new early bard



●平成21年に企画開発した初期型アーリーバードを、再設計しました。画像が薄くて見えずらいですが、東北のサイトに合うように胴体構造を強化しました。アーリーバードの特徴である胴体後部をトラス構造にしますが、東北サイトのハードな着陸エリアに耐えられるように、内部構造体にスチレン材を組み込み着陸の衝撃を吸収できるようにしました。


● スロープスタントグライダーや電動動力機に多く使用してきた船舶枠のセンターキール構造体を、軽量グライダーに採用したのは、上記に述べた通り着陸における機体への衝撃を和らげ、胴体構造の破損を軽減させる目的があります。


● スチレンの材料を切り出しました。ここまでの部品ならば、スチレン世代のマニアさんなら当たり前の材料取りです。当工房の部品取りは此処から更に肉抜きしていきます。もともと軽量なスチレン材ですので肉抜きしても然程変わらないのですが、軽量グライダーにも関わらずかなりアナログチックなリンケージを行いますので、必要な加工になります。キールになる部品は胴体の側面図になります。スチレン材の厚みは5ミリなので、小口に2ミリバルサの棒材を貼り込みます。


● 胴枠の必要な小口面にも厚さ1ミリのバルサの棒材を貼り込みます。スチレン機との分岐点は此処からです。当工房の機体は全てフィルム対応か紙張り、絹張り、グラス張りの仕上げが可能な仕様になっています。スチレン面を表面に出さないのでこういう構造になっています。スチレン世代のマニアさんからは余計な部品を多く使って価格を吊上げているって言われるんですが、彼らはフィルムは貼れても絹張り、紙張りは試した事は無いので、知らない知識には嫌悪感を表しますが、私がラジコンを始めた昭和40年代の主流は紙張り、絹張りでしたのでスチロールはニトロセルロース系の塗料には弱いという事実を、小学生の頃から知っていました。


● 後部胴体に見える二つの切り欠き部分は、垂直尾翼をジョイントするスロットイン加工部です。まず、このジョイントには水平尾翼も同時固定が可能になります。


● 胴枠部材には画像のように余分な部分が残っていますので、カッターナイフを使って切り取ります。この余分な部材がキール側面材の厚みです。この左右切り分けた胴枠をキール側板のそれぞれ指定された場所に貼り込みます。


● 胴枠はキールに対して直角に取り付ける為、小口を直角出しのサンドホルダーを使い擦り合わせていきます。切り出して加工の済んだ胴枠の手前側が、胴体下面になります。バルサを貼っていない胴枠が機種側、バルサを貼り込んだ胴枠が後部胴体側となります。後部胴体は、旧型の四角面の胴体から六角面のトラスになりますので、胴枠全体にバルサを貼り込んでいます。


● 胴枠3番と5番は部材2枚の貼り合わせとなります。接着剤にはスチロール専用を使います。この溶剤はスチロールの接着面を僅かに溶かして硬化させます。


● 5番胴枠の画像ですが、右側が機首なので後部胴枠よりも一回り小さくなっています。寸法的には2ミリ小さいのですが、6面全部プランクとなります。後部胴枠は後部胴体のトラスになりますので、こういう加工が必要になりました。ここから先は何時ものバルサ構造に戻ります。


● キール型フレームの胴体は、機首から機尾まで直線でなければ完全なる胴体を形成できません。そこで、毎度お馴染みの治具の作成となるんですが…。金属形成でも木材形成でも複製できないマニア続出の為、カッターナイフで加工できるスチレン材を使って治具部品を作ります。上記画像二枚ではキールフレームの保持は出来ても直線維持までは出来ません。この三つの治具部品を床に貼るか完全固定しても良いのですが、使い回しの点で若干不備も出てきます。


● 画像の様に二本のアルミアングル材で挟み込むと、治具材は直線を形成します。この状態で胴体組み立てに必要なストリング材を取り付けていきます。接着剤はメインを木工接着剤とし、マチ針で固定し必要なら軽く瞬間接着剤を流します。


● 胴体はこの状況ならば上下どちらからでも固定する事ができます。このストリング材はすべて3ミリバルサから切り出していますが、接着剤が硬化すると先ほどまでフニャフニャだった胴体が少しずつ丈夫になっていくのが解ります。昭和から存在する二枚側板のキットでは二枚側板に胴枠を指定角度で取り付けるのが主流だったのですが、平成のマニアさんがオークションで昭和のキットを購入し、お仲間さんの掲示板で紹介します。頭の中は平成のレーザーカットのキットの流れのままです。当然なんですが組み立てる事が出来ずに…、お仲間さん掲示板では…、不良品扱いのキットとして思いっ切りブー垂れます。



● ストリング材をすべて貼り終えると上記画像になります。主翼後縁から機首方向はコクピットと主翼取り付け面以外すべてバルサプランクとなります。主翼後縁から後部はほぼトラス組みとなります。(Part-2に続く)