👼 Ange-SSG(Blue-Angel 60 F3A)(Part-10)

 
● カンザシ受けパイプの間に見えるのは、翼内サーボのリードハーネスが通るトンネルです。此処の加工と部品取り付けを済ませないと、翼上面のリブ材が取り付けられません。面倒臭~い加工なんですが、追従モデラーさんのご要望なので・・・。同じ構造に仕上げると、飛行サイトで一緒になった時、話がやり易いです。壊れた時に構造が皆同じなので、寄って集って現場(現地サイト)で修理して、再度飛行が出来るパターンが多いと思います。まあ・・・壊れた範囲にも寄るんですがね・・・。
 
● 主翼下面の画像です。角型バルサ製のカンザシ受けパイプとスパー材の溝が干渉していますが、三角材を使ってパイプユニットの肉厚を増やしたので、スパーに合わせて削り取ってもアルミカンザシとの干渉はありません。パイプの肉厚は薄くなりますが、その分ヒノキサンドのスパー材をエポキシ接着すると強度が上がりますので・・・。
 
● リードハーネスのトンネルが完了したので、主翼中央のリブを加工しています。まだ接着はしていません。接着剤を塗って硬化手前で間違ったああああ!って成ったら・・・、ある意味取り返しがつかなく成ります。それ程このスーパーセメダイン・エックスの接着力は強力だからです。孔が開く程舐める様に眺め倒してから(笑)・・・、接着開始です。

● 今から書く事は・・・まあ・・・参考程度に聞き流して貰っても良いかと・・・。火事場泥棒のお話しです。日本国中・・・災害が起きて住民が避難すると、待ってましたああああ!ってばかりに被災地に出没する輩のお話し・・・。マスコミ報道でも必ず出て来るのがこの火事場泥棒なんですが・・・。究極の火事場泥棒さんは、危険な場所でも金目の物が有れば盗みに入る様ですね。

● 東北大震災の危険地帯と言えば原発周辺数キロの帰宅困難地帯です。私が除染三年目に、山形のカスタム工房のお仲間を訪ねた時に聞いた話なんですが・・・。率直に言えば・・・出所の怪しいラジコン模型のオークションサイトには手を出すな!って事です。言わば・・・原発から噴出した高濃度の放射性物質が付着したラジコン模型もオークションサイトには紛れているらしい・・・。という話でした。火事場泥棒さん自身も高濃度放射線を浴びながら、盗みに入り・・・高濃度の放射性物質を付着させたままのラジコン模型を持ち出した様です。

● 模型の持ち主さんからすれば・・・自分の財産が盗まれただけだから、泥棒に対して怒り心頭の筈・・・。しかも被爆したラジコン模型を盗んだんだからミイラ取りがミイラです。病気に成ってザマ見ろだって最初は思っていたんですが・・・、オークションサイトで盗まれた機種と同じ機体を見る度に、怖く成った・・・と言っていたそうです。

● ラジコンを盗んだ泥棒さんの行動を推測すれば、自分で持って遊んでればその内足が着くので、数日後にはオークションに出品し、頃合いで誰かが落とせば現金化出来ます。もし・・・放射線の知識がある泥棒なら・・・致死量に近い被爆確定の地域に、ホイホイと足を運ぶだろうか?・・・。もしかしたら・・・普通の知識を持たない泥棒なら、ある種のラジコン模型は即買い取ってもらえる店も知ってる筈ですから、とにかく模型を盗む事だけに専念したモデラーじゃないかって言ってました。

● どんな下取りショップでも引き取るある種のラジコン模型とは、ヘリコプターとラジコンカ―です。しかし・・・そういう下取り屋っていうのは二束三文でしか買い取りません。だったらオークション!・・・の方が高値になる可能性は大きい・・・。その泥棒さんは放射線の知識が乏しいので、盗んだ模型の除染なんかしないでしょうなあ・・・。何にも知らずにチョロチョロと値段を吊上げてるオークションサイトのモデラー諸氏・・・。除染してないラジコン模型・・・どういう梱包して発送してんのかなあ・・・。宅配屋さんが集荷すれば被爆し・・・集荷場では他の荷物も汚染し・・・、落札したモデラーさんに渡す為に運んでる宅配屋さんまで被爆し・・・最後に落札したご本人が被爆し・・・家族が居れば家族全員が被爆し・・・飛行場に持って行けば近付いたお仲間さんも被爆する・・・。この被爆の連鎖が怖いって言ってたそうです。

● 安心して購入出来るラジコン模型は新品を扱う模型ショップしかないって事です。下取り屋さんは、ラジコン飛行機はどんなに新品で高価でも引き取りません。何故なら・・・木製品やらスチロール製の飛行機は、経年変化し易いから・・・だそうです。金属を多用したラジコンカ―とヘリコプターは、経年変化し難いから引き取るのだそうですよ。まあ・・・安い割には良い品って類のオークション品は・・・気を付けましょう。因みに・・・阿蘇の大御所さん出品のラジコン飛行機を代理販売した時に、購入したのは東北のモデラーさんばかりでしたよ。安全圏の中古品の方が安全!って思っているのかも・・・。リンディシリーズ各種・・・全員が東北のモデラーさんばかりなり・・・。これは!いよいよ・・・、現実味のある事態なのかも・・・。まあ・・・参考程度のお話しでした。

● やっと左右の主翼合わせて32枚のリブ材が接着完了です。あ!そうか・・・、上下別貼りだから64枚だった・・・。それにしても・・・カンザシの孔の大きい事・・・。受けの八角形の孔・・・何かに似てるなあって思っていたら、パチンコメーカーのデジタル始動チャッカ―みたい・・・。ハネモノと言われていた飛行機台の始動チャッカ―なんですが、初期の頃は四角の孔の中にリミットスイッチが付いていたけど、その後はこういうタイプの八角形の金属センサーに変わりました。

● そうそう・・・ハネモノと呼ばれた入賞孔のある役物の羽板本体の開閉システムの構造・・・。電源が切れてる状態の時は、羽板は開いた状態です。電源が入ると内蔵された小型アクチェ―タ(電磁石)起動により、羽板が閉じる。で!大当たりが始まると規定回数開くのに、電源をオフにして羽板を開く・・・。そして電源入れて羽板を閉じる・・・。う~む・・・見事なアナログ機構・・・、ラジコンやってたら応用したくなりますわなあ?。トンビ家には・・・パチンコ屋さんから貰って来た各メーカーのハネモノ台の役物部分のみ大量に在庫してます。引込脚のハーフカバー開閉なんか最適ですよ。超小型だしね。
 
● さあ!スパーの取り付けにやっと入れました。永い・・・永い製作記事ですわ。接着は何時もの木工ボンドですが、強度が必要な箇所はエポキシで・・・。ヒノキとバルサのサンドイッチスパーのマチ針固定ってどうやってるんですかあ?ってメールの答えです。こうやれば固定出来ます!。なるほどなあ・・・って感心してくれるのは真面目なスチレン世代のモデラーさん。昭和の偉人さん達には当たり前のやりかたですよ。特に船舶模型のモデラーさんには・・・。過去、地球堂の船舶キットを作られたモデラーなら知ってる固定方法だと思います。船舶の外板を貼り込むのにエポキシ使って接着するんですが、基本は両面シナのベニヤ合板なのでバルサシートみたいに船体アールに馴染み難いです。それで、貼り込んだら釘で留めるんですが、広範囲に押さえが必要な時にこういう方法を使いました。

● ここで何時もの雑学です。地球堂の船舶キットにジュピターシリーズがありました。永い年月を経てガソリン艇からグローエンジンサイズに合わせて数種類・・・電動ユニットが充実して来たら、超小型(それでも全長450mm)のクルーザー模型ジュピターが発売されて、私も買って作りましたよ。因みに名前のジュピターなんですが、命名には由来があります。木製の船舶模型だからジュピター・・・だそうですよ。木製(モクセイ)・・・木星・・・。何と単純なああああ(笑)・・・。
 
● スパー材を続けて貼り込みます。主翼下面のメインスパー材が接着硬化したら、画像の様にアルミアングル材をクリップで挟んで固定します。最初は前縁を挟んで固定していましたので、メインスパーも粗直線で接着固定されました。このスパーを今度は基準にして主翼上面のスパーを貼り込みます。

● 主翼を組立てる時は、正確な定盤と治具を使って組む!をページに掲載すると、誰でもお褒めパチパチの好印象に成れるんですが・・・、この定盤ってのが中々難題です。治具の製作記事は当工房でも幾度となく紹介していますが、閲覧者全員が同じ物を使ってるとは限らないのが現状です。今回は定盤無しで組んでいきますよ。しかし・・・最低限の治具らしきアングル材各種は使用していきます。

● 均等座標で製図したリブのスパーを均等座標で配置すると、当然なんですが全て直線になります。最初に貼り込んだメインスパーを治具として、アングル材を固定しました。直線での固定なので上面に貼り込むスパーも直線で固定されます。次に貼り込むのはお隣のサブスパーです。当然なんですが、リブ材の指向性は変化しませんので、スパン方向は直線に成ってます。この性質を素直に受け止めて各スパーを取り付ければ、スパン方向に限定して言うならば・・・、主翼が撓んだり反り返 ったりしません。ただし!・・・捻じれに対しては確約できませんので、ご自分のやり方でプランクをして下さいね。私は?・・・最後まで今回の機体に限って言うならば・・・定盤治具は使用しません。

● 定盤治具を正確に組む!って工程は、全てのモデラーさんに強制出来る物ではないのですよ。だってこの正確な治具を癖の無い定盤上に組むのにも、ある意味熟練した模型製作のノウハウが必要になります。お褒めパチパチは貰えませんが、定盤が無くても個人の経験と培った製作技術はモデラー諸氏が持っているものです。今回の組立方法はそういう一般的なモデラーさんの日常の組立方法と何ら変化ありませんので、片意地張らずにご自分の目ん玉二個分で良~く見ながら利用しましょう。
 
● 昼間の私のお仕事風景です。またたび電器店の周囲外装リニューアル中・・・。40年間、一度も補修しないと沿岸部の潮風に晒された家屋の末路は・・・、赤サビ御殿となります。一応カスタム工房なんで、今までの経験した職種の幾つかを使って作業してます。足場一つでも私の身長に合わせて自分で組んだカスタムですし、コンクリートの壁面に塗り込んだ水性塗料は、ボス猫社長の指定通りの調色されたカスタム色です。調色?航空機の板金屋なら、ドリルの刃研ぎと調色位は入隊半年でマスターします。毎日毎日やってりゃ・・・ねえ・・・。まあ・・・航空機整備員って職業・・・普通なら列線(エプロンの駐機エリア)で、スパナ持って飛行機の中をいじくる姿がポスター映えするんですけどね。私の所属した機体修理分隊(エアクラフト・フレーム・リペア)AFRの活動エリアは殆どが格納庫(ハンガー)の中です。ホームページの名前・・・解ってもらえましたか?。今回の技術は・・・もう35年以上前に修得したものです。

● 濃いブルーはフタル酸エナメル樹脂。エポキシ系の錆止め効果を有するプライマーを塗り込んでます。ボス猫さんからの要望・・・あと二十年は持たせてくれ!・・・。航空自衛隊からお払い箱になってしまったF86(セイバー)とF104(スターファイター)は、山中の用廃機置き場で雨ざらし状態で保管されてます。もう飛べないので・・・まあ・・・遊園地や公園のモニュメント位なら使えますが・・・。個人でも購入可能だって聞いてますが・・・二束三文で・・・、自家用車でホイホイと貰いに行ける状況でもありません。

● 在隊中に基地内のデッカイ隊員駐車場のど真ん中に、F86のモニュメント作るって計画で担ぎ出された事があるんですが・・・。まるでプラモデル・・・。ちょこっと傾けて専用の台座に乗っけて応接間なんかに飾るヤツ。未来永劫基地が存続する限り、此処に君臨させる!って意気込みで、傾いた機体丸ごとエポキシプライマー(濃い緑色)を塗り込んで、銀粉混ぜ込んだウレタン塗料で仕上げました。まあ・・・当時のマル塗り技術を使えば良いので・・・壁塗りには特に困った点は無し!。このエリアはお店の左端なんですが、ほぼガラクタ置き場でした。此処を一人で片付けて・・・要らない物は細切れに・・・、使える鉄は形を変えて溶接しまくり・・・。画像に見える看板体の建植鉄パイプは、ぶった切って別の物に変化します。一応決まってるのは、鉄製の車止め兼電飾内蔵のトーテムポールに生まれ変わります。さあ!プラズマカッターでデザインし捲るぞおおおおお!。
 
● ボス猫社長の企みは、サビ喰いの限界状態は全部撤去し追加鉄筋で補強。見た目40年前の新築に見えれば良いとの事。だからってテレビ局のスタジオセットの裏面みたいなハリボテでは困るので、其れなりの補修はやってます。左画像の濃いブルーの塗り残し面は、サビ喰いの極み・・・プラズマカッターの餌食となります。楽しみだなああああああ!。

● この壁面に塗り込んだ水性塗料なんですが、雨に濡れても落ちません。調色して塗り込みながら・・・自衛隊時代の出来事を思い出していました。昭和56年だったかな?定かではないんですけど・・・。午後の課業の始まる前に控室で全員集めて、数日後から始まる特別なお仕事のミーティングが行われました。毎年恒例の戦技競技会なんですが、ファントムを特別配色で丸塗りするべ!・・・???。どんな配色に?迷彩あり~の・・・腹帯あり~の・・・この壁面色と全く同色の丸塗り仕様他・・・多数。

● 当時の航空ファン・航空ジャーナル誌をお持ちのモデラーさんは必見です!。プラモデル塗装用の築城基地(山伏マーク)・304飛行隊(F-4EJファントム)の戦技競技会仕様・配色三面図が全機分掲載されてます。戦闘機大好きの私にとって、プラモデル以外の全面塗装なんて初めてでしたので・・・毎日楽しくて・・・。工程は70時間・・・12機分のマスキングと新兵4人で代わる代わるにエアガン持って塗り込んでいきました。水性塗料だから、後は水で洗い落とせるし・・・。って・・・まあ・・・乾燥時間に短い仮眠。食堂から配膳される食事は高カロリーの特別食・・・。牛ステーキだの・・・うな丼食べ放題だの・・・機体修理に配属されて良かったなああああ!って思いました。さあ!全機塗り込み完了!全機並べて作業員全員で記念写真!。大きなミッションを完遂して感慨深い気分で一杯になりました。    が!・・・気分良かったのは此処まで・・・。戦技競技会が終了してファントムの水性塗装面剥離作業が始まるまでの充実した日々は・・・此処まででした。

● さあ!週が明けての月曜日・・・、エプロンに並べた特別配色のファントム群・・・消防隊の高圧洗浄車がやってきました。皆が見守る中、高圧放水開始!・・・。?・・・あれ?・・・。水を掛けても掛けても色が落ちません。何でえええ?・・・。慌てたのは分隊長でした。パイロットからの要望は、音速飛行で塗料がベロベロ剥がれない様に、ちょこっと厚塗りして欲しい・・・でした。しかし・・・放水してんのはお湯でっせ?。常温の水でと違ゃいますねんでえええ。しかし・・・落ちまへんなあ・・・。根性塗りしはったんやろなあ。・・・って関西出身のパイロットの弁。ますます慌てた分隊長・・・。まあ・・・水・・・もったいないからいっぺん止めましょか?。この築城基地周辺無番地地区の断水は毎年恒例・・・。7リットルの生ビールのアルミ樽を基地内の居酒屋から多数かき集めて(総数200個以上)・・・新兵(私含む)は、給水時間に水汲み捲る。台車転がして各分隊廻ってアルミ樽の飲料用を配給してました。

● 結局・・・水がもったいないので・・・給水解除の時期が来るまで、配色其のままでした。しかし・・・ファントムは通常飛行訓練から音速飛行してます。返って来る度に・・・少しずつ剥がれて・・・格納庫にドック入りしたファントムを、通常作業の合間に少しずつ剥がして・・・いつの間にか数か月経過してました。さて・・・翌年の戦技競技会・・・。パイロットの要望は・・・ありませんでした。最近の航空専門誌を見ると色んな特別配色機がありますけど・・・。古巣の仲間に聞いたら・・・ウレタン塗料の機体が多く成ったので、ラッカー吹き付けでも良く成ったそうで・・・。スコードンマークも今じゃシールだって聞いてますし・・・、昭和50年代って色んな意味でアナログ全盛期でしたね。ラジコンプロポもやっとAM方式からFM方式に変わった頃でしたから・・・。あ!それと・・・このまたたび電器本社2階建てロフト付き高層ビルの壁面塗装は、まだ下塗り段階です。ローラーで塗ったんですが、ケイ素(ガラス粉)を含む壁面なのでザラザラしてて塗り難い・・・。結局、鉄骨のサビ落としに使うブラシサンダーで、このザラザラの突起面を少々落としてから壁面下塗りしました。窓の有る最初の壁面より塗り易かった後の壁面でした。仕上げの上塗りは、20年は落とす必要の無い壁面なので、エアガンで全面塗装です。さあ・・・次はどんな職種の技術が出ますやら・・・。
 
● 主翼下面のメインスパーは既に接着済みですので、此処をアルミアングルで挟んで直線をキープします。この状態で今度は主翼上面のメインスパーを接着固定します。押さえは下面と同じ要領ですよ。前縁とメインスパーのリブに切り欠いたスパー溝が見えますが、少々傾いています。これは失敗したんじゃないですよ。リブのアール面に平行に成る様に傾けてあります。スチレンベース板が曲がって見えますが、これは撮影画像の歪みです。定規を当てたら直線ですよ。
 
● 本機のスパー材の取り付け順序の基本は、近接している既に接着済みのスパー材にアングル材を挟んで主翼に直線状態を作り出した状態で貼り込んで行きます。後縁側のサブスパーは3×5mmのバルサ棒なので、先に貼り込んだ主翼下面のスパー材にアングルを挟んで直線状態の状況で上面スパーを取り付けています。ムクのバルサ棒なので直接マチ針が刺せます。

● 一方・・・前縁側のサブスパーはヒノキのサンドスパーなので、メインスパー同様に補助材による固定をしています。私の主翼構造には幾つかの特殊な構造が存在しています。通常の尾翼付き飛行機の重心位置は、殆ど主翼内部の何処かにありますが、その重心位置から前縁側を極力重く作り、後縁側を極力軽く作る構成をしています。例えば・・・矩形翼を製作した場合、この主翼の重心位置は、前縁から33%になります。もし・・・主翼を構成する部材を基本通りに組んでしまったら、リブ間がプランク抜けしたタイプの主翼でも重心位置よりも後縁側の方が重くなってしまいます。

● この状態で胴体に組み込むと、当然なんですがテールヘビーに成る可能性が大きく成って行きます。主翼構造を決める時に、なるべく前縁側の構造を重くしてやれば、このテールヘビーがどんどん軽減されていきます。本機Angeの主翼は後退翼ですので、通常の矩形翼よりも後方に重心位置がありますので、これを基準に前縁側の部材を重くしています。同じ3×5mmのスパーでも前縁側と後縁側では、仕様が違うのはこのテールヘビー対策です。過去の機体ですが、最初のリンディの試作分三機は、胴体をキールフレームの卵断面を有する丸胴で製作しました。この時の主翼なんですが、スパン1600mmの二段上反角翼(ポリへドラル)を採用しました。内側翼が矩形・外側翼がテーパーでしたが、この主翼は重心位置が移動しないストレートテーパーに属していますので、前縁から33%位置で吊り合いが採れる構造で製作しました。主翼のみで重心が吊り合うと、胴体と合体した時の重心位置が移動してテールヘビー気味に成る状態を避けられる!・・・が狙いの構造でした。よって、余分な重心合わせのバラストが要らないので、全備重量が軽減できました。当工房の機体が複雑構造に見えるのは、こういう事情があるのですよ。
 
● 前縁側サブスパーの取り付け画像です。角型カンザシ受けパイプに4番リブの一部が交差していますが、受けパイプの肉厚で上手に回避しています。例えは違いますが、実機ファントムの主翼と胴体の空気誘導付近を見て、不思議に思ったモデラーさんはいますか。主翼上面が明らかに翼型に沿わないラインで膨らんでいる事実・・・。ラジコン化する時に意味も無く膨らませるモデラーさん多数(笑)。模型機の場合は、多分・・・膨らませる必要がありませんよ。

● この台形型に5センチ程膨らんだ翼上面なんですが、実はタイヤハウスなんです。最初のタイヤ幅では降着装置として機体重量に耐えられなかったので、日本がライセンス生産する以前から、マクダネルダグラス社で改修され・・・そのまま採用されてしまいました。もし、翼型に沿わせたら・・・ファントムの主翼はもっと厚翼になっていました。指定されたタイヤを収めると主翼に収納できなかったので、あんな歪な形に成ってますが・・・。模型機では必要無いので再現は性能を落とす要因となります。元々・・・ファントムは滑走距離は長く成りますが、エンジン一基で離陸可能です。少々の空気抵抗に成る構造でも、エンジン二基なら関係ないでしょうね・・・。ベトナム戦争時代には既に現役の機体でしたし、あの時代の機体の多くは、サイズ自体がデカかった。爆装を重視する為には、ハイパーエンジン二基装備は当たり前の時代でしたから・・・。
 
● 主翼後縁側のヒンジライン直前、後縁を補強するプランク材を貼り込む為の二次サブスパーの取り付け画像です。本機のエルロンはオリジナルブルーエンジェルのよりも長さは短いですが、幅が17%広くなっていますので主翼の均等座標に沿ったプランク幅に成っています。部分プランクの主翼としては幅の広い後縁側補助プランク材なので、プランク材の貼り付け強度を上げる意味での構造にする為に採用しています。

● 実質的に3×3mmの角材ともなれば、このサイズの主翼の場合どんなにハードなバルサの角材を使用しても強度面では不安が残ります。このSSGシリーズ全般ではヒノキの角材を使用して強度を確保しています。信じられないモデラーさんもいるでしょうけどね・・・。一グラムでも軽量化した無動力のスロープ機ってコンセプトではないのですよ。ひ弱に見えるスチレン材ですが、実機並みのスパー構造で主翼構造を形成すると、リブ数が通常の同サイズの機体よりも多いので、所謂交差面が多い構造ですので細かい空間を沢山持った主翼の構造体となります。全面をプランクした主翼と同じ位の強度を出せる構造だと思って下さい。適正強度を持ったフィルムを貼れば、全面プランク以上の強度はありますよ。更に言えば・・・全面プランクの主翼は製作上・・・捻じれちゃったら元に戻せなくなるんですが、本機の主翼はフィルム張り直前まで捻じれ修正が可能な構造です。その為のスチレンベース構造体なのです。追従するモデラーが多いのは、理解し易く正確な主翼ができるからでしょうね。
 
● 6×6mmのバルサの角材を集成材として組み合わせ、後縁材を作ります。木村バルサに発注して製材して貰った200本の角材の内、メディアムを二本外側に・・・ソフト系メディアム一本を中心に配置し、木工ボンドで接着しています。このサイズの角材は経年変化し易く、製材してもらった時から反りが入っています。修正不可能ってレベルでもないですよ。反った面同士を内側にして貼り付けると反りが軽減します。
 
● 本機の主翼は、リブを均等に縮小したテーパー翼なので、後縁材も翼端に進むに従って厚みが小さくなります。本機の場合は16mm対9mmですので、幅18mmの集成バルサ材から作図して切り出します。反りを修正しながら貼り合わせていますが、若干の反りが残っていますので、このまま片面を落としてしまうと・・・反ったままの後縁材が出来上がってしまいます。

● こういう場合は、定規を使って左右振り分けで直線引きをして削り出した方が反りが入りません。定尺900mmの3mmバルサシートをテーパー幅でカッターを使って切り出すと、必ずと言って良い程反りが入ります。メールで一番多いのが、こういった長物の切り出し方法です。まあ・・・切り出すシートの材質にも寄るんですが・・・、バルサの丸太を例にすれば、年輪に直角に製材された(柾目)バルサは、幅80mm方向にハードからソフトまでのバルサの材質が混同しているので、幅切・長物には不向きです。細ければ細く加工すればするほど、硬い材質側に反ります。細い棒材を切り出す時は、年輪に平行に製材された(板目)バルサを使用して下さい。幅80mm方向全てが同じ材質なので、反りが出難いですよ。
 
● 一応飛行機の形状には成って来ましたね・・・。この状態の主翼では、まだ・・・ソアラーみたいに如何にもソアラータイプのグライダーって雰囲気ですが、此処から更に翼弦が延びていきますので、最終的には動力搭載機の主翼に近づきます。ブルーエンジェルのオリジナル60サイズのF3A機をお持ちの方は、同じ様な画像で写真を撮り見比べて下さい。明らかにノーズモーメントが延び、垂直尾翼が大きく成ったのが解ると思います。

● 通常の大手メーカーのラジコン飛行機キットでは、重心位置からのノーズ方向・テール方向のモーメントを(1:2)で記載してあります。このモーメントで安定した直進性が得られる垂直尾翼のサイズが決められています。本機は通常のモーメント比率を崩して設定しました。重量物であるエンジンを持たないので、バッテリーとサーボでは補えない重心合わせの分を、ノーズモーメント方向を長く設定し、比率を変えて設計しています。よってテールモーメントが通常機よりも短くなりましたので、その分垂直尾翼の面積を大きくしました。この比率で水平尾翼も大きくしたので吊り合いが採れます。
 
● 3×10mmのメディアムバルサの前縁を木工ボンドで貼り込みます。スチレンだけの構造体ならば木工ボンドよりもスーパーセメダインの方が粘着し易いのですが、最初に貼り込んだ3×5mmのバルサ材に前縁材を接着しますので、木工ボンドの方が確実性は高くなります。
 
● 当工房の機体の多くで採用している翼端処理の画像です。メインスパー材を翼端から更に延長しています。通常はこの翼端リブに一体物の翼端バルサブロックを貼り付けて成形しますが、キット指定でも図面では翼端リブに直接接着する様に成ってはいるんですが・・・。製作マニュアルの付いたキットには、翼端ブロックは必ずエポキシを使え!と表記してあるにも関わらず、面倒臭いので瞬間接着剤を使うモデラーが多いと思います。

● 例えば着陸時に、翼端を擦ったり横転着陸(ナイフエッジ状態)で地面と接触した場合、必ず機首を叩きます。この時、応力の分散方向として翼端側にも強い力が加わり、翼端材がもぎ取られる状況が多く見られます。取れた翼端材は翼端リブも引き千切り・・・後縁材も引き裂きます。後縁側に動翼が有れば、これも引き裂き結局・・・主翼全体が大きく壊れて修理不能状態にまで追い込みます。

● 画像の様な構造にすると、翼端材をメインスパーを境に前後に二分割して取り付ける事になります。この構造ならば前後の翼端材は、メインスパーから伸びた面に其々二面で接着固定される事になりますので強度が上がります。よって地面と最初に接触する前縁側の翼端のみが破損しても、後縁側の翼端材まで破損する状態は極力避けられる構造と言えます。実機の翼端側の内部構造は、専門誌の内部解説図面や画像を見て下さい。翼端側の内部処理・・・成る程なあ~って思うでしょうね(笑)。
 
● 主翼の両翼端に2mmバルサを貼り込みます。この加工によりカンザシ側からも翼端側からもスチレン面は完全に隠れました。上下のプランクを終われば外装全てがバルサ面に成りますので、虫食いだらけのスチロールコアなんですが、バルサ製の主翼構造と同じ状態になります。よって、追従してるモデラーさん!・・・被覆は何でも良いですよ。フィルム貼ろうが・・・シルク貼って塗装しようが、思う存分やって下さい。そして、何処かのスロープで競技会でもやりますか?。パッシングレースでもアクロバットでも。
 
● お客さん要望のクラウド29の図面を探す為・・・倉庫の一条氏資料を漁っていたら、偶然・・・グルナウベビーⅢ型の図面を見つけてしまいました。ありゃまあ~・・・クラウドもグルナウも一条氏主宰のガルモデルの名機です。昭和50年代の平尾台は、こういうガルモデルの名機が目白押しでした・・・。懐かしいなあ・・・。一条さんらしい、オリジナルの手書き図面でした。作れと言われりゃ作りますけど、小型化もしませんので安くも出来ません。ラジコン資金が潤沢なお金持ちさんからの製作依頼・・・お待ちしてますよ。キットサイズそのままで御作りします。全長1240mm・翼長2720mm・・・。当時みたいなアナログメカ搭載がご希望なら、図面掲載のフレキシブルロッドによるダイレクトリンケージ構造で御作り出来ますが・・・。メカの積み方次第では、遊び出捲りなので操縦はかなりレトロな感覚でしょうね。単色フィルム全面張りでジャスト¥100,000ってとこですね。納期は2か月。オイルステンで染色して、クリアラッカー塗って絹張りでも面白いかも・・・。
 
● こちらも懐かしい図面ですなあ~・・・。昭和53年発売・OK模型のパイロットブランド・ジミー君です。この時、私は19歳。自衛隊の教育隊を経て、7月に築城基地に配属。基地工芸部(基地内ラジコンクラブ)を覗いたら、上官である部長さんがせっせとジミー君を組んでいました。現OK模型社長の高松利充氏は当時まだ高校三年生でした。先代社長の高松守氏の時代に発売された現在の軽量ハンドランチグライダーの原型となる機体です。何と!標準サーボ二個搭載、単三乾電池4本とハードケース内蔵名刺ケースサイズの受信機が当たり前の時代。全備重量は550g現在のバルサ製ハンドランチとサイズはほぼ同じです。

● 昭和53年当時のキット価格は¥4800でした。製作に必要なリンケージパーツには、水糸を使った両引きのテグスが入っていましたし、画像の様なショックコードのゴムとテグス・そして巻き取りハンドリールのベニヤキットも付属していました。このジミー君・・・当時としてはミラクルヒットのレベルで、何十万単位で売れたって噂です。私自身でさえ5機は作りましたし、平尾台の当時のお仲間さんは全員持ってましたし、基地のクラブ員も全員持ってましたよ。風が弱くてサーマルぼこぼこの基地の滑走路エリア・・・、ラジコン指定のエリアにおいて、サーマル合戦・・・。標準サーボ搭載機のこのハンドランチグライダーなんですが、信じられない位良く浮き捲る機体でした。上官は、右翼にサンドペーパーを貼り込んでのブーメラン投げ・・・現在のサイドアームランチは、この時代から当たり前でしたね。

● さて・・・このジミー君の名前の由来なんですが、利充社長の弟さんの名前から来ています。数か月後には六角胴体のトミー君も発売されたんですが、此方は利充社長の名前からです。この利充社長はグライダーが大好きでして・・・、学生時代は中学生の頃から通学用の自転車で、生駒のスロープサイトまで飛ばしに行っていたツワモノです。当時の日本中の学生達がやってたラジコンライフを、同じ様に経験しています。だから、モデラーの気持ちが解る。平成の若年モデラーさんには理解し難い面も有ろうかと思いますが、昭和の同年代には先代社長も含めて尊敬できる業界人だと思っている筈ですよ。(Part-11に続く)