ANTARES Ⅰ型 (No-19) 山本昇氏オリジナル設定機 Part-10
  
● 主翼内スポイラーホルダーの加工です。毎度の事ながら・・・このスポイラーホルダー周りのプランクには慎重に成りますなあ・・・。自分の設計したオリジナルな機体なら、リブキャップと同じ1,5mmのシートをリブの木口に貼り込んで終わりなんですがねえ・・・。山本さんの場合、このスポイラー板の後縁側が段付けの台座にピタリと収まる様に最初からパーツを組み込んであります。まあ・・・国産機・舶来機・・・色々ありますけど、此処まで細かい工作はしませんしねえ・・・。ただ・・・スポイラー板の後縁側が、この段付けの部分にピタリと収まる様に調整すれば、其れ以上の食い込みが無いので、ゴムバンドによる閉じた時の余剰のテンションで段付けの部分に張り付く事に成ります。よって主翼の表面には段差も無く・・・空気抵抗に成るだろう段差も皆無に成るので、今回・・・複雑な加工は承知で組み込みました。スポイラー付きのグライダーキットをお持ちで、よく似た開閉システムなら採用した方が確実に作動します。その辺の改造なら改良レベルに成りますので、採用されても良いのでは?・・・。
 
● 主翼の後縁部分のプランクシートを破って、ウィングボルトの台座を作ります。山本さんの時代に存在したであろうカムロックなんですが、言わばスプリングでテンションを掛けて胴体に主翼を圧着する、当時としては画期的な固定パーツです。ところが・・・画像のナイロン製ウィングボルト同様に、胴体側に固定するナットの台座と主翼側を貫通するボルト孔をピッタリ合わせるには、かなりシビアな調整が必要に成りますので・・・広く一般に爆発的に普及する所までは至っていません。もし・・・普及していたら、平成の便乗組と言われたネット物知り博士なモデラー諸氏が、当たり前に使っていた筈なんですが・・・。彼らのスチレン製セロテープぐるぐる巻きの機体には一切使われていませんでした。使わなかったのは調整が難しく・・・取り付けが面倒臭かったからですよ(笑)・・・。まあ・・・私でも面倒臭いって思ってるので使いませんし・・・。このカムロック式・・・運良く機体が数年以上生き残った場合、スプリングのテンションが下手ると、主翼の胴体への食い付きが弱く成るので、最悪・・・ガタガタと隙間が開いたりします。
 
● 上記のナイロン製ウィングボルトは、F3A機のブルーエンジェル45SRのキット付属品でした。MK勤務時代に会社から3機購入して、製作した生き残りです。当時からF3Aにはあまり興味が湧かなかったんですが・・・、自分で部品を加工してキットを製造してましたので、量産する時は卸し立てのバルサの角材から加工するので文字通りの出来立てホヤホヤです。模型店で在庫するのか・・・自宅で数年眠るのか・・・バルサ材は自然物ですからね、長く寝かせば寝かすほど木部品は精度が狂います。さっさと組み立ててシルクを張って、ウレタン白で塗装してから寝かします。3機も有るんだもの・・・練習期間も長く取れますし・・・。でも、F3A競技には・・・まったく興味が湧きませんでしたね。どちらかと言えば、自由に飛ばしてましたなあ・・・。ただ、飛行エリアはF3Aの規定ルールを順守・・・。右パスと左パスを同軸ラインで通過させる練習ばっかりやってたので、スロープパッシングレースが面白くて病みつきに成ったのでしょう・・・。

● 今のスロープのパッシングレースは、とにかく既定の距離を如何にハイスピードで駆け抜けるかに重きを置いてますので、必然的にレーシング専用機の方が有利に成ってしまいます。結局の所・・・バルサ機でのエントリーは、上位入賞は望めないのでレーシングフライヤーからは小馬鹿にする様な言動が目立ちます。昭和の時代はバルサ機全盛!・・・スピードアップの為ならと、自作の機体でエントリーが当たり前でした。舶来品のグラス機(FRP製)は価格も高いが、造るのも難しい・・・よって、性能は良いんですが・・・作るには工作技術も伴わないと高性能なフライトにはたどり着けません・・・。よってバルサキットやら自作機でのエントリーが多かった時代でも有ります。片道150メートルを5往復で1500メートル・・・。最初に申告した宙返りやロールといった演技を5種類盛り込んだ(タスクC)が全盛でしたなあ・・・。観てる側としては、その方が面白いし、大会以外のギャラリーからも拍手が貰えるし・・・。スピードばっかりじゃ面白くないので、大会主催者側の面白競技がその後流行したって事ですなあ・・・。年間シリーズ4戦・・・雁ノ巣奈多海岸の大会は面白かったですなあ・・・。バルサ機のフィンピー(丹菊モデルのラダー機)が、OK模型のディバインに勝っちゃうんだもの(笑)・・・。先にゴールしたのはフィンピーでしたあ・・・なんてミラクルが当たり前に起こるんですなあ・・・。

● 画像はウィングボルトのガイドパイプの工作です。メーカーキットのショルダー翼タイプは、胴体に直接主翼を載せてビスで固定するタイプなので、画像の様なガイドパイプなんて必要ありません。ところが、例えば自作機の部類に成ると・・・キットでは省略されている主翼上部の胴体の一部も再現する場合が多いので、まあ・・・主翼二分割タイプのグライダーの胴体上部みたいなラインが形成されます。当然なんですが、ビスの頭はこの胴体の中に納まってしまうので沈みます。鎮める際にビス自体に進行方向を定める為にも、このガイドパイプは必要に成るんです。例えばカバーのみ貼り込んだ場合、主翼上部には空間だらけに成るので・・・締め込み損ねて、このカバーの内側の何処かの隙間に運悪く挟まってしまうと取り出すのに苦労しますしねえ・・・。そういう事態を防ぐ意味も有るんです。
 
● 上記のガイドパイプは、ホームセンターで購入出来る竹柄のビニールパイプです。直径が10mm・内径は5,5mm・・・此れをガイドパイプとして使うには、内径を広げなくては成りません・・・。今回使用するウィングボルトは4mmのビス・・・。4mmビスの頭は直径7mm・・・キャップスクリューの場合も7mmなので、ドリル径は7,2mmは必要です。ビニールパイプは、プラスチックの部類では柔らかい素材に属するので孔は広げ易いんですが・・・同時に無理な荷重には大変脆いのでパイプが裂け易いです。よって数種類のドリル刃を使って、少しずつ内径を広げます。電気ドリルで一気にやると必ず裂けます・・・。よってハンドドリルで少しずつ孔を広げます。ところが画像のドリルチャックは最大6mmのドリル刃までしか使えません・・・。何か代用出来るとしたら画像の小型万力・・・。

● この小型万力・・・通常のダイキャスト製では無いんです・・・。二枚の鉄板を折り曲げて溶接した簡易的万力なので、その締め付け力には限界があります。ですが・・・この代用ドリルチャックとして機能を100%発揮できるのは、この簡易型万力じゃないと不可能なんですなあ・・・。使用している鉄板の厚みは推定2mm・・・。この鉄板を折り曲げると、外側にはアール面が出来ます。此れを背中合わせで溶接すると、Vカットの窪みにも似た空間が形成されます。よってドリルを挟むとドリルチャックと同じ様に三点支持が可能に成るんですなあ・・・。ハンドルを締め込むと、溝に沿って確実に固定できるので即席のハンドドリルの完成・・・。たしかホームセンターで一個200円しなかった記憶が有るんですけどねえ・・・。ドリル刃だけ持って孔を広げるなんて、相当な馬鹿力の握力が無いとねえ(笑)・・・。此れなら回すのは楽に成りますし・・・。
 
● 本日の午前中・・・このガイドパイプとずっと格闘してたんですが、何回チャレンジしても最後の7,2mmのドリル刃でパイプが裂けます。そしてお昼過ぎ・・・本日螺旋階段の塗装作業は下塗りを終わらせなければ成りません。明日から連発三日の雨予報の為、エポキシのさび止め塗料を塗り込めば明日までには完全硬化・・・。雨も弾いてくれます。よって作業中も時々、どないやって作ろうかとしばし思案しながら・・・夕方5時過ぎに帰宅して、結局の所リーマーまで使って肉厚1mm程度まで孔を広げる事に成功!・・・。今度はパイプが裂けませんでした。たったこの部品を作るだけで一日作業なんですけどね、この部品の先加工をして組み込んで置かないと・・・胴体側の固定台座の孔の位置決めが不可能に成るんですなあ・・・。本機はヒラヒラ系のグライダーじゃないですしねえ・・・。主翼側もガッチリとビスが固定出来なければ、オーバーG気味な飛行中に、ボルトを胴体に残したまま主翼だけが捥げちゃいましたあ・・・なんて事に成ったら、目も当てられませんしねえ・・・。まあ・・・カムjロックに変わる代用品なので、其れに近い強度を有した固定部品が必要に成ったので自作しています。
 
● エポキシを使ってガッツリと接着したベニヤ2枚を積層した台座の上から、さらにリブの高さと同じバルサのテーパー材を貼り込みました。リブ材を貼り込んで一グラムでも軽量化・・・する部分でも無いので、ガッチリとブロック材を内蔵して頑丈にします。その上から切り取った後縁のプランクシートを新たに作って貼り込みます。此れで元の寸法・・・元の形状・・・。此のままフィルムを貼って完成!・・・のパターンが、最近のショルダー翼グライダーのセオリーなんですが、昭和のグライダーは実機みたいな構造の機体が持て囃された時代なので、ラジコン技術誌でも飛行場でも・・・手抜きみたいな個人の愛機はお仲間さんには一人も居ませんでしたねえ・・・。当時の私は20代前半・・・年上のモデラー諸氏の愛機の作り込みは素晴らしかったですなあ・・・。
 
● 此処にガイドパイプを刺すとこんな感じに成ります。まだまだこの主翼の上に櫓を組んで、胴体の一部を形成しなければ成りません。胴体を上から見ると・・・見事にくびれるんですよねえ・・・。今後、本機を模したネットの博士たちの変てこりんな考察のアンタレスが、ヴェガの時みたいに出現するかもしれませんなあ・・・。何で胴体がくびれてるんだ?・・・「だって山本さんの図面通りに作ると、こうなるんですもん!・・・。不思議な胴体ですね・・・。」って、お前らの脳みそはどういう生体こんぴ~たあが搭載されてんねん!と問いたい・・・。主翼上面のプランクシートは寸法加工のみで、まだ接着前の仮止め状態です。さあ!・・・この上に何れはくびれた胴体を組み込んでやるぞ!・・・またまた勘違いの博士が出て来るんだろうなあ(笑)・・・。
  
● さあ!お次はスポイラー駆動用のテグスを通すガイドパイプの組み込みです。あらかじめリブにはガイドパイプを通す孔は開けてありましたが、主翼の下面から外に出るパイプの孔は、主翼の下面プランクが済まないと開けられませんでした。電動ドライバーのチャックに直径3mmの丸やスリを取り付けて孔を開けますが、この組ヤスリには進角が付いており・・・電動ドライバーを正転させるとヤスリがいきなりバルサに食い込みますので、必ず逆転設定で孔を開けましょう。回転するヤスリを前後に移動させながら、出来るだけ浅い角度に成るまで加工します。
  
● 右翼のみパイプを内蔵してみました。山本さんの使用したナイロンパイプと同じものが見つからないので、手持ちの(IM産業)のパイプを曲げグセを付けてから挿入しましたが、まあ・・・山本さんの製作図面みたいに綺麗なアールとは行きませんが、何とか組み込む事は出来ました。主翼の下面から覗くパイプの斜角は此れが限界・・・。パイプの先端を如何に処理するかが今後の課題です。
 
● スポイラー作動パイプも綺麗に収まったので、主翼上面のプランク作業中です。昔・・・ホームページを開設し始めた頃の事なんですが、あるモデラーさんから長文のメールを貰いました。内容的には、昔懐かしい工作方法の製作記事に対する素直に共感する熱い思いが散りばめられていました。部材に接着剤を塗ったらマチ針で固定する・・・なんて、平成のスチレン世代のモデラーからしてみれば、なんちゅう変な工作に見えたんでしょうけど、昭和の専門誌の製作記事には当たり前に登場したマチ針です。誰もが普通に使ってた表れでもあります・・・。当時はどんな田舎でも雑貨店が有りましたし、手芸用の毛糸専門店に行けば普通に在庫していたマチ針なんですが、この個人経営の地域の雑貨店が大手の何でも屋的なスーパーに押されて廃業すると・・・途端にマチ針を扱うテナントが減りました。まあ・・・未成年のいじめの道具にも使われてしまう危険な刃物の部類なので、誰もが購入出来るスーパーのテナントでは販売を自粛でもしてたんでしょうなあ・・・。だから平成のスチレン世代は知らないも同然・・・。まあ・・・スチレン製セロテープぐるぐる巻き飛行機には、マチ針を使う所なんて無いですしねえ・・・。マチ針の代わりにセロテープを使うんでしょうし(笑)・・・。

● その流れのままメーカーのバルサキットを組むんだから、木工ボンドやエポキシなんか手が汚れるからカッコ悪いとか・・・ベテランモデラーは瞬間接着剤のみでキットを組むのが本格派とか・・・無茶苦茶な工作方法に変わっていったのが平成のラジブーム・・・。瞬間接着剤オンリーでグロー60クラスの大戦機を組み上げ、グランドでお仲間さんと空中戦やってたら、急旋回中に主翼がバンザイ・・・。メーカー指定はエポキシを大量に使う部材をオール瞬間接着剤なんかで固定するからバンザイしたんですけどね・・・。まるでメーカー側の構造上の不備みたいに何でも言えるお仲間掲示板に書き殴るネット物知り博士の行為が、暴走していたのも平成のラジブームでしたなあ・・・。

● 本機の組み立てには、殆ど瞬間接着剤が使われていません。木工白ボンドと二液練り練りのコンクリボンドかエポキシ接着剤が主流です。このプランクシートも木工ボンドですよ。昔・・・生田無線というキットメーカーが、絹張クリアのウレタン仕上げで完成機を販売していましたが、機体構造の組み立てには木工白ボンドとエポキシを使ってガッチリと組み立ててありました。完成度が高くて基本性能も大変良かったので、爆発的に売れた一時代があります。OK模型のEZ完成機と二分する勢いで愛好者が増殖してましたなあ・・・。まあ・・・そういう流れなので・・・当工房の機体も全て主流は木工ボンドとエポキシです。
 
● さて・・・主翼の翼端処理へ移行します。まずは下準備・・・。この翼端ブロックの取り付け構造は当工房オリジナルなので、山本さんの工作手順とは一部違います。普通のバルサキットなら、メインスパーが翼端リブからはみ出してるなんてありえないので、ネットな博士からは悪影響の温床だと揶揄されたんですがねえ・・・。まあ・・・実際に昭和の遺物を組み立てた博士の一部のモデラーさんが、試しに使ってその翼端の頑丈さに驚いたみたいですなあ・・・。本機は翼端貫通のフルエルロンなんですが、仮に着陸時に翼端を木に引っ掛けてブーメラン状態で着地した場合・・・、最悪には翼端ブロックが捥げたりするんです。ところが捥げる翼端には翼端リブもくっ付いたまま捥げるので、後縁材も一部引きちぎり・・・フルエルロンの機体なら・・・ヒンジラインごと捥げるので修理不能なまでの大破状態と成ります。此れが初フライトの場合、誰に怒りの矛先を向けるかと成るんですが・・・まあ、販売したメーカーに当たるしかないでしょうなあ・・・。自分の下手糞な着陸は棚に上げて・・・其れがね。お金を出してキットを購入して自分で作って飛ばしたモデラーさんの普通の行動です。

● そういう苦渋を舐めた所で・・・メーカーさんは謝罪もしませんし、構造を変更する事もしません。どんな扱いをしても絶対に壊れない模型飛行機は作れないからですよ。自分の愛機を木にひっ掛けた過失はメーカー側にはありません。其処に障害物がある事を承知で着陸進入したのだから、飛行機が壊れたのはモデラー自身の過失です。機体の構造を頑丈にし過ぎると、壊れた時にラジメカの電気部品も道連れに大破する事も有りうる事態・・・。メーカー側は飛行テストの最終仕上げとして、あらゆる状況下における墜落破壊テストまで行います。其れがキット開発のセオリーだからです。機体を壊したくなかったら・・・飛ばす以前にサイトの状況をすべて把握した上で、愛機をぶん投げるべきでしょうなあ・・・。そして先を見越して着陸進入ライン上に障害物が有り、最悪機体を壊す様な危険が予想される場合は、着陸のやり直しを行うか・・・侵入経路を変更して少々離れた場所でも安全に降ろせるんなら、回収の為の下山も視野に入れた方が良いと思います。実機の旅客機だって、強風時の着陸進入は何度もやり直すでしょう。機体の破損は人命に関わりますしね。

● 機体を壊すと下手糞だって馬鹿にされるのが嫌だ!・・・を優先するから、自分の不始末を他人の仕業に転換しないと済まなく成るんです・・・。もしも着陸コースにお仲間モデラーやギャラリーがいきなり侵入して来て回避不可能だと判断したら・・・ギャラリーに向かって「どけええええ!・・・。」って叫んだって無理ですよ。フルダウンで自爆させた方が良いと思います。貴方がどんなに主張したところで、人身事故に成ったら貴方は加害者・・・。責任逃れで被害者をどんなに恫喝したって、貴方は加害者なんですなあ・・・。機体を壊すのを嫌がった貴方の危険な考えが、裏目に出るとこうなります。あとは誠心誠意謝罪しなくてはなりません。逃げたら犯罪者・・・。空物ラジコンの愛好者に成るって事は、そういう危険も付き纏うって事ですよ。だから対人対物の自賠責保険(ラジコン保険)が有るんですなあ・・・。自賠責なので数百万円単位の損害賠償の場合・・・数万円は自腹を切るのが自賠責保険です。自己負担金は一円だって払いたくない!って思うのなら、ラジコンサイトのルールとマナーは守りましょうね。着陸オーバーランのレーシングを背後から当てられたら痛いですよォ・・・。「避けろよ!。」って言われたって、背後からいきなり来るんだもの・・・。左ふくらはぎに7針の傷・・・。レーシングの前縁はジャージのズボンの上からでも人間の皮膚を切り裂きます。加害者さんは名前もデタラメ・・・連絡先はリカちゃん電話・・・???。それ以来大観峰では会わなくなりましたなあ・・・。自分で止血して車運転して救急病院まで走る・・・オートマチック車で良かったです。右足ならアクセルもブレーキも踏めないところ・・・。傷は癒えても痛みの感覚は今も残ってます。閲覧しているレーシングフライヤーさんは、そういうモデラーにだけは成らないで下さいね。

● このレーシングフライヤーさんの着陸進入コースは、普段はあり得ない所です。言わばお仲間さんの駐機エリア・・・。まさかそのエリアに降ろすなんて思ってもいませんしねえ・・・。休日だろうが平日だろうが着陸進入コースと着陸エリアは、熊本のクラブルールで決まっているので其処に降ろせば誰の迷惑にも成らないんですが、その日のフライヤーさんはそのルールさえも無視・・・。休日組が知らないって事は、平日に不定期で現れる人物なのかも知れませんなあ・・・。もしかすると遠方からの来場者かも知れませんし・・・ならばクラブルールも知らないかもなあ・・・。って着陸する場合は、危険回避の目的で誰もが着陸のコールをする決まり・・・。自分でも想定しなかった事態だとするなら、完全なる操縦ミスによる人身事故・・・。私自身座ってないで良かったなあ・・・。座った状態の背後なら背中直撃!・・・もう歩けなかったかも・・・。この場合、どうなる結末・・・。考えただけでも恐ろしい結末でしょうなあ・・・。

● 「救急車呼ぶから傷口押さえて其処に居てくれ!・・・俺は駐車場前で救急車を誘導するから・・・。」って、紳士的な態度を信じた俺が馬鹿だったぜい!・・・。平日の大観峰・・・シーズンオフなので茶店も開いてない・・・観光客なんぞ一人も居ない平日のサイトで、季節柄寒さに震えてじっと我慢してたんだが、何時まで経っても救急車が来ない・・・。内牧からでも小国からでも、大観峰の展望所に居れば見えるんだけどね・・・。小一時間経っても来ないので、まさかなあ・・・と思いながら、足を引きずって駐車場に戻ったら・・・誰もいない。こんな時に限って携帯が繋がらない・・・。世の中はフォーマの時代・・・旧式のムーバは当たり前に不通に成るんだなあ・・・。止血はしているが猛烈な痛みが・・・。で、自力での下山と成った・・・。要するに、あのレーシングフライヤーの紳士的な台詞は、逃げる為の時間稼ぎだったんだと判明・・・。名前はデタラメ・・・携帯番号は・・・「ハイ!私はリカちゃん!お電話ありがとう!・・・。」・・・だあ?・・・。大の大人がこんな姑息な手を使うんだろうか・・・。多分、ラジコン保険未加入だったのだろう・・・。平日に大観峰に上がるモデラーさんは要注意。目撃者がいない場合は、最悪逃げられる・・・。あれから十数年、大観峰のグライダー関連ブログは具に観ているんだが、該当する顔つきのフライヤーは登場しませんなあ・・・。
 
● 不思議な翼端ブロックの形状・・・。翼端と言えども手を抜く様な接着さえしなければ機体を大きく壊す事には成りません。ただし・・・この構造は、翼端ブロックの衝撃に対するその後の悲劇を最小限にする為の安全策に過ぎません。結局の所・・・着陸態勢に入ったら、機体が地面、もしくは草むらに接地するまで操縦しなはれ!って事ですよ。実機も模型機も着陸が一番難しい演目・・・。機体に一番衝撃が加わるので、如何に上手に降ろすかが機体を壊さない唯一の手段です。ダイナミックソアリング?・・・初心者さんがやったら機体が斜面のモニュメントに成るか、事情を知らない鈴なりの観光客にぶつけて無傷で回収となるかどっちかです。DS出来なくても誰も初心者の貴方を馬鹿にしません。熊本グライダークラブのジェダイマスターさん達は、DSなんかやりませんよ。だって自分の飛行機の性能を100%信じていませんから・・・。機体を長持ちさせるには、無理な荷重は掛けないって知ってますからね・・・。画像はブロック接着前に、翼端リブにキャップを接着しています。此れで本来の厚みの翼端に成ります。
 
● 翼端ブロックの接着には、エポキシ系のクイックメンダーを使いました。この接着剤・・・練ったら素早く塗らないと硬化時間が滅茶苦茶速いです。よってぴったりと合うまで調整して素早く取り付けるのがコツです。この接着剤の歴史は古く・・・昭和40年代から存在しています。昔はコンクリボンドって名称でしたが、確か水中でも塊を練り合わせたら硬化するタイプのチューブ入りだったと記憶しています。元外国航路の船員だった大人のモデラーさんに教わりました。その進化版でしょうなあ・・・。ガッツリ固まりますが、サクサク削れる性格も持ち合わせ・・・指に着かない程度に硬化したら、カッターナイフで削ぎ落す事も出来ます。翼端は丸く削って仕上げますが、まだ他の作業が残ってますので削りません。此れも大人のモデラーに教わりました。専門誌の大御所さんよりも、地元クラブの大人に教わった事の方が多かった未成年時代でしたねえ・・・。モデラーレベルの知識って・・・。
 
● 都合・・・上下のヒノキのスパーの先端が見えてますが、此れを粗目のサンドホルダーでボリボリ削って仕上げます。翼端ブロックを綺麗に丸く成形する時も、このボリボリ作業は付き纏いますが、この強化翼端ブロックが効果を発揮します。ただし・・・メーカーのバルサキットで、この指示が無い場合はやらない方が良いかもしれませんね。当工房の機体は、この強化翼端に対応すべく機体全体の構造もオリジナルで強化しているので、言わば・・・壊れる箇所が別の所に出る場合が多いです。ただ・・・キットにしろ自作機にしろ・・・壊れた機体の完全修復が出来ない人と、面倒臭くてやらない人には難しい構造とも言えますなあ・・・。まあ・・・スケベ心でキットの指示を無視した私的改造でも加えない限り、メーカーの機体は飛行中に空中分解する事はありません。

● 主翼を下面側から見ています・・・。前縁が後縁よりも上に見えていますので、此れは捻り下がった主翼です。治具を使って主翼を捻りましたが、どういう理由で捻れたのか・・・。この説明が出来ない人って意外に多いんですけどね(笑)・・・。まあ・・・アルミ板でもバルサのシートでもプランクシートには指向性が有るので可能だって事です。航空アルミの場合は木目に代わる素材の分子構造が持つ指向性なんんですが、航空アルミには印字してある横一列の数字と記号が入っています。此れが木目の代わりです。よって同じアールで曲げる場合、印字に沿って曲げると綺麗に曲がりますが・・・印字に直角に曲げると外側のアール面にクラック(ひび割れ)が入ります。此れがバルサの場合・・・木目が在るから片面に水分を含ませると、木目に沿うとアール状に曲がりますが・・・木目に直角だと割れたりします。要するに捻らない翼の場合のリブの接着面と、捻った翼のリブの接着面が僅かにズレると捻じれた主翼が出来上がります。全てが木目の御かげって事ですね。航空アルミのシートでも印字に直角に主翼にプランクしたりしませんし・・・。
 
● 主翼の前縁側に補助前縁材を貼り込みます。この二重に積層して貼り込む前縁材なんですが・・・ネタ元は加藤無線(MK)のF3Aスタント機の基本的な構造です。本機の図面上の前縁材の厚みは6mmでした。本機では2mmバルサを三枚積層して前縁材を構成します。リブ組み用の前縁材として2mmの二枚積層で内側の前縁を構成し、最も内側の棒材に溝を作る事でスロット加工を実現しました。よって上下のプランクシートの先端はその厚みは2mmのままです。このプランクシートの先端も補助前縁で隠れるので、少々削っても孔が開きません。この構造を一条氏主宰のガルモデルのキットでも採用していませんでした。よって美的センスを発揮し過ぎて前縁を削り過ぎるとプランクシートが薄く成って孔が開いた経験は、昭和のモデラーなら誰でも一度は有る筈です・・・。しかし・・・この積層前縁構造なら、プランクシートに孔が開く方が不自然なんですよ?・・・。(Part-11に続く)