ピッチ軸のガタは、クランクホーンのメインの可動シャフトと胴体側の軸受けパイプとの遊びに関係無く・・・ボールリンクやテグスワイヤーの両引きにするとガタは極力減らす事が出来ます。フライングスタビライザーは、ミテクレは大変プロっぽくて格好良いので、ネット物知り博士達が好んで適当に組んでますが・・・この三軸のガタを無視するので飛行中にフラッターを起こします。このフライングスタビライザーは、利点が沢山有るんですが・・・此れを活かす為にも軸受け付近の遊びは極力減らす工夫をして下さい。

● かのラジコン技術誌に製作記事を沢山書かれた(山本昇氏)も、このフライングスタビライザーのクランクホーンは、厚さ2mmの航空ベニヤを多用されていました。ただ・・・この記事中にはこのベニヤ製のホーンの表面処理についてまでは、詳しくかかれていませんでしたね・・・。山本さんの記事を深く見渡すと・・・解説イラストに注釈するみたいに、クリアラッカーを塗布する為でしょうか、刷毛塗りの細かい表記を見つけた時・・・当時中学生の私は、刷毛で何塗ってるんやろう・・・って思ってたんですが、滑りを良くする為の表面処理の事だったと気付いたのは、自衛官に成った頃でしたね。

● 頭の斬れる自作モデラーならば、このイラスト画像を見て自作のバルサ機にも応用が利くって考えた事でしょう・・・。その考察・・・正解ですよ!。フライングスタビライザーの最大のメリット・・・。自作機を作った時に大いにその能力が現れます。翼型を決定して自作機を作った場合・・・胴体にどの程度の迎角を付ける場合・・・水平尾翼の取り付け角は未知数で変化します。フライングスタビライザーは、水平尾翼自体の取り付け角を自由に変化させる事が出来るんですなあ・・・。よってスケールグライダーを作る場合・・・過激な翼型を穏やかな翼型に変更した場合・・・。こういうヴィンテージ系のグライダーにはフライングスタビライザー仕様はありません。水平尾翼を胴体に固定して、エレベータのみを作動させる機種ばかりです。

● 自作する複雑な構造のヴィンテージスケール機を作る前に、当工房の産業機であるオベロン・チタニア・ウンブリエルみたいなモーメント実験機で、主翼の翼型を付け替えて飛ばすと当然なんですが、エレベータのニュートラルが変化しますので、水平尾翼の取り付け角を変更しなくてはなりません。そこでこの取り付け角が決定したら・・・このモーメント実験機の諸元の通りに、自作のヴィンテージグライダーに移植すれば・・・一発で良く飛ぶ自作の機体が作れる訳です。この産業用三機種をフルスパンの大型機で作った理由は、元々がモーメント実験機として設計したからです。よって翼型だけでも十五種類・・・左右分けの主翼のカンザシピッチは、三機種とも共通・・・。よって全ての翼型の主翼が、この三機種だけなら交換可能です。自作モデラーならば誰でも作れると思いますよ・・・。こういうモーメント実験機・・・。ビス止め翼とか左右二分割翼とか考えなくても、実験機なんだから・・・ダウエル棒沢山胴体に差し込んで主翼の固定はパンツのゴムを使って、主翼の位置は並んだダウエルの位置を移動すれば良いし・・・。迎角が必要ならバルサ板を前縁側に挟み込むとか・・・。

● 飛行機の自作をする場合・・・よく勘違いされてるモデラーさんも多いんですが・・・。胴体の側面の形状を大きく変更すると、機体の性能は丁半博打だって思い込んでる人って多いみたいですね。特にネット物知り博士の皆さん(笑)・・・。じゃあ!博士の作った胴体が一枚板のファンフライと流線形ボディの同サイズの機体って、どの位の差が出るんでしょうか・・・。多分この差って言うのは、世界戦に出場する百戦錬磨のコンテストフライやなら解るでしょうけど・・・サンデーレベルのフライヤーにはあまり必要は無いレベルでしょうね。よってモーメント実験機で諸元が決まれば、どんなに側面形状の違う機体でも其れなりの好結果は得られますよ。私の経験上・・・。

● RinndyのT型尾翼機を胴体のみで販売した理由は、このHLGの凝り固まったレギュラー尾翼の世界に・・・一石を投じてみたかったからです。ネコも杓子もレギュラー尾翼ばっか!・・・。軽量構造故・・・多分、胴体が潰れて修理不能に成り・・・主翼だけが残ってしまったモデラーも多いだろうと、ただ!・・・普通のレギュラー尾翼だけでは面白く無い・・・。で!T型尾翼の胴体を作り、各メーカーの主翼翼弦を計測・・・その一番多かった翼弦を基準にモーメントを決定!・・・。案の定・・・購入されたモデラーさん・・・居ましたねえ・・・。私が作った在庫品60機分は、全て完売・・・。除染現場の出向中に発注された方の分は、カスタム商会のお仲間さんに作ってもらいました。彼らは東北のお仲間さん・・・。津波で工房毎流された仲間も居ます。そういう彼らの新しい避難先での内職にでも成れば、収入源にも成るし・・・痛手を少しでも忘れられる・・・。そういう目的でマージン取らずにガンガン来る依頼全てを丸投げしてました。嘗ての私自身が、今回の彼らの立場ですし・・・彼らが仕事を廻してくれたから震災の痛みを忘れさせてくれましたし・・・。モデラーさんの中には・・・除染現場に直接は参加できないけど・・・って理由で、当工房の在庫胴体を買って私の除染活動に協力してくれた人も居るんですよ。二日に一枚は破れるゴム手袋やらマスクやら・・・自分の身を守る消耗する安全装備に使わせてもらいました。しかし・・・つま先に鉄板の入った安全長靴・・・十日間持たなかったですなあ・・・。くるぶし部分に孔が開いて、汚染された水溜まり・・・毎度の事ながら浸水・・・。あ!足が冷た!って感じたら・・・もうゴム靴が裂けてましたし。とにかく被爆の影響かなあ・・・、脚の指の爪の延びるのが早かったですなあ(笑)・・・。

● 現在は少しずつ帰宅者も増えている浜通りの富岡町ですが、この町の北の端に大熊町との町境があります。この町境が危険区域と警戒区域を分けるフェンスで仕切られていました。私達の現場は、この町境に隣接するお寺の敷地内にある墓石群の除染です。富岡町までは除染すれば人の住める限界ギリギリの地域なので、各個人のお墓とその周りの敷地内はある程度の安全レベルまでは線量を下げる必要がありました。ところが一回の除染作業でいきなり自然界の線量レベルまで下げられる訳が無いんです・・・。原発事故で飛散した高濃度の放射性物質は、比重が大きい物質は遠くまでは飛散しません。よって危険区域・・・警戒区域・・・安全区域の線引きが可能だった訳ですが、富岡町の現場は・・・危険区域とは目と鼻の先でしたので、一時間当たりの被ばく線量は福島市内の数百倍・・・。まともに被曝すればたった一日で年間被ばく線量は越えてしまう環境なので、その安全装備はかなり慎重でしたね。

● 杉の葉や笹の葉といった針葉樹は線量を吸収し易いという調査結果が出ていましたし・・・湿気の多い場所に自生する苔類は、放射性物質を吸着させ易い特徴があります。墓石にはこの苔が繁殖するのは当然の自然の成り行きです。線量計をかざすと、針が勢いよく右側に振れます。いや振り切る場所も有ったかなァ・・・。参道は高圧洗浄器でガンガン洗って、汚染水は掃除機で吸い捲り・・・。墓石はモロイので・・・高圧洗浄器が使えず、手持ちの歯ブラシ等で地道に苔を削ぎ落とす根気の要る作業が毎日続きました。私の担当は・・・ほぼ誰もやりたがらない高圧洗浄器による洗浄作業・・・。そりゃあねえ・・・、苔取り作業の数十倍被爆するんだから・・・。お昼の昼食前と夕方には現場事務所に戻るんですが、必ず被ばく量計測のチェンバーに入らないと・・・昼食も取れないし、寮への帰宅も出来ません。

● チェンバーには女性の音声が録音されていて・・・「お疲れさまでした!・・・。」って流れれば線量クリア!昼食に入れます。ところが私の場合は、毎回パトランプが廻りながら、「汚染されてます!職長をお呼びください!・・・。」って流れます・・・。よって着てる防水の雨具を丹念に洗ってから、もう一度チェンバーに入りますが、それでもクリアしない時は、その雨具は廃棄・・・。また新品に交換しなければ成りません。此れが危険区域と警戒区域の待遇の違いでも有るんです・・・。自腹切るんかいなァ・・・ってボヤキながらも箱買いした次の雨具を着て作業に戻ってました。だから安全圏からのモデラー諸氏の協力は・・・大変有り難かったです。

● 安全区域の除染現場の寮は、4~5人で一部屋のたこ部屋なんですが・・・危険区域と警戒区域の部屋は単身部屋です。実は此れにも安全上の理由がありまして、寮と成っているビジネスホテル内には一切の放射性物質は持ち込めないルールなんですが、作業靴やヘルメットに付着した放射性物質を完全に拭いきれずに寮に持ち込むと、被爆してない他の作業員も被曝するんで・・・一部屋一人・・・の待遇でした。好い加減な作業員の仕出かした不始末は・・・自分だけで責任を取らせる会社側の配慮とも言えるんですなあ・・・。たまになんですが、チェンバーに入ってもパトランプが廻らず線量クリアした日もあるんですが、そういう時は知らない他の会社の作業員達からの大勢の拍手を貰いました(笑)・・・。「お前!今日の作業!手を抜いたやろ!・・・。」って笑顔で冷やかされるのが、妙に心の安心に繋がった状況でもあるんですよ・・・。
          
● 幅15mmの部材を切り出します。全部で20個・・・。正確に15mmが必要です・・・。この部品はユニットの厚みを構成するのに使いますが、材料自体の厚みが均一なので単純に金太郎飴カットで良いですよ。ただし・・・小口は全て直角が必要ですので、適当にカットしても好結果とは成りません。いくら薄刃の鋸でも・・・切り込みが入ると寸法が短く成りますので、カットラインが二重になっています。この線の間を鋸刃で切り落とし、専用治具で直角に成るまで調整します。「玉ねぎのサラダ・・・全部食べれたね。偉い偉い!・・・。」ってお袋が褒めてくれました。親父が「此れも食べろ!・・・。」っと、残した玉ねぎを私の皿に・・・。内心・・・もう!要らんてええええ・・・。って思ってましたが・・・。みたいな加工が続いてます。当時の私にとって親父は第一の刺客・・・。
 
● 指で抑えて小口の調整・・・。なんて無理でっせえ・・・。サンドホルダーは工作台に直角ですが、小口に宛てて前後すると・・・摩擦が凄くて指では抑えが利きません。まあ・・・こういう時は治具を作って指の一部を肩代わりしてもらいます。単純にベニヤをコの字に切って材料を嵌め込み、上から抑え込めば擦り荷重にも充分耐えられます。
 
● 延々と同じ作業を繰り返す事二十回・・・。こういうチマチマとした部品の加工を嫌がってたら、その先のメインディッシュの豚カツにはありつけない・・・。目の前の新たな刺客・・・玉ねぎサラダを退治しなければ・・・。って思ってたら、横からすうっと箸が延びて豚カツを一切れ持って行く・・・。「兄貴ィ!食の好み変わったんねえ・・・。豚カツ一切れ貰うバイ!。」って、弟が旨そうに口に運びよったあああああ!。美味しい物は最後に食べる・・・私の性格・・・。刺客は私の両隣りに居たって事ですなあ・・・。

● このキャラメルブロック作るのに要した時間は、6連射再生可能なCDを全部聞き終わる頃終わりました。セリーヌディオンの歌声は心地良いですなあ・・・。福島で譲ってもらった2000ccのNoah・・・おまけにケンウッドのコンポが付いてました。其処で!中古のCDを休日毎に福島市内で買い漁り・・・ずっと聞いてましたねえ・・・。寮に帰れば酔っ払いの大虎集団が、部屋の中で愚痴り捲ってるし・・・でも、個室が有る生活は良いもんだって思いました。リッター8キロしか走らんのに・・・坂道はグングン登る・・・。おまけに車高が有るので線量が高くても安全!。寒冷地仕様なんで、床下のカバーは半端無いし。雪道ブンブン!。南国のパラダイス育ちなのに・・・東北の冬場も自由に車で走れる様に成るとはねえ・・・。もう!冬場の平尾台も大観峰も全然怖く無いぜ!(笑)。
          
● 遊びに来ていた島鉄さんが・・・このスポイラーユニットならワシにも作れるバイ!って言いながら、数日後には新型リンディに組み込んで持って来ました。ラジコン歴6年目の島鉄さんにしては・・・装着部分の加工が綺麗・・・。「ラジコン歴は猪さんには敵わないけど・・・ジオラマ製作歴も足したら、模型歴は猪さんよりも長かとバイ!・・・。」・・・そうですか~・・・納得!。島鉄さんのブログはジオラマだらけ・・・。島鉄さん家は平屋の邸宅・・・。そして天井裏には家屋一面分のジオラマが敷き詰めてありました。島鉄さんのカテゴリーは、HOゲージ(線路幅16mm)・・・私が子供の頃はこのHOゲージが一般的で、現在主流のNゲージ(線路幅9mm)はまだまだキワモノ扱いの時代でしたね。模型とラジオの月間雑誌には、HOゲージの台車のみのキットが、学生のお小遣いでも買える価格で販売されていて、ボディはケント紙で自作する製作記事が沢山載ってました。島鉄さんは、そういう時代のモデラーさんですよ。だから造詣が深い・・・。発泡スチロールで山を作り・・・トンネル掘らせたら・・・私も敵いませんなあ(笑)・・・。

● あれ?・・・トンネルに入った二十両編成の貨物列車が出て来ません・・・。まさか!脱線・・・。島鉄さんは指を下にして・・・床下を覗いて仰天!。車両が百列以上並んでました・・・。何と!地下が車両待機スペース・・・。まるで地下鉄みたい・・・。此のほとんどが島鉄さんお手製の車両群・・・。どう見たってメーカーの完成車両だろう・・・って思える出来栄えばかりです。もう一階下?・・・。ってパネルを外したら配線だらけ・・・。ポイント数が150個以上あるからその配線が・・・凄い!。ご自宅は築35年だそうですが、当時の大工さんを大変困らせたみたいですなあ・・・。平屋なのに天井が高い・・・。もう一階層出来るんじゃねえか?って思える位の内装です。通りで天井を棒で叩いたら鈍い音がしてたんですが・・・天板が厚かったのはこのジオラマの為だったんですなあ。ネットで検索してまた驚いたあ!。このHOゲージの自作車両・・・仕上がり具合にも寄りますが、一車両編成が十数万で取引されてました。オークションなんか、そら!もう・・・ラジコン機のレベルを超えた扱い・・・。でも島鉄さんは、オークションサイトに有る車両は欲しく無いんだそうですね。自分で作れるからだそうですよ。だから私とは畑違いでも気が合うみたいです。

● 畑違いの模型歴の長い島鉄さんでも作れるスポイラーユニットなんですから、まあ・・・バルサキットを作れるモデラーなら誰でも作れる超お手軽ユニットのスポイラーですよ。リンケージも要りませんし・・・特殊な加工もありません。どんなバルサキットのグライダーにも組み込める確実性は在りますなあ・・・。ただ・・・効きが・・・。急減速掛けれる様なシロモノでは無いですよ・・・。上空飛行中の落差が大きい時に、作動させてみて愛機の挙動を充分確認してから使用しましょう。イラスト画像に記載したガル翼のヴィンテージスケール機に付いてた記憶が有るんですが・・・資料が見つからないのでイラストのみで掲載しました。昭和のF3Aなら・・・誰かが考えそうなんですが、当時の送信機にはサーボの作動幅を自由に変更出来る機能が無いので無理だったかも・・・。コンピ~たあプログラム機能が付く以前のお話ですが・・・。
 
● アーム四兄弟の加工に入りました。このアームで一番重要な箇所は、アームの厚みと孔のピッチですので・・・既に加工が済んでます。よって不要な所を削るだけなので、削り過ぎのみ注意して加工すれば良いです。この部品はアングルブラケットに挟み込むスペーサーよりも大きいので持ち易いかと言えばそうでもありません。加工する方向が縦目だからです。こういう部品の加工は、ボール盤キットを購入すると、猫の額みたいな定盤に載せる小型のバイスが付属していますので、此方に部材を挟んで固定しましょう。

● この部材の厚みは6mmなので、下側1mm程を軽く挟んで動かない程度に固定します。このPVC樹脂は、見た目・・・指で持った感触・・・では硬く感じますが、バイスで締め過ぎると変形します。よって個人差はありますが、薄刃の鋸を入れてみて・・・動かない程度の締め具合で加工すれば失敗しません。下側1mmを挟みましたので、鋸刃は最大5mm弱しか切れません。でも此処まで加工したらバイスから外して、残りはカッターナイフを数回なぞる様にして切り落として下さい。

● 決して糸鋸盤での加工はしない方が良いですよ。摩擦熱を与えながら切ると・・・一発で刃は通りますが、切った傍から溶着しますので・・・切り口が大変汚く成ります。色々な切断方法を模索して・・・一番綺麗な切断面だったのが薄刃の鋸だったのです。薄刃の鋸は、田宮モデリングの(Rezor Saw 薄刃)です。替え刃も数枚持ってますが、まだ最初の一枚のまま使ってます。切る物を限定すると長持ちします。カーボンシャフトやパイプも切り捲ってるんですがねえ・・・まだ切れ味鋭いですなあ。もう15年使ってるんですけどね。
 
● 縦方向四面と横方向二面の切り落としが終わったので、今度は小口の加工を行います。この小口面は隣接する両面に対して直角で仕上げるのが理想なんですが、削り込み過ぎて少々斜めに成っても全然大丈夫です。このアームに必要なのは6mmの厚みと孔ピッチだけですから・・・。
          
● チマチマとした面倒臭い部品の加工なんですが、押さえる精密な加工は済んでますので・・・ストレスは然程感じませんよ。ただ・・・追従して複製するも、デザインを少し変えて真似したんじゃないぜ!って主張するも、モデラーの自由です。しかし・・・自分なりの技術で作るのは良いですが、上手く作動しないからって・・・当工房の悪口を言わないで下さいね(笑)・・・。組み立てる前に自分で図面を作図して、バルサやベニヤの板を使って試作にリンク機能を充分確かめてから作れば失敗作は出来ませんよ。其れなりに動くんだけど・・・もちっと改良したいなあ~・・・って感じたら、其れはもう・・・貴方が独自に開発したスポイラーユニットだからです。臆せず・・・面倒臭がらず・・・挑戦してみて下さいね。その先に・・・転用案も必ず見えて来ます。

● メーカーのレーザー仕様のバルサキットを初めて組もうとしているモデラーさんへ・・・。お仲間掲示板でのお褒めパチパチ欲しくて、私的な改造を施して組み上がった機体は・・・必ずしも本来の性能を凌駕するほどの高性能機には成りません。本機の製作にあたって、私的要素の改造をし捲っている私ですが、本来の基本性能を崩さず残す範囲で製作しています。初めてバルサキットを製作されるモデラーは、まず・・・メーカーさんの説明書通りに組立てて下さいね。メーカーの指示通りの完成形に成ったら、基本的な性能を有したメーカーのコンセプトにピタリと嵌った飛行性能を示します。

● 同じメーカーのバルサキットを自分の工作レベルと飛行レベルに合わせてステップアップして、一応自分で飛ばせる様に成れば・・・飛行機の構造とメーカーのコンセプトが見えて来ます。その頃には飛行機飛ばすのは上手いけど、作るの下手だなあ・・・って思えるお仲間さんも見えて来ると思いますよ・・・。此処まで来れば飛行技術と飛行機製作の知識が身に着いたとも言えますので、キットを購入する前にこういう性能を有する飛行機を作りたいって思えば、その飛行性能に一番近いバルサキットを購入して思う存分に改造して、自分の飛行技術に見合う機体に仕上げましょう。私だってそうして来たんですから・・・。誰でも最初は初心者です。ラジコンカ―みたいに電池を入れれば走って・・・くれないのが、自分で組立てて飛ばすラジコン飛行機です。必要な技術と知識を徐々に見に着けた初心者さんほど、上達は早いですよ。辛うじて飛ぶ飛行機に仕上げるか・・・コンセプト通りの高性能機に仕上げるか・・・現在、ブログで展開中の自作モデラー諸氏を見れば解ると思います。
 
● 昨日の昼過ぎの地震・・・和水町を元とする熊本県全域の住人さん達は・・・びっくりしたでしょうなあ。実は此方南島原の南の端っこも揺れました。何時もの数秒前の地震予知の感覚・・・。あ!来る!・・・と感じた時には、工作台にしっかりと掴まっていました。昨日は風が冷たく・・・自宅は海沿いなので強風が吹いていました。家の隙間からは、風の唸る音が終日聞こえていたんですが、その音が一瞬止んだのを私の体感は見逃しませんでした。パソコン作業中だったのでキーボードに集中していたんですが、一瞬の静寂の中・・・微かに感じる地響きが遠くから迫って来ました。右の耳から聞こえたので東の方角・・・。数秒の横揺れで終わりました。

● 以前にも本機製作記事中に書いたと思うんですが、地質学者でなくても・・・こう頻繁に地震が起きる日本列島の知られている活断層位覚えてしまいます。九州中の大なり小なりの活断層・・・途切れてるけど繋がってる様に見える活断層・・・今回の和水町の活断層は、まだ発見される以前の断層でした。よって和水町の断層から推測すれば・・・次回動くであろう断層帯の予測は、素人だって怪しむ程度には解ってます。阪神の震災以後の活断層帯のズレ具合を全て調べると・・・次はどこら辺がヤバいんとちゃうやろか・・・。位は予測できますってえ!・・・。

● 素人考えですが・・・今までの断層帯のズレる地震の方向は、割れ易い地下層に集中してる様に感じました。実は阪神の震災後に活断層帯についてクローズアップされ始めたんですが、中国自動車道は断層帯の真上に作られているとテレビ放送で知りました。道路を作る際には・・・こういった地下層もきちんと調査して作ってある筈なのに活断層帯は見逃されていた事に成ります。要するに・・・歴史が物語る様に、町が栄える場所というのは・・・平野である事・・・近くに川が流れている事・・・綺麗な飲み水が湧き出ている場所・・・という事に成ります。しかし…そういう繁栄する町の地下層に活断層は集中しています。熊本地震は九州を二分するほどの威力でズレました。ズレた事により・・・その他の割れ易い地下層にも歪が出来荷重が掛かった・・・。次に断層が動くのは北か南か・・・って考えれば、どちらが揺れるのか・・・素人さんならば、自分なりの根拠のない考察でハザードマップを作成し安全行動をするのは必要な時期だと思いました。まあ・・・比較的土地代が安いと言えば、山間部・・・。昔の知恵ある人物なら、地脈の龍と呼ばれる活断層帯の上には・・・繁栄する町は作らないでしょう。陰陽師が止めとけ!って言うだろうし・・・。作るとすれば・・・道・・・。割れようが崩れようが人的被害は少なくて済む・・・。今の現代人達は、歴史の偉人達のハザードマップをもっと学び科学する時代だと思います。九州中の高速道路・・・興味ある路線図ですね。沿線の住民達に、多大なる被害が起きない事を・・・祈ります。土地代が安いから其処に道を作るだあ?・・・。活断層の上に?。平安の繁栄した町の建設に、多大なる影響力で貢献した風水学の陰陽師諸氏・・・事実を知ったら現代人を憐れみ嘆くでしょうなあ・・・。大きな道を作っちゃったら、幹線沿いに町が出来るのは当たり前だから・・・。
 
● アングルブラケットの加工に入ります。両面テープをブラケットに数か所貼り込み、同じ面同士を貼り合わせています。しかし・・・この状態で穴開けの作図をする訳ではありません。スポイラーユニットは対でワンセット・・・。ユニットの孔位置には内側設定と外側設定がありますので、左右に対称配置で孔が開く様に作図する必要が有るからです。よって、この貼り合わせた二本のブラケットは、左右其々の部材と成ります。
 
● まずは作図面より書き込んだ寸法位置に正確にピッチの線を画き込みます。次に各部品の高さの位置を書き込みます。此の交点がビス孔の位置です。全て最終的には2mmのバカ孔になりますが、部品を組み合わせた状態での孔加工ですので・・・この位置がズレると最終的な調整が難しく成ります。よって、しばし・・・作業手順の段取りをシュミレート・・・。
 
● ブラケットが不意に動かない様に治具に挟んでビスで締め付け固定します。一枚板なら作図し易いんですが・・・アングル材を貼り合わせてT材に成ったもんで・・・平面での作図が出来なくなりました。でも・・・こうやれば一応平面と同じ状態に成ります。挟んで動かない状態にしたら、センターポンチで作図した交点を狙って凹みを付けて行きます。まあ・・・こういう作業がアナログなんですがねえ・・・。博士達なら、どうしてNCフライスを使わないんだ!って馬鹿にするんでしょうが、あんな重機を使ってまで自作する代物じゃ無いんで(笑)・・・。博士が10万円で購入してくれるって言うなら・・・外注に出して作っても良いんですがねえ(笑)・・・。こんなん買う位なら・・・既製品買った方がマシ!ってぶ~垂れるのは解ってますし・・・ね!。脳内考察は何でも可能な博士達・・・ただ、部品に加工して完成形に出来ないのも・・・博士達の特徴・・・。多分彼らの老後は・・・ボケて人生が終わる・・・。私、一応ホームヘルパーの資格持ってるんで、ボケたらご連絡を・・・。おむつ替えに出向いてやるから・・・。うんこ拭き拭き、カレーが食える性格なもんで(笑)・・・。
 
● まずは・・・リード孔を開けなければなりません。最終的には2mmのバカ孔に成るまで広げますが、ブラケットの間に収まるスペーサーと成るキャラメルブロックも孔は1,5mm・・・。2mmの短いビスをブラケットの両面から捻じ込む事も視野に入れての段取りです。センターポンチで凹みを付けた交点に、今度は1,5mmのドリルで僅かな皿を取ります。この時・・・作図した交点のポンチによる凹みが中心よりも僅かにズレていた場合、そのままドリル刃を使うとますますズレて行きます。

● この皿取り作業なんですが、手持ちの電動ドリルでやると直ぐに孔が開くので・・・中心の孔ズレの修正をする前に穴開けが終わってしまいます。こういう失敗をしたくなかった、利き指(親指と人差し指)でドリル刃を掴んで手回しした方が確実性は良く成ります。このドリル刃の特徴なんですが、材料に対して垂直に刃を入れるとその凹みの中心を基準に孔が開きます。ところが!45度ほど傾けて廻すと・・・傾けた刃の先端の方角に滑って行きます。これを利用すれば孔の中心ズレは見た目・・・修正出来ます。此れって戦闘機の板金屋の裏技だったりします。

● ドリル刃の直径の皿が出来たら・・・今度はボール盤で貫通孔を開けます。この時重要なのは、ドリル刃は金属・・・開ける板は樹脂製・・・樹脂の方が遥かに柔らかいので、急いで開けようと降下ハンドルに力を込めると、樹脂が逃げて孔がズレます。カールした薄い切り屑を出しながら、少しずつ削ると孔はズレ難いですよ。
 
● 穴開け作業が終わりました。左の画像では孔のピッチが其々揃っていますが、右の画像では手前から2番目と4番目のアングルブラケットの孔位置がズレてる様に見えます。これ・・・孔の開け間違いではありません。スポイラーは左右の主翼に取り付けますが、横にスライドしながら立ち上げるブレーキの場合・・・左右対称に立ち上げないと成りません。よって一列に並べると孔位置がズレてる様に見えてるだけで、実際には左右対称の同じ位置に孔が開いています。

● 左の画像なら・・・二本目と四本目のブラケットを180度横に回転させれば左右対称の孔位置だと解ります。右の画像の場合は・・・二本目と四本目のブラケットを方向を変えないで、素直に手前方向にスライドさせて並べると・・・左右対称の孔位置だと解りますよ。     (Part-32へ続く)