ANTARES Ⅰ型 (No-19) 山本昇氏オリジナル設定機 Part-12
  
● 平角ダウエルを寸法カットします。長さ30mm・10×12mmの12mmを厚み6mmまで落とし、6×10×30mmの部材に加工しました。此れに皿タッピングビスが埋め込める様に孔と皿を作ります。主翼の補助胴枠に接する面に両面テープを貼り込んで皿タッピングビスを締め込み・・・一度ねじ山を付けました。この状態の場合・・・主翼を外す時は後方にズラさないと抜けませんが、迎角ゲージは胴体の内寸ピッタリで嵌りこんでいるのでゲージを外さないと主翼が抜けません。よってこの平角ダウエルを一度外します。
 
● 迎角ゲージを抜いた状態で主翼の補助胴枠に平角のダウエルを固定し直すと、画像の様に主翼が浮いた状態になります。此れで迎角2°が付いた状態です。取り付け手順が聊か面倒臭いんですが、山本さんの製作記事の手順から行けば・・・此方の手順の方が確実です。山本さんのオリジナル金属パイプ(外径6mm)を横二列配置でピンダウエルにする場合は、上面プランク前にこの作業を終えなければ取り付ける事は不可能でしょう。しかし、当工房の手順ならばプランク後の取り付けが可能に成るので、作業性は確実に良く成ります。

● この迎角ゲージの作成と平角ダウエルの構成は、今思い付いた訳では無いんですよねえ・・・。半世紀近くもこの模型世界に身を投じていれば、そら!知恵も着くんですよ。何度も苦汁を舐めるので・・・。何でベテランみたいな綺麗な工作が出来ないんだろう・・・って思えば、誰だってその原因を探るでしょう?。前にも記載しましたが、レーザーカット以前のバルサキットって原寸三面図一枚付属ってのが主流ですので、組み立て手順はモデラーにお任せってのがメーカー側の暗黙の決まり事みたいな節が在って・・・。ただ・・・世の中のベテラン諸氏は、何れ何から先に組み立てれば良いのかって手順は、ある程度は似通っていきます。

● 多分・・・誰もが悩む胴体と主翼の結合ピンと固定用のビス台の加工・・・。当工房の手順がベストという訳でも無いですよ。自作モデルを作っているモデラー毎に、自分に最も合った自己流を持っています。そういった手順を最初はどんどん真似して下さい。真似する事でその技術が身に着いて行きます。そしてある日突然に・・・自己流が閃くんですよ。其の閃いた技術は、貴方自身のオリジナル・・・。世の中のコンテストフライヤーって呼ばれる人達だって、初心者の時代は有るんです・・・。その時代には誰かの真似から始まるんですが、ある日突然に閃くんですよねえ・・・。其れが自己流・・・。自己流を極めると、世界大会で優勝したりするんです。だから・・・手っ取り早く有名人を目論んで、他人の知識と技術を何の疑問も持たずに丸写しするから、一時は有名人っぽく扱われますが・・・其の内に化けの皮が徐々に剥がれてしまいます。

● 世の中の真の有名人程、ネットは閲覧してる様ですけど書き込みません。まあ・・・言い方は悪いんですけど真の初心者のページは向上していくサマが見て取てるんですけど、手っ取り早く有名人を目論むページの場合、何処かの教祖の間違い知識を信じて疑わないので・・・どんどんレールから外れていくんです。そういうページにアドバイスしようものなら、必ず敵対行為と取られますので傍観するのが普通です。結局の所・・・ラジコン模型の世界は、特に空物ラジコンの場合は、造れてナンボ!飛ばせてナンボ!のガチンコ勝負なので、ネット普及以前のアナログな飛行場での付き合いを、深~く経験しているジェダイマスターな高齢のモデラーさん程、ネット上の嘘が見抜けてるって事ですなあ・・・。インスタグラム観てればハッキリと判るんですけど、映えが先行するので内容が希薄・・・深く知りたい人向きじゃ無い世界です。まあ・・・ひと昔なら・・・「こんなの仕入れちゃいましたああああ!。」・・・「うおおおおおお!凄いですねええええ!・・・。」って類のお仲間掲示板の流れって事でしょう?・・・。でも、観てるだけの殆どの人には、「此れの何処が凄いの?・・・。」としか思って無いかもしれません。まあ・・・其れだけ知識が乏しい人達の低俗な世界なんだろう・・・位しか思ってないんじゃないですかねえ。映えってミテクレ第一でしょう?・・・中身なんかどうでも良い訳ですよ。こんなの仕入れちゃいましたあああああ・・・で、その先は・・・どうでも良いので、自分で作る事も無く・・・再び質流れ街道へ送り出す(笑)・・・。
  
● 主翼後部のビス止めの加工を行います。多分・・・カスタム屋さんなら当たり前にやってる基準の取り方だろうと思いますよ(笑)・・・。しかし、ネットな博士さんから見れば、ツッコミ所満載のかなりアバウトな作業でしょうなあ・・・。でも此れが一番簡単である程度は正確な芯出しが出来ます。航空自衛隊の板金職だってパネル交換の際は元孔をガイドにして孔を開けますし・・・。アバウトに見えますが、自分でやってみれば直ぐにその便利さに気づきますよ。まあ・・・ネットな博士には無理でしょうけどね?・・・自分のワガママ全部聞いてくれる教祖なブログの神様の作業方法とは違ってますから・・・。
  
● 使用するビスの径は4mm・・・。主翼側の下孔を4mmで開けているので、いきなり4mmのドリル刃で孔を開けます。信じられん!・・・無茶苦茶やあああああ!・・・って博士の声が聞こえて来そうなんですが・・・。開ける材質はナイロン素材のPVC樹脂・・・。まずは円錐状に凹む程度に皿を作ります。次に真ん中の画像ですが4mmドリル刃で直接貫通させないで、まずは2mmのドリル刃で孔を開けます。この時に・・・必ず垂直に開ける必要が有りますが、手回しの場合はセンターずれを起こし易いので、ズレの方向と反対側にドリル刃を傾けて、まずは皿の修正から始めます。センターが出たら少しずつ孔を開けて貫通させます。次に3mmドリルを使って孔を広げますが、今度は普通に回しても先に開けた2mmの孔がガイドに成るので、センターずれを起こす事は殆どありません。こういうドリル刃よりも遥かに柔らかい材質に孔を開ける時は、画像の様にチャックを使って手回しした方が孔はズレ難いですよ。

● 最後に4mmのねじ山を作るためにタップを使って加工します。PVC樹脂なんかでねじ山を作ったって、直ぐにねじ切れてバカ孔に成るから使わない方が良い!ってネットブログの神様が言ってましたが、そりゃ2~3mmのナイロンの板で台座を作ってるんじゃないんですなあ・・・。厚さが10mmのねじ山です。10mmもビスを捻じ込むんですよ?・・・ねじ切れる方が可笑しい・・・。どんな馬鹿力で締め込むんだろう・・・。金属ナットでも同じ事が言えるんですが、厚さ4mm程度の通常のナットよりも20mmの厚みのある長ナットを使った方が、吊り下げの場合は荷重を受け止めやすいという事実が有ります。模型飛行機の台座も同じ要領です。締め込むビスに対して、ナット側のねじ山が長ければ長い程、バカ孔に成り難く抜け難い・・・。だから当工房では多用するんですなあ・・・。厚さ3mmのナイロン製の台座???・・・そんなもん誰が使ってんのかなあ・・・。キャノピーの固定やってるんじゃないんですよ!・・・。
  
● 試験的にキャップスクリューの4×20mmを使ってますが、同径と同ピッチのビスならナベ頭でもOK・・・。ホームセンターでも普通に買えますが、何故かヘックスキーに拘るモデラーさんもいまして、お山で主翼を外した際に・・・草むらの中にキャップスクリューを落として探すけど見つからない・・・。大観峰や平尾台なら起こり得る事態ですが、「ビスは持ってませんか?・・・。」って聞くもんだから、小ビスの箱を渡したら・・・「何でキャップスクリュー持って無いんですか?・・・使えねえなあ・・・。」って言われました。だったらスペアのビスぐらい自分で用意しとけ!って言い返したら、怒った口調で・・・「飛行機の主翼の固定はキャップスクリューって決まってるんですよ!。そんなナベ頭のビスなんか危なくて使えないんですよ。」・・・だそうです(笑)・・・。最初の「使えねえ・・・。」とは、私に対する便利な人間じゃねえ・・・って意味・・・。ネット世代の若いレーシングフライヤー君は言葉遣いが下手ですなあ・・・。で!結局どうなったのか・・・。若きモデラー君は、その日はずっと飛行機が飛ばせませんでした。もし・・・このヘックスキーを草むらに落として紛失したらどうなっちゃうのか・・・。今度は「ヘックスキー持ってませんか?・・・。」に成るんだろうけど、また・・・「使えねえ・・・。」って言われる可能性大!・・・。誰が貸すかい!・・・。まあ・・・その日は持っていなかったので、使えねえ・・・くらいは言われたかもなあ・・・。私は便利屋さんじゃないもんで・・・。実際に大観峰で大御所諸氏の前で、平気で言うんだもの・・・。其の瞬間、大観峰全員のジェダイマスターから嫌われましたねえ・・・。他人からモノ貰うのに・・・そんな言い方は無いだろう・・・。まあ、レーシング持って上がれば、大御所さんからは認めてもらえるって錯覚しとるんでしょうなあ・・・。
 
● 主翼の前縁側の胴枠(F3)には、更に前方の傾斜させた補助胴枠が付きます。この補助胴枠間を如何に丈夫にするかで、この極限まで抜いた3番胴枠の強度が変わってきます。其れも此れも全て、胴枠の内部をサーボモーターが前後移動するからなんですが・・・更に主翼の前縁部を差し込む平角ダウエルまで付くとなると、何の補強も無い場合ノーズ先端からの着陸一発で3番胴枠は破損します。よって、山本さんのオリジナル機以上の補強を行っています。

● 更に・・・レールを固定しているビスなんですが、最初の位置だと後方2番目のビスはこの補助胴枠までの間に位置するので外せなくなります。別の言い方なら取り付けも出来ません・・・。よって孔位置の変更を行いました。丁度中間点位の位置にビスを新たに取り付けたんですが、この上部のレールはビス穴をバカ孔にして有り・・・3mmのベニヤマウントもバカ孔ですが、下部のレールにタッピングのねじ山が切れる様にしました。この孔位置の変更により・・・上下のレールも外す事が出来ます。
  
● 主翼を取り付けるとこんな感じです。ラジコン技術誌の製作記事中の印刷写真と縮小図面だけでは、イマイチはっきりと解らなかった部分が見える様に成ったでしょ?・・・。山本さん命!・・・の熱いメールをくれたモデラーさん!・・・。この3番胴枠と補助胴枠の空間は、言い換えるとムクのバルサブロックをくり抜いて埋め込むのと同じくらいの強度を持たせれば丈夫に成るんですなあ・・・。胴枠上部の短いストリング角材なんか、山本オリジナルには入れてありません・・・。しかし、この位置は重心よりも機首側なので・・・幾らでも頑丈にしたって良いんですよ。印刷写真の搭載状況を見ると、一番前方に鉛の塊が見えます。どんなに尾翼側を軽量化したって、本機の構造ならテールヘビーに成る可能性は原寸大図面を引く時点で解ってました・・・。よってバッキバキにムクのバルサ材やベニヤを使っても良いんです。

● 当時のフタバ製サーボモーター(S-5)とあまり変わらない平成時代のサーボを搭載したので、メカに関して言えばあまり神経質に成らずとも好いとは思います。むしろ・・・受信機バッテリーは流行りのリポよりも、単三ニッカド4,8V分の方が重いので、機首側搭載ならばバラストとして十分機能するでしょう・・・。本機の素性自体が1グラムでも軽量化するカテゴリーの機体ではありません。本機みたいな強風用ガチスロ機の場合は、1グラムでも軽量化するのは尾翼側のテールヘビーを如何にして軽量化させるかに重きを置いた方が良いです。でも・・・山本さんの機体は、強度を落とさず複雑な構造にする事で、全体的な軽量化と丈夫さを兼ね備えているので、むやみな私的改造は重量バランスよりも構造的なバランスを崩し易いと思います。よって最初の一機はアウトラインを一切変えない構造にした方が良いんです。その山本オリジナルのアンタレスが、もし貴方の技量に対して持て余す位のじゃじゃ馬ぶりなら・・・次回製作の際は私的改造を存分に加えれば良いんです。多分・・・他のモデラーさんには物足りなさは残るんでしょうけど、貴方にとってはとても満足のいく飛ばし易さを有したアンタレスに成ろうかと思います。
 
● 歩みは鈍いが確実に前進・・・。カメさんのスピードながら、完成へと近づいています。手抜きの工程が全く無い・・・。要するに飛行性能の完全複製ってのは、こういう時間経過に成るんですなあ・・・。よってエイリアンクラスのラジコン入門者が、「ラジコンのバルサキットって、こんなに短時間で組み立てられるんだ・・・。」って勘違いしない様に、リアルタイムの時間経過で記事を書いてます。画像10枚くらいで完成!ってブログの管理人さんの記事では、必ず初心者が勘違いします。其の勘違いって・・・当工房を基準にブログのモデラーさん達って、物凄くキット組み立てが上手いんだなあ・・・だから早いのか!・・・ってな具合の勘違い(笑)・・・。で!実際に組み立てに取り掛かって、そのギャップに気づく・・・。何でブログの上級モデラーみたいにスムーズに組めないんだろう・・・。初心者なんだし、簡単に組めるんなら飛行場に行って教えてもらえるし・・・なんて安易な私的思い込みで行動しちゃうでしょ?・・・。だから途中でぶん投げる(笑)・・・。ぶん投げるだけじゃ収まらないのがエイリアンクラスのお方達のその後の行動・・・。必ず花火をブンブン打ち上げて暴れまわります。
 
● さて・・・胴体の中に主翼を埋め込みますよ~(笑)・・・。EPPで作った不思議なグランド仕様ブラシレスモーター付きのヴェガ・・・。主翼はデコパネ一枚翼に、歪にくびれた胴体・・・。何でくびれてるのか聞いたら・・・図面がそうなっていたから・・・???。ネットな博士達の脳みそってどんな構造をしてるんだろう・・・。知識は大御所並みに持ってる筈なんだけどなあ・・・。此れでもお仲間掲示板では、「うおおおおお!凄いですねええええ!・・・。」って称賛の嵐だったので、ご本人は至って大真面目の自画自賛!・・・。此処でツッコミでも入れようもんなら、その後の展開は突っ込んだ側が悲惨な目に遭うので知らんぷりしました。でも・・・機体がクルクル飛行している間は、来場したモデラー諸氏全員が虎の子の飛行機を持ったまま、何時でも逃げれる状態に・・・。全員で飛んでるUFOを見上げて、自分の近くに来たら移動する(笑)・・・。

● 彼の着陸は滑空に在らず・・・。揚力を生まないデコパネ一枚翼なんだもの、綺麗な着陸態勢なんか出来ませんしねえ・・・。彼の着陸進入は何時もモーターオフ状態なので、大きくピッチングを繰り返しながら降りて来る・・・。一応主翼はフラッペロン設定なんだが、大御所さんのF3A機の見様見真似でプログラム・・・。一枚翼の主翼に、フラップダウン設定なんか入れたらどうなるの?・・・。そら!観てるギャラリーも逃げたくなりますなあ・・・。でも、ご本人は大真面目・・・。知らない方が幸せかもしれませんなあ・・・。知らずに大人に成った方が・・・。大人とは・・・年金組の事ですよ(笑)・・・。

● 主翼前縁の胴枠から後縁の胴枠までは翼型なので膨らんでいます。膨らむって事は、その間に胴枠が有れば見た目は低く、幅が狭く成ります。要するに・・・主翼に埋まった状態なので・・・。其れを判った上で追加の補助胴枠を主翼の上に貼り付けて行けば、メインスパーの位置には殆ど見えなくなります。プランクシートを貼り込む場合、この翼型のアールの頂点辺りはプランクシートの裏面を複雑に削り落とさないと、胴体が埋まった状態が表現できません・・・。よって!途中でセンターリブが切れてます。じゃあ!プランク後はもっと歪じゃん!・・・ご指摘御最もですなあ・・・。だったら厚めのバルサシートを削って貼り込めば良いんじゃないか?・・・。高さは数ミリ・・・。プランクする方が難しい・・・。まあ・・・貼らなくても良いんですよねえ・・・飛行にはあまり問題は有りませんし・・・。ただ、見た目の問題・・・。
 
● 見た目の問題とは、美的センスの問題ですよ。自分の作ったバルサの飛行機の正確な総数が解らなくなるまで経過すると、この美的センスって奴は自然と身に着きます。バルサを主材とした自作機を作る人は、最初の内は飛ばす事を優先するので・・・他人の目線なんか気に成りません。でも・・・この自作模型を作り倒していくと、今まで面倒臭せえなあ・・・って思っていた細部の加工が普通に出来る様に成ります。自分のスタイルが確立し始めた状態です。飛ばす技術が向上すると、今度は見た目の工作技術の向上を目指すので、面倒臭かった細部の工作が、当たり前の装備に成るんですなあ・・・。よって手抜き出来なく成るんですよ。自分の美的センスが勝るので・・・。まあ・・・貴方のセンスの評価は他人がするんですが、必ずいますよ・・・。ネットな博士じゃ無いですよ・・・真のモデラー諸氏・・・。特に大御所クラスのジェダイマスターでしょうなあ・・・。まあ、他人の蔭口にも似た評価は空耳扱いしても結構!・・・。自分のスタイルを貫けば良いんです。

● さて・・・本機アンタレスに話を戻しましょう・・・。残った部品の製作はオグジュアリー(艤装)ばかり也・・・。ただ・・・自作モデラー達が最も面倒臭がる箇所が続きます。必要無いと思ったら読み飛ばして下さいね。十数年以上・・・色んなページのモデラーさんの作品を観て来ましたが、面倒臭い部品は作らない主義!・・・でも好いとは思いますが、其れが造れる様になると、多分・・・そのモデラーさんの美的センスが何れ開花する事にも繋がりますので、更に面倒臭い工作の記事を続けます。次回作の(萱場式無尾翼グライダー)では、Sカンバー動翼の作り方を記載します。翼型作れるのに・・・何故に動翼の逆アールを省略するんでしょうなあ・・・。ムクのエルロン材を使って、何故かエレボン仕様に改造した萱場型を多く見かけるんですけど・・・。結果!・・・小回りの旋回が出来ないとか、反応が鈍いとか・・・当り前じゃん!この機体はエレボンに改造したら性能が確実に落ちますよ。

● 何故・・・一条氏のオリジナル機は、動翼をエレベータ部分とエルロン部分に分割したのか?・・・。一条氏のコンセプトを理解していないモデラーさんが多過ぎますなあ・・・。普通に考えて下さいね?・・・。水平尾翼が無いので無尾翼機って言うんですが、ちゃんと主翼の中に水平尾翼に該当する部分が有るんです。だから一条氏は萱場型グライダーの翼の中に、エレベータとエルロンの動翼を設定したんです。普通に考えれば・・・エレベータをアップ操作すると機首は上を向きます。ところがエルロンをスポイロン状態にすると機首は下を向きます。エレボンにした場合・・・スポイラーがアップに成ると同時に、エレベータも同じ舵角でアップに成るので・・・機首上げも機首下げも出来ない状態に成ります。エルロンもエレベータも利かない状態なんだもの、旋回したくても出来ない事に成りませんか?・・・。何故に一条さんが動翼二つを分けたのか・・・その辺をもう少し理解するべきでしたね。
 
● 機体全体の印刷写真を見て気づけなかったんでしょうかねえ・・・。徐々に反り上げる為のテーパー状に加工したカイモノを後縁の先端に敷いて、接着剤が乾くまで固定しておく方法です。エルロン該当の動翼にはSカンバーの反り上げた設定が入っていますが、エレベータ該当の動翼には僅かに入った状態で、其処にはSカンバーの差動が付けてあります。全く反り上がらないニュートラルな主翼後縁の設定から、翼端方向に徐々に反り上がるSカンバー設定にしなければ成りません。此れならばエルロンは単独でロール軸の動作・・・エレベータは単独でピッチ軸の操作が可能に成ります。萱場型グライダーのエレボン改造機は、ラダー連動で一応飛んだので称賛された閲覧者も多いとは思いますが、本来の一条さんの萱場型グライダーの挙動とは別物に成っていた筈・・・。其れに製作者が気づいていれば次回作は、もっと一条氏の萱場型の高性能機に成ると思うんですが、もう作る御つもりは無いみたい・・・。残念ですなあ・・・私的改造さえしなければ、真の萱場式A3-1に成ったのに・・・。当工房は今回で5機目に成ります。一応アウトラインと設定は変えないつもりですが、使用する材料がちょこっと違います。設定は一条氏のオリジナル・・・内部構造体は別素材に変更し、艤装は実機の一部を再現してみましょう・・・。まあ・・・美的センスの一部ですので飛行に影響は出ませんしねえ・・・。

● 印刷写真の胴体の真横の主翼には、後縁には反り上げが入れてありません。よって水平尾翼として存在する主翼の一部の迎角(取り付け角)は0°です。左翼のエレベータの右端と主翼の後縁の境界には反り上げが入っていません・・・。しかしエレベータの右端からエルロンの左端までの間、徐々に反り上げ設定が始まって・・・楕円の翼端の先端でその反り上げが最大に成ってます。此れが本来の一条氏の萱場型グライダーの設定です。元々本機は河川敷の土手スロープ用に開発されました。標高が低く上昇風帯の奥行きの幅が狭いエリアでも、安全に飛ばせる様にコンセプトを決定してあります。よって設定を大きく変える様な私的改造では、本機の本来の基本性能を発揮できない様にしてしまっているので、初号機は無改造の方が性能把握がやり易いですよ。二号機以降なら初号機よりも自分に合う機体が造れると思うんですけどね・・・。
 
● 胴体内部に埋まった胴枠の作図を行います・・・。不思議な博士の胴体を作らなくても良い様に、キチンと作図します。本機アンタレスの特徴なんですが、各胴枠の上部は全て完全なる半円で構成されています。此れは山本さんが意図的にやった事なので、最初から胴体を作り易くするための処置です。画像で示した手前の二つの矢印の胴枠を作図します。主翼の前縁から30mmの地点です。
 
● 半円が作図出来たら、原寸図面の側面図から翼上のリブまでの距離を測って書き入れます。次に翼上のリブの幅を左右2mmずつ差し引いた残りの斜線部分が、切り出す材料の形状です。此れをバルサにトレースして切り出し、取り付ければ胴体に埋まった胴枠を作図出来ます。見事にくびれて見える胴体の出来上がり(笑)・・・。この方法で全ての胴枠分を取りつければ良いんですよ。尚・・・プランクシートの分2mmは差し引いて作図する事をお忘れなく・・・。
  
● 私とした事が・・・上部カバーの貼り込みに失敗しました。現在カバーの修正中です。大口叩く割には飛んだ茶番じゃねえか!・・・返せる言葉も無いので、黙って修正しています。山本さんの図面のカバーのラインなんですが、実はこのラインでは作れないんです・・・。この様なえぐれたアールのラインを形成させる場合は、主翼上面に上反角が2度以上付かないとこのラインには成りません。主翼に埋まった胴体のラインなんですが、この記事のラインを形成させると今度は胴枠が歪な形状に成ります。普通の比率でやると画像みたいな直線的なラインのカバーに成ります。誰がやっても多分このラインに成るんですなあ・・・。でもですなあ・・・閲覧しているモデラー諸氏は、まさか印刷ミスは無いだろうと思ってるでしょうから、其方を優先して若干、ラインの修正をしています・・・。然程難しくは無いので、一応ボロ隠しの見本と言う事で紹介しています。

● 多分・・・こういったカバーの作成でも苦労された人も多いかと・・・。画像では大方30mm程度の隙間を埋めるボロ隠しですが、もっとバレ難いボロ隠しにしたかったら・・・前後の逆アールの先端辺りでカバーの貼り込みを止め、残りは翼型に沿ったバルサシートの積層を使えば良いですよ。ただし、この際の積層用の接着にはクイックメンダー等のガッツリ固まりサクサク削れる系を使いましょう・・・。削る際、最終的にはサンドホルダーの出番なんですが、浅い角度の削りに成るので薄皮一枚みたいな積層面に成ります。瞬間接着剤は薄皮の場合は簡単に捲れ・・・木工ボンドやタイとボンドの場合は、粘っこい接着剤がサンドペーパーの摩擦で表面が溶けると・・・木目に沿って帯状に捲れてしまい、修正が更に厄介になります。
  
● いい機会だと思いましたので、上に記載したボロ隠しの修正を実践してみました。逆アールに成るカバー部分を全て積層させる為に、前後のカバーを大きく切り取りました。この一度貼り込んだカバーの取り付け面を、ある程度綺麗なプランク面に成るまで削り落としてから・・・1,5mmと2mmのバルサシートを積層しました。この際・・・一層目のバルサシートには必要な逆アールのラインを入れて接着しました。
  
● 先の細いサンドホルダーで急がず慌てず気長にサンディングすると、製作記事の図面に記されたカバーのラインに近い形状は演出出来ます・・・。ですが、本機の場合・・・主翼に埋まった胴体上部のラインは、この様な形状にはなりません・・・。仮に主翼を二分割にした場合・・・胴体の胴枠はこの様なラインは形成しませんので、一枚翼の場合とは別の形状に成ってしまうかも知れません。

● あまり大きな声では言えませんけど・・・山本さんの本機の資料を編集部で校正して記事にするんでしょうけど、印刷ミスの可能性も視野に入れて複製する事をお勧めします。印刷ミスと思われるのは空野彦吉さんの記事にもありました。ラジコン技術誌掲載の縮小図面と、空野さんから貰った原図とには違ってる部分もありました。要するに・・・其のままではどんな加工を施しても、図面通りに仕上がらない時は印刷ミスの可能性も考えた方が良いですよ。もし、自分で修正できるのであれば、その間違いに気づいた感性を優先した方が作業が進むと思います。(Part-13に続く)