◎ Ange Du Vent  Blue Angel SSG (Part-6)

👼 スタビライザー(水平安定板)取り付け角変更機能

● 昭和60年代の初頭・・・MK(加藤無線)では秋葉洋一郎氏の機体をキット化する事になりました。この時、氏の要望で水平尾翼の取り付け角を若干の角度でのみ変更出来る様に、専用パーツが作られました。ご存知!当時の加藤無線MKのバルサキットは世界一の精度と言われていました。バルサ材で1/10mmの精度を誇っていました。キット製造部門の私にとって・・・そんなん無理やろなあ・・・って思っていたんですが、普通に出来る技術なんだなあ・・・って、毎日毎日キットを製造してたら出来る様に成るんですよ、これが・・・。

● 例えば2mm丁度のバルサシートを100枚製材する場合は、同じ材質の角材数本を屋上倉庫から選び出し、まずは大割します。私の身長よりもデカいオーバル状の帯鋸で3mm厚で切り出します。次に大型サンディングマシンで片面0,5mmずつ仕上げていきます。しかし材質がメディアムバルサならこの設定でも良いのですが、ハードバルサとソフトバルサではそれぞれ片面仕上げの削り代を調節しながら仕上げていきますので、初心者作業員では難しい工程ですね。私でも二年目でやっと任されましたから。

● F3A機のプランク材で、発砲コア用のシートは、2mm仕様でも1,7mmで製材されます。一枚一枚綿密に1,7mm測らなくても良いですよ。10枚重ねて17mmならば・・・。だから同じ材質の角材を使うんです。木村バルサの定尺シートは80×900なんですが、実物を計測すると83×910mmほどあります。何故こういう中途半端な寸法なのか・・・。この中途半端な寸法のお陰で自作大好きモデラーに愛されるのですよ。片翼450mmの材料が欲しい場合・・・910mmならば確実に寸法が採れます。幅40mmに仕上げたければ83mmなら確実に二枚採れる・・・。これがホームセンターなら80×600・900丁度なので、融通が利きません。自作されたいモデラーさんは、直接木村バルサに発注した方が材料取りに関しては楽かもしれませんよ。

● 秋葉氏のF3Aキットに標準装備されたこの取り付け角変更機能のパーツなんですが、その後に単体でも発売に成りました。日本選手権・世界選手権で上位入賞した機体のキットは、必ず売れると言う保証が付いていました。しかし、どんなメーカーでも可能って時代でもありませんでした。加藤無線の1/10mmの精度だから出来たとも言えるんですよ。要するに・・・キットを図面通りに組立てれば、必ず上位入賞者の機体と同じ物が作れるっていう究極版が加藤無線のバルサキットでした。

● ところがですね・・・時代の流れと言うか・・・モデラーさんの技術の低下って言うか・・・、図面通りに作れる様に部品を製造しても・・・説明通りに組まないモデラーさんが増えて来たんですよ。勝手に軽量化と称してプランク材の厚みを薄くしたり・・・当然なんですが、主翼の取り付け角も変わりますし水平尾翼の取り付け角も変わります。そういうお客さんのワガママ行為に対処すべく考案されたのが、この水平安定板の取り付け角変更機能だったのです。基本的に・・・F3A機は決められたコンセプトの範囲の中の全備重量指定があります。極端に軽量化すると、座りが悪い(自律安定性に乏しく暴れる状態)機体に成り・・・操縦し辛くストレスが大きく溜まります。

● 当工房の(Lo-100)にもこの水平安定板の取り付け角変更機能は標準装備してあります。しかしこの機体の場合は、モデラーの要望で主翼翼型を変更した場合、微妙に取り付け角が変化するのでそれに対応させる機能なんですが・・・。キットに入った部品のみを使えば、こんな機能は必要無いんですけどね・・・。ただ・・・指定の重心位置も変化しちゃう訳だから。モデラーさんの改造が単なる改造で終わるのか・・・はたまたご希望通りに改良されるのか・・・。もしも・・・改造の果てに性能が落ちちゃったら・・・お客さんは必ず文句言うんですよねえ・・・。「こんな飛ばない飛行機なんか売りやがってええええ!。」・・・で、少しでも性能を取り戻せる様に工夫されたのがこの機能とも言えるんですよねえ・・・。

● 本機で使用する水平尾翼取り付け角変更機能の部品の一部です。後方の6mmカーボンパイプを軸として、前方の部品が角度をプラスマイナス1,5°で動かせる様になっています。フライングスタビライザーにも出来そうなんですが、本機の構造ではやらない方が安全だと思いますよ。
 
● 今のままではまだ不安定な構造です。早合点して構造を真似ても結果は良い方向には進みません。尾翼付近は軽量化しないとテールヘビーによる機首側のバラスト増量で重心を合わせ・・・が!、一般的な自作飛行機の流れなんですが、小学校低学年で習う(物の吊り合い)を使えば、モーメントが1対2ならば後何グラム使えるっていう皮算用が可能です。
 
● 2mmベニヤを多用してこの機構を形成しています。聊か解り辛いかも知れませんが・・・、要するに既製品として販売されていた機構を使った方が楽ですよ(笑)。と言っても・・・この機構パーツが現在も残っているかは不明です。かれこれ・・・30年近く前のパーツですからね。ベニヤで自作すると・・・かなり大掛かりなアナログ構造になります。
● 正立位置から見ると、何となくフライングスタビライザーの機構にも見えますよね。昭和のF3A界は色んな機能を世界中のモデラーさんが、あの手この手で自作していた時代です。共通している事は、全てがアナログ機構だった事です。電気仕掛けなんて皆無の時代でしたね。だから個々のモデラー達の技術は日進月歩したと言えます。「そんなん作らんでも、こんなパーツがあるから無駄無駄!。」って一刀両断するのも今の風潮ですが、得意気にお仲間掲示板で「こんなの仕入れましたあああ!。」・・・「うおおおお!凄いですねええええ。」の一瞬の煌めきのみの出来事で、更なる改良をモデラー自身が考えるって状況には進展しません。

● それも・・・定価購入しないで、バッタもんの安価量産品が発売されるまで待つ・・・現在のモデラー諸氏の考え方・・・よく解りません・・・。安い分・・・外れも多いので購入してから落胆するのも今の当たり前の出来事です。日本国内で製造された大手メーカーの量産品ほど信頼のある製品だって事が解ると思いますよ。ばったモンの三倍額はしますけどね。

● 一応の機構は完成しました。機構自体はかなり簡単なんですが、これを確実に作動させる為に本体側が複雑になっています。
 
● 秋葉氏の機体に搭載された取り付け角度変更機能の自作版です。加藤無線から発売されたユニットは、インジェクション成型によるもっとスリムな部品で構成されていましたが、モデラーが自作するとこうなります。画像右側のヘックスビスを時計方向に廻すとシャフトハウジングは上昇し、反時計方向に廻すと降下します。

● 水平尾翼の取り付け角度の表記は主翼側とは逆の表記となりますので、水平尾翼の前縁側が下がると(プラス角度)・前縁が上がると(マイナス角度)となります。

● 画像左側の厚みのあるワッシャみたいな部品は、自作の欽定型ナットです。カーボンシートを貼り込んだパネルは、ユニット本体にビスで固定します。しかし、作動させるヘックスビスは回転するだけの機能しかありません。このヘックスビスの位置を固定するとシャフト側のブロックが上下運動を行います。

● この角型のブロック体はユニット内部の決められた範囲で拘束されますので、本体自体が回転する事はありません。単純に上下にのみ作動します。かなり動きを渋くしてありますが、この渋さ加減が確実に動く必須条件となります。
 
● 何時もと何ら変化の無い・・・尾翼のプランク風景なんですが・・・。一つ違う点は、虫食いだらけのスチレンコアなんですが、軽量な割に頑丈な骨組みなので、バルサシートは1mmで充分なんですよ。見えてるスチレン構造体は、部分プランクのリブ面でさえバルサを貼ってしまうので、普通にアイロンを使ってオラカバドライが貼れたりします。
 
● 見た目・・・普通のF3Aの仕上がりと変わりません。大阪時代・・・独立後にお仲間諸氏のカスタムF3A機を作っていた頃が懐かしくなりました。とにかく・・・ワガママ要求の多いモデラーばっかりでしたね。しかし、製作費は高額でもちゃんと支払ってくれてましたよ。ネット社会の現在とは大違い・・・。値切り前提で注文して来るから・・・。メールで何時もの天秤見積もりやってるなあって感じたら、70%増しで吹っ掛けて返信すると・・・まあ返事は来ませんわね・・・。

● 俗に言われる相見積もりってヤツですわ。一番安く見積もった所に作らせる・・・。仕事が欲しくて欲しくて堪らない切羽詰まったカスタム職人の足元見てるモデラーさんですわね。まあ・・・お仲間掲示板に「僕が作りました!。」って言わんばかりに、画像だけ載っけてれば、誰しもが究極の自作モデラーと勘違いしてくれます。言わば・・・手っ取り早く有名人!に成りたい人って事かな。

● 本当に飛行機が欲しい人は、文面見てればよく解りますよ。自分の今の製作技術では無理!って自負してる文面ですからね。本物と偽物(冷やかし・嫌がらせ含む)の見分け方・・・これってカスタム工房の職人さんなら誰でも見分けられるそうですよ。代表的な事例は、工房の主さんと同じ模型歴の過程を踏んだ人ってところでしょうかねえ・・・。自分の今の技術では作れない飛行機が其処に有る!ってなれば、更なる自分の知識と技術を得る為に是が非でも欲しい!ってパターンかなあ・・・。そんなモデラーからの切なるメールなら・・・何とかしてやりたいって思うでしょうね・・・。絶対踏み倒しなんかしませんしね・・・。ラジコンブームに乗っかってる一過性の似非モデラーさんの文章って・・・嘘っぽくて、下手に初心者振ってるって直ぐバレる。初心者なんだから安くして下さいってか!・・・。そうはイカの金○!。

● 私の工房には2500機種の機体データが有る!って記載したら、反論するメールが来てました。模型歴が40年しかないのに2500機も作れる筈が無い!って類の内容でした。世の中のどんな大御所さんでも2500機も作ってる訳ないですよ。メールの主さんは、最初から私を疑って掛かるから、反論出来そうな記載に飛び付けた!ってところでしょうね。

● この2500機分の飛行機のデータって言うのは、実機と大手メーカーの機体キットの主要諸元のデータです。(全長・翼長・全備重量・主翼翼型・翼面積・翼面荷重・機体の仕様カテゴリー・・・実機なら戦闘機なのか民間機なのか・ジェットなのかレシプロなのか・・・模型ならばスタント機なのかスポーツ機なのか、グライダーなのか・・・等)。別にキットや自作機を実際作る必要無いってデータ集めてたら解ってきます。

● 私のページの数ある機体紹介欄の内容に気づいたモデラーさんって何人位居るんでしょうかね・・・。お得意さんは100人くらいいるので、少なくとも100人は知ってる事なんですが・・・。反論メールの主さんはまだ・・・気づいていないみたい・・・。2500機分の機体データをまず50種類のカテゴリーに分類しました。いわゆるモーメント・データです。幾つに分類するかは個人の自由なんですが、例えば飛行機の形状は似ていても使用目的が対局する様な仕様だったら、模型化しても最悪どちらの機体も満足に飛ばない飛行機になってしまいます。

● ですが、その使用目的に合わせると、おのずとそれがホームビルト機なのか軍事目的なのかって具合に解って来ます。軍事目的なら機体はホームビルトっぽい形状でも、推力としての動力は数倍の出力を搭載し、兵装を含めた全備重量はホームビルト機の数倍になります。よって・・・上空でエンジントラブルが発生して推進動力を失うと・・・ホームビルト機ならば緩やかに滑空しながら落ちて来ますが、軍事機ならば良くて急降下・・・悪くて操縦不能・・・って事態になります。

● これを模型機にする場合は、完全スケールでは再現不可能です。1平方メートル辺りの比重をジュラルミン素材の実機と軽量木材使用のラジコン機と比べてみましょう。その違いは歴然・・・。実機の1/10の模型を作った場合・・・機体の全備重量も1/10で良い筈がありません。もし!その重量で飛べる機体を作りたいならば、実機飛行機搭載エンジンの1/10の出力が必要になります。しかし・・・個人で購入できる模型飛行機の最大出力のエンジンでさえも、この比率のエンジンは存在しません。まして・・・そのエンジンが購入できたとして、軽量木材のバルサで作ろうが・・・グラスファイバー製だろうが・・・機体本体がエンジン出力の荷重に耐えられない現実があります。実機サイズの1/10ならば機体の全備重量は1/100~1/150位を目安にセミスケール化しないと模型では飛ばないと言えます。しかし・・・個人が週末を楽しむ模型飛行機のレベルにするなら、機体の全備重量は実機の1/500辺りを狙わないと無理でしょうね・・・。2500機分の機体データって言うのは、コンセプト毎に分類された実機と模型飛行機のモーメントデータです。

● よって2500機の模型を作る必要なんて無いんですよ。幾つかのカテゴリーに分類してモデラー自身が持っておけば・・・。よって、実際に機体を作る時の目安にする事が出来る様になります。このエンジンもしくはモーターならば、機体サイズは此れ位にして翼型はこれを使えば飛べるんじゃないかなあ?ってレベルまでに・・・。要するに今の自分の手持ち資金と製作技術の度合いが測れるって事になります。ただ・・・それだけの事なんですよ。

● 機体を注文してくる100人のお得意さんは、当工房の50種類の機体デザインから自分の欲しい機体を選んで注文して来るんじゃなくて・・・、このモーメントの機体ならこの飛行機に化けれるんじゃないか?って考えて依頼して来るパターンが殆どです。要するに自分だけの一品が欲しいわけですからね。カスタム工房毎に色んなジャンルがありますので、まずは自分のスタイルを決めて以後、そのスタイルを変えない様にすれば固定のお客さんは増えます。オリジナルのブルエンの機体構造は加藤無線の開発部・藤澤氏が構築した様に、本機Ange-SSGは私が構築したオリジナル構造です。既にこんなF3A機に化けれるかい?ってメールが増えた現在です。(全長1600mm・翼長2000mm未満)が、このF3A-SSGの基本データです。最強の2メータークラスですよ。多分JRGAの2メータークラスでは敵無しでしょう。ブルエンのスケールって事で、スケールクラスは・・・無理かなァ・・・(笑)。
 
● 虫食いだらけのスチレンコアを被覆したバルサは全て1mmです。お気づきだと思いますが、フィルムを貼ろうが絹張り塗装しようが、スチレンコアにも関わらず何ら影響が出ません。スチロールコア・全面バルサプランク仕様の主翼でさえ・・・捻じれて硬化しちゃったら修正が難しい・・・。

● ネット全盛の数年前まで、スチレン世代のモデラーさんが直面しちゃったスチロールコアのフルプランク主翼の自作画像の数々・・・。よくもまあ・・・あそこまで悪態着けるもんだなあって思っちゃいましたよ~・・・。かなり簡単に考えてたと思うんですが。歪んだテーブルの上で組んだら結果的に主翼は捻じれたまま接着剤が硬化します。ご本人さん達は、翼型に切り出してくれた加工屋さんの悪口合戦してたけど、掲示板見たって・・・ご本人の製作記事見たって・・・、スチロールコアの主翼は歪みの無い定盤みたいな工作台の上で組むという基本を知りません。

● そういう観点からみれば、この虫食いスチレンコアの方が狂いは出難いと思いますよ。別に定盤クラスの治具台みたいな工作台も要らないし・・・。ブルエンの製作記事を追いかけるみたいにメールが来るって事は、同時進行で試してるモデラーが大勢居るって事でしょうね。
 
● エレベータの製作画像ですが、製作工程はページナンバー(3)でラダーの組立を紹介していますので其方を参考にして下さい。主翼構造と同様に、内部スチレン材が左右のエレベータ共々同じ寸法ですので、それを囲む様に組立てていきますので、同じ厚み・同じ材質を使う限り、左右のエレベータ材は必ず同じ形で仕上がります。
 
● 電気溶接機を使って鉄板すのこを作ってる管理人です。此方は本業ではありませんが、バルサを組むのも鉄骨組むのも作る動作は同じですのでやってます。面白いですううううう。癖に成りそうですうううう・・・。まるで半田付け感覚の服装ですね。良い子のモデラーさんは真似しない様にお願いします。ただし!火の粉が飛び散る方向を限定してやると、すっぱの腕まで飛んで来る事はないので、言わば・・・自己責任でやってます。ただ・・・靴の隙間から進入して来る真っ赤に焼けた火の粉の粒は、火傷レベルの熱さを感じてから解るので手遅れとも言えます。そういう時は、足元の水入りバケツに靴ごとザブ~ン!。手当は?・・・。ん?それだけですけど・・・。さあ!明日はエポキシ練り練り・・・じゃなくて、セメントこねこね・・・鉄板すのこを敷く側溝を作ります。まあ・・・これが最近の昼間の私ですよ。って、私の本業はカスタム屋・・・。でもまあ・・・これもカスタムの一部です(笑)。いずれ・・・実機サイズのオーロラ(F3A)でも作りましょうかね。置物だけど・・・地元のひまわりテレビが嗅ぎ付けるかも・・・。

● 今後・・・色んな本業であるカスタム業とは別の管理人の顔が見えて来るでしょう・・・。ただ・・・独立して模型飛行機のカスタム業を続ける上で必要に成る技術、例えば正確なリブ組を行う為の定盤の製作にはカスタム家具を扱う木工所に弟子入りしたり、パソコンを使用した看板業でプログラムを習いつつ・・・トタン看板を叩いたり・カッティングシートの切り文字を貼り込んだり、はたまたその看板体を設置に行ったりと・・・。30代の私は色々な職業をバイトで経験しました。それ全てがお客さんの紹介です。一番面白かったバイトは、カスタム家具の製造と看板の文字描きでしたね。子供の頃・・・近所に風呂屋の看板描きのおじさんがいたんですが、大きなキャンバスにこれまたデカい富士山を描いていました。

● 看板屋とグライダーの製造工房は間取りが似ています。関西では超有名なイベントである鳥人間コンテスト・・・。一般参加の社会人達は何処でグライダーを作っていたか?。不動産屋で空き家の看板屋の物件探して、仲間数十人で均等割りで購入。仕事が終わるとこの空き家の工房に集結して・・・飛行機作ってました。看板体とグライダーの共通点を考えれば、この物件の状況が見えて来ます。間口は狭いけど奥行きが長く天井が高い・・・。俗に言われる「ウナギの寝床」です。当工房の名称はGARU・WING工作室と言いますが、大阪カスタム業の頃は(マムシ重工)でした。模型と言えども最大スパン7500mmのライハー・・・ウナギの寝床みたいな工房じゃないと作れませんわね。関西ではウナギの事をマムシって言います。
 
● エレベータ材のリブ間のスチレン材を切り取りますが、翼端はその後の加工の為に補強として残してあります。材料は角材をそのまま貼り付けましたので、翼リブのテーパーに合わせて斜めにカットします。大まかに削ったら後は大き目のサンドホルダーで全体を仕上げます。
 
● テーパー加工が済んだら、翼端のブロックを貼り込んで翼型に合わせて削り込みます。動翼の作り方は主翼と同じですので、手を抜くとフラッターの原因にもなります。事!風速10m近い状況で飛行させる機体の場合は、リンケージのガタを最小限にするのも必要なんですが、動翼本体も相当な風圧が掛かりますので、ある意味頑丈な造りが要求されます。
 
● 水平尾翼の前縁材を作ります。厚さ6mmのバルサの角棒とシートバルサをサンドイッチして前縁材を形成します。サイズの内訳は(6+1,5+6)mmです。1,5mmバルサの縁はマジックで黒く染色し、前縁を削る時の基準としています。
 
● 厚さ1mmのバルサシートから、幅9mmのプランク材を切り出しています。強固なエレベータ材を製作するなら、ムクのバルサのテーパー材や全面プランクにした方が良いのですが、最大幅60mmのムクのテーパー材を作る為には厚さ15mmのバルサブロックから削りだすか、木村バルサに特注するしかありません。加藤無線時代ならば大型の卓上丸鋸を使って全て機械加工するでしょうけど・・・。マニアレベルならば全て手作業になりますので、画像の様な工作方法の方が楽だったりします。ただし!面倒臭がり屋さんには・・・無理かな・・・。
 
● この機体の水平尾翼のサイズは、2セルクラスの電動飛行機の主翼と然程変わりません。翼型は完全対称翼・・・。こういう尾翼を揚力尾翼と言うんですが、水平尾翼自体も揚力を発生させますので、機体の姿勢次第では不安定にもなる場合がでてきます。スチレン世代の飛行機製作は玄人だけど飛行技術は空っきしの素人っていうモデラーさんが、陥ってしまう最悪の事態です。主翼よりもうしろに位置する水平尾翼が揚力を産むんだったら、むしろ儲けたって思いますが・・・飛行スピードの変化に尾翼の揚力変化が比例しちゃったら・・・重心位置も微妙に前後するので、エレベータ操作が難しくなります。よって、スポーツ機に分類される機体の多くの水平尾翼は、初心者対応の一枚板(フラット尾翼)を採用するのが普通です。翼弦方向に膨らみが無いので空気抵抗板には成りますが、揚力は発生しません。よって重心位置も変化しませんので飛ばし易いと言えますね。
 
● 水平尾翼の翼端材の工作です。厚さ20mmのバルサシートを二枚重ねて虫ピンで留めて、糸鋸盤で切り出しました。材質をメディアムとしましたので、程好い頑丈さと重さになっています。
 
● 画像は翼端後部にベニヤを挟み込み強度を上げる為の治具を製作しました。糸鋸盤で加工する為に奥行き20mmが必要ですので、糸鋸盤の定盤と鋸刃が直角で加工出来る様にする為の治具です。翼端の溝入れ加工は加藤無線のキットでは当たり前でしたね。キットに入っていた後退角の付いた翼端リブの溝入れ加工・・・どうやって入れてたか・・・これはミシン加工なのでこの治具ですが、これが昇降盤ならばどういった治具になるか・・・モデラー自身でお考え下さい。レーザーカットじゃこの厚みは無理なんだなあ・・・。
 
● 溝が彫れたら幅20mmのシナベニヤをエポキシで挿入します。ベニヤの厚みは1,5mmもあれば充分です。スチレン世代のモデラーさんには無駄な加工って言われるんですが、ひまし油世代のモデラーさんには当たり前の加工です。翼端だけ作ってくれ!って、形紙と翼端のブロックシート送って来ますしね。加藤無線のキットを作ってたモデラーからは、是非キットにしてくれ!と、メールが沢山来るんですが、今の所・・・このAngeはキット化の予定がありません。40サイズ・20サイズって言われてもなあ・・・。四国のフライトホビーの油谷さんと相談して下さい。元、加藤無線の社員さんですから・・・。油谷さんの工房の飛行機は、加藤無線の進化版ですよってに・・・。
 
● 当工房の翼端材の取り付け方とは違います。単純に翼端リブにベタ付けですので、瞬間接着剤は使用しません。エポキシでガッツリと接着しています。このクラスの機体の水平尾翼は、電動クラスなら2セルで飛んでる飛行機の主翼サイズと然程変わりません。こういう時代だったんですよ。昭和40年代から50年代って・・・。     (Part-7に続く)