ANTARES-Ⅰ型 (No-19) 山本昇氏オリジナル設定機 Part-7
   
● 主翼後部の固定ビスの台座を作ります。PVC樹脂の棒材の断面寸法10×20×1000mmから、30mmだけ切り取って、画像の様な段付けのブロック材を作ります。寸法は20×30mmなので、端から1mmずつ3mmベニヤとツライチに成る様に・・・天面仕上がり寸法18×28mmになっています。3mmのシナベニヤの抜き寸法はPVCブロックの天面寸法と同じなので、ぴったりハマっても周囲段付け1mm分がストッパーに成り、ビスのタップを作ってもベニヤから抜けるといった不具合は起こりません。ただし・・・胴体への固定には必ずエポキシ接着剤を使う事が条件です。

● 本機の主翼は上面で上反角0°設定で、下面のみテーパー翼分の上反角が付きます。よって固定台は若干下げて固定する必要があります。其の為に両側板の内側、ストリング材3×3mmのヒノキ棒の下にブラケットを接着して台座を固定します。此れでヒノキ分3mmの空間が出来ました。主翼下面の上反角は片翼900mmなので、翼端リブとの厚みの差は8mmです。約1度位なので主翼の下面中央リブとの緩衝はありません。ビス自体の抜け止めに厚さ2mm程度のゴムワッシャを挟んでも大丈夫ですね。
 
● 初期型あ~り~さんを、まさかネット物知り博士とは思わなかったので・・・大御所さんの言われるままに試作機を渡したんですが・・・。大御所と同じ様に指導の下、作ってくれるかと思ったんですが、画像のPVCブロックにOSエンジン(小川精機)発売の3mmねじ用爪付きナットをハンマーで叩き込んで瞬間接着剤で固定していました。大御所さんから固定の台座の手順を聞いていたんでしょうけど・・・。自分のページの知名度を上げるには、何か目玉に成る様な的な改造をしたんでしょうけど・・・片づける時に分解しようとしたら、台座から爪付きナットが外れて空回り・・・結局の所、胴体下部の分厚いプランクを破ってラジペン使ってナットを押さえ・・・二人掛かりでやっと胴体から主翼が外れました。自分のページで説明文まで書いて画像で紹介した、やってはいけない改造例・・・。ご本人は接着剤の量が足らなかった・・・と言い訳・・・。う~む、全然気づいていない様ですなあ・・・。

● 通常・・・爪付きナットを叩き込む相手は厚みのあるベニヤです。叩き込んだら一度抜いて、今度は爪の孔やらナットの周辺にエポキシを塗り込んで再度圧着・・・。金属をエポキシで木材に圧着する場合は、かちこんだ爪付きナットの裏側の周囲にもエポキシを盛って抜け止めの処置をしなければなりません。PVC樹脂にナットを叩き込んで、シャブシャブの瞬間を大量に流し込んでも、ナイロン樹脂の台座よりも遥かに金属の方が硬いので・・・まあ、完全なる接着は望めません。あいにくこの日の天候は曇り空・・・何時雨天に成っても可笑しくない位に湿度が高い日でした。そらなあ・・・瞬間接着剤は衝撃と湿気には弱いんですよねえ・・・。其れと・・・ナイロン樹脂って素材は接着剤が染み込まないでしょ?・・・だから、今回の組み合わせは最悪です。多分・・・閲覧していた昭和のモデラー諸氏からは、失笑されていたかも知れませんなあ・・・。

● そんな事あるカ~イ!って天邪鬼なモデラーさんは、一度ドツボにハマって下さいな。もし・・・どうしてもPVC樹脂に金属ナットを取り付けたい時は、画像の可動式ノーズストラットギヤのホーンみたいに、タイヤストッパーを内蔵すれば大丈夫ですよ。画像のホーンはインジェクションの成型品ですが、金型にタイヤストッパーをセットして、オス型メス型を合体!・・・溶剤を流し込んで急速冷却・・・蓋が開いたら、ポロリと成型機下部の水張りのたらいに落ちて来ます。まあ・・・金型造れば簡単ですよ?埋め込みなんて・・・。どうでしょうか?天邪鬼なモデラーさん!お友達に頼んで金型造ってもらえば・・・。多分一台300万円くらいするんじゃないかなあ・・・簡単で精度の低い金型でも・・・。一個しか必要無くても、自分だけのオリジナルなカスタムナットが出来ますよ?・・・私には必要無いですけどね・・・。使用するインジェクション成型器の大きさは決まっていますし、片手で軽々持てる重さでは無いですよ。チェーンブロックで吊り上げないと・・・両手で持ったって成型器には取り付けられませんなあ・・・100キロ近い鉄の塊ですしね。粗悪な中華製の金型って、溶剤を充填する際にオス型とメス型の合わせ面から溶剤が漏れて来るそうです・・・。そんな精度の悪い金型なら、もちっと安いかなあ・・・。
  
● 胴枠4枚分・・・3区間を一枚のバルサシートでプランク出来るなんて・・・流石に2次曲面までしかない胴体って便利ですなあ・・・。胴枠は全て相似形の半円なので其れが可能なんですなあ・・・。アンタレスのフォルムは滅茶苦茶カッコ良いのに、複雑なアール面が無いので作り易いです。オリジナルデザインの好いトコ取りのオンパレードですなあ・・・。垂直尾翼直下も胴枠三つで2区間分・・・アール胴枠から平面への移行プランク・・・。内側を薄く削って貼りこんでます。こんなに胴体のプランクの楽な飛行機って珍しいですよ。スケール機っぽいデザインなのに・・・。まるで昭和の3部組みF3A機のキットみたい・・・。実は加藤無線(MK)では、バルサキットばかりを作っていた訳ではありません・・・。画像の様にバルサシートを貼り合わせた半完成バルサキットも作っていました。ただ・・・そういうキットは一般的に流通していなかっただけでして、まあ・・・社長のお目に叶ったマスターズクラスのF3Aモデラーさん専用のハイクラスなラジコンキットでした。このハイクラスキットを作っていたのは開発室長・・・。当時、関西では名の知れたカスタム屋さんです。社長にスカウトされて入社・・・。カスタム職人のまま室長をやってたんで、ある意味一人親方って肩書です。私の師匠でもある・・・。畑違いなんですが、室長の技術は観て盗んでました・・・。
 
● 機首先端から重心位置付近までの胴体下部にはお決まりのスキッドの取り付けです。ガルモデルのキットでも当たり前なヒノキのスキッド・・・。山本さんの自作機の殆どもヒノキのスキッドが使われています・・・。何故にヒノキなの?・・・。さあ・・・何故ヒノキなのか、簡単に言えばバルサ棒よりも硬くて頑丈だからでしょうなあ・・・。ただ、硬い木々や岩に当たると削れますし凹みます。大体は4~5mmの角材が使われるんですけど、その着陸時の衝撃度合いで破損する度合いは変化しますが、このヒノキのスキッドのおかげでバルサの底板が破損を免れた機体がとても多かったので採用されたのでしょう・・・。そういえば私もメールで質問されるまでは、深~く考えた事は無かったですなあ・・・。

● ただですなあ・・・昭和の遺物をオークションで安く落札した平成のスチレン世代のネット物知り博士には、目の敵みたいな苦情の嵐・・・。曲げ難いだの曲げの力加減で折れるだの・・・言いたい放題ですなあ・・・。其れってヒノキの特性を知らないから言ってるだけで、折らずに曲げる方法は幾らでも有るんですがねえ・・・。間隔を詰めて切り込みを入れるとか・・・。まあ、切り込み分の多数の溝が側面に残りますがねえ・・・。普通に曲げたらそりゃ折れるでしょうなあ・・・。両手の親指と人差し指でヒノキの棒材をしっかりと持って、圧縮しながら曲げると折れ難く成ります。一点集中では曲げる範囲に限界が有りますが、切り込みを入れる曲げと同じ様に、間隔を開けて曲げれば画像の様に胴体下部のアールに沿う程度までなら曲げるのは容易いですよ。

● もう一つの方法は、画像で紹介してますけど・・・。本機のスキッドは4×4mmのヒノキの角材を曲げて接着する指定なんですが、だったら2×4mmを二層に分けて貼りこんでも仕上がり寸法は同じです。ヒノキも薄い方が曲げ易いですしね。エポキシを使ってバルサの底板に貼りこんでバンドで固定・・・。二層目は同じ手順で今度は一層目のヒノキの面にエポキシで貼りこみ硬化するまで放置プレイです。本日の工作工程の最後の作業なので、明日の朝までこのまま放置します。さあ!いよいよ主翼の組み立てに移行します。ワンピース翼なので然程難しくは無いんですけど・・・山本機はすんなりとは組めんのですよ(笑)・・・。適当に組むと必ず次の工程で行き詰まる仕掛け・・・。結局ですなあ・・・かなりシビアな構造って所なんですなあ・・・。レーザーキット馴れしてるモデラーの方が理解し易く思うんですけど、多分レーザーキット馴れしてるモデラーの方が苦労するんじゃないかなあ・・・って思う構造をしています。

● 翼端側のリブに8mmのカイモノをしてリブ組みせよ!・・・とか、翼端側の後縁が5mm浮く様にカイモノをすれば捻り下げが付く・・・とか、何のこっちゃ理解不能になるんじゃなかろうか・・・。片翼900mmで翼端側リブの後縁先端で5mmの空間の捻り下げ度合いって、ゼロコンマ何ミリの世界なのでそれらの治具を組む方が難しいでしょうなあ・・・。主翼の上面の上反角はゼロに設定・・・主翼の下面のみ上反角が付く・・・要するにリブはこの状態で主翼上面に対して垂直に取り付けろ!って事です。だったら裏返して組めば良いんじゃない?・・・って考えるでしょうけど、意外と難しいでしょうなあ・・・(E180)って翼型の場合は・・・。組み立て工程をどう説明しようかと思案中・・・。物凄く簡素化されたイラスト図の記事しか無いんだもの・・・肝心な所の説明が省略されているんで、こういう所が山本機の工作の難しさとも言えますなあ・・・。だから手抜きのバッタもん機しか存在しないのかも・・・。手抜きのバッタもんでも「大変!良く飛びました!・」って記載してるけど、完全複製機ならもっと良く飛ぶので「物凄く良く飛ぶ飛行機です!。」の評価に成る筈・・・。其処を目指せば、自分の工作のレベルと飛行技術も向上すると思うんですけどね。だから記事を書くのが難しいんですよねえ・・・。
  
● 主翼のリブ組み治具を作ります。中央の画像上の左右の主翼の結合図・・・翼端リブに8mmのカイモノをしてから結合するって事は、メインスパー上部では上反角0°に成り、下面のみ上反角設定が入ります。通常の製作記事ならリブ組みの様子も印刷写真で掲載されても良いとは思うんですが、このアンタレスにはありません・・・。もし、何の指示も無かったら・・・普通のモデラーなら工作台の上にメインスパーを置いたら、リブは垂直に立てるでしょうけど・・・本機の場合、その組み立てだと主翼結合時はリブが傾く結果に成ります。リブが傾こうがプランクシートの内側なので別に好いじゃん!・・・でも良いんですけどねえ・・・。本機の主翼には捻り下げ設定が入るので、上面プランク前に主翼を捻って固定せねばならんのですが、今度は基準が採れなくなるんですなあ・・・。

● よってリブ組みの段階から上反角分のリブ組み台を設置してからリブ組みをすれば、リブは組み立て台の定盤に対して垂直に立てればいい事になります。翼端リブの下面で8mmのカイモノなんですから、翼根側1番リブの地点で3mm浮かせば翼端側では11mmに設定すれば8mmのカイモノと同じ設定と成ります。厚さ5mmのテーパー材をバルサ棒で切り出すのは大変難しいので、3mm浮かして切り出せば翼根側は3mm残せますので切り出しの基準が採り易くなります。使用するのは木村バルサの定尺棒材5×15×915mmのハードバルサです。一本で二本分のテーパー材が採れるので、両木口に3×5mmのヒノキを貼りました。
 
● 肉厚3mmの角パイプにアルミアングルを固定すると、段付きの直線治具が出来ます。この治具にヒノキ面に数か所の両面テープを張り付けて、アングル側に固定します。この木村バルサの棒材・・・必ずしも直線ではありません。昇降盤で幅切りしているので15mmなんですけど、900mm定尺材でも湾曲している場合が殆どです。よって数百本の在庫から、なるべく真っ直ぐな棒材を選びましたが、画像の様に治具に張り付けてからボールペンと1000mm定規で直線を引いた方が正確です。メインスパー用と後縁用のテーパーの部材が完成しました・・・。こんな面倒臭い事を数時間かけてやるのは、このアンタレスの主翼が薄い翼型だからですよ。治具無しで組める様な寛大な翼型じゃ無いんですよねえ・・・このエップラー翼は・・・。

● 山本さんの自作模型を複製しておられる日本中のモデラーさんでも、あれ?・・・っていう何か不思議な感覚に見舞われたと思いますが、その感覚は間違いじゃ無いんです。本機アンタレスに使用された翼型(E180)を原寸で作図すると、図面表示のエルロン材の部材厚さ8mmだと主翼側が薄くなってしまうんですなあ・・・。よって主翼側は8mm以上のヒンジラインの厚みに仕上げないと段差が出てしまうんですなあ・・・。図面表示でも部材の寸法を全部足すと9mmになるので、エルロンは厚さ最大8mmで良いんです・・・。ところが綿密に作図したモデラーさんが、作図した翼型からエルロン分を引いた後縁のヒンジラインの厚みは8mmに成りません・・・。もっと薄くなるんですなあ・・・。じゃあ!正式な(E180)では無いって事なんですなあ・・・。折り込み三面図の記載されたこの(E180)なんですが、翼型基本図と記載されているんですが、実機の場合は此のまま使えば良いんですよ・・・高性能ですから・・・。

● ところが、模型機の場合は・・・使用する材料との兼ね合いから、少々の翼型の変更は当たり前に行われています(笑)・・・。まあ・・・ネット社会になって、こういった昭和の大御所の粗を突いて楽しむネット物知り博士が増えたんですが、結局の所・・・このサイズで正確な翼型を作図して組み込んだとして、果たしてどれ位の性能アップに成るのか当のご本人さえピンと来ないんじゃないですかねえ・・・。綿密に設計した狂いの無い(E180)を、指定の材料と構造で作れたとして・・・同じ強度で仕上げられるかの問題・・・。簡単に言えば飛行中のオーバーGに耐えられる仕上がりに出来るかって所なんですけどねえ・・・。強度を得る為に全面プランクに改造して・・・ヒンジラインはトップヒンジのテープにして・・・左右振り分けのハイトルクサーボに換装して・・・ってやってたら、多分・・・このアンタレスの額面通りの翼面荷重では仕上がらないでしょうし、改造した分全部が重心よりもテールモーメント側なので・・・どれだけのバラストを機首側に増し増しするのか・・・そういった事まで考える必要が本機には有るんですなあ・・・。よってラジメカの殆どがコクピット付近に集中していると言う事を考えなければなりません。よって工作の利便性から・・・翼型の一部を変更するというのは悪い事では無いんですなあ・・・。

● 誰も気づいて無いだけで・・・ガルモデルのグライダーで多用された翼型(ラムロッド)なんですが、一条さんはその翼型を私的に変更して(ラムロッド改)としていますが・・・此れも後縁側の厚みの問題が有ったからでしょうなあ・・・。薄い翼型はキットを正確に組めるモデラーとそうでないモデラーの差がハッキリと出てしまうからですよ・・・。よって苦汁を舐めたモデラーさんは、二度とガルモデルのキットは買わないでしょうしねえ・・・。だから作り易い様に翼型の一部を変更したんじゃないでしょうか・・・。このラムロッド改なんですが、フラットボトムの翼型ではかなりの薄翼の部類です。よって飛ばし方によっては走るので、スロープ競技では重宝されてきました。ただ・・・フラットボトム翼なので半対称翼に比べると、浮きは良いんですが逆宙返りを含むアクロバットが出来ません。よって低高度で背面に成ってもエルロンの無いラダー機の場合は、回復行動が出来ないので唯々・・・墜落を見送るしか無かったのも事実・・・。大御所さんの自作グライダーは図面通りに作って初めてその性能を実感できます・・・。私的な改造を加えるのは二機目以降からにしましょう・・・。因みに・・・フラットボトム翼の機体を背面にしたら、それも低高度では引き起こしの逆宙返りが出来ないので・・・一か八かの正宙返りを行うしかありません。よって運が悪いと・・・地面と激突ううううう。
 
● ・・・えらく手抜きのリブ組み治具やなあ・・・。と思われた方、多分・・・山本さん自身もこんな治具さえも作らず主翼のリブ組みをやってたんじゃないでしょうか。昔~し・・・見本市会場に来ていたラジコン技術誌の編集部員に、その辺を尋ねたら・・・治具に関する原稿は預かった事が無いとの事・・・。でも、記事を読む限り・・・スパンが3600mm近い大型のソアラー(アンドロメダシリーズ)を見る限り、治具が無けりゃ正確に組めんだろう・・・って実感するんですけど、多分・・・使って無いんでしょうねえ・・・。ただ・・・治具の代わりに何ミリの厚みのバルサ棒材のカイモノを使ったり、捻り下げ設定の為のテーパーに加工したカイモノを使ったりと、誰でも加工できる治具らしきモノは記載されています。

● ただ一つ疑問なのは、捻り下げの為のテーパーな部材を主翼下面に挟んで上面のプランクを行うって事は、かなり精度のある定盤を使わなかったら正確な捻り下げなんか出来ないんですなあ・・・。カイモノをして・・・って図解で示して有る時は、狂いの無い定盤上でカイモノをして組み立てましょう・・・という意味なので、適当な工作台で組んだら解説通りの仕上がりには成らないんですよねえ・・・。其の辺の解釈を間違えない様にしましょう・・・。昔・・・個人のホームページの複製記事で見た事が有るんですけど、指定された通りのカイモノをしてプランクしたのに・・・捻り下げが付かなかった・・・って記載してあったんだが、其れって工作台の方が捻じれてたんでしょうなあ・・・。其の上にカイモノを置いてもなあ・・・相殺されたら、捻じれの無い綺麗なストレートな主翼に組み上がった訳で(笑)・・・。まずはホームセンターで2メートルの金属製の定規を購入して、工作台に色んな方向から当てて定規の真ん中付近に隙間が出たら、ご自分の工作台が捻じれたり凹んでるって事ですよ。

● 今回製作したリブ組みの治具・・・手抜きし捲りなんですが、ヒノキのスパーに正確に記したリブの取り付け位置と、スロット加工した後縁材を簡素化した治具台にマチ針で固定しただけの状態でも普通に正確に組めるのは、狂いの無い定盤を使ってるからです。翼端側が8mm高い治具を組んだので、翼の下面のみ上反角が付く設定です。よって各リブはこの定盤に垂直に立てれば良い・・・。フレイヤのASK-8を組んだ時の抜き残骸で作った、リブを定盤に垂直に立てるボックス型のゲージを今回も同じ設定なので使います。更に・・・主翼下面の後縁材に幅20mmのプランクシートを既に接着しています。よって同じ状態にするので、メインスパーの固定溝にも1,5mm厚のバルサの棒材を敷いてスパーを置いています。こうすると、リブ材の後縁も薄い・・・後縁材も薄くて細い場合・・・補強した状態で組み立てるので、後縁のヒンジラインが湾曲したり捻じれたりする事を防ぎます。ただし・・・片面のみの接着なので、カモメの羽みたいに垂れた状態ではあるんですが・・・。其の修正方法は、上面側のプランクの際・・・接着剤を下面よりも厚く塗って、上下から厚みのあるアングル材で強力に挟んで固定すれば好いんですよ。接着剤の特性として、塗った量が多ければ多い程・・・収縮する力が増えるので修正が効いたりします・・・。どの程度の割合?・・・って聞かれてもなあ・・・。此ればかりは個々のモデラーの持つ経験値なので、ご自分でお考え下さい。
 
● 何や?・・・この手抜き治具・・・。見た目の手抜き具合とは違って、かなりの優れもんでっせ!。当工房が複雑なリブ組み治具を頻繁に掲載する様に成ったら、まあ・・・手抜きバッタもんのリブ組み治具が・・・ネット上のブログに溢れ返っていた一時期があります。おいおい!其れじゃあ・・・治具に成らんだろうとツッコミ入れたくなる様な手抜き度合いの治具まで出現・・・。さて!・・・閲覧数の右肩上がりは達成したのか?・・・。まあ・・・治具の法則を無視してるんだもの・・・。初心者さんが見様見真似で作っても治具としては機能しません。治具を使って機体を組むのは、量産を前提にして作業効率を上げる為に必要なんですなあ・・・。結局の所・・・同じ機体を10機以上作るとして・・・一機目の主翼が10機目の胴体にピタリとハマらなかったら、何の為に治具を作ったのか意味が無くなるんですなあ・・・。其れがホームページの閲覧数向上の為のパフォーマンスだったら、誰も二度と閲覧しなくなるんじゃないですかねえ・・・。当工房のページ・・・スマホが普及すると「画像と文章が二重に重なってますよおおおお!。」なるご指摘のメールが殺到しました。殺到するって事は観てるだけえええええの閲覧者が多かったの証明ですわね?・・・。画像満載の表紙から、文字だけ表紙に変更に成ったのはスマホ対応にしたからです。どうぞご理解下さいね。でも・・・新しい記事は自宅に帰って、デスクトップやラップトップの大画面で読んでる人が多いみたいですなあ・・・。だから閲覧者の絶対数が安定して増えてるのかも知れませんなあ・・・。

● このリブ組み治具が当工房の以前の治具と違うのは、前縁材と後縁材にリブ溝のスロット加工を施したからです。平成のラジブーム中に、個人でレーザー加工機を購入してデータをプログラム・・・昭和の遺物のメーカーキットをこっそり販売していた輩さんが居りました・・・。値段が安いので購入したモデラー諸氏は、組立ての難しさからブーイングの嵐・・・。バッタもん販売の個人販売店・・・影も形も無くなってしまいました。この昭和の遺物のキットは、部品が打ち抜きのダイカット仕様で・・・まだスロット加工以前のキットの複製なんですが、見様見真似のスロット溝を寸法公差も考えずに手抜きでプログラムするからリブ溝が少しずつズレて翼端側のリブが溝に入らなくなりました。
 
● このリブ組み治具・・・一台で左右の主翼が対称に組めます。一応メインスパー上には目安のリブ位置は記載してありますが、全てのリブ位置は前縁と後縁のリブ溝が基準です。レーザー加工機は完璧に組めるキットが簡単に出来る!・・・って勘違いしているプログラマー職なモデラーは多いですよ(笑)・・・。本機の様な主翼の形状はメインスパーに対して各翼弦のリブは直角に交差します。ところがテーパー翼なので、前縁と後縁はリブの先端に斜めに取り付けなければ成りません。昭和の遺物なので多分、原寸三面図が付属していた筈・・・。この図面から前縁と後縁のリブ間を計測すると、まあ・・・定規を使うんでしょうけど、多分リブ間は0,3~0,4mmほどしか広く成りません。よってこれ等を無視してピッチを決めて、プログラムするんですから・・・そら、こんぴ~たあ君は言われた事を正確に実行するんですなあ・・・。リブの厚みピッタリの溝をカットしてしまう・・・。

● さて!・・・翼根側から組むのか?翼端側から組むのか・・・購入したお客さんは、リブを取りつけながら、だんだんリブ溝がズレてハマり難く成るのに気づきますが・・・その原因が解りません。お客さんだってレーザーキットなんだもの、正確に組めて当然だって信じ込んでますし・・・。自分の組み方が間違ってるとしか思わないでしょうなあ・・・。結局・・・このリブピッチのコンマ数ミリを省略してプログラムするから、リブを取り付けて行くと最終的な翼端リブで数ミリもズレるんですよねえ・・・。一区間で0,3mmズレた場合・・・本機は16区間なので、最大4,8mmも溝位置がズレます。大手メーカーさんのレーザーキットって、作図の段階からこの寸法公差のズレをキチンと測定して図面に書き込み、その数値をプログラムするので・・・不特定のお客さんがキットを購入して組んでも、上記の様な俄かメーカーみたいな不具合は起きません。

● じゃあ・・・どうすれば手切りに近いスロット加工を寸法に狂いも無く作れるのか・・・。綿密さを信条とするネット物知り博士が聞いたら・・・多分!悪魔の所業だ!っと罵るだろうと思うんですがねえ(笑)・・・。簡単なお話・・・リブ溝を甘くしちゃえば良いんですなあ・・・。リブ間毎に0,3mmずつズレるんなら、その分広くリブ溝を作れば良いんですなあ・・・。本機の場合は、いや!大概のラジコン飛行機は、前縁側も後縁側もプランクシートで覆いますので、少々リブ溝が甘くても隠れてしまいますしねえ・・・。言わなかったら誰も気づきませんし・・・。問題は甘く成った溝を放置するから構造が弱いだけで、接着剤で隙間を埋めれば良いんですなあ・・・。綿密にいいいいい!・・・のネット物知り博士に見つかる前に・・・。山本さんの製作記事って、自分と同等の技術と知識を持つモデラーを基準にした内容なので、額面通りに事は進まないんですよねえ・・・。山本さんの機体をレーザー加工で部品を作るんなら、まずは山本さんの領域まで自分の工作技術を向上させなければ、その折り込みの縮小図面の内容と文面記事の矛盾に気づきません。色んなトラップにも思える矛盾が満載なんですなあ・・・。「僕のヴェガは今の君には作れない・・・。」昭和40年代後半・・・中学生の私に、山本さんは葉書で手紙をくれました。其処が、山本さんの仕掛けたトラップの部分・・・。大観峰のジェダイマスター達が口を揃えて言ってましたが・・・「山本さんの飛行機は難しくて・・・面倒臭くて・・・作ろうとは思わない・・・。欲しいけど・・・。」ね?・・・大御所さんでもこんな案配ですしね(笑)・・・。
  
● 主翼のプランクシートを作っています。本機アンタレスの主翼はテーパー翼なので、翼の中央側と翼端側では此れだけの幅が違います。山本さんのアンタレスに対するコンセプトは、市販の材料を無駄なく使い切る・・・何ですけど、多分・・・プランクシートは木村バルサ製だとは思うんですが、もしガルモデルの一条さんルートで購入したのなら、幅は83~85mmのシートだったんじゃないかなあ・・・って思います。今回使用するバルサシートは80mm幅ですが、此れだと若干プランクシートの幅が寸足らず・・・それも数ミリなので厄介です。このバルサシートの幅の違いには理由が在りまして、小売店に袋詰めで卸す場合は定尺通りに80mm幅なんですが、メーカーにキットの材料として卸す場合は80mmよりも若干広い寸法で納品されます。当工房は全てお任せ発注なので、ぴったり80mmの時も有れば・・・83mmの時もあります。何故にメーカー仕様は80mmを越えて納品されるのか・・・。もし・・・幅40mmの部材を取る場合、木工加工の鋸刃は幅2mmなので・・・80mm幅では2枚分は採寸出来なくなるんですなあ・・・。こうなると材料コストが上がってしまう・・・。だから幅が広い・・・。じゃあ、模型店の場合はどうして80mm幅なの?って問題・・・。幅が83mmだの85mmだのバラバラだったら、購入するお客側から見たら手抜きしてるって思うだけでしょうしねえ・・・。綺麗に10枚セットのシートの幅が揃ってる方が売れるんじゃないですかねえ(笑)・・・。
 
● 本機アンタレスのメインスパーから前縁までの翼弦長は、翼の中央側で98mm・・・翼端側で63mmです。此れを採寸するのに80mm幅のシートなら、翼端側の63mmを引くと残りは17mm・・・。此れをシートの真ん中で斜めにカットして、其れを翼根側に貼りこむと中央側の先端は97mm・・・。1mm足らんのですわァ・・・。其のくらい好いやろ!って訳でも無いんですなあ・・・。このバルサの定尺シート・・・定規を当ててまっ直ぐなら良いんですけど、定尺900mm方向で真ん中あたりで定規に隙間が3mm程度も湾曲する事が有ります。こうなると、三角シートを切り取って貼りこんだとしても定規を当てると3mmの湾曲状態は残ったままなので・・・其のままではプランクシートに出来ないんですなあ・・・。其処でメインスパー側に貼りこむ為に、直線にカットした場合・・・今度は前縁側の寸法が足らなくなるんですなあ・・・。よってバルサシートが80mm幅だと・・・最初から数ミリ足らないって事態なんですなあ・・・。よって今回は、更にメインスパー側のシート木口に、幅6mmのハードバルサを貼りこみました。此れで数ミリの寸足らずは解決完了!・・・。

● 絶対に勘違いして欲しくないんですけど・・・特に初心者さん!・・・。助けて下さい!メールで一番多いのが、図面上でのシートの幅寸法と実際に貼り込む時の寸法が違うって事です。例えば翼の中央リブの翼弦長は図面上なら98mmなんですが、上面も下面も湾曲しているのでプランクシートの幅は下面で約1mmの増し増し・・・上面なら約3mmの増し増しで採寸が必要に成ります。仮にフラットボトムの翼型ならば、下面は平らな直線なので原寸図面の寸法通りで良いんですが、上面は曲線なので幅が若干広く採寸しないと、寸法が足らなくなります。此処に初心者さんは気づかないんですなあ・・・。そういった細かなトラップみたいな現象も起きますので、ブログでレーザー加工のメーカーのキットの製作記事を書かれるモデラーさんは、初心者さんの為に一文の注釈を付け加えて記事を書いて下さいな!・・・。「コメントで聞いたら、市販のシートを模型店で購入して作り直した方が早い!って言われたんですけど・・・、私の住む離島には模型店なんて無いんですけど・・・。」といった切実なお悩み・・・。陸続きの内地ほど利便性は良くないので、そういうアンサーは良くないでしょうなあ・・・。骨組みの主翼に貼りこむ前で気づいたんなら、今切り落としたバルサシートを繋ぎ直して新たに寸法を切りなおせば良いんですよ。ただし・・・数ミリの場合を前縁側に持っていくと、削る時に折れ飛んでまたやり直す羽目に成るので、メインスパー側に持っていけば折れ飛ぶ事は無いと思いますが・・・如何でしょうなあ・・・。
 
● 主翼のスポイラーの構造と、実際の部材の取り付け状態です。スポイラーの厚みは3mmなんですが、現在の骨組み状態には1,5mm厚のプランクシートがまだ貼りこんでありません。よってストッパーと成るスポイラー板の後縁側の台座は、まだ1,5mm分下がった状態で組み込んであります。本機の主翼は、このスポイラー機構の部材の取り付けのお蔭で、捻じれ防止の硬性が上がってるんですなあ・・・。他にもスポイラー作動リンケージの為のコシの強いノイズレスパイプも組み込まれますし・・・更に硬性が増すでしょう。プランクシートの加工に5時間?・・・。一筋縄では行かないのが山本さんの自作設計の機体(笑)・・・。でも、確実に完成に近づいていますよ。
 
● 主翼下面のプランクを行います。本機アンタレスの(E180)の翼型・・・前縁の尖り具合が尋常じゃない位にアール面が小さいです。まあ・・・8%弱の翼型なので、まるでレーシング並みの薄い主翼です。よって前縁材もかなり細く成ってます。どんなに硬い材質を使っても、所々が波打ってしまいます。其処で!前縁材をメディアムシート2mmの積層にして4mmとし、厚さ3mmでカットしています。此れがムクの4mmだったら・・・スロット加工の溝入れは大変難しく成るんですけど、2mmの積層シートの部材だと、溝入れの切り込みを入れた後、カッターナイフの先で切り込みを突くと、接着面の薄皮一枚残して捲れます。接着面が有るので其れ以上に溝が深く成りません・・・。此れなら溝の深さは一定に成るんですなあ・・・。色んな構造を試していると、こんな裏技なんて誰でも考えるでしょうし・・・思い付く事です。要は・・・キットだろうが自作機だろうが作り倒す事ですよ。あれダメ!これダメ!・・・って最もらしい理由を付けて、手抜き構造で飛行機作ってる博士さん達って、知識先行型で実践しないから技術面が追い付かない・・・。だから気づけないんですよねえ・・・。
  
● 上下のメインスパー材に跨ぐ、リブ間の補強スパー材を貼りこんでいます。基本的には木目はメインスパーに直角です。この補強材のお蔭で、主翼はスパン方向の掛かる飛行中の曲げ荷重に耐えられる様に成ります。えらく大袈裟に成ってる様に見えますが、このアルミアングル材の取り付けは必要な治具なんですなあ・・・。この主翼は通常の初心者グライダーやらヴィンテージグライダーみたいに厚翼じゃ無いので、捻じれ易いばかりか上下にも反り易いんです。よって接着剤を塗りながら、治具無しで補強板を張り付けると・・・接着剤の硬化による収縮現象で上面側に円弧を描く様に反り上がっていきます・・・。此れはレーザー加工の精密に裁断されたメーカーのキットでも起こる可能性が大きいと言えます。実際にどうしたら修正出来るのかといったメールが来ます・・・。

● 実は・・・この場合・・・修正は不可能に近い難しさです。大概のモデラーさんは上面プランクを張り込めば治るだろうと楽観してるんですが・・・、反った主翼にプランクシートを無理やり張り込んで、アングル材を取りつけた上にゴムバンドで工作台に押さえ付けたり・・・ラジコン技術誌みたいな重い雑誌を載せて荷重を掛けたり・・・と色々やってますけど、硬化後の主翼は、上面に反る荷重が捻じれに変換・・・無残にも歪に前後に捻じれ捲るので、もう修正不能に成るんですなあ・・・。よって、其れ等の不具合を防ぐ目的で、補助スパーの全面貼り込み後・・・上面のプランクを終えるまでこの治具としてのアングル材は外さない方が良いんです。今回は大袈裟な定盤治具無しで此処まで組み立ててますが、この作業以降は定盤に治具を組んで上面のプランクを行います。薄い主翼はスパン方向に反ったり捻じれたりするのは、普通にあり得る組み立て上の性質なので、正確に組みたかったら大袈裟な治具を使う事をお勧めします。

● 海外のモデラーさんのページを見れば解るでしょう?・・・。個人のアイデア溢れる治具を自作して飛行機を組み立てています。治具無しでぶちゃぶちゃ文句言いながら、組み立て上の不備をメーカーの不良に転換し捲って記事を書いてるネット物知り博士が沢山居るでしょうが・・・。自分のブログでメーカーのキットを組み立てるんなら、そういった木材の性質を理解して、その備えとしてのオリジナルな治具を自分で組んで組み立てた方が、そら!参考に成るんだもの・・・。観てるだけでコメントしないモデラーさんでも自分で複製して実践するのは増えてる筈・・・。コメントは無いけど、閲覧カウンターが増えてるんだったら、其れは参考に成るから頻繁にアクセスしてる表れにも成るんですなあ・・・。コメントも無い、アクセスカウンターも増えない状況とは、誰も見てないんじゃないでしょうか・・・。(Part-8に続く)