Alexander Schleicher K8 (FLAIR製) 構造体は、粗ベニヤの大型グライダー Part-3
   
● キットに付属していた曳航用のレリーズフックの取り付け位置なんだが・・・此れって間違ってんじゃねえか?ってぐらいに前方に位置していた。重心位置から見れば45度くらいに成る・・・。この位置で曳航すると、エレベータを相当アップ操作しないと高度の獲得は難しい・・・。通常は25度位なんだが、この位置なら適正角度で勝手に上昇できます。一条卓也氏の著書「グライダーのすべて」に記載してあると思うのだが・・・。

● よって通常の位置に戻したいのだが、今度は付属の木部の台座が取り付けられなくなった・・・。其処で!レリーズフック自体を自作する事になった次第・・・。段差の付いたアルミのスリーブは円筒なので、此れを角棒にしないとブラケットに固定が難しくなるので、スリーブ自体を埋め込んで、段差部分の直径の小さい方が抜けない様に、このPVC樹脂の内部に段差を加工しました。本来なら・・・ボールフライスの重機とエンドミルカッターがあれば工作は楽なんだが、今度は追従するであろうモデラー諸氏が加工出来なくなってしまう訳で・・・。小型の万力とドリル刃だけで加工しました。根性と面倒臭がらない忍耐と毛の生えた心臓を持ったモデラーなら、追従可能な工作方法でしょうなあ・・・。
   
● アルミのアングル材を加工して、此れでユニットを挟み・・・胴体内底部に直接ビス止めする構造としました。PVC樹脂はねじ山を作り易く、アルミのブラケットは強固で軽量・・・。組み合わせて使うなら最強の組み合わせですなあ・・・。構造が解れば応用もし易い訳ですが、T型尾翼のフライングスタビライザーの可動軸にも使える可能性も出て来ましたなあ。ただし!超軽量ハンドランチグライダーには無理かなあ・・・。本機の様な主翼のスパンが4メートル近い大型機なら使えるでしょうねえ。
   
● スリーブの内側に挿入するアルミの特殊棒材には、ワイヤーもしくはピアノ線を差し込んで固定しなければ、レリーズフックとして機能しません。其処で3mmのタップを切ってねじ山を作り・・・外径3mmのホーローねじ(ヘックスキーで締め込む六角のインサートねじの事)を使える様にしました。この特殊なアルミの棒材・・・先端が円錐状に成っていますが、此れが無かったらレリーズフックとして機能しません。
   
● このレリーズフック・・・自作するにはちと!難しいとは思いますが、この機構だけなら大変シンプルであり、確実に作動すると目で見て判断できます。このフックの外缶であるアルミのスリーブですが、内部にも段差が設けて在りまして、この段差にワイヤーの先に溶接されたベアリングの球を落とし、後方から円錐状の頭を持つアルミ棒で押さえ付けた状態がロックした状態です。この場合・・・スリーブの内側の段差と円錐状の先のアール面で、球は挟まれて身動きが出来ません・・・。解除するには内側のアルミ棒を後方にスライドさせて、固定した球を自由にさせてやれば、簡単にスリーブから外れます。

● この機構をサーボで稼働させるには、まずは確実に球をロックさせる蓋を作って、解除させる場合はこの蓋を持ち上げてやれば良いのです。其の為のリンクがベニヤで作った部品です。まだ動きに若干の難点が有るので、この機能は今後改善する余地は十分にあります。しかし・・・現状ではスロープでの飛行に留まっていますので、このフックのレリーズ機構の煮詰めは、もう少し先に成りそうです。
   
● 本機の主翼の図面は、原寸図なんですが数枚に分割してキットに付属していました。何故に分割してキットに入れるのか腑に落ちない状況なんですが・・・。印刷機のサイズが限界を超えたから?なんですかねえ・・・。腑に落ちない事は他にもあるんですなあ・・・。昭和40年代後半から、木製キットには原寸三面図をキットに付属させるのは当たり前でした。何処の国の舶来キットでも繋ぐ必要の無い原寸図だったので、長い定盤さえ準備すれば直ぐに組み立てられたんですけどねえ・・・。時代を逆行する様な分割裁断された図面を入れるのは何の為なんでしょうかねえ・・・皆目見当が付きませんなあ・・・。
   
● 本機の主翼の片翼スパンは最大1875mm・・・。当工房のスパー構造は翼端ブロックも前後分けで取り付けるので、文字通りの片翼最大寸法が必要です。キット付属のスパーの材料は(42インチ×3/8×1/8=1060×9,5×3mm)なので二本繋ぎに成ります。更に主翼のスパン方向1/2までは二層構造です。よって一本分のスパー材はこの42インチのハードウッドを三本一組で使います。接着面積を増やして主翼の撓り強度を上げる為に、部材を斜めに加工しています。結合面の接着には2時間硬化のエポキシを使い、実質24時間放置して完全硬化させました。
   
● 主翼のスパーの二層目の接着には、全長2メートル・肉厚3mmの特注アルミアングル材にクリップで挟んで接着しています。このスパー材が、接着の不備で捻じれたり湾曲してしまうと、直線の主翼の組み立ては不可能だからです。本機の主翼の組み立ては、解説書では上面を下にして付属のベニヤのカイモノをセットして、定盤の上で組め!・・・と指示されてますが、多分・・・多くのモデラーさんは、この2メートル近い定盤を使用するという概念が無いと思われます。よって、専用工作台レベルの定盤の上で組む事を前提に解説していきます。其れには画像の様なブラケットが沢山必要に成るんです。
   
● 定盤とは限りなく平面の盤上という意味です。完全なる定盤と言うのは鉄工所なんかに置いてある、厚さ30センチ位で4畳半サイズの鉄板の事を指します。しかし・・・模型飛行機を組み立てる上で、此れに相当するものを個人で持つ場合・・・幅450mm・全長2メートル・厚さ20mmの鉄板サイズでも十数万円は掛かるでしょうなあ・・・。でも、そんなサイズの鉄板を必要な時にだけ工作台の上に移動して・・・って、どんな怪力のモデラーでも持ち上げる腕力はありません。

● ならば・・・比較的軽量に仕上がるファルカタ集成材に木枠を組んで取り付ければ、工作台よりは真面な定盤らしい工作台が作れます。しかしながら・・・この木材は、気温と湿度には弱く、年がら年中膨張と収縮を繰り返す(所謂呼吸をする状態)ので、経年変化で何れは反り返ったり捻じれたりするんです。其処で木枠を組んで補強して、更にその上にアルミのアングル材を、新機種政策毎に取り付けて調整すれば・・・その組み立て中の短期間なら、定盤レベルの正確さは維持できる訳ですなあ・・・。当工房がアルミアングルを多用するのは、此れが理由です。
   
● 他にも主翼組み立ての前準備は色々と在りまして・・・メインスパーから前縁までのプランクシートは、幅が100mmと広いんですが、長さが900mmしか無いので結局3枚接ぎの貼り合わせとなります。実は後縁のプランクシートも同じ状況なので、此方も3枚接ぎ・・・。ところがですなあ・・・この後縁プランクとして裁断されたシート・・・湾曲してるんですなあ・・・。本来・・・板目を使わないと、幅30mmのプランクシートと言えども正目だと湾曲するんですよねえ・・・。板目なら年輪に平行なので幅30mmでも両端は同じ材質です。ところが柾目の場合は年輪に直角に製材するので、両端の材質が違うんですよねえ・・・。よって柔らかい方向が膨張し易いので、硬い方向に湾曲するんですなあ・・・。其れを知らない平成生まれのネット物知り博士が、昭和の遺物を安くオークションで落札して・・・キットの箱を開けて浦島太郎状態に・・・。後縁材としてのバルサのシートが湾曲してるのを見て、こんな不良品なんか入れやがってえええええ!・・・と、もう廃業して三十年のメーカーの文句を自分のブログに書き殴る(笑)・・・。

● 気持ちが解らないでも無いが・・・修正と修復の仕方が解らないんだもの・・・哀れとしか言い様が無いですなあ・・・。こんな場合は自腹でバルサのシートを別途購入して作り変えるのが一番良いです。化石みたいなバルサキットなんだもの、卸し立てのレーザー加工のバルサキットと同じ扱いじゃダメなんですよねえ・・・。その卸し立てのレーザーキットだって、30年も寝かせば、昭和の遺物と同じ状態に変化するんですしねえ・・・。その位のリスクは承知で定価よりも遥かに安く購入するんだから・・・。いや!意地でもキットの部材を使いたい!って望むなら、その湾曲したシートの両端を直線で切りなおして、足らない幅を継ぎ足せば好いんじゃないだろうか・・・。まあ、其れでも別途購入のバルサは必要ですけどね。
   
● 毎度毎度・・・こんな面倒臭い治具のパーツを作ってる訳ですが、此れも必要枠なので作業計画の冒頭で既に決定しています。たった一回しか使わないのに?・・・って訳でもないですよ。元々、治具を組む上で何時かは作らなきゃ・・・って思ってるので、機会が来れば結果的に作る事に成るんですなあ・・・。その治具のパーツで、今後組み立てるであろう機種に再度使える形状の共通部品に落ち着くまでは、何度もよく似た治具パーツを作る訳ですが・・・画像のPVC樹脂を加工して作った治具部品なんかは、毎回使う事に成るので専用小箱に収めて保管する事に成ります。別の使い道としては・・・3mmのねじ山を4mmのドリルで開け直してバカ孔にしてしまえば、4mmシャフトを通して何かの艤装を作動させるトルクロッドの台座として使う事も出来るでしょう。今直ぐ思い付くのは・・・先尾翼機のフライングスタビライザーの可動軸の受けに使えるでしょうなあ・・・。
   
● 私がアングル材を使った立体的な治具をページに掲載する様に成ったら・・・まあ、その後のモデラーのブログには色んな治具が登場する様に成りました。其れまでのブログには、一切登場しなかったんですけどねえ(笑)・・・。治具を使って飛行機を組むのは、初心者のやり方・・・って、どこぞのネット物知り博士の集う掲示板に記載されてたっけ・・・。でも、治具を使ってレーザー加工のバルサキットを組み立てるブログの閲覧数は、右肩上がりに増える・・・。ってのをネット物知り博士達が実感したんでしょうなあ・・・その後は博士達も何やらゴソゴソと作り始めたんですが・・・。

● せっかく治具を作ってるのに・・・見様見真似なのは良いとして、肝心かなめの部分が曖昧な治具を組んだって全く意味が無いんですなあ・・・。まあ、彼らの翼型はフラットボトムなので、工作台にべた付けすれば良いんですけど・・・。半対称翼型や完全対称翼型もべた付けなんだもの、定盤と称した厚みのある板が捻じれてたり湾曲してたりしたら、果たして正確に組めるのか?って所なんだが・・・。わざわざアングル材で組み立て台から浮かして治具を組むのは、この組み立て台を私自身が信頼して無いからです。やぐらを組んで、主翼を組み立てた方が正確だからですよ。更に言うなら、専用組み立て台なんだもの・・・必要な時だけ工作台に乗せて使う訳だから軽い方が良いんですなあ・・・。使わない時と主翼の組み立て中の接着剤の硬化待ちの時は、邪魔に成らない様に組み立て台を壁に立て掛けて置けますしね・・・。
   
● ただ単純にアングル材を定盤に平行に固定してもなあ・・・。フラットボトム翼なら対応可能なんですがねえ・・・。翼の下面が膨らんだ翼型には対応出来ませんしねえ・・・。クリップで挟めないでしょう?・・・。ですが!・・・アングル材を翼型に沿って傾けて固定すれば、クリップで挟んでも浮き上がる事も無いんですなあ・・・。浮き上がってるのを無理やりクリップで固定すると、全てを解放した時に何でこうなるの?って具合に、せっかく治具で組んだ主翼の骨組み構造体が歪に捻じれてました~・・・って事態になってしまう可能性大!・・・。

● 本機のダイカットの部品を収めたベニヤのシート・・・抜き残骸の多い事!。そら!もう・・・こんな治具が大量に作れるくらい(笑)・・・。使っても使っても減らないので、模型飛行機以外のイルミイベント用の縮小模型の部材にも活用して、やっと使い切りました。どの位まで部品を作れたのかって?・・・掃除機のホースで苦も無く吸い取れるくらいの残骸に成るまで使い切りましたなあ・・・。
   
● 左右二分割以上の主翼の構造の場合・・・主翼に組み込んだままカンザシ受けのパイプを固定しようとすると、完成後に上手く組めなくなる場合が頻繁に起きてしまいます。こういう場合の対処法が実は有るんですなあ・・・。キットの解説にも指示されていませんし、専用の治具も付属していませんので自己責任という立場での作業には成るんですが・・・。其れにはまず・・・原寸図面に合わせてある程度の寸法調整等を済ませておきましょう。その方が後々楽に成ります。
   
● 本機のカンザシは直行の金属板と補助の金属の丸棒です。左右分けの主翼の場合・・・必ず複数のカンザシが平行に取り付けられないと、スムーズな抜き差しが出来なくなります。主翼にこのカンザシユニットを組み込んだ後では調整が完全に行えない危険性も出て来るんですなあ・・・。よって、このカンザシユニットを別組みの治具上で完全に調整して、接着硬化させた状態で主翼に組み込むと、結果的に主翼の完成後でも左右の主翼がピタリと結合出来る訳です。昭和のバルサキットを沢山組み立てたモデラー諸氏なら、こんな不具合に何度となく出くわした筈です。昭和の遺物を組み立てる時も・・・令和のレーザーキットを組む時も・・・自作をする時にも使える調整の技術ですよ。当工房の製作記事を具に閲覧されたモデラーならば、色んな機種でこの技術を使ってるのをご存じの筈・・・。色んな機種に使えるので、追従される方はご勝手に・・・。まだまだ色んな手順が今後も出て来ますよ。
   
● カンザシユニット以外の主翼のリブの取り付けは済んでいます。この主翼の中にカンザシ受けのパイプを固定し、クリアランスを調整したユニットを収めれば良いんです。此れで左右の主翼のズレは起きなくなります。本機は左右の主翼を結合してから胴体に専用ボルト4本で固定するタイプ・・・。だから可能だ!って思ってる人・・・。間に胴体が挟まっても同じ事なんですよ。胴体内部だってカンザシは並行配置にしなければなりません。結局、左右分割翼の主翼を有する飛翔体は、カンザシは胴体の中心線に直角に交わり・・・更に複数のカンザシの場合は、全てのシャフトが平行配置でなければなりません。此れが分割翼の基本構造です。此れを面倒臭がっていたら、昭和の遺物を安く落札したって・・・完全に組めるとは言えなくなります。昨今のレーザー加工のバルサグライダーキットが分割翼でもショルダータイプなのは、一番構造を簡単に出来るからです。此れを面倒臭がってたら・・・もうグライダーキットは組めないかも知れませんなあ・・・。

● 本機のカンザシ受けのパイプの取り付け具合・・・何だか曲がってる様に見えるんですがね?・・・。実は此れで正常なんです・・・。本機の主翼はテーパー比率が1対3以上なんですが、メインスパーは胴体の中心線に向かって直角に交わっていないんです。テーパー翼なのに主翼の前縁は左右を通して直線配置、胴体中心からは直角に交わってます。一体どんな主翼の配置かと言うと・・・所謂前身翼というタイプです。グライダーの前身翼の代表格はピラタスですなあ・・・。複座の後部シートに載る教官席がピラタスの重心位置です。要するに生徒席だけでなく、教官席も視界が良いのが前進翼の特徴です。よってコクピットが長く見えるでしょう・・・。でも、胴体のモーメントは他のソアラーとはあまり変わりません。よってこの(K8)も同じです。ただ、本機の場合はメインスパー上のみ前進角設定なので、誰も言わなきゃ気づかないんですなあ・・・。
   
● 本機の主翼と胴体の結合には6mmのボルトを4本使うんですが、解説書を見ても解る様に前後のボルトの取り付け角度が違うんですなあ・・・。国産グライダーのキットならば、こういった複雑怪奇な取り付けは指示しないのが普通なんですがねえ・・・。此れも主翼の構造が複雑なので、此れに準ずると複雑になるんです。一番リブと三番リブを斜めに走る角材のステイの一番リブ近くに、この後部ボルトの孔が貫通するんですが、此れが胴体側に固定された台座と平行に成っているんですなあ・・・。だからこの胴体側の台座にボルト孔は垂直に開ける必要が有るんです。よって画像の様な先孔を開ける為の治具が必要に成りました。先孔の直径は3mm・・・。金属パイプをガイドに、設定された角度で穴が開けられる様にしました。貫通した先孔をガイドに、外直径が6mmの丸やスリを電動ドライバーのチャックに固定して、低速回転を与えながら少しずつ穴を広げて行きます。今の所・・・此れが一番確実な穴開け作業手順ですかねえ・・・。
   
● 本機の組み立てが進むにつれ・・・一つの気がかりな構造上の疑問に行き着きました。本機の左右の主翼を結合したとして、其のまま胴体に載せてボルト4本で締め込んでも良いのだろうかという点です。過去の国産機の状況を振り返ると、SANWAのオリンピックⅡ型を組んだ時もカンザシで結合したら、継ぎ目のリブに被さる様に幅の広いマスキングテープで左右の主翼を繋いでいました。その状態で胴体にパンツの平ゴムをたすき掛けして主翼を固定・・・。ウインチで曳航しようが、ゴムの収縮力を利用した本格的に、高度50メートル以上を獲得できるショックコードを使おうが、ビクともしない曳航が可能だったんですが・・・。スロープにおいてもこの分割翼にマスキングテープとパンツのゴムは、当時のバルサキットのグライダーでは当たり前でした。平成の時代に成ったから・・・世間の流行に合わせて、ボルト締めとビス止めに進化しました・・・。どんなハードな着陸にも耐えます!・・・って言い切れるのだろうか・・・と思いました。

● 私の経験上・・・見た目重視の本機のキット上の指示を受け入れた場合、仮にグランドループ(地上でヨー軸に回転)に入った場合、主翼には強い遠心力が掛かります。左右の主翼を結合していないので、其々外側に引っ張る力が加わる訳ですが・・・問題は此処からです。その際の荷重に耐えられなかった場合、ナイロン製のボルトはせん断荷重が大きく掛り・・・俺飛ぶんじゃないかという状況・・・。使用している厚さ3mm程度の焼き入り鋼材のカンザシは、普通の曲げ荷重には撓りで対応出来ますが、瞬間的に掛かる強烈な曲げ荷重には果たして耐えられるのだろうかという疑問が湧いてきました。このインチのナイロンボルトは、国内のメーカーでも本機の販売店でも簡単に入手できる部品とは思えない訳で、もし入手が出来ない場合は代用品で・・・って、金属製と言えどもインチのダイヤとピッチの同サイズのボルトが、すぐに購入出来る事はあり得ないんですなあ・・・。よってナイロン製のボルトを折れ難くするなら、必要以上の振動と荷重を与えなければ良いので・・・一番良い解決方法は左右の主翼を結合出来るユニットを組み込めば良い訳です。分解するのに現地作業が一工程増えますが、其れで機体が壊れる原因を一つ解決できる方が良いと思います。
   
● 本機のキットでは画像の様なボルトの頭周りの細かな処理の指示は記載されていません。ナイロンボルトの頭は主翼の上面に出ています。今回は別のボルトを使う事も加味して、主翼のプランク面とツライチに成るまで埋め込む構造とします。下手に改造するよりもキットのままの方が確実なんですけどね。ある意味・・・グランドにおけるサーマル飛行とスロープにおける吹上風での飛行とでは、着陸する際の衝撃はどんなに気を付けてもスロープの方が激しいです。グランドの様に滑走路に着陸出来ませんしね・・・スロープの場合は、猫の額ほどの狭い着陸エリアに、指定点着陸競技みたいにピンポイントで降ろさなければ成りません。飛行機任せで何処に着陸するか判らないといった無責任な操縦では嫌われるんですよねえ・・・。スロープ飛行は初心者に最適!・・・って言われてますが、着陸に関して言えば・・・グランドにおける滑走による減速が出来ないのでスロープの着陸はベテランでも気を使います。所謂完全に機体が止まるまで操縦する!・・・というのがスロープの鉄の掟です。其れが出来て初めて一人前と称されます。どんなにアクロバットが上手でも、着陸が下手だと嫌われるのがスロープって事ですよ。
   
● 本機の主翼は片面ずつしか定盤治具では組めません。見えてませんが・・・もう片翼は、垂直に立て掛けて画面の外に置いてます。「ワザワザ難しく組み立ててみせてくれて、ホントにご苦労さんですなあ・・・。」って嫌味みたいなメールを貰う事も有るんですが・・・。レーザーキットは正確に部品が加工されているので、治具は必要無い!ってメールには書いてあったんですけど、片翼が900mmに届かない主翼でしょう?・・・本機はその倍以上の片翼なので、やっぱり治具は必要です。何とかメーカーのの?・・・スパン3600mmの機種がレーザーカットのキットで有るんだそう・・・。治具無しでも正確に組んでみせる!って書いてましたが、ブログを拝見してますが・・・記事が全く進みません。そのキットの箱のサイズは全長1メートル弱・・・。継ぎ目無しの1800mmのスパー材もプランクシートもキットの箱には収まり切れません。

● 片翼900mm弱の機体なら継ぎ目無しの材料で組めますが、片翼が1メートルを超える機体なら必ず何処かで材料の継ぎ目が出来る訳ですが・・・。多分!継ぎ目の処理が上手く出来なかったので、主翼がカモメの羽みたいに垂れ下がったのかも知れませんなあ・・・。強度の足らない鳥人間の自作飛行機みたいですなあ・・・。プラットホームから飛び出したら、いきなり主翼がバンザイして海中へドボン!・・・。初出場の初心者には解りませんわなあ・・・。プラットホーム上では主翼には機体本体とパイロットの荷重は掛かりませんので、主翼は形状を維持してますけど、プラットホームから飛び出すと、いきなり全荷重が主翼に掛かるんだもの・・・ひ弱な主翼は折れて当然なんですなあ・・・。折れない主翼って、上手に荷重を逃がせる様に、綺麗な円弧を描く上反角が付くでしょう・・・。そういう形状に成る様に構造を作ってるからですよ。模型飛行機でも同じ事です。治具を使って正確に組み立てれば、カモメの羽みたいに垂れ下がった主翼には成りません・・・。飛行中は最大荷重を逃がす様に、僅かに弧を描いたような上反角が付いているんですよねえ・・・。そういう構造で組むから折れない主翼が出来るのです。
   
● 本機の後縁は、昔ながらの両面プランクシートで形成します。古くはガルモデルのラダー仕様のソアラーキットは、殆どがこの構造で作られていました。何時の頃からか、この手の構造は面倒臭いからと敬遠される様に成ったんですが、組立てる前に図面の情報を読み解き・・・段取りを決めてから行うと然程苦にも成らない工作方法です。むしろ一クラス上の仕上がりに成りますし、捻り下げの必要な翼でも作り易いと感じれる様に成ります。

● ラトルスネイクの小型大戦機のキットを覚えていますか?・・・。1/16の縮小スケールの機体ながら、全面プランクを採用した主翼の構成でしたね・・・。リブの下にはカイモノがセットされ・・・主翼の全面プランク後に切り取ってしまう、捻り下げ設定の為の構造でした。主翼の構造は全面プランクにした方が、内部はかなり省略出来るんですなあ・・・。結局の所・・・全面をプランクするので、主翼が頑丈に成るというメリットが有るんです。よって、捻り下げ設定を入れた状態で全面プランクする訳ですから、被覆後もその設定が崩れる事は無いんです。その構造の主翼も、後縁の構造は本機と同じです。要するに・・・内部の部材を取り付けた状態で全面プランクするので、動翼も全面プランクした状態に成ります。捻り下げ設定が入っていれば、エルロンも捻り下げ状態のままって事です。その後・・・主翼から動翼部分を切り離す訳ですから、捻った状態を維持したエルロンも同時に出来上がります。主翼を捻ったら・・・エルロン等も捻り下げにしないと主翼を捻った効果とは言えないんですなあ・・・。

● 本機の主翼は前進翼の部類・・・。主翼に捻り下げの必要な翼って、前縁が後退してる翼の形状の場合です。前身翼の場合は主翼の翼根よりも、翼端側が機首方向に位置しています。よって翼端失速が起き難いんですなあ・・・だから捻り下げ設定が要らない主翼を正確に作れば良いんですよねえ。この機体のエルロンも一体型で組んで、後で切り離す工作方法です。よって後縁の先端は細ければ細い程、空気の流れは良く成ります。今回は後縁の厚み2mmを目指して作っていきましょう。

● 後縁材の厚さ2mmのバルサシートの小口に、マジックで色付けをしました。更に15mm程の場所にボールペンで直線を入れました。この幅15mmを斜めに削っていきます。この後縁のプランクシートは途中で継ぎましたので、全長が1900mm弱あります。厚さ3mmの角パイプを治具盤として使い、この上で後縁の先端が0,1mm程度に成るまで気長に削っていきます。此れが大変面倒臭いんですなあ・・・。でも、昭和の遺物と呼ばれるガルモデルのキットを、昭和のモデラー諸氏はリアルタイムで実施してたんですよねえ・・・。なのに・・・何故平成のネット物知り博士達には出来ないのだろう・・・って、昭和のジェダイマスター達は皆さん不思議がってるんですよねえ・・・。数を熟して其れが当たり前の作業に成れば、仕上がりは美しいので何でもない必要枠の工作に成ります。その甘美に一度でも浸ったら・・・この工作は面倒臭く無くなるんですけどねえ(笑)・・・。
   
● 専用のサンドホルダーを自作しました。ゴリゴリ削れる様に60番のサンドペーパーを両面テープで貼り込んでます。削る前と削った後では、この位の薄さに成ります、4枚重ねると後縁の先端がどれだけ薄くなったか判ると思います。この後縁を作る場合は、リブ側の先端も限りなく細く成る様に仕上げますが、本機のリブはベニヤ製・・・更にダイカットの抜き型で打ち抜くので、リブの先端を尖らせるには限界が有るんですなあ・・・。よって、シートから抜き取る時は、カッターナイフで切れ目を入れてから抜きます。無理やり抜くと、細い先端が途中で折れてしまうからですよ。
   
● 本機の主翼の翼型は(NACA 63-2-415)です。半対称翼型とゲッチンゲン翼型が混在している複雑な形状です。翼の下面の後縁側が凹んで湾曲しているんですが、此れを完璧に表現しないと、本来の翼型には成らないんですなあ・・・。普通にプランクしただけでは凹んでくれないんですよねえ・・・。其れが本機の主翼の組み立てを難しくしている要因の一つでもある訳ですが・・・。ベニヤの後縁の先端が、いきなり急カーブで終わってるでしょ?・・・。ボールペンで引いたラインとに若干の隙間が開いてるんですが、此れは当工房の計算ミスでは無く・・・最初から計算して隙間を開けたんですよねえ・・・。此れが有るからクリップで挟むと、プランクシートが凹んで湾曲したまま接着硬化してくれるんです。見事に凹んでるでしょう?・・・。リブの切り間違いだって、先端を細く削って修正しちゃったモデラーさん・・・勇み足でしたなあ。此処は削っちゃダメなんですなあ(笑)・・・。此れだけ大量のクリップで挟むんだもの・・・バルサのプランクシートは綺麗に湾曲するんです。聊か根拠の薄い説得力ですなあ・・・。でも三次元を創造してくれた神様にお礼を言わなきゃね!。(Part-4に続く)