ANTARES Ⅰ型 (No-19) 山本昇氏オリジナル設定機 Part-15
 
● いよいよ構造製作も佳境に入って来ました。スポイラー作動パイプの位置決めを主翼の裏面に施さなければ成りません・・・。其れにはまず・・・スポイラー連動サーボの位置決めなんですが、エレベータサーボの出力軸とスポイラーサーボの出力軸が、同じ高さだと干渉してしまいます。そこで山本機同様にスポイラーサーボ側を若干嵩上げする調整を終えないと、このスポイラー作動パイプの位置が決められないんです・・・。

● スポイラー作動のワイヤーは前後運動・・・サーボモーターは回転運動・・・。作動パイプが一本なら回転運動によるワイヤーの差動は無いんですが、ワイヤーが横側並行配置で二本なので、リンケージ次第では差動が出ます。よって、どういう位置を動きの基準にするかで作動を無くす事は出来るんですが・・・問題はお隣に並ぶエレベータサーボとの緩衝をいかに防ぐかで色々悩んでおります。スポイラーワイヤーとスポイラーサーボのホーンの段差が大きいと・・・この差動が出易くなります。よって、なるべく直線配置に成る様に、スポイラーサーボの高さを決めなければ成りません。スポイラーサーボの位置が決まって初めて、スポイラーパイプに取り付け位置が決まります。テキトーでは如何んのですよ。
 
● 手前がスポイラーサーボ・・・奥がエレベータサーボです。画像のホーンのサイズなら、二つのサーボは干渉しないんですけどね・・・。スポイラーサーボは、フラッペロン作動も兼ねる仕様なんですが、通常フラッペロンの作動範囲以外の残ったトリム分の動きでスポイラーを連動させるので、スポイラーサーボはホーンが巨大になる構造です。よって高さを変えないと、スポイラー側のホーンの先端がエレベータサーボのホーンと干渉してしまいます。高さの位置関係から見れば・・・スポイラーサーボはエレベータサーボよりも6mmの嵩上げが必要でした。このサーボのホーンの回転運動に合わせて、パイプ側の高さを決定し・・・主翼側のブラケットの位置を算出しなければ成りません。テキトーじゃダメなんですよ・・・。山本さんの自作機って、大手メーカーの機体みたいな汎用性が無いので・・・私的改造をやり過ぎると、最終的な不具合が何処かの構造製作中に・・・どうしようもないぞ!って事態で露見するんですなあ・・・。其処がね?・・・山本さんの自作機の複製の難しい所・・・。

● 見た目は斬新なので、是非とも作って自慢したいモデラーは多いんですが、造りが面倒臭い構造なので・・・勝手に変えちゃったり、省略したりすると・・・途中で作業が暗礁に乗り上げたりするんですなあ・・・。此れが山本機の複製記事を書き始めた多くのモデラー諸氏の記事をフリーズさせる原因とも言えます。縮小図面からいきなり原寸拡大してバルサシートに直接採寸なんかするから、あれ?・・・って事に成っちゃいます。原寸図面を引いたら・・・まず、工作の手順(段取り)を先に決定した方が良いですよ。山本さんの自作機の場合は・・・。だから製作記事が画像十枚程度で完成しましたああああ!・・・が出来ないんですよねえ・・・。大手のメーカーのバルサキットが、如何に汎用性を考えて作られているか・・・山本さんの自作機を複製する度に思うんですよねえ・・・。やめときゃ好かったなあ・・・ってな具合(笑)・・・。

● 別に作れないからって思ってるんじゃなくて・・・実際には亀の歩みでも形には成っていくんだから、最終的には完成するんです。問題は再三記載している山本さんの自作機には、抜ける部品が無いんです。時代から言えば昭和と令和なんだから確実に30年以上の開きが有るんで、山本さんとは違う独自の工作法が板についてる当工房の私自身・・・構造の一部を変更しても、構造的強度やら飛行性能を落とす様な改造はやっておりません。よって一応の飛行能力込みの複製は約束されてはいるんですが、とにかく・・・工作手順が難しい・・・。アンタレスの原寸三面図だけ見てれば、かなりのシンプルさは際立って入るんですが、多分・・・フライングスタビライザーの機構を復元する工程で、二の足踏んでる自作モデラーは多いんじゃないですかねえ・・・。市販のバルサキットでも昨今の機体ではあまりお目に掛りませんし・・・。まあ、メーカーサイドでも、造りにモデラーの工作技術の差が出過ぎる機構は使いたがりませんしねえ・・・。

● 最近・・・ネットを検索していたら、完全スケールのバルサキット・・・それも、実機の構造と然程変わらない構造を持ったスケールグライダーのキットを販売しているプライベートワークスのメーカーさんが出現しているのを発見!・・・。ところがですなあ・・・完全スケールってのが気に食わないんですなあ・・・。この完全スケールって奴は、飛行機の構造が実機其の物の諸元と寸分違わないって事だから、その手のモデラーにはウケ捲るんだろうけど、問題は其の購入者なんですなあ・・・。結局、造れるモデラーのみが購入していた昭和の時代とは違い・・・誰かに作らせるお金持ちの初心者も混じってるんですよねえ・・・。中には初心者の皮を被っとる転売ヤーも潜んでる訳で・・・安く作らせ高く転売・・・って輩も混じってるんで・・・。メーカーの知名度を上げるには最高の手順かも知れませんが、色んな所でトラブル勃発の予想も見え隠れはするんですなあ・・・。完全スケールとセミスケールの違いは何ぞや!ってのを一言で言うなら、完全スケール機ってのは実機の完全なる縮小版・・・天然の三軸ジャイロを体内に有した生身のパイロットが載ってコントロールするので、安定性よりも運動性重視の場合が多いんですなあ・・・。要するに、自律安定能力が殆ど期待出来ません・・・。ところがセミスケール機って奴は、地上から見上げて操縦する模型機なので、実物機とは違う自律安定能力を有した模型機独自の改造を施した機体構造って事です。要するに・・・何も操縦しない方が三軸の自律安定が保たれてる機体って事ですなあ・・・。だから万人向けの飛行機とも言える・・・。忙しく操縦しなければ三軸が安定しない完全スケール機・・・現在の模型業界にどの位の爪痕を残せるのか・・・。

● 製作依頼されても作らないかも知れませんなあ・・・。とにかく構造がシビア・・・。レーザー加工機じゃなくて、エンドミルカッターで部品を切り抜いたキットなんだが、其れがどの位の精度なのかって所よりも、完成させるまでにどの位のモデラーが途中で諦めてぶん投げるのかって点でしょうなあ・・・。材料を刻んでる側のメーカーさんは、あくまでも自分の現在まで得てきた技術が基本なので、言い換えるなら自分と同じ模型の歴史を全員のモデラーが歩んで来た!って思い込んでる訳でして・・・。此れがですなあ・・・作るモデラーを選んでしまう結果に成るんですなあ・・・。万人向けに作っておいて、ミテクレ重視の作って楽しむモデラー向けと、飛ばす為の細部のディティール省略してる飛ばす事だけに重きを置くモデラー向けにも対応出来るように作った方が数は売れるんですがねえ・・・。だから完全スケールよりもセミスケールの方が爆発的に売れるカラクリなんですなあ・・・。大手メーカーの精巧なるムスタングやゼロ戦を完全スケール機だって勘違いしてるモデラーは沢山居ますなあ・・・。でも、機体全体を崩して自律安定能力を加えてるなんて、実機の諸元と形状を細かく把握していないモデラーの方が、圧倒的に多いので・・・大手メーカーの機体の方がバカ売れする結果に成るんですなあ・・・。
 
● コクピット内部のスポイラーサーボの嵩上げ部品を取り付けてしまうと、キャノピーの木型を作る為のベースの部材等が組めなくなります。先に木型の部品を採寸して基本構造だけは組立ててしまいます。あれ???・・・何時もの木型の作り方じゃないのか?・・・。そおおおおおお~うなんです!・・・川崎さん!。(古いなあ・・・。)・・・当工房の木型の作り方からは逸脱している今回の工作方法・・・ただし、使ってるバルサは厚さ2mmのガッチガチの硬さを有する通称バラン(スーパーハードバルサ)。この手の素材の厚さ40mm以上の角材を組み合わせて、本来の木型を作るのが普通なんですj。何故なら・・・熱を加えようが強力に吸いあげようが、バルサ自体が縮みません。それだけ硬くて重いバルサです。模型飛行機のキットに入れる事は皆無の材質・・・。

● 縮み難い材質なんだもの、木型のベースには充分使えます。過去に木型を作ったんだがバキュームをやってくれってメールが来たんで、了承して送ってもらって此方がフリーズしました。大戦機の枠付きキャノピーの木型なんだが・・・ソフトバルサから削り出していた・・・。唖然としましたなあ・・・。バキューム一発で確実に後付けの枠材は潰れます。こういう段付けのキャノピーの場合は、木型内部に空洞を設けて・・・1mm程の径の孔を枠の傍に開けなければ成りません・・・。そうしないと段付きの枠部分がキチンと浮き出さないんですなあ・・・。更に後付けのバルサの枠の棒材を瞬間接着剤で張り付けていたんだが・・・。本来なら枠の外側の寸法で木型を採寸して削り出し・・・枠の内側を削って凹ませる加工をやるべきです。だから作るのが難しい・・・。で!丁寧に返品させてもらったんだが・・・まあ、お前には出来んのか?・・・なる悪態を散々言われましたなあ・・・。で!別のバキューム屋さんを紹介したんだが、其方でも断られる始末・・・。ページを観て出来ると思うから依頼したんだそうだが・・・だったら、紹介している材質のバルサを使って木型を造れ!って言いたいですなあ・・・。

● まあ・・・ラジブームの最中って、色んなモデラーが無茶苦茶な事をやってるんだけど、典型的な画像は観るけど活字を読まないモデラーさんでしたなあ・・・。そら、手持ちの削り易い柔らかいバルサの方が作り易いのは解るんだが・・・この木型って言うのは、其の物本体を機体に組み込む訳では無いんですよねえ・・・。その木型によって別材質のモノを作って其方を機体に組み込みます・・・。よって混同してはダメなんですよねえ・・・。そのソフトバルサの段付きキャノピーの木型・・・作りはどう見ても初心者には作れないだろう精巧さでしたしねえ・・・。ただ・・・キャノピーの木型自体を作った事が無い場合、その方面の知識は無いんだが・・・既に知識が在って当然!って思い込んでるでしょう?・・・。其処がギャップなんですなあ・・・。自分の方が工作技術は上手いんだぞ!っていう態度なんだもの・・・。もちっとその他の知識も身に着けてから悪態三昧やって欲しいですなあ・・・。キャノピー自作を頻繁にやってるんなら、こんな柔らかい材質では作れないって知ってる筈なんだがなあ・・・。そういう口調だったし・・・。其の辺がね?・・・趣味のモデラーさんと仕事のモデラーのギャップって事ですよ。さあ!不思議な構造の木型に成りますよ・・・。見ている方が不安に思える位の(笑)・・・。でも、木型として充分使えますよ。ただし!当工房の型押し成型器用ですけどね。今までの木型は、型押し成型でも真空成型でも使える様に作ってましたが、今回の木型は型押し成型にしか使えません。要するに・・・型押し成型器が自作できる人向けの構造で作るからですよ・・・。
 
● だんだんと・・・見えなかった木型の構造が見えてきたモデラーも居るんじゃないでしょうかねえ・・・。は~ん!小まめに胴枠入れてプランクシート貼ってポリ樹脂塗ってのパターンだろう?・・・ってか・・・。そんなハイテク誰が使うかァ!・・・。まあ・・・プランクする事はするんだが、もっとローテクでしょうなあ・・・。しいて言うなら、木村模型のプロフィール大戦機の胴体の作り方って所でしょうなあ・・・。木村のユーコンを知らないモデラーの方が多いんじゃないだろうか・・・。だから工作難易度は中学生レベル・・・。ただし!、この木村のユーコン機に大人だったら此処まで手を加えるぞ!ってレベルでしょうなあ・・・。そうすりゃ胴体は頑丈に成る・・・。操縦失敗による木村のユーコン機の墜落・・・。中学生レベルだったら再起不能にまで壊れてガックリ肩を落とすんだが、大人の機体はナイロン製プロペラの破損程度で機体は潰れない・・・。その手を加えた構造を今回の木型に使います。
 
● 山本さんがこのアンタレスの機体のフォルムをどうやって決めたのか・・・製作記事から読み取れた当時のモデラーってどのくらい居たんでしょうなあ・・・。現在作ってるのはキャノピーの木型・・・何時もの現物合わせの特注品じゃ無いんだなあ・・・。このキャノピーの原型は(IM製のGM型)として当時販売されていた汎用キャノピーの製品です。ところが知り合いの模型店のオヤジさんに片っ端から連絡したんだけど、在庫して無いそう・・・というよりも、有ったかも知れないが探し出せんだろうとの事・・・。確かに当時は自作グライダーマニアは沢山居たので、このキャノピーもバカ売れしたんだが・・・。あれから40年以上も経過してるしなあ・・・。オークションサイトで見つかる方が早いかもなあ・・・。まあ・・・その複製をしてます。

● 要するにですなあ・・・。山本さんは、この汎用キャノピーの形状に合わせて、アンタレスの機体デザインを決めたって事ですよ・・・。自分のデザインした機体に市販のキャノピーを合わせるったって、当時もそんなに色んな種類が有った訳ではないんです。よって、世の中のネット物知り~な博士さん達が、二の足を踏んじまった本機アンタレスの複製・・・キャノピーは一から自作しないと完成までは漕ぎつく事が出来ないんですよねえ・・・。其処がね?・・・山本さんの自作機が世の中に蔓延らなかった理由でもある・・・。
 
● 何だ?・・・どんな真新しいプランク方法だと思ってたら、何時もの貼り方じゃねえか!・・・って思っとるやろ!・・・違うんだなあ・・・。だからァ!・・・木村模型の大戦機のユーコンの作り方って言ってるじゃないか!・・・。ただ、キットに付属してたパーツを其のまま貼り込むのは、中学生が作業し易い様にしてあるだけで、此れを大人のモデラーがどう改造したかが本機のキャノピーの木型に応用されるんだけど・・・。今から行うプランク方法は、当時の大人のモデラーさんから教わった貼り方です。其の為にはこの加工バルサが必要なんですなあ・・・。シートは1,5mmですよ。
 
● 本機アンタレスの特徴の一つに、機体フォルムが三次曲面が無い形状なんですが、胴体上部のアール面は完全なる半円で構成されています。何でそうなったのか・・・。其れはですなあ・・・アイエムの汎用キャノピーがそうなってたからですよ(笑)・・・。印刷写真と記事中三面図を見比べれば容易に気づくんですけどね・・・。よって、胴枠の下側には平面の側板シートが貼り込んであるんです。よってアール面は全て半円・・・。作るの簡単でしょう?・・・。
  
● 木村模型の大戦機のユーコンはプロフィール設定機なので、胴体側面から見ると其々の大戦機の形状をしてるんですが・・・。上から見ると基本的な胴体の形状はみんな同じだったんです。よって胴体上部は一応アール面なんですけど、プランク方法ってのが3×10mmのソフトバルサの棒材を隙間無く貼り込む手順でした。ところがアール面に対して、平面の棒材を貼るので、接着面は隙間だらけ・・・。で!大人たちは・・・3mmから1,5mmの湾曲加工した棒材を積層で3mmにして貼り込んでいたんですなあ・・・。一層目のシートの繋ぎ目を隠す様に、二層目のシートは継ぎ目を隠す様に貼り込んでいました・・・。だから機体が丈夫だったんですなあ・・・。今回のキャノピーの木型・・・この工作手順を採用しました。このキャノピーの形状なら厚さ3mmのバルサ棒を貼るには、アール面が急過ぎます。ですが、最初から湾曲加工した棒材を貼り込むんだもの・・・作業性は良くなりますなあ・・・。この貼り込み状況はまだ一層目・・・。此処にもう一枚ずつ1,5mmの棒材を重ね張りします。今度は貼り面いっぱい接着剤のべた付け・・・。接着剤の層が間に入るので、丈夫な仕上がりと成るでしょうなあ・・・。しか~し・・・まだまだ頑丈に成ってもらわんとなあ・・・。型押し成型の木型としてはまだまだ不充分なんですなあ・・・。
 
● 両方ともクイックメンダー5分間硬化タイプです。手前の100グラム容量はホームセンターでも買えますが、後方の1キロ容量はホームセンターには在庫していません。値段は単純に¥8000でした。本機の木型製作にはこのメンダー接着剤が大量に必要です。本来は別用途で購入したモノ・・・。よって残りが此れだけ・・・。でもまだ半分弱有るので、手前の新品状態の4倍は残ってます。このサイズは容器がラミネートなので、最後まで残さず使えるのが良いんですなあ・・・。練った傍から素早く塗り込まないと、その硬化開始までは5分間よりも速いですなあ・・・。ホント!エポキシの中では最強じゃ無いですかねえ・・・。24時間放置すると、もうガチガチですもんねえ。塗り込んだ状態で一時間位なら・・・まだ彫刻刀で削れる硬さなので、使い分けると便利な接着剤ではありますなあ・・・。完全硬化状態なら、粗目の大型ヤスリ棒の両手持ちで奇麗に成型する事も可能なんです・・・。こういう便利な接着剤なので、パテ盛りと成型には優れた溶剤と言えますなあ・・・。
 
● 一層目のプランクシートを貼り込んで、綺麗に表面を磨いたら・・・今度は二層目の貼り込みです。此方はプランクシートの裏側に木工白ボンドをベタ塗りすればOK!・・・。作業は一層目よりもアバウトで良いですよ。隙間は全てクイックメンダーを詰め込みますので・・・。この手順は古くは小倉ホビー小橋氏の自作量産機(通称バチ=三味線のバチに主翼が似ていたから)の胴体構造のオマージュです。此のバチの構造・・・2mmのバルサシートの二枚積層で構成されたスーパーモノコックの胴体です。正確にモールド加工されたベーク素材の胴体の型に、正確に裁断されて湾曲処理したバルサシートを貼り込み・・・その上からシルクを張り込んで乾燥待ち・・・。その後表面を綺麗にサンディングして、もう一枚のバルサシートを同じ処理を施した後、今度は継ぎ目を覆う形で再度接着します。その後・・・中芯であるベークの胴体型を抜き取れば完全モノコックのバルサ製胴体が出来ます。世の中にスペースシャトル素材のシャーレー構造レーシングが出現する以前から、北九州・小倉では・・・既にレーシングが造られていました。

● 今回作っているキャノピーの木型も、言わばバチ構造・・・。一層目のシートの継ぎ目を隠す様に二層目を貼れば良いのです。バチ構造は中芯を抜きましたが、本機は組み込んだままです。キャノピーの胴枠に沿わせて積層しているので、ムクのバルサブロックを目検討で削るよりは作り易いと言えます。此のバチ構造・・・昭和50年代初期には既に確立していました。当工房の大型グライダーは、重心位置から機首側はプランクシートの厚みが3mmあります。尾翼側は2mmの単板貼りですが、機首側は1,5mmバルサの二枚積層構造・・・今回のキャノピー型の構造と同じです。よって大手グライダーメーカーのグラス胴みたいに、重心位置付近の胴体をガッチリ持っても、ボコボコ凹みません(笑)・・・。其の構造が、昭和生まれのジェダイマスターな大御所仙人達には好評です。余計なバラストを詰め込む位なら・・・最初から胴体構造の機首側を重くすれば良いんですなあ(笑)・・・。
 
● 一応全体の削りを入れて完成です。どうでしょうかねえ・・・ムクのバルサのブロック体を削るよりも、早くて其れでいて・・・基準の胴枠に沿って積層したので、逆アールのゲージを当てながらのチマチマとした調整が要らない分、仕上げるのがとても速い!ってのが、この木型の特徴です。ですが・・・この木型は・・・前にも言いましたが、強力なバキューム成型には耐えられないんですなあ・・・。まあ、当工房の型押し成型に使用出来るのが関の山・・・。一行掲載の「此処にこんなのが・・・・。」・・・の類の資料には全く役に立ちませんので、持って行っても好いですが・・・鼻で笑われたって当工房は責任持ちません・・・よって逆恨みの類には断固!抗議しますよってに・・・。

● ベースの縁が約1,5mm程残っていますが、此処を残さないとその後の作業に支障をきたします。元々・・・内部の胴枠は、本来のキャノピー寸法から5mm分小さく作図して組み込みました。所謂プランクシートの積層分です。ですから、必然的にこの寸法分は残す様に設計段階から決めていました。此れが自由ラインのオリジナルなムクのバルサブロックなら必要無いんですが、このキャノピーの木型の場合・・・此処からが本番!昭和のひまし油世代のモデラーよりも、平成のスチレン世代のモデラーの方が馴れ親しんだ素材を使うので理解がし易いと思いますよ。何でもかんでも〇〇〇巻きで補強・・・が好きでしょ(笑)・・・。
 
● 木型の床板ベースの残った部分も綺麗に削り落とすと、胴体側コクピットの寸法よりも全体的に1,5mm分小さい木型が出来ました。さあ・・・此処からが当工房の主にとっては面白い作業の始まりです・・・。この木型の表面を今後の作業でガッチガチに固めます・・・。単純にポリ樹脂塗布だけじゃあ無いんです。ポリ樹脂1,5mm分も皮膜を作る?・・・あんなサラサラの水みたいなもんどうやって載せるんですかねえ(笑)・・・。何かの繋ぎを入れなきゃ無理でしょうなあ・・・。
 
● 生地完成の胴体を塗装して仕上げる場合、その下地にはシルクや和紙を貼り込む場合が殆どなんですが、ガラスクロスが一般的に成ると薄いマイクログラスを下地に使うモデラーも増えて来ました。ガラスクロスにポリ樹脂を染み込ませて生地完成の胴体を頑丈に拘束する事で、その仕上げには専門的な技術が多少は必要に成りますが、其れも数を熟せば然程難しくは無くなります。むしろ・・・元々のクロス使いが船舶模型から波及してきた技術なので、空物ラジコンでグラス使いを覚えると船舶模型への応用も利きます。むしろ船舶模型の方が扱い易い厚手のクロスの貼り込みなので、確実な作業が出来る様に成るでしょう・・・。今回はこの木型を補強するのに、この厚手の船舶用クロスを貼り込んで仕上げてみましょう・・・。(Part-16に続く)