VEGAーⅡ型 (No-13) 山本昇氏オリジナル設定機 Part-1 (2) (3) (4)
  
● 山本昇氏のベガシリーズ中、氏ご本人が一番飛ばしたであろう機体です。ヴェガⅠ型よりも飛行性能は穏やかで、Ⅰ型の強風域とは違った中風域でも飛ばせる挙動を示す様です。形状から言えば・・・近代ステルス戦闘機のフォルムなんですが、昭和40年代後期から50年代初期に本機は製作されています。当時の時代背景からこのⅡ型のフォルムの実機戦闘機は無かったような気がするんですが・・・。

● 仮に・・・このⅡ型に吊り下げポットで小型EDFを二基搭載しても、充分ビジュアルに耐えそうなデザインです。一番動力機に出来そうなフォルムですね。何故そう思うのかと言えば、本機の分解構造が正に当時のジェット戦闘機の分解構造と酷使しているからですよ。航空自衛隊で使われた(F-86F) (T-33A)といった当時の主力戦闘機や練習機は、搭載エンジンが単発なんですが、主翼の後部から胴体を分割する構造でした。後部胴体を外さなければエンジンを取り出す事が出来ません。後部胴体を外すと水平尾翼や垂直尾翼が胴体から外せる構造です。

● このⅡ型の分解構造を胴体三分割した事で、当時のラジコン飛行機では考えられない位にコンパクトに出来ました。本機の全長は1350mm・・・当時のF3A機程の大きさがあります。なのに、全幅は1200mm強・・・。まるで近代戦闘機の形状なんですなあ・・・。平成のラジブームにおいて、デコパネやらスチレン材で手抜きのジェット戦闘機型スロープ機が多数増殖しましたが、本機ヴェガ以上の飛行性能を有した機体は現れませんでしたなあ・・・。本機のフライングスタビライザーなんか、モロにジェット戦闘機のサイズですなあ・・・。重心位置から観れば、正に近代ジェット戦闘機と同程度のモーメント比率・・・。過激な筈なんですが、Ⅰ型よりも飛ばし易いのだそう・・・。
  
● 本機ヴェガⅡ型には詳細な三面図がありません。簡単な紹介の印刷写真数枚と、イラスト三面図・全長全幅等のプロフィールのみしかありません。そんなんで原寸図面が書けるのかと言えば・・・普通に書けますなあ。イラスト三面図からいきなり原寸図なんかにするから難しくなるんですよ。最終的に原寸図にすれば良いので、整数拡大し易い寸法の縮小図面を、先にイラスト三面図から起こせば良いんです。機体の全長・全幅・翼型・迎角が記載してありますので、必要な情報の8割はイラスト三面図から拾えるんですなあ。

● 更に・・・リブのピッチはⅠ型と粗同じなので、リブ型は其の枚数分作図すれば良いんですなあ。イラスト三面図なので、内部構造など一切記載して無いんですが、Ⅰ型とⅢ型の詳細な縮小図面がありますので、其処から情報を拾えば良いんですよ。そんなん解らんやろ!って諦める必要なんて無いんですなあ・・・。だから、製作者のコンセプトと構造のクセを深く考察する事が大切なんですよねえ。

● ガルモデルのキットを沢山作った!ってモデラーさんの自作グライダーの製作記事をブログで見た事が有るんですが、この人・・・本当にガルのキットを作り倒したんだろうかって位の好い加減な構造でしたなあ・・・。ガルモデルのグライダーキットはとにかく作り難いんですよ。特に初心者さんには・・・。よって何機も作った事があるモデラーさんの自作機ってのは、必ず一条さんのコンセプトが反映された仕上がりになります。真似するとバカにされるから独自の構造で!って言いながら、実は手抜きし捲ってるやんか!ってのが、真のガルモデルフリークにはモロにバレてたりします。よって・・・山本さんのヴェガシリーズのコンセプトさえ見抜ければ、イラストレベルでも内部構造は見えて来るんですよ。
  
● 本機ヴェガⅡ型の最大翼弦はⅠ型よりももっと長いです。よって標準サーボ(20×50×50)が縦積みのまま余裕で収まります。当時の構造ならば、Ⅰ型・Ⅲ型同様に2mmバルサでリブを切り出しても好いとは思いますが、極限な肉抜きをすれば3mmバルサでも良いのではないかと思える位の主翼のデカさです。このⅡ型のその後の飛行テストの具合によっては、近代ステルス戦闘機のデザインでもスロープグライダーが作れる可能性も見えて来ました。
  
● 形紙の作図には私的要素も沢山入れてありますが、山本さんの構造路線から外れる事無く作図しました。明らかに胴枠の数が増えてしまってますが、構造的にはⅠ型よりも簡素化しました。胴体三分割なんて難しいだろう!って?・・・主翼分割構造よりは幾分楽です。ただ、どうやって基準を採って軸の通った胴体を作るか・・・此れが今回のミッションでしょうなあ・・・。原寸図面を作図してから解った本機の分割胴体の光明・・・。まあ、縮小のイラスト三面図では見えなかったんですけど。垂直尾翼の一部を巻き込んでの分解なので、若干ですが正確な分割構造が出来そうな予感はしています。鈍角三角形の合体よりも鋭角三角形の合体の方が狂いは出難いって構造は、既に周知の事実・・・。三面図は頭の中で立体で構造を考えろ!・・・とは、中学時代の技術の先生が言った言葉です。正にこの事を言ってるんですなあ・・・。
  
● いやいや!どう考えたって胴枠の数が多過ぎだろ!観てる人には其れが実感でしょうなあ・・・。ですが~・・・作る側にしてみれば、そうでも無いかなあ~・・・が実感です。何故なら分割するんだから、分割面は当然胴枠が倍の厚みですし、ピンを使うも板ベラを使うも長い物を安定させるんだったら補助胴枠が必要に成ります。よって其れ等の補強分の胴枠を抜いたら、何の不思議もない普通の構造体に成ります。
 
● 切り出した胴枠の成形中です。釘で留めているので二枚状態です。何故に二枚なのか?って言うとですなあ・・・。本機の翼型は(E=374)なんですが、飛びの具合によっては色んな翼型が試せそうな雰囲気を持っているので、取り敢えずもう一機分の胴枠を在庫しておきます。原寸図面を書いてもアウトラインしか情報が無いので、胴枠のストリング材の溝なんて言わば経験値の自由設計です。

● 本機の胴体側板は在って無い様なもの・・・。有るんですが、完全なる二枚側板と成る部分が極端に幅が狭いので、多分翼根のリブとは一部抱き合わせにしないと胴体部分が安定しません。構造的には主張し過ぎる主翼の中に胴体が埋まってるといった表現には成りますが・・・胴体三分割の一番荷重の掛かる部分なので、ある程度の頑丈さは必要になります。主翼に胴体が埋まるって事は、翼型を変更しても良い訳ですよ。もっと過激な翼型でも良いですし・・・もっと穏やかな扱い易い翼型でも使えるという事になります。本機ヴェガⅡ型は中風域なら風速8メートル辺りで飛ばせる機体ですが、翼型を(E=205)辺りの浮きの良い翼型に変えると・・・もちっと飛ばし易い飛行機に化けるかも知れません。
 
● 画像左側が機首方向の分割胴枠・・・画像右側が尾翼側の分割胴枠です。山本さんはピン打ち構造で分割胴体を繋いでますが、本機は胴枠内部のボックスジョイントで繋ぐ予定です。掲載の印刷写真からは読み取れないので確かな事は言えませんが、結束後の胴体の固定は何を使っているのか?・・・。全く持って見当が付きません。よって、確実に固定するのならば、スライド型のボックス構造として主翼上部のハッチから何らかの固定グッズを使う構造に成るかと思います。
  
● 見れば見るほど不思議に見える本機の分割構造・・・。しかしながら、中翼スタイルの機体なら有効な分解構造かも知れませんなあ。何故、分割する胴枠が傾斜しているのか・・・いま色々と模索しとるんですが、一つ言える事は機体が機首から接地した場合の胴枠への荷重を、カンザシ棒全体で吸収させ破損を防ぐ目的が在りそうな気配・・・。機首からの接地の場合は、接合部には上下の荷重が・・・グランドループの接地なら横の荷重が其々掛かります。その荷重を傾斜胴枠で逃がすのかも知れませんなあ・・・。
  
● まずは機首側の胴枠・・・。カンザシ棒の代わりに成る結合方法としてボックス構造今回試す事にしました。上記画像を見ると胴枠の分割面主翼側は、胴枠二枚分ぶち抜きでカンザシを通す孔がうっすらと見えます。よって本機も胴枠二枚分のボックスジョイント構造にする予定です。応用としては無動力の機種ユニットから、推力ユニットを搭載した機首への変更も可能でしょう。実際に過去のシャーレー工法の機体には、その様な構造も見られました。

● 画像は機首側の3番胴枠です。3mmベニヤの胴枠機首側の肉厚を上げ・・・ボックスジョイントを確実に固定する厚みを確保します。更に・・・傾斜する胴枠ですので、傾斜角度に合わせて、上下に約1,5mmずつズラして胴枠を接着します。其の為に胴枠寸法は上下に1,5mmずつ延ばして作図しました。もし、大手のメーカーさんなら・・・画像みたいな傾斜胴枠のジョイントなんかしないでしょうね。作れるモデラーを限定しますから・・・更に、ジョイント部分は、カンザシ棒もボックス構造も使わないかも知れません。いっその事浅いネジ山のリセプタクル構造にする方が良いかも・・・。強い水圧の掛かる消防ホースと消火栓の結合部に使われていた、浅い角度のねじ山構造をリセプタクジョイントと言うんですが・・・。
  
● メインの3mmベニヤ胴枠に補助胴枠として3mmバルサ3枚を積層しました。合計4枚で12mmあります。少しずつズラして貼り合わせましたが、傾斜角度は14度です。ズラして貼り合わせただけでは胴枠として機能しません・・・。各種部材を取り付ける為の溝彫りも・・・これがかなり面倒臭い・・・。溝の傾斜角は全てが14度って訳じゃ無いんですなあ。立体的な見た目の14度の溝って箇所も有るんですが、此れが微妙な角度なので調整が難しい。本日、此れで力尽きました・・・眠いので寝ます。ZZZZZ・・・。
 
● 機首側に取り付けるボックス型カンザシを作っています。1,5mmのバルサシートを木目を変えて二層貼り込み、画像の様な側面部分の部材を切り出しました。此れに天板と床板を取り付けてキッチリと直角を出しました。結局の所・・・カンザシと受けパイプは形を変えれば胴体にも使えるって事を証明しています。色んな形状のジョイント部材を試作しては組み込んでいますが、この部材は重心よりも機首側なので、とにかく派手に大袈裟に重く作っても良いですよ(笑)・・・。
 
● 今度は受け側のパイプの役目をする部材の工作です。胴枠二枚の間をスライドするレールをガイドにパイプ状に覆います。此れが中々クリアランスが難しい・・・。胴枠を何度も削って調整するんですが、きつくてもいけない・・・ブカブカでもいけない・・・多分、山本さんも一番苦労して作った部分じゃないのかと想像しますなあ・・・。しかし、この部材が上手い事出来上がれば、別機種への転用も可能になるので、是非とも完成させたいんですがねえ・・・。
  
● かなりシビアな工作手順・・・。枠の中にスライドのレール溝を作る工作手順は、ホント!神経が疲れますなあ。遊びの部分を作ったり・・・クリアランスピッタリにする面同士の擦り合わせとか・・・ボックスジョイントってヤツは大変作り難い・・・。レールはヒノキ材で作り、ガイドはバルサで作る・・・。ヒノキの方がバルサよりも硬い材質だから可能になった構造です。ガイドのレールや溝なんか必要無いだろ!ってのが閲覧者の見方でしょうけど、カンザシと受けのパイプの組み合わせを思い出して下さいね。パイプの材質よりも、カンザシシャフトの方が遥かに硬いから、主翼が保持できるんです。この法則を其のまま当てはめれば良いんです。
  
● 時間は掛かったけど形が見えて来ましたね。飛行機が出来てから組み込んでも良い様な雰囲気ですが、其れだと細部の構造が見えなくなります。この分割形・・・他にも転用可能と述べましたが、例えば・・・EDF模型の後部胴体を実機と同じ位置で分割できる構造も見えて来ました。初代ブルーインパルスの(F-86F)は、主翼後縁側の胴体付近から分割しないと、搭載エンジンが外せませんでした。ただ、この位置で分割可能なら、DFユニットは前部胴体にマウントを作れば搭載は容易です。むしろ、重心合わせが楽に成るんじゃないかな。新しい模型機の構造も垣間見えて来ましたなあ・・・。
  
● もう少し補強の必要はあるかと思いますが、一応形状は出来上がりました。挿入する側される側・・・木目が横方向なので、合体中に適度な圧迫感が(卑猥な想像は個人の自由)あります。此れがスムーズにスルリと入ってしまうと、着陸の衝撃で何れジョイントが甘くなり・・・ガバガバ(卑猥な想像は自由)に成るでしょう。この辺も組み立て中の想定の範囲です。このジョイント部分の内部は、リードハーネス類しか通りませんので、然程ストレスを溜める造りではありません。
 
● さて、此方は後部胴体側・・・。胴体は細いし嵩は高い・・・かなりシビアな造りが要求されます。ボックス内部をリンケージのロッドが通過するので、其れなりの細かな配置も考えながら組立てなければなりません。山本さんのベガシリーズに共通しているのは、胴枠と垂直尾翼の支柱が一体化している事なんですが、此れが工作を難しくしている要因でもあるんです。しかし、別の有利な側面もあるんですよねえ・・・。フライングスタビの駆動リンクを組み込み易いって点でしょうか・・・。たとえ、レーザーキットで正確に部品を刻んでも、作り手側の技量で出来がバラけてしまう構成ですからねえ・・・。アンタレスの胴体組み立て治具が、本機にも必要に成るでしょうなあ・・・。
  
● 後部胴体のボックスジョイントのオス側です。機首側のジョイントと違って、幅は細く嵩が高く・・・本来なら肉抜き一杯の大穴が開く所なんですが、この空間はボックスが収まります。また、後部胴体なのであまり重くする事が出来ません。しかし強固な構造を形成しなければジョイントとして機能しません。其処で、メディアム系のバルサを主体とした複雑な合わせ木構造でボックスを作りました。問題は垂直尾翼の支柱の付いた胴枠です・・・。ボックスに対して平行である事・・・そして垂直である事・・・他の胴枠も同様で、この付近の胴枠全てが同じラインを形成しないと、その後の工作が難しく成るんです。よって、シビア~な調整が暫く続きます。(Part-2に続く)