ANTARES-Ⅰ型 (No-19) 山本昇氏オリジナル設定機 Part-2
                    
● 一応の原寸図面を書き終えました。此れで終わりじゃ無いんですなあ・・・此処からが本番!。必要な部品の形紙を取るための部品表を作図しなければ、さあ!材料取りの段階に進めません。一機分の組み立てなら・・・多分、最短コース!。図面を切り抜いて部品取りの形紙に・・・も、一つの方法。ただ・・・私の場合は、この図面は原図として残す方針なので、部品取り用の図面を更に作図します。この部品用の形紙が有れば、改造する時も便利なんですなあ・・・。部品の形紙と原図を照らし合わせながら、どう改造するのか?・・・イラストを描きながら部品の変更が可能だからです。改造が確立すれば、その都度原図の方を修正すれば良いですから・・・。

● この時代の自作機は、ある意味部品が揃い易かったとも言えます。現在の自作モデラーさんにとって、一番頭を悩ませるのが・・・自分で作った飛行機を如何に高級に見せるかと言う透明キャノピーの製作・・・。本機アンタレスのキャノピーは専用に木型から作られたモノではありません。このキャノピーは当時の有名メーカー(IM産業)から販売されていた市販品のキャノピーです。商品名は(GM型=グライダー用キャノピーMサイズ)です。当時はキャノピーのみの単品販売が当たり前だったんです。要するに・・・このアンタレスの設計コンセプトが決定した、さあ!胴体のデザインを・・・の段階で、最初に決定したのがこの市販キャノピーに合わせた機首の形状・・・。キャノピーの形状のデータを正確に採寸してから、胴体のフォルムを決めるという工作法です。

● 自作機に合わせて木型を削り・・・真空成型でボコ~ン・・・が!一番の高等技術・・・って思い込んでる現在のネットのモデラー諸氏・・・。市販のキャノピーを、老舗の模型屋のジャンク箱から見つけて来てデータを採り、其れに合わせて胴体を作図する自作方法も有るんですなあ(笑)・・・。模型用品は何でもネットで・・・なんてやってるから、目の前の便利グッズを見逃してしまいます。一度国内の色んなメーカーさんのホームページを閲覧してみましょう・・・。飛行機のキットに透明のキャノピーが部品として付属しているなら、大概の大手のメーカーさんなら単品販売しています。其れを改造するのも一案ですし、香ばしい感じの老舗の模型店はジャンク品という化石みたいな昭和の売れ残り品が在庫されている可能性があります・・・。模型屋のオヤジに聞くなり・・・お店の中を探検するなりしてみましょう・・・。私の経験上、こういうジャンク品は、お店の奥の方・・・あまり陽の当たらない隅っこに置いてある場合が多いです・・・。
 
● 画像は本機の主翼です。主翼中央部のピンダウエルは直径6mmの真鍮パイプと指定されていますが、当時も今も・・・入手は困難でしょうなあ・・・。東大阪の間口が二畳ほどの広さしかない、個人経営の金属パイプ専門店みたいなお店を知っているなら別ですが・・・。ホント!民家の一帯に隠れる様にお店が有るんだもの・・・、誰かの紹介が無ければ見つけられんでしょうなあ(笑)・・・。私だってOK模型勤務中に、工場長に連れて行ってもらって初めて知ったお店です。1メートルほどの単品買いが出来る良心的なお店だったんですけどねえ・・・。まあ、OK模型の本社から歩いて行けたから、ノラ猫さんの行動半径以内くらいの範囲とでも言っておきましょう・・・。近鉄俊徳道駅か永和駅の周辺だったかなあ。

● よって主翼前縁側をピンダウエルにする場合、現在の状況なら直径6mmのカーボン製シャフトでもパイプでも代用品として使えると思います。ただ・・・このピンダウエルの並行配置・・・。主翼が完成してからドリルで無理やり孔開けて・・・って付け焼刃みたいな作業が不可能です。上面プランク前にクリアランスを調整するという高等技術が必要ですなあ・・・。胴体側の胴枠の上部に、ズレなく並行配置で正確にダウエル受けの孔を開ける必要も在りますし、此れが本機の主翼の迎角を決定してしまう場所ですからねえ・・・。無理やりって工作は、後から色々と弊害が出て来ます。主翼後縁側のカムロックなんかも(IM製)を指定してますが、現在はもう取り扱って無いでしょうなあ・・・。ならば自作・・・なので、此方も入手可能な素材で対応するしか無いでしょうなあ・・・。
 
● 本機のフラッペロンの動翼なんですが、多分・・・当時の木村バルサでは取り扱っていなかったエルロン材のサイズなので、厚さ8mmのバルサ板から切り出して、後縁用のテーパー材に削り出した自作品でしょう。実は、こういった特注に近いサイズのエルロン材は、自分でバルサシートを購入して自作するのが当たり前の時代でしたので、まあ・・・自前のサンドホルダーをお助けグッズとして持っていたモデラーさんだから作れたって背景も有るんですなあ・・・。そんなホルダーなんか作れないから、本機は作れない!・・・って諦めるモデラーさんは、最初から本気で作ろうなんて思わない人ですよ。挑戦する気持ちよりも・・・面倒臭え~・・・が先に出てしまうからでしょうなあ。

● まあ・・・そういう人向けに別の方法を・・・。ってこっちの方が面倒臭い工作なんだけど、CADが有ろうが無かろうがアナログ作図のみで作れるエルロン材です。主翼と一体で組み込んで後で切り離すので、ヒンジラインのアライメントが出し易いメリットが在ります。ただですなあ・・・部品を正確に作って組み込まないと、切り離せなくなるっていう面倒臭さも兼ね備えています。ネット上ならラジ絶さんやらそのお仲間の自作モデラーさんの製作記事を参考にするのも良いでしょうなあ・・・。最初は面倒臭いんですが、其れが当たり前の作業に成ると・・・面倒臭く無くなるんですなあ・・・。ですから、ラジ絶さんの工作を観てれば解りますけど、難しそうに組んでないでしょう・・・。ラジ絶さんにとっては当たり前の工作方法だからですよ。何度もやってりゃ誰でもそうなります。

● 本機のフライングスタビの分割用のパイプ・・・。当時の指定は内径2,4mmの金属パイプなんですが、令和の現在ならカーボンパイプの方が入手し易く工作し易いでしょうなあ・・・。特に中華製の場合は、このパイプの中の空間が真円じゃなくて歪なんですわ・・・。この歪なパイプとシャフトを上手に使えば、抜け難いカンザシが出来る場合もあります。こういった不良品を上手に使うという裏技も在りますなあ・・・。よって直径4mmのカーボンシャフトと内径4,1mmのカーボンパイプの組み合わせに変更しています。
 
● 胴体側板の形紙を作図しています。過去のお話・・・当工房がバルサキットを作図し直して複製していると記載したら・・・。大型の印刷機を使って、図面を等倍コピーするから形紙が作れる・・・。って何処かのネット物知り博士が自分たちのお仲間掲示板で揶揄してたんですが・・・。「きっと!古巣のメーカーとかに頼んでやってもらってる・・・。」なんて、勝手に書いてましたが・・・。まあ、其れがネット上の博士たちのヤッカミなんでしょうけどね。真実は此処に有る(笑)!・・・。

● 自分で書く原寸大の図面・・・バルサキットに付属している原寸大の図面・・・どちらからも、普通に形紙は作図可能です。要はその情報に気付けるか諦めるかの違いです。別に等倍コピーなんかしなくても、そんな大掛かりで大袈裟な事をしなくても出来るんですなあ・・・。市販の方眼紙には無地の縁部分(白いとこ)が有るでしょう?・・・。方眼紙の目盛りから無地の白い余白の境界線って、直線なんですよねえ・・・。此処から目盛りを頼りに胴体直下までの距離を測り、一本の線を引きます。当工房の図面の場合、胴枠のラインは方眼紙の目盛りに沿って描いてます。要するに・・・何処の胴枠でも良いんです。直角に交わる直線を書き入れます。此れが全ての基準線と成ります。
 
● トレースする側にも一本の直線を引きます。当工房は直接形紙と成る厚紙を使いました。この厚紙の幅は80mm・・・市販のバルサシートの定尺幅と同じです。側板作図の際・・・全体が80mm幅で収まる事が解ったので、最初から厚紙を80mm幅にカットして作図しています。厚紙の手前側が、図面上の定規の直線と同じ位置だと思って下さい。図面上でその寸法を測り、其のままトレースすれば側板の下部ラインの座標が作れます。此れを原寸図面から同じ位置で拾ってトレースすれば良いのです。ね?・・・簡単でしょ?・・・。何も大型のコピー機で複製印刷なんかする必要が無い・・・。中学の三年辺りでグラフ用紙に放物線を描いたのを覚えていませんか?。Ⅹ座標とÝ座標の数値を公式で求めて、その数値の交点をグラフ用紙に書き入れて放物線を引いたでしょう・・・。やってる事は同じですよ。中学レベル・・・。座標は多ければ多い程、画像みたいな曲線は図面通りに引く事が出来ます。

● 最近は専用道具で図面の上をスライドさせて情報を読み取り・・・其れをモニター上に図面として映し出す技術も確立されているんですが、その事を自慢げにネット物知り博士が言ってたんですなあ・・・。でも・・・スキミングすれば楽!って言うけど、結局の所・・・等倍コピーの図面を複製する時や形紙を作る時は、レーザー加工機やらプロッターみたいなハイカラで高額な機器が必要なんでしょう?・・・。でも、この方法でも一応原寸大の複製は可能です。まあ・・・実質の出費は厚紙一枚分の数百円ってとこですかねえ・・・。この厚紙の定尺は(800×1100mm)なんですが、一枚あたり¥200位だったかなあ・・・。其の内の(80×1100mm)を切り出して使うので数十円分でしょうかねえ・・・材料代って。本機の側板の必要寸法が1030mmなので、この厚紙で充分です。
 
● 昭和の化石みたいな青刷りの原寸図面ですけど、同じ様に型紙を作図出来るんですよ。何もスキミングなんてハイカラ機器を使わなくても・・・。胴枠に直角に直線を一本引くか・・・、この機体の側面図の上部に胴体の上面図が有るんですが、胴体の中心線は直線です。胴枠の幅が材料の厚みですので、側面図とは三次元立体で平行と直角です。要するに・・・この上面図の胴体中心線から、側面図の胴体のラインを計測して型紙にトレースすれば良いんですなあ・・・。何も複雑に考えなくても・・・。まあ、面倒臭い作業には成りますけど、実はこうやって正確に作図して、ネット上の自分のブログやお仲間掲示板ではハイテク機器を使いました!って言っても、誰も疑いません。誰しもが其れが当たり前だって信じ込んでるからですよ(笑)・・・。画像の作図なら、キャノピーのアールも正確に作図出来るんだもの・・・木型を作る時の基準線を採寸するのも楽ですよ。
  
● 現在形紙作成中です・・・。あれ?・・・今までと形紙の作り方が違って見えるんだけど・・・。今までは方眼紙に作図して、スプレー糊で厚紙に貼り込んでから切り出す方法でしたが、実は厚紙のみを使って作図する方法もあるので、今回は此方の手順で形紙を作ります。まあ・・・方眼紙を使った方が目盛り付きなので、寸法を間違え難いってメリットが有ったんですけど、此れが面倒臭いって直接コピー用紙等に作図するモデラーさんの方が多いですよね。作図したらスプレー糊で直接バルサに張り付けて切り出した方が、模型歴が百戦錬磨のプロっぽくて、如何にも大御所って雰囲気なんですが・・・。厚紙が手に入るなら、作図は此方の方が楽だったりします。自作初心者さんにはお勧めでしょうなあ・・・。
  
● この厚紙は片面が白・・・裏面はグレー・・・厚みが1mmほどあります。サイズは(800×1100mm)なんですが、隣町の文房具店で購入してます。我が町は人口約4000人弱の小さな町ですが、お隣の加津佐町も人口はよく似たモンです・・・。もっと少ないかも・・・。私が物心ついた昭和30年代から在る文房具店なので老舗中の老舗ですが、都会の東急ハンズみたいな超ハイカラなお店じゃないけど、昔ながらの雰囲気を持った文具店です。目の前が町立の小学校・・・。よって喰いっ逸れが無い立地条件なので、田舎にしては文房具だけではなく・・・高度な製図用具も揃います。よってB1サイズ(700×1000mm)の1mm方眼氏も手に入りますし、比例コンパスだって注文すればお取り寄せしてくれます。さて!・・・この厚紙・・・どんな文具店でも取り扱うのかというと、入手し易い文具店の条件があるそうです。この厚紙は、小学校で使うよりも保育園で使う方が圧倒的に多いそうなので、小学校プラス保育園が近場にある文房具店なら、在庫する可能性が高いそうです。
 
● ホームセンターに在庫してますが、角度変更型のスコヤです。この分度器部分を厚紙の縁に当てて直線を引いて使います。要するに・・・用紙の中心と成るⅩ軸とÝ軸を基準に目盛りを入れて作図すれば画像みたいな作図が比較的楽に出来ます。ただし・・・この厚紙に精密な条件が付くんですなあ・・・。この厚紙のサイズは(80×120mm)です。本機の胴枠のサイズで一番大きいので、このサイズで数枚切り出します。この用紙は縦幅と横幅が完全に平行配置であり・・・尚且つ!四隅の角が全て完全なる直角である事・・・此れが歪でいい加減だと、作図は不可能です。
 
● 加藤無線(MK)勤務中に、開発室長から口を酸っぱくする程指導を受けた加工技術があります。昇降盤を使ってバルサ材を角度切りする時も、上記の角度変更型の定規の大型版を使って角材やシートを直角に切り出します。此れは上記のスコヤを使って厚紙を直角に切る時と要領は同じなんです。カッターナイフで切り出したら、片方を上下逆にして、縁を突き合わせます。画像ではピタリと一致していますので、スコヤの角度は完全なる直角で調整されています。この厚紙の上下に隙間が僅かでも出ると、スコヤがまだ直角では無いと言う事です。此れが好い加減だと、バルサ材を複雑加工するバルサキットを作る事は不可能なんです。興味のある人・・・信じられない人・・・昇降盤の使い方と検索して、ネットで情報を得て下さい。詳しく紹介されています。今回の分度器による材料カットと作図はその応用です・・・。
 
● 胴枠ナンバー(F3A)はキャノピーラインなので、後方に24度傾斜しています。胴体の上面が完全なる半円の場合、垂直に成れば額面通りの半円に成るんですが、此れが傾斜すると完全な半円に成りません・・・。よって半円が傾斜した状態で胴枠を作図する必要が有るんです。胴体の幅は垂直胴枠も傾斜胴枠も同じです。よって垂直胴枠の正面図を作図してから、今度は胴枠を傾斜させた側面図を作図します。垂直胴枠側から等高線を引くと、傾斜する胴枠側とのアールの位置が解ります。この間隔を今度は別途計測して、傾斜胴枠を作図します。垂直胴枠の等高線とアールラインの交点をデバイダー等で移し取り・・・傾斜胴枠側にトレースして雲形定規で自然なラインでカーブする様に描くと、(F3A)の傾斜胴枠の寸法が決まります。この作図方法は中学の技術の時間に習った筈です。私と同年代なら知ってて当然の知識ですよ。
 
● ラジコン技術誌に掲載されている山本さんの製作記事中の胴枠(F3)のピンダウエルの受けの位置なんですが、当工房の場合は長方形の角ダウエルに変更しました。この角ダウエルと最初に対峙したのは、加藤無線(MK)の製品であるグロー60クラスのフォッケウルフのキットを組んだ時です。この時代は二列のピンダウエルが当たり前の常識だったんですが、加藤無線の場合はこのフォッケのみが角ダウエルでした。工作上の良し悪しはモデラー毎に違うんでしょうけど・・・、私の場合はピンダウエルよりも角ダウエルの方が性に合っていたので、それ以来自作機は角ダウエルです。

● 以前にも記載したんですが・・・ラジコン技術誌に掲載されている、この山本さん機の各種の胴枠・・・正確ではありません。其れが原寸サイズの表記が有っても、微妙に寸法がズレてます。本機の場合は形状は参考に成りますが、原寸サイズでは無いので拡大せねばなりません。胴体側板最後部に取り付ける垂直尾翼の(V2)ですが、胴体側面図と(V2)部品正面図の形状が合いません・・・。山本さんの製作記事は、その基準が自分と同等の知識を持ったモデラー・・・なので、構造が理解できないモデラーさんからは嫌われています。完成した機体の評価はとても高いんですが、とにかく構造と説明文が難解過ぎて・・・ラジコンブーム時代のネット物知り博士からは不評でしたねえ(笑)・・・。

● 当工房複製の胴枠の形紙なんですが・・・斜線を記した部分は本来必要ありません。ただ・・・胴枠の肉厚が最大限細いので、強度維持と形状維持の為に残しています。実際にベニヤにトレースした場合、垂直方向の補強材は描きませんが、胴体幅の補強材は残さないと、側板の圧着時に胴枠の踏ん張りが効きません。胴体がある程度組み上がったら、細刃のノコギリで切り取る予定です。

● 本機を製作された山本さんは、まず機体の寸法と内部構造体を決める前に、搭載するラジメカサーボの機械式ミキシングのユニットを組んで、その全体寸法を計測・・・このユニットが完全に機能する様に内部構造体を計測してから、機体の全体寸法とアウトラインを決定したそうです。今回複製するにあたり・・・外部寸法が既に決定しているので、其れに合わせて令和のラジメカサーボの機械式ミキシングユニットを組み込まねばなりません。結局・・・複製するのなら、電気ミキシングにした方が構造は簡単なんですが、問題が一つ・・・。主翼に直接エルロンサーボを振り分け搭載した場合、重心位置よりも後部にしかエルロンサーボが収まりません。よって同じ構造ではテールヘビーは確実に起こります。構造を原寸大にした際、その軽量化に特化した構造なので抜ける部品がありません(笑)・・・。其処で、機体のリンケージは昭和のアナログを其のまま複製して搭載する事になりました。因みに・・・山本さんの機械式ミキシングユニットは、エルロン・エレベータ・フラップ・スポイラーの四つの機能を3サーボでリンケージしています。ところが!・・・此れを令和の電気ミキシングにすると、4サーボ必要に成るんですなあ・・・。おまけにテールヘビーは確実・・・。機首先端にどれだけのバラストが必要なのか見当も尽きません。結局の所・・・このアンタレスの場合、胴体内部にラジメカ全てを搭載する方が機体は軽くなるんですなあ・・・。矛盾してる様に思えますけど、此れが山本昇さんの自作機のミラクル的七不思議なんですなあ・・・。
 
● まだ全ての胴枠では無いんですが、一応胴体の基本形状は組立て可能な分は作図出来ました。右端の垂直尾翼の芯材込みの後部胴枠は積層のバルサを使用して組み込みますが、他の胴枠は全て3mmのベニヤです。本機の場合は動翼全てのコントロールに必要なラジメカ・サーボが胴体の機首側に鎮座します。よって、要領確保の為に胴枠自体の肉厚が薄く・・・強度維持とテールヘビーを避けるためには、後部胴体側の胴枠も大きく繰り抜かなければ成りません・・・。まあ・・・見た目として、ヴェガシリーズよりも作り易そうなんですが、気を抜くと大失敗しそうな恐怖感はありますなあ・・・。よって、機械式ユニットの一部にブラケットを設けて、胴体内部構造体にビス止め固定を採用した方が良いでしょう。言うは簡単・・・ところが数ミリ単位の余裕しかないのが現状でしょうね。
 
● 方眼紙を使わず直接厚紙にリブの型紙を作図しています。リブの翼弦を作図する為に、原寸図面と同じ翼の上面図を書き込みます。お次はこのリブ毎の翼弦を10分割するんですが、作図したモデラーなら誰もが思う事・・・。整数の翼弦(例えば300mm)の場合は、10分割なので1区間は30mmなので、定規を使えば簡単に目盛りを書き込めます・・・。ところが198mmになると、10分割なら1区間19,8mmと少数点が付きます。こうなるともう定規ではお手上げです。で!私の場合はどうするのか・・・。翼弦が整数で収まるリブの翼弦を見つけ、そのリブを10分割すれば小数点は付きません。よって目盛りを入れたら今度は長い定規を使って整数で収まるリブの区間ごとの座標を正確に合わせて、単純に直線を引きます。この時に各リブの翼弦線にちょっとだけ印を入れる程度にします。此れで全てのリブが10分割されます。数学で言えば幾何学ですかねえ・・・。
 
● 10分割はしましたが、この状態ではまだ各リブの中にある基準線とは直角では無いので、正確なリブの翼型を描く事が出来ません。画像の中に等ピッチ(60mm)で並んでいるリブの翼弦線なんですが、今度はリブの側面形を作図する為の基準線に直角に交わる線を書き入れます。方眼紙の時は上下左右に交わる線があったのでこの線を入れるのは容易だったんですが、無地の厚紙の場合は画像の様な作図で基準線を書き入れます。面倒臭い作図なんですが、パソコンを使わない昭和のジェダイマスターには大好評!(笑)・・・。
 
● 作図の難所である画像の2番リブ・・・。中央リブからピッチが18mmしかありません。最大翼厚が8%のエップラー180でも24mmなので、画像の様に2番リブの翼弦線に被さってしまいます。この翼型は半対称なので、基準線の下面も上面ほどでは在りませんが膨らんでいます。よってこのままでは作図で来ても切り抜いての形紙が作れないのです。本機は山本さんがあらゆるリブの作図や、工作する構造が容易に成る様に全てのリブピッチを60mmで設計しました。実は・・・このピッチなら、主翼を正確に組む為の治具台の形紙まで容易に作図する事が可能なんです。
 
● この2番リブを作図する為に、他のリブと同じピッチの幅60mmの厚紙を別途用意して、前縁側と後縁側を固定します。後はスコヤを使って2番リブの10分割の座標を追加用紙の基準線にトレースします。前縁側の1区間は翼型のアールがきつくなるので、更に4分割・・・。雲形定規のアールで翼型トレースといっても・・・限界があるので、山本さんの作図でもこの部分は細分化しています。別紙に2番リブの作図が終わったら、このラインは消してしまいます。作図の際の妨げに成るからです。(Part-3に続く)