👼 Ange-SSG (F3A型・ガチスロ・グライダー)(Part-12)

 
● リブ間のサーボスペースに、ビス止め用のベニヤの台座を取り付けます。この台座の厚みなんですが、今回は主翼の下面のプランクを1,5mmで貼り込んでますので、1,5mmのベニヤを使用します。少々傾いても、下にズレても然程影響しませんのでご安心を・・・。隙間が多ければ、セロテープ貼ってかさ上げしても良いんですよ。これ・・・内緒ですからね。
 
● 製作記事NO-11の最後の画像で紹介した、台形断面の棒材を寸法切りしてベニヤ台座の下に補強として取り付けました。この何でもない様な棒材を入れると・・・厚み1,5mmしかない台座が驚く程丈夫になります。上面のプランク前に、棒状のサンドホルダーで更に丸く面取りして、表面をシャブシャブ(低粘度)の瞬間接着剤を染み込ませて硬化させます。OK模型なら(BW・MP)あたりをお使い下さい。
 
● 画像は本機とは関係ないのですが、胴体の逆アールのプランク方法を知りたい追従モデラーさんが居られましたので、簡単に説明します。昔・・・小倉ホビーの小橋さんに教わった逆アールシートの作り方です。これが普通のアールならば、シートの抜いてる部分を貼り合わせて完了なんですが、逆アールの場合は木型に載せて隙間を埋めてから、平べったいゴム紐で木型に巻き付けて乾燥させる方法を使います。

● 小橋さんの裏技は、肌にピタリとフィットするパンストを被せると食い付きが良いそうです。と言っても・・・今から40年近く前の話なんですが、まあ買いに行く勇気があれば・・・(Dr・ショール)の強力なサポートパンスト(¥1200)を被せると、木型にピタリと貼り付けられますよ。勇気があれば・・・の話ですが・・・。私はためらい無く買えますよ。震災前に彼女にセクシーランジェリーを着せたくて、ランジェリーショップに買いに行ってたくらいですから・・・。女性の店長さん、顔見知りだったし彼女の同級生だったから普通に応対してくれたし・・・。要は・・・心臓に毛を生やす位の度胸の問題ですわね。

● 実際に胴体の逆アール部分にバルサブロックを固定して、逆アールで削り成形します。後は、キャノピーの木型を作るのと同じ要領です。エポキシ樹脂を塗り込んでから、滑らかに成るまで磨けば逆アールの木型は完成します。昭和の偉人達は、全てアナログで飛行機作ってました。小橋さん設計の名機(BACHI=バチ)の木型に作図したバルサシートを貼り込む技術を教えてもらっていたから・・・逆アールシートの作図方法も理解が早かったと言えますね。
 
● いよいよ主翼上面のプランクに入ります。今回のみ冶具を使う事になりました。追従モデラーさんの中には、スチレン材に嫌悪感を示す人も居りまして・・・、私に負けじとベースを2mmバルサで作ったは良いのですが・・・、下面をプランクしたら主翼が捻じり上がってしまったとの事・・・。そりゃあ・・・捻じれるわなあ・・・。

● 大手のグライダーメーカーに、フラットボトム翼でバルサのベース板を使って組み立てるモグラのキットがありましたね。このキットを組んだ事があったから、ベース板はバルサでも良い!と考えて作ってはみたものの・・・。捻じれてしまった・・・。このキットは画期的だったんですが、一つ泣き所がありまして・・・接着剤の使用を間違えたら、引張力のバランスが崩れて主翼が下面プランク状態で捻じれてしまうんですよ。この機体を南阿蘇の大御所さんは、3機組立てたって言ってましたが、大部分を瞬間接着剤で組むと捻じれるみたいです。

● バルサキットを瞬間接着剤だけで組立てる・・・何時から流行り出したんだろう・・・。私のSSGの主翼・・・瞬間接着剤の使用は、サーボ室の棒材の表面処理に使ったっきりなんですが・・・。もし・・・SSGの主翼を瞬間で組んだら、やっぱり捻じれたと思いますよ。長年・・・自作ばっかりやってると・・・、結局は木工ボンドが一番使い易いですかね・・・。

● 今回の冶具に必要な部品を作りましょう。この冶具なんですが、バルサキットにも使用できますので、覚えておくと便利ですよ。画像は1番リブ(主翼中央)と16番リブ(翼端リブ)です。今回の冶具はこの二枚しか使いません。厚さ5mmのスチレン材の片面の直線を出し、その面から25mmの所に小口と平行な線を引きます。
 
● 画像の様に、この25mmの線上を基準にリブの中心を合わせてマチ針で固定します。1番リブの上面が切れているんですが、今回の冶具で必要なのは主翼の下面のみ・・・。このリブ下面の型に沿ってボールペンでラインを描き入れます。この25mmラインというのが重要なんです。別に同じ幅なら30mmでも良いですよ。更に言うなら5mmのバルサでも出来ますが・・・、加工にはスチレン材の10倍以上の神経を使うでしょう・・・。失敗したら・・・その部材・・・もう・・・冶具には使えません。エポキシの練り棒には使えるかなあ(笑)。
 
● 各サイズ二枚ずつ作図します。必要なのは、主翼前縁から動翼のヒンジラインまでなので、実際のリブ寸法は必要ありません。これからこのリブラインに沿ってカッターナイフで切り込みを入れますが、画像の様に直線を出したスチレン材の小口面同士を合わせて、セロテープで隙間無く貼り合わせます。
 
● カッターナイフを使って、ボールペンで描き入れたラインの僅か1mm外側を切り取ります。カッターで切り取った小口面は、シート面には直角ではありません。前回の上下分けリブのベース貼り付け面の加工と同じ方法で、今回はアール専用のサンドホルダーを使用して成形します。成型後の小口面の角には、ヒゲ(バリ)が残っていますので、同じ番数のサンドペーパーで落としてしまいます。
 
● 直線の出ている小口面をセロテープで貼り合わせた理由なんですが、仕上がりが此れほど細い部品の場合、指先に力を入れて抑え込まないと、部品の成形が出来ません。スチレン材は広い面積の荷重には耐えますが、一点集中の荷重には弱く力に負けて変形します。これを防ぐ意味で仮止めで面積を増やし、押さえる荷重を減らしました。

● 二枚ずつ作ったのは、冶具部品の強度を上げる目的と、主翼を固定する為のマチ針を沢山刺しますので・・・踏ん張りを必要とします。貼り合わせ面にスーパーセメダインを使ったのは、この接着剤の硬化後の程好い粘性が、マチ針の抜け止めになってくれるからです。スチレン材は、このままではまだ冶具とは成りません。此処から・・・まだまだ・・・冶具らしく成ります。しかし・・・大それた冶具には成りませんよ。誰でも根性さえあれば作れます。

● もっと綿密にいいいいい!って思っているモデラーさんは、もっと綿密に自分で作って下さい!。もっと複雑にした方がお褒めパチパチの度合いが増えますよ。しかし・・・複雑過ぎて・・・専門過ぎると・・・誰も追従してくれません。如何に追従し易くするか・・・その手抜き度合いを調整して発表するのが難しい・・・。ヤフーブログの自作モデラー諸氏・・・明らかに私よりも正確な冶具を製作しておられます。

● 余談なんですが、大手メーカーのバルサキットは、多分・・・購入したモデラーは此処を弄るだろう箇所には許容範囲を大きくしてキットを製造しています。十数年前のネット掲示板には、大手メーカーのキットの出来不出来を論議していました。こうすればもっと良い性能に成るのに・・・どうして此のままなんだろう・・・。きっと面倒臭かったから手抜きしたんじゃないですかあ?。

● 性能向上の為に許容範囲を狭くしたら、作るモデラーと飛ばすモデラーを限定してしまいます。クチコミだけが情報の伝達経路だった昭和の時代は、許容範囲の大きい状態で機体を組立てて、飛行場で飛ばしながらお仲間さんと論議しました。じゃあ此処をこう作ればもっと性能が上がるよなあ・・・って言うのは次の段階・・・。作れるモデラーさんなら改造は出来ますし、お仲間さんは改造後の性能向上を見て、自分も同型機を購入し改造して性能を向上させます。しかし・・・強度は落ちますので、其れなりの飛行技術と補強を要します。メーカーの開発部の手抜き度合いとは、お客さんの向上心を掻き立てる事・・・。この度合いをどの辺に作るかが開発部の腕の見せ所とも言えるんですよねえ・・・。
 
● 冶具の台座はなるべく低くするのがコツと言えます。高くするとその分冶具を丈夫に作らないと、直ぐに壊れ易く成ります。冶具は量産する時には不可欠なんですが、試作機一機の場合は製作上の目安レベルなので、あまり行業しく作る必要はありません。この冶具はバルサキットを購入されたモデラーさん自身の飛行機を自分で製作する時のアイテムのレベルって事です。

● 画像では若干隙間が空いて見えますが、プランクしていない部分の隙間が空いているだけですので、いい加減な造りではありませんよ。主翼を載せてこの冶具の底板が浮き上がったら、主翼が捻じれている状態になりますので、冶具を定盤にしっかりと固定して捻じれた主翼を修正しなければ正確な主翼は完成しません。
 
● 当工房で使用している定盤レベルの工作台の一例です。全長は1400mm。スパンが1350mmまでの主翼なら、翼弦380mmまで組めます。天板が合わせ木細工にしてあるんですが、別に有り合わせの板を繋いだって訳じゃないんです。こういう木材は季節に左右され易く、気温や湿度で反ったり曲がったりします。反らない様に裏打を複雑にしてるんじゃなくて、反り易い木材なんだから、天板と枠材の間に部分的な小さいシムを入れて、天板側のビスを締め上げると歪みが取れる様に、複雑な枠構造にしてます。
 
● この定盤は初期型アトラスコメットの左右一体型主翼の組立に使ったモノなので・・・かなり古い。毎年の様に・・・何処かしら変更して、工藤プロダクツのアトラスコメットの風貌は・・・今やありません。かなり・・・未来的・・・ですかねえ・・・。現在・・・砂漠のお国で砂丘スロープにてテスト中。フルプランク・マイクログラス巻き・ウレタン仕上げなので、気温には耐えます。フィルム貼ったら・・・到底耐えられませんでした。

● 長年の戦歴の跡が・・・。傷やら接着剤やら・・・もはや定盤とは言えませんが、この元定盤を再度使える様にレストアします。倉庫の湿気は(水取り像さん)に頼んで、季節ごとに何回も取り換えて・・・。当工房の何倍もの冶具類を保管している大手メーカーさんの保管に関する経費は・・・閲覧中の皆さんで察してあげて下さいな!。
 
● 主翼を載せてマチ針で固定した状態です。案の定・・・スチレンベースの主翼は、捻じれていませんでした。此処からは、捻じれた主翼をお持ちの追従モデラーの為に記載します。画像の様に両端の台座のみで、この冶具は終わりです。これ以上の特注の冶具は作りませんよ。
 
● 画像の様に押さえの工具をタッピングビスで、スチレン冶具に被せて固定しています。T型の4mmベニヤで作った工具が湾曲する位の締め付けで、スチレン材を抑え込んだ状態です。この状態ならば、冶具に固定した主翼もスチレン材の冶具自体も完全に固定されました。

● この主翼の現在の状態なんですが、定盤に対して上反角ゼロで固定されています。リブの基準線の位置は、中央リブも翼端リブも定盤から30mmの高さにあります。所謂・・・胴体の主翼ユニットに固定されている、アルミのパイプカンザシと平行状態だという事です。実は・・・本家のブルーエンジェルF3A機は、主翼の上面で上反角ゼロなので、下面では均等座標のテーパー比の分のみ上反角が付いています。このSSGの過激な設定が、強風大好きスロープ・スタント・グライダーモデラーには受けるんですよ。機体が傾いたら・・・傾きっ放し・・・、当て舵入れないと絶対水平姿勢には戻りません。かのブルーエンジェルの方が、まだ飛ばし易いって思えるでしょうね。ネット普及後の初心者モデラーさんは・・・スタイルだけで・・・こういう飛行機を欲しがっちゃうんですよ。だから事故が続発します。・・・よってこのAnge-SSGは、今の時代・・・日本国内での流通は考えていません。あくまでも追従モデラーさんの自作機のみが、現実に存在する機体だと思って下さい。
 
● 上面のプランク画像です。木工白ボンドを少々多めに塗布し、指先で満遍なく塗り広げてからプランク材を載せます。メインスパー上は厚さ2mmのアルミアングル材で直線を出し、事務用クリップで挟んでいます。前縁側は、指先でリブのアールにバルサシート馴染ませながら、半ば引っ張りながら先端にセロテープを貼り込んで翼の下面で固定します。

● 再三記載してる事なんですが、バルサシートの表面の細かい屑を完全に取り去ると・・・セロテープでも綺麗に貼り込む事ができます。ただし!一回切りなので、貼り損じた場合の再度の貼り込みは不可能です。綺麗にセロテープをバルサシートに貼るコツは、シートの木目に指の腹を使って押さえながら滑らせる方法です。

● リブの厚みは5mm・・・要するに、幅が5mmありますので、マチ針の固定もやり易いと思います。針本体が全て傾いているでしょう・・・。これも長年の貼り込み作業で得た知識の一つです。リブ面に直角・垂直にマチ針を立てるとシートが浮き易いので、互い違いに少々傾けてマチ針を刺します。これでシートは浮き難くなるんですよ。この方法は、バルサのプランクシートの内側にある、1,5mmの厚さしかないリブにも有効です。

● 適当に刺しても解りませんけど、針を刺す時の抵抗感と言うか・・・刺し難い感覚が指先にあったら確実に刺さっています。その感覚は自分自身で感性を磨くしか無いのが現状です。ヤフーブログのラジ絶さんやニンバスさんに聞いてみましょう。其々のモデラーさん自身の色んな指先の感性が聞けると思います。(Part-13に続く)